フリーランスの雑所得とは?事業所得との違い・確定申告・税金の判断基準をわかりやすく解説
はじめに
フリーランスとして報酬を受け取ったとき、「これは雑所得で申告するのか、事業所得で申告するのか」と迷う人は少なくありません。特に、副業でWebライター、デザイナー、エンジニア、動画編集、コンサルティング、スキル販売などをしている場合、同じような仕事内容でも、実態によって所得区分が変わることがあります。
結論からいうと、フリーランス収入がすべて事業所得になるわけではありません。継続性や営利性、仕事の規模、帳簿書類の保存状況などを総合的に見て、事業として行っているといえる場合は事業所得、事業とまではいえない場合は雑所得として扱われることがあります。雑所得でも必要経費は差し引けますが、青色申告特別控除や赤字の損益通算など、事業所得で使える制度が使えない点に注意が必要です。
この記事では、フリーランスの雑所得とは何か、事業所得との違い、確定申告の必要性、税金の計算方法、経費の考え方、判断に迷ったときの対応まで、実務で迷いやすいポイントをわかりやすく解説します。
1. フリーランスの雑所得とは?所得区分の基本をわかりやすく解説
1-1. 雑所得とは「他の所得に当てはまらない所得」のこと
雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも当てはまらない所得をいいます。国税庁も、雑所得を「他の所得のいずれにも当たらない所得」として整理しています。
フリーランス収入と聞くと、すぐに「事業所得」と考えがちですが、所得税では名称ではなく実態で判断します。名刺に「フリーランス」と書いている、クラウドソーシングで仕事を受けている、個人名義で請求書を出しているといった事情だけで、必ず事業所得になるわけではありません。
たとえば、会社員が休日に単発で記事を書いて数万円の報酬を得た場合、その活動が継続的・反復的な事業とまではいえなければ、雑所得として申告するケースがあります。一方、同じライティングでも、継続的に案件を受注し、営業活動や帳簿管理を行い、生活の基盤となる規模で営んでいれば、事業所得と判断される可能性があります。
1-2. フリーランス収入が雑所得になるケース
フリーランス収入が雑所得になるのは、簡単にいうと「収入はあるが、社会通念上、事業といえるほどの実態がない」場合です。
たとえば、次のようなケースでは雑所得になりやすいと考えられます。
・会社員が副業として、たまにWeb記事を執筆している
・知人から単発でデザイン制作を依頼された
・趣味で作ったイラストやハンドメイド作品を不定期に販売している
・スキル販売サイトで、空き時間に数件だけ相談業務を受けている
・継続的な営業活動や帳簿管理をしていない
・収入が少額で、赤字を解消するための取り組みもしていない
ただし、これらに当てはまるからといって必ず雑所得になるわけではありません。所得区分は、仕事内容、取引先数、継続性、収入規模、帳簿書類の保存状況などを総合的に判断します。
1-3. 雑所得には「業務に係る雑所得」「公的年金等」「その他」がある
雑所得は大きく分けると、「公的年金等に係る雑所得」「業務に係る雑所得」「その他の雑所得」に整理できます。フリーランスや副業で問題になりやすいのは、このうち「業務に係る雑所得」です。
業務に係る雑所得とは、たとえば副業や継続的な人的役務の提供などから生じる所得のうち、事業所得とまでは認められないものを指します。国税庁は、業務に係る雑所得について、前々年分の収入金額が300万円を超える場合には現金預金取引等関係書類の保存が必要であり、1,000万円を超える場合には確定申告書に収支内訳書などの添付が必要になるとしています。
つまり、雑所得であっても「なんとなく集計すればよい」というものではありません。フリーランスとして報酬を得ているなら、雑所得で申告する場合でも、収入・経費・源泉徴収額・請求書・領収書などを整理しておくことが重要です。
1-4. フリーランスがまず確認すべき所得区分の考え方
フリーランスがまず確認すべきなのは、「自分の働き方が事業といえる実態を持っているか」です。
判断のポイントは、次のように整理できます。
・継続して仕事を受けているか
・反復して報酬を得ているか
・利益を出す目的で活動しているか
・自分の責任で営業、契約、納品、請求をしているか
・帳簿書類を作成・保存しているか
・収入規模や取引実態が事業といえる程度か
・単なる趣味や一時的な収入ではないか
所得区分は、節税に有利かどうかで選ぶものではありません。実態に合わない区分で申告すると、税務調査などで修正を求められる可能性があります。
2. フリーランスの雑所得と事業所得の違い
2-1. 事業所得とは継続的・反復的に営む事業から得る所得
事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営む人が、その事業から得る所得をいいます。国税庁は、事業所得の金額を「総収入金額 − 必要経費」で計算すると説明しています。
フリーランスの仕事も、ライティング、デザイン、プログラミング、動画編集、コンサルティング、講師業などのサービス業として、事業所得に該当することがあります。ただし、重要なのは「フリーランスだから事業所得」ではなく、「事業として営んでいる実態があるか」です。
たとえば、複数の取引先と継続契約を結び、毎月請求書を発行し、帳簿を付け、経費管理を行い、利益を出すために営業活動をしている場合は、事業所得と判断されやすくなります。
2-2. 雑所得と事業所得の主な違いを比較
雑所得と事業所得の違いは、税額だけでなく、使える制度や赤字の扱いにも影響します。
| 項目 | 雑所得 | 事業所得 |
|---|---|---|
| 所得の性質 | 他の所得に当てはまらない所得 | 事業から生じる所得 |
| 計算方法 | 収入 − 必要経費 | 総収入金額 − 必要経費 |
| 青色申告 | 原則として使えない | 要件を満たせば使える |
| 青色申告特別控除 | 使えない | 最大65万円などの控除が可能 |
| 赤字の損益通算 | 原則できない | 給与所得などと通算できる場合がある |
| 帳簿書類 | 雑所得でも保存が重要 | 記帳・帳簿保存が必要 |
| 所得区分の判断 | 事業とまではいえない収入 | 社会通念上、事業といえる収入 |
事業所得のほうが税制上有利になりやすい一方で、事業所得として申告するには、実態が伴っている必要があります。
2-3. 青色申告が使えるかどうかの違い
大きな違いの一つが、青色申告を使えるかどうかです。青色申告特別控除は、一定の要件を満たすことで所得から控除できる制度ですが、対象は主に事業所得や不動産所得などです。国税庁の青色申告特別控除の説明でも、55万円控除などの要件として、不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいることが挙げられています。
雑所得として申告する場合、青色申告特別控除は使えません。つまり、同じ収入・同じ経費でも、事業所得として青色申告できる場合と、雑所得として申告する場合では、課税所得や税額に差が出る可能性があります。
ただし、青色申告を使いたいからといって、実態のない収入を事業所得にすることはできません。青色申告は、事業実態と帳簿管理が整っている場合に活用できる制度です。
2-4. 赤字を他の所得と損益通算できるかの違い
事業所得では、赤字が出た場合に給与所得など他の所得と損益通算できることがあります。一方、雑所得で赤字が出ても、その損失を給与所得など他の所得から差し引くことはできません。
国税庁は、損益通算の対象となる所得を、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得とし、雑所得の損失は他の各種所得から控除できないと説明しています。
たとえば、会社員が副業で雑所得を得ていて、売上10万円に対して経費が15万円かかった場合、雑所得内では赤字になります。しかし、その5万円の赤字を給与所得から差し引いて所得税を減らすことは原則できません。
2-5. 家内労働者等の必要経費の特例との関係
フリーランスのなかには、特定の取引先に対して継続的に人的役務を提供している人もいます。このような場合、条件を満たせば「家内労働者等の必要経費の特例」の対象になることがあります。
国税庁は、家内労働者等について、実際にかかった経費が65万円未満でも、必要経費として65万円まで認められる特例があると説明しています。ただし、令和2年分から令和6年分までは55万円とされていました。
この特例は、事業所得または雑所得の計算で関係することがあります。ただし、誰でも使えるわけではありません。特定の者に対して継続的に人的役務を提供しているか、給与収入との関係はどうかなど、要件を確認する必要があります。
3. フリーランス収入が雑所得か事業所得かを判断する基準
3-1. 判断の基本は「社会通念上、事業といえるか」
フリーランス収入が雑所得か事業所得かを判断する基本は、「社会通念上、事業といえる程度で行っているか」です。国税庁の所得税基本通達でも、事業所得と業務に係る雑所得の区分について、社会通念に照らして事業といえるかどうかで判定する考え方が示されています。
ここでいう社会通念とは、一般的に見て「それは事業として行っている」といえるかどうかという意味です。単に収入があるだけでは不十分で、継続性、反復性、営利性、取引規模、責任の所在、帳簿管理などを総合的に見ます。
3-2. 継続性・反復性があるか
事業所得と判断されるには、ある程度の継続性・反復性が重要です。
たとえば、1回だけ友人のホームページを作って報酬を受け取った場合、継続的な事業というより単発収入と見られやすく、雑所得になる可能性があります。一方、毎月複数のクライアントからWeb制作案件を受け、継続的に納品・請求をしている場合は、事業所得と判断されやすくなります。
継続性を見る際は、次のような点が参考になります。
・毎月または定期的に収入がある
・複数回にわたり同種の仕事を受けている
・継続契約や業務委託契約がある
・営業活動や集客活動を続けている
・今後も仕事を続ける意思がある
ただし、開業初年度や準備期間中は収入が少ないこともあります。その場合でも、事業として継続する意思や行動、帳簿管理の状況などが重要になります。
3-3. 営利性・有償性があるか
事業所得といえるためには、利益を得る目的で活動していることも重要です。収入が発生していても、趣味の延長で赤字が続き、利益を出すための改善や営業活動をしていない場合は、事業性が弱いと判断される可能性があります。
営利性を見るポイントは、次のとおりです。
・利益を出すために価格設定をしている
・赤字を減らすために経費や単価を見直している
・案件獲得のために営業や発信をしている
・事業用の設備やツールを整えている
・収支を管理し、利益状況を把握している
たとえば、趣味で撮影した写真を不定期に販売し、売上より機材代のほうが大きい状態が続いている場合は、雑所得と判断される可能性があります。一方、撮影サービスとして顧客を獲得し、料金表を作り、利益を出すために運営している場合は、事業所得に近づきます。
3-4. 自己責任で仕事を受けているか
フリーランスは、会社員と異なり、自分の責任で契約し、納品し、報酬を請求します。この自己責任性も、事業所得の判断で重要な要素です。
たとえば、次のような実態がある場合は、事業としての性格が強くなります。
・自分で取引先を開拓している
・業務委託契約を締結している
・納期や品質に責任を負っている
・請求書を発行している
・未払いリスクや契約解除リスクを負っている
・仕事に必要な道具やソフトを自分で用意している
反対に、会社の指揮命令のもとで働き、勤務時間や場所が管理され、給与として支払われている場合は、フリーランスではなく給与所得に該当する可能性があります。
3-5. 帳簿書類を作成・保存しているか
帳簿書類の作成・保存は、雑所得と事業所得の判断で非常に重要です。国税庁は、業務に係る雑所得について、前々年分の収入金額が300万円を超える場合には現金預金取引等関係書類の保存が必要と説明しています。
また、事業所得と業務に係る雑所得の区分に関しては、帳簿書類の保存があるかどうかが重要な判断材料になります。収入金額が300万円以下であっても、帳簿書類の保存があれば原則として事業所得に区分されるという考え方が示されています。
ただし、帳簿を付けていれば必ず事業所得になるという意味ではありません。収入が僅少である、営利性がない、活動実態が乏しいといった場合は、個別に判断されます。
3-6. 収入300万円基準はどう考えるべきか
「収入300万円以下なら必ず雑所得」と誤解されることがありますが、これは正確ではありません。
300万円という金額は、業務に係る雑所得の書類保存義務などと関係する重要な目安ですが、所得区分を機械的に決める絶対基準ではありません。国税庁の資料でも、収入金額が300万円以下であっても帳簿書類の保存があれば、原則として事業所得に区分されることが示されています。
一方で、帳簿書類の保存がない場合は、事業所得として認められにくくなります。特に、収入が少額で、継続性や営利性も乏しい場合は、雑所得として判断される可能性が高くなります。
つまり、300万円基準は「300万円以下なら雑所得」と単純に考えるのではなく、帳簿保存や事業実態を確認するための重要な目安として理解するのが適切です。
3-7. 本業フリーランスと副業フリーランスで判断は変わるのか
本業か副業かは判断材料の一つになりますが、それだけで所得区分が決まるわけではありません。
専業フリーランスとして生活している場合でも、実態が単発収入や趣味的活動に近ければ雑所得になる可能性があります。逆に、会社員の副業であっても、継続的に案件を受け、帳簿を付け、利益を出すために活動していれば、事業所得と判断される余地があります。
重要なのは、「本業か副業か」ではなく、事業としての実態があるかです。副業フリーランスの場合は、収入規模が小さい、活動時間が限られる、帳簿管理が不十分といった理由で雑所得になりやすい傾向はありますが、副業だから必ず雑所得というわけではありません。
4. フリーランス収入が雑所得になりやすいケース・事業所得になりやすいケース
4-1. 雑所得になりやすいケース
雑所得になりやすいのは、事業としての継続性や営利性が弱いケースです。
たとえば、次のような場合です。
・年に数回だけ単発案件を受けている
・趣味の延長で作品やスキルを販売している
・取引先が少なく、継続契約もない
・売上が少額で、生活の基盤とはいえない
・帳簿を付けていない
・請求書や領収書を保存していない
・赤字が続いているが改善の取り組みがない
・営業活動や集客活動をしていない
たとえば、会社員が年に数回だけクラウドソーシングで記事を書き、年間所得が数万円程度という場合は、雑所得として申告するケースが多いでしょう。
4-2. 事業所得になりやすいケース
事業所得になりやすいのは、継続的・反復的に仕事を受け、利益を得る目的で事業運営しているケースです。
たとえば、次のような場合です。
・継続的に複数の取引先から受注している
・毎月安定した売上がある
・業務委託契約や継続契約がある
・請求書を発行し、入金管理をしている
・会計ソフトなどで帳簿を付けている
・事業用口座や事業用クレジットカードを使っている
・営業、広告、SNS発信などで集客している
・利益を出すために価格や経費を管理している
このような実態があれば、同じフリーランス収入でも事業所得と判断されやすくなります。
4-3. 副業Webライター・デザイナー・エンジニアの場合
副業Webライター、デザイナー、エンジニアは、雑所得と事業所得の判断に迷いやすい代表例です。
たとえば、副業Webライターが月1本だけ記事を書いて年間所得が数万円という場合は、雑所得になりやすいでしょう。一方、毎月複数のメディアから継続的に記事を受注し、構成作成、取材、執筆、請求まで自分で行い、帳簿も保存している場合は、事業所得と判断される可能性があります。
デザイナーやエンジニアも同様です。単発でロゴを作った、知人のサイトを一度だけ修正したという程度なら雑所得に近いですが、継続的に案件を受け、ポートフォリオや営業活動を通じて顧客を獲得している場合は、事業所得に近づきます。
4-4. 単発案件・スポット収入の場合
単発案件やスポット収入は、雑所得になりやすい典型例です。
たとえば、次のような収入です。
・1回だけ講演をして謝礼を受け取った
・一度だけ記事を寄稿した
・友人の依頼でロゴを作成した
・イベントで一時的に販売を手伝った
・単発のアンケートやモニターで報酬を得た
これらは、事業として継続しているとはいえない場合が多いため、雑所得として扱うのが自然です。ただし、講師業や執筆業を継続的に行っている人にとっての講演料や原稿料は、事業所得になることもあります。
4-5. 趣味やスキル販売による収入の場合
趣味やスキル販売による収入も、実態によって判断が分かれます。
たとえば、趣味で描いたイラストを年に数回販売しているだけなら、雑所得になりやすいでしょう。一方、イラスト制作を継続的に受注し、価格表を作り、SNSやポートフォリオで集客し、請求書を発行している場合は、事業所得に近づきます。
スキル販売サイトでの相談業務も同じです。空き時間に数件だけ相談を受ける程度なら雑所得になりやすいですが、継続的にサービスを提供し、収益化を目的に改善を続けているなら、事業性が認められる可能性があります。
4-6. 判断に迷いやすい具体例
たとえば、次のようなケースは判断に迷いやすいところです。
会社員Aさんは、副業でWebライターをしています。年間売上は80万円、経費は20万円、所得は60万円です。毎月継続案件があり、請求書を発行し、会計ソフトで帳簿を付けています。この場合、副業であっても事業所得として申告できる可能性があります。
会社員Bさんは、年に3回だけ知人から記事作成を頼まれ、年間売上は9万円、経費は1万円、所得は8万円です。帳簿は付けておらず、今後継続する予定もありません。この場合は、雑所得として扱うのが自然です。
専業Cさんは、フリーランスを名乗っていますが、年間売上は10万円程度で、営業活動や帳簿管理はしていません。生活費は貯金でまかなっています。この場合、専業であっても事業所得といえる実態が弱く、雑所得と判断される可能性があります。
5. フリーランスの雑所得に確定申告は必要?
5-1. 確定申告が必要になる基本条件
フリーランスの雑所得に確定申告が必要かどうかは、他の所得の有無や所得金額によって変わります。
基本的には、雑所得を含めた所得税の計算上、納める税額がある場合は確定申告が必要です。専業フリーランスで雑所得がある人、給与所得以外の所得が一定額を超える会社員、副業で源泉徴収されていて還付を受けたい人などは、申告が必要または有利になることがあります。
所得税の確定申告では、1年間の所得を集計し、所得控除を差し引き、税率をかけて税額を計算します。雑所得は「収入 − 必要経費」で計算した金額を、他の所得と合算して申告します。
5-2. 会社員の副業フリーランスで申告が必要なケース
会社員が副業フリーランスとして雑所得を得ている場合、給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。国税庁は、給与を1か所から受けている一定の給与所得者について、給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円以下である場合などには確定申告をしなくてもよいと説明しています。
ここで注意すべきなのは、「20万円」は売上ではなく所得で判定する点です。
たとえば、副業の売上が35万円でも、必要経費が18万円あれば、雑所得は17万円です。この場合、所得税の確定申告は不要になる可能性があります。一方、副業の売上が25万円で経費が2万円なら、所得は23万円なので、原則として確定申告が必要です。
5-3. 専業フリーランスで雑所得がある場合
専業フリーランスで給与所得がない場合は、会社員のような「給与所得者の20万円ルール」は基本的に使えません。雑所得を含めた所得金額から基礎控除などの所得控除を差し引き、納税額が発生するかどうかで判断します。
たとえば、専業でスキル販売を行い、年間の雑所得が一定額を超える場合は、確定申告が必要になる可能性があります。収入が少なく納税額が出ない場合でも、国民健康保険料や住民税の計算に関係することがあるため、自治体への申告が必要になる場合があります。
5-4. 所得20万円以下なら申告不要になるケースと注意点
会社員の副業で、給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告が不要になるケースがあります。しかし、これはあくまで所得税の確定申告に関するルールです。
また、医療費控除やふるさと納税の寄附金控除などを受けるために確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も含めて申告する必要があります。国税庁の副業向け資料でも、医療費控除やふるさと納税などで確定申告を行う人は、副業所得が20万円以下であっても申告が必要と説明されています。
「20万円以下だから何も申告しなくてよい」と考えるのは危険です。所得税、住民税、控除の有無を分けて確認しましょう。
5-5. 住民税の申告が必要になるケース
所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。住民税には、所得税のような給与所得者の20万円以下申告不要制度がそのままあるわけではありません。
たとえば、大阪市は、市民税・府民税申告について、一定の要件に該当する場合を除き、毎年3月15日までに申告が必要と案内しています。
副業の雑所得が20万円以下で所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告が必要かどうかは、住んでいる市区町村に確認するのが確実です。
5-6. 確定申告しないとどうなるのか
本来必要な確定申告をしないと、無申告加算税や延滞税などが発生する可能性があります。源泉徴収されているから大丈夫と思っていても、実際には追加で納税が必要な場合もあります。
また、申告していない収入が後から発覚すると、過去にさかのぼって修正が必要になることがあります。クラウドソーシング、スキル販売、広告収入、原稿料などは、支払側にも記録が残ります。少額だから見つからないと考えるのではなく、正しく集計しておくことが重要です。
6. フリーランスの雑所得にかかる税金の計算方法
6-1. 雑所得の計算式は「収入 − 必要経費」
フリーランスの雑所得は、基本的に次の式で計算します。
雑所得 = 収入金額 − 必要経費
たとえば、Webライターとして年間50万円の報酬を受け取り、取材交通費、書籍代、通信費、会計ソフト代などの必要経費が15万円だった場合、雑所得は35万円です。
雑所得の計算では、売上や入金額だけでなく、仕事に直接関係する費用を漏れなく集計することが重要です。ただし、プライベートな支出や所得税・住民税など、必要経費にできないものは差し引けません。
6-2. 所得税の計算方法
所得税は、雑所得だけに直接税率をかけるのではなく、給与所得や事業所得など他の所得と合算し、所得控除を差し引いた課税所得に税率をかけて計算します。
基本的な流れは次のとおりです。
雑所得を計算する
他の所得と合算する
基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除などを差し引く
課税所得を求める
所得税率をかける
税額控除や源泉徴収税額を反映する
納税または還付を受ける
所得税率は課税所得に応じて5%から45%まで段階的に上がる超過累進税率です。国税庁の所得税速算表では、課税所得1,000円から1,949,000円までは5%、1,950,000円から3,299,000円までは10%、以後段階的に税率が上がるとされています。
6-3. 住民税の計算方法
住民税は、一般的に所得割と均等割で構成されます。所得割は多くの自治体でおおむね10%ですが、自治体により均等割や独自課税が異なる場合があります。また、令和6年度以降は森林環境税1,000円が個人住民税均等割とあわせて徴収されています。自治体の案内でも、所得割の税率を市民税6%・県民税4%の合計10%と説明している例があります。
住民税は前年の所得をもとに計算され、翌年度に課税されます。そのため、副業やフリーランス収入が増えた翌年に住民税の負担が増えることがあります。
6-4. 復興特別所得税の考え方
所得税には、復興特別所得税もあわせてかかります。国税庁は、復興特別所得税額を「基準所得税額 × 2.1%」と説明しています。
たとえば、所得税額が50,000円の場合、復興特別所得税は1,050円です。実際の確定申告では、所得税と復興特別所得税をあわせて計算します。
6-5. 源泉徴収されている場合の扱い
原稿料、講演料、デザイン料など一部の報酬は、支払時に源泉徴収されることがあります。国税庁は、原稿料や講演料などを源泉徴収の対象となる報酬・料金等として挙げています。
源泉徴収は、税金の前払いのようなものです。確定申告では、年間の所得税額を計算したうえで、すでに源泉徴収された金額を差し引きます。源泉徴収額が本来の税額より多ければ還付され、不足していれば追加で納税します。
報酬の支払調書が届かない場合でも、入金額、請求書、源泉徴収額の記録をもとに申告する必要があります。支払調書は申告書への添付義務がないケースもありますが、確認資料として保存しておくと安心です。
6-6. 税金がいくらになるかのシミュレーション例
会社員が副業フリーランスとして雑所得を得た場合を考えてみましょう。
・副業収入:60万円
・必要経費:20万円
・雑所得:40万円
・課税所得に上乗せされる部分の所得税率:10%
・住民税率:10%と仮定
この場合、副業の雑所得40万円に対して、所得税は概算で4万円、復興特別所得税は840円、住民税は概算で4万円となります。合計では約8万円強の税負担が増えるイメージです。
ただし、実際の税額は、給与所得、所得控除、税額控除、源泉徴収額、自治体の住民税計算などによって変わります。あくまで目安として考えましょう。
7. フリーランスの雑所得で経費にできるもの・できないもの
7-1. 雑所得でも必要経費は差し引ける
雑所得であっても、収入を得るために必要な経費は差し引けます。国税庁は、必要経費に算入できる金額として、総収入金額を得るために直接要した費用や、その年に生じた販売費、一般管理費、その他業務上の費用を挙げています。
つまり、「雑所得だから経費は使えない」という理解は誤りです。事業所得ほど制度上の優遇はありませんが、雑所得でも必要経費の集計は重要です。
7-2. 経費にできる主な費用
フリーランスの雑所得で経費にできる主なものには、次のような費用があります。
・仕事用のパソコン、タブレット、周辺機器
・業務に使うソフトウェア、アプリ、クラウドサービス利用料
・サーバー代、ドメイン代
・通信費の業務使用分
・書籍代、資料代、教材費
・取材や打ち合わせの交通費
・仕事用の文房具、消耗品
・会計ソフト利用料
・ポートフォリオサイト制作費
・業務に関係するセミナー参加費
・外注費
・販売手数料、決済手数料
・仕事用スペースの家賃按分額
ポイントは、その支出が収入を得るために必要だったことを説明できるかどうかです。領収書があるだけでは不十分で、業務との関連性を説明できる必要があります。
7-3. 家賃・通信費・電気代など家事按分できる費用
自宅で仕事をしているフリーランスの場合、家賃、通信費、電気代などは、仕事で使っている部分だけを経費にできることがあります。これを家事按分といいます。
国税庁は、家事上の経費は必要経費にならない一方で、家事関連費のうち業務遂行上必要な部分を明らかに区分できる場合は、その部分を必要経費にできると説明しています。
たとえば、自宅の20%を仕事スペースとして使っているなら、家賃の20%を経費にする考え方があります。通信費であれば、使用時間やデータ使用量などをもとに、業務利用割合を設定します。
按分割合は、合理的に説明できることが重要です。毎年ころころ変えたり、根拠なく高い割合にしたりすると、否認されるリスクがあります。
7-4. 経費にできないもの
経費にできないものもあります。代表例は次のとおりです。
・プライベートな飲食費
・仕事と関係のない衣服代
・所得税、住民税
・罰金、科料、過料
・家族旅行や私的な交通費
・個人的な趣味の支出
・業務との関連性を説明できない支出
国税庁も、所得税や住民税、罰金、科料、過料などは必要経費にならないと説明しています。
「領収書があるから経費にできる」のではなく、「業務に必要だから経費にできる」と考えることが大切です。
7-5. 領収書・請求書・通帳など保存すべき書類
雑所得で申告する場合でも、次の書類は保存しておきましょう。
・請求書
・領収書
・レシート
・クレジットカード明細
・銀行口座の入出金明細
・支払調書
・業務委託契約書
・メールやチャットの取引記録
・納品物の記録
・経費の按分根拠を示すメモ
特に、業務に係る雑所得で前々年分の収入金額が300万円を超える場合は、現金預金取引等関係書類の保存が必要です。
保存方法は紙でもデータでも構いませんが、後から確認できるように整理しておくことが重要です。
7-6. 経費計上で否認されやすい注意点
経費計上で否認されやすいのは、業務との関係があいまいな支出です。
たとえば、カフェ代をすべて会議費にする、私用スマホ代を全額通信費にする、普段着を衣装代として処理する、家賃の大部分を仕事用として按分する、といった処理は注意が必要です。
否認を避けるには、次の点を意識しましょう。
・業務との関連性を説明できるようにする
・家事按分の根拠を残す
・プライベート分を除外する
・領収書だけでなく内容メモも残す
・毎年一貫した基準で処理する
税務上は、実態と説明可能性が重要です。
8. 雑所得として確定申告する手順
8-1. 収入金額と必要経費を集計する
まず、1月1日から12月31日までの収入金額と必要経費を集計します。
収入には、実際に受け取った報酬、売上、謝礼、広告収入、販売収入などを含めます。必要経費には、仕事に直接関係する支出を集計します。
業務に係る雑所得で前々年分の収入金額が300万円以下の場合、現金主義の特例を使えることがあります。国税庁は、この場合、確定申告書に特例を受ける旨を記載すれば、その年に収入した金額と支出した費用の額で計算できると説明しています。
ただし、通常は発生主義で集計するのが基本です。入金日と請求日が年をまたぐ場合は、申告方法に注意しましょう。
8-2. 源泉徴収額を確認する
次に、源泉徴収されている報酬があるか確認します。
原稿料、講演料、デザイン料などは、支払時に源泉徴収されていることがあります。請求書、入金額、支払調書を確認し、源泉徴収税額を集計しましょう。
たとえば、請求額が100,000円で、源泉徴収10,210円が差し引かれ、入金額が89,790円だった場合、収入は100,000円、源泉徴収税額は10,210円として扱います。入金額だけを収入にすると、申告額を誤る可能性があります。
8-3. 確定申告書の雑所得欄に入力する
確定申告書では、雑所得の区分に応じて入力します。フリーランスの副業収入で事業所得とまではいえないものは、原則として「業務に係る雑所得」として入力することが多いでしょう。
入力する主な項目は次のとおりです。
・収入金額
・必要経費
・所得金額
・源泉徴収税額
・所得の種類
・支払者情報
会計ソフトや国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に沿って入力できます。
8-4. e-Taxで申告する流れ
e-Taxを使うと、オンラインで確定申告書を作成・送信できます。国税庁は、確定申告書等作成コーナーを利用することで、画面の案内に従って申告書の作成・送信までe-Taxで手続きできると案内しています。
一般的な流れは次のとおりです。
収入・経費・源泉徴収額を集計する
確定申告書等作成コーナーにアクセスする
所得の種類で雑所得を選択する
収入金額、必要経費、源泉徴収額を入力する
給与所得や控除情報を入力する
納税額または還付額を確認する
マイナンバーカード方式などで送信する
納税または還付手続きを行う
スマホで申告できるケースもありますが、所得の種類や申告内容によってはパソコンのほうが入力しやすい場合があります。
8-5. 納税または還付を受ける
申告の結果、納税が必要な場合は、期限までに納付します。納付方法には、振替納税、ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、コンビニ納付などがあります。
源泉徴収税額が多い場合は、還付を受けられることがあります。たとえば、報酬から源泉徴収されていたものの、必要経費や所得控除を反映すると税額が少なくなる場合、差額が還付されます。
還付を受けるには、申告書に振込先口座を正しく入力しましょう。
8-6. 申告後に書類を保存する
確定申告が終わっても、書類はすぐに捨ててはいけません。
請求書、領収書、帳簿、通帳、クレジットカード明細、支払調書、契約書、按分根拠などは、後から確認できるように保存します。雑所得であっても、申告内容の根拠を説明できる状態にしておくことが大切です。
クラウド会計ソフトやスキャンデータで管理する場合も、検索しやすいように日付、取引先、内容ごとに整理しておきましょう。
9. 雑所得と事業所得で迷ったときの対応
9-1. 判断に迷ったら帳簿と取引実態を整理する
雑所得か事業所得かで迷ったら、まずは取引実態を整理しましょう。
確認すべき項目は次のとおりです。
・年間売上
・年間所得
・取引先数
・継続契約の有無
・案件数
・営業活動の有無
・請求書発行の有無
・帳簿作成の有無
・領収書や契約書の保存状況
・利益を出すための取り組み
・本業収入との関係
これらを整理すると、事業としての実態があるかどうかが見えやすくなります。税理士や税務署に相談する場合も、資料が整理されているほど具体的な判断をしやすくなります。
9-2. 開業届を出していれば必ず事業所得になるのか
開業届を出しているからといって、必ず事業所得になるわけではありません。
開業届は、個人事業を開始したことを税務署に届け出る手続きです。しかし、所得区分は届出の有無だけでなく、実際の活動内容によって判断されます。
たとえば、開業届を出したものの、実際には収入がほとんどなく、営業活動や帳簿管理もしていない場合、事業所得として認められない可能性があります。一方、開業届を出していなくても、継続的・反復的に事業を営んでいる実態があれば、事業所得と判断される可能性があります。
ただし、事業所得として青色申告をしたい場合は、青色申告承認申請書などの手続きが必要です。制度を使うには、期限内の届出と帳簿管理が欠かせません。
9-3. 過去に雑所得で申告した収入を事業所得に変えられるか
過去に雑所得で申告した収入でも、その後に事業実態が整えば、将来分を事業所得として申告できる可能性があります。
たとえば、最初は副業として単発案件を受けていたため雑所得で申告していたものの、翌年から継続契約が増え、帳簿管理を始め、売上規模も拡大した場合、事業所得として申告する余地があります。
ただし、過去の申告をさかのぼって事業所得に変更する場合は慎重に判断すべきです。単に青色申告特別控除や損益通算を使いたいという理由だけでは認められません。実態を示す資料が必要です。
9-4. 事業所得として申告したものが雑所得と判断されるリスク
事業所得として申告したものが、税務署から雑所得と判断されると、青色申告特別控除が否認されたり、損益通算が認められなかったりする可能性があります。
特に、次のようなケースは注意が必要です。
・収入が少額である
・継続性がない
・帳簿書類が保存されていない
・赤字が続いている
・利益を出すための取り組みがない
・趣味的活動に近い
・取引記録が不十分である
事業所得として申告するなら、収入・経費の帳簿を整え、請求書・領収書・契約書などを保存し、事業として利益を出すために活動している実態を残すことが大切です。
9-5. 税務署や税理士に相談すべきケース
次のような場合は、税務署や税理士に相談するのがおすすめです。
・雑所得か事業所得か判断が難しい
・副業収入が大きくなってきた
・帳簿書類の保存方法がわからない
・青色申告に切り替えたい
・過去の申告区分を見直したい
・赤字が出ていて損益通算を検討している
・税務署から問い合わせが来た
・複数の所得があり申告が複雑になっている
所得区分は個別事情によって判断が変わります。迷ったまま自己判断するより、早めに専門家へ相談したほうが安全です。
10. フリーランスが雑所得で申告する際の注意点
10-1. 青色申告特別控除は使えない
雑所得で申告する場合、青色申告特別控除は使えません。青色申告特別控除は、事業所得や不動産所得など一定の所得が対象であり、雑所得は対象外です。
そのため、雑所得で申告する場合は、青色申告特別控除による節税効果は期待できません。収入から必要経費を差し引き、所得控除を反映して税額を計算します。
10-2. 赤字を給与所得などと損益通算できない
雑所得の赤字は、給与所得など他の所得と損益通算できません。国税庁も、雑所得の損失は他の各種所得から控除できないと説明しています。
副業で高額な機材を購入し、雑所得が赤字になったとしても、その赤字を給与所得から差し引いて税金を減らすことは原則できません。この点は、事業所得との大きな違いです。
10-3. 帳簿・書類保存を軽視しない
雑所得だからといって、帳簿や書類保存を軽視してはいけません。
収入金額、必要経費、源泉徴収額、取引先、支払日、入金日などを説明できるようにしておく必要があります。特に、業務に係る雑所得の収入が増えてきた場合は、書類保存義務や収支内訳書の添付義務が関係することがあります。
会計ソフトや表計算ソフトを使い、最低限でも収入・経費の一覧を作成しておきましょう。
10-4. 事業所得にしたい場合は事業実態を整える
将来的に事業所得として申告したい場合は、節税目的だけでなく、事業実態を整えることが重要です。
具体的には、次のような準備を進めましょう。
・継続的に案件を受注する
・営業活動を行う
・請求書を発行する
・業務委託契約書を保管する
・事業用口座を分ける
・帳簿を付ける
・領収書を保存する
・利益を出すために単価や経費を管理する
・屋号、ポートフォリオ、サービスページを整える
事業所得として認められるには、外形だけでなく、実際に事業として営んでいることが大切です。
10-5. 節税目的だけで所得区分を選ばない
雑所得か事業所得かは、納税者が自由に選べるものではありません。実態に基づいて判断します。
事業所得のほうが青色申告特別控除や損益通算などで有利になることがありますが、実態が雑所得に近いのに事業所得として申告すると、後から否認されるリスクがあります。
所得区分は「どちらが得か」ではなく、「実態としてどちらが正しいか」で判断しましょう。
11. フリーランスの雑所得に関するよくある質問
11-1. フリーランスでも雑所得になることはある?
あります。フリーランスと名乗っていても、収入が単発的で継続性がない、帳簿を付けていない、営利性が弱い、趣味の延長に近いといった場合は、雑所得になることがあります。
所得区分は肩書きではなく実態で判断します。
11-2. 収入300万円以下なら必ず雑所得になる?
必ず雑所得になるわけではありません。
収入300万円以下でも、帳簿書類を保存し、継続的・反復的に事業として活動している実態があれば、事業所得と判断される可能性があります。国税庁の資料でも、収入金額が300万円以下であっても帳簿書類の保存があれば、原則として事業所得に区分される考え方が示されています。
ただし、帳簿があるだけで必ず事業所得になるわけではありません。収入が僅少、営利性がない、活動実態が弱い場合は、個別判断になります。
11-3. 開業届を出していないと雑所得になる?
開業届を出していないからといって、必ず雑所得になるわけではありません。実際に継続的・反復的に事業を営んでいる実態があれば、事業所得になる可能性があります。
一方、開業届を出していても、事業実態がなければ雑所得と判断される可能性があります。開業届は重要な手続きですが、所得区分を決める唯一の基準ではありません。
11-4. 雑所得でも経費は認められる?
認められます。雑所得でも、収入を得るために直接必要な費用や業務上の費用は必要経費として差し引けます。
ただし、プライベートな支出、所得税・住民税、罰金などは経費にできません。家賃や通信費など仕事と私用が混ざる費用は、合理的な割合で家事按分する必要があります。
11-5. 雑所得が赤字になったらどうなる?
雑所得内で赤字になっても、その赤字を給与所得など他の所得と損益通算することはできません。
たとえば、副業の雑所得がマイナス10万円になっても、その10万円を給与所得から差し引いて所得税を減らすことは原則できません。赤字を他の所得と通算できるかどうかは、雑所得と事業所得の大きな違いです。
11-6. 副業フリーランスは雑所得と事業所得のどちらで申告すべき?
副業フリーランスだから必ず雑所得、というわけではありません。副業でも、継続的に案件を受け、営利目的で活動し、帳簿書類を保存している場合は、事業所得と判断される可能性があります。
一方、単発案件や趣味的な収入、少額で継続性のない収入は、雑所得として申告するのが自然です。
判断に迷う場合は、収入規模、取引先数、継続性、帳簿書類、営業活動、利益を出すための取り組みを整理し、必要に応じて税務署や税理士に相談しましょう。
まとめ
フリーランスの雑所得とは、フリーランスとして得た収入のうち、事業所得など他の所得に当てはまらない所得をいいます。副業や単発案件、趣味の延長の収入などは、雑所得として扱われることがあります。
雑所得と事業所得の違いは、青色申告特別控除が使えるか、赤字を損益通算できるか、帳簿書類の重要性、税務上の扱いなどに表れます。事業所得として申告するには、継続性、反復性、営利性、自己責任、帳簿保存など、事業としての実態が必要です。
「収入300万円以下なら必ず雑所得」という単純な基準ではありません。300万円は重要な目安ではありますが、最終的には社会通念上、事業といえるかどうかを総合的に判断します。
雑所得で申告する場合でも、必要経費は差し引けます。ただし、青色申告特別控除は使えず、赤字を給与所得などと損益通算することもできません。また、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。
フリーランスとして収入を得ているなら、雑所得か事業所得かにかかわらず、収入・経費・源泉徴収額・請求書・領収書・帳簿を整理しておくことが大切です。所得区分で迷ったときは、節税効果だけで判断せず、実態に合った申告を心がけましょう。

