フリーランスは雇用形態?会社員・業務委託との違いやメリット・注意点をわかりやすく解説
はじめに
「フリーランスは雇用形態なのか」「履歴書や職務経歴書にはどう書けばよいのか」「会社員や業務委託とは何が違うのか」と疑問に感じる人は少なくありません。
結論からいうと、フリーランスは厳密には雇用形態ではありません。正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト・パートのように、会社と労働者が雇用契約を結ぶ区分ではなく、企業などに雇われず、個人として仕事を請け負う働き方を指します。
ただし、実際には「業務委託で働くフリーランス」「副業として活動するフリーランス」「法人化して仕事を受けるフリーランス」など、働き方はさまざまです。そのため、雇用形態や契約形態との違いを理解しておかないと、税金・社会保険・契約トラブル・働き方の自由度などで誤解が生じやすくなります。
この記事では、フリーランスと雇用形態の関係、会社員や業務委託との違い、メリット・デメリット、独立前に確認すべきポイントをわかりやすく解説します。
1. フリーランスは雇用形態?まず結論をわかりやすく解説
1-1. フリーランスは「雇用形態」ではなく「働き方・就業形態」
フリーランスは、正社員や契約社員のような雇用形態ではありません。一般的には、特定の会社に雇用されるのではなく、個人として案件や仕事を受け、報酬を得る働き方を指します。
雇用形態とは、会社と労働者が雇用契約を結ぶ際の区分です。一方、フリーランスは会社に雇われている労働者ではなく、独立した事業者として仕事を受けるケースが多いため、「雇用形態」よりも「働き方」や「就業形態」と表現する方が正確です。
厚生労働省も、雇用形態の例として派遣労働者、契約社員、パートタイム労働者、業務委託契約を結んで働く人などを分けて整理しています。
1-2. 雇用形態とは会社と労働者の雇用契約上の区分
雇用形態とは、会社と労働者がどのような条件で雇用契約を結んでいるかを示す区分です。代表的なものには、正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト、パートなどがあります。
これらはいずれも、労働者が会社の指揮命令を受けて働き、会社から給与を受け取る点が共通しています。労働時間、休日、賃金、有給休暇、社会保険などについても、労働関係法令の対象になるのが基本です。
つまり、雇用形態とは「会社に雇われて働く場合の分類」と考えるとわかりやすいでしょう。
1-3. フリーランスは企業に雇われず個人で仕事を請け負う働き方
フリーランスは、企業や個人から仕事を受注し、成果物の納品や業務の遂行に対して報酬を受け取る働き方です。たとえば、Webデザイナー、ライター、エンジニア、動画編集者、コンサルタント、カメラマン、イラストレーターなどは、フリーランスとして活動しやすい職種です。
会社員のように毎月決まった給与が支払われるとは限らず、案件ごと、時間単価、月額契約など、報酬の決まり方は契約内容によって異なります。
公正取引委員会のフリーランス法特設サイトでは、フリーランスを「業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないもの」と説明しています。
1-4. 「フリーランス=個人事業主」とは限らない点に注意
フリーランスと個人事業主は似た意味で使われることがありますが、完全に同じではありません。
個人事業主は、税務上、個人で事業を営んでいる人を指します。開業届を出して事業を行っている人は、一般的に個人事業主に該当します。一方、フリーランスは働き方を表す言葉です。
そのため、開業届を出していない人でも、個人として継続的に仕事を受けていればフリーランスと呼ばれることがあります。また、法人を設立して一人会社として仕事を受けている人も、広い意味ではフリーランス的な働き方をしているといえます。
2. 雇用形態の主な種類とフリーランスとの違い
2-1. 正社員との違い
正社員は、会社と直接雇用契約を結び、一般的には雇用期間の定めがない働き方です。フルタイム勤務が多く、毎月の給与、賞与、社会保険、福利厚生、有給休暇などが整備されているケースが多いです。
一方、フリーランスは会社と雇用契約を結ばず、業務委託契約などによって仕事を受けます。働く時間や場所を自分で決めやすい反面、収入や福利厚生は自分で管理しなければなりません。
正社員は安定性が高い一方で、会社の勤務時間や組織ルールに従う必要があります。フリーランスは自由度が高い一方で、収入や仕事の獲得に責任を持つ必要があります。
2-2. 契約社員との違い
契約社員は、会社と直接雇用契約を結びますが、雇用期間に定めがある働き方です。たとえば、半年契約、1年契約など、契約期間を決めて働くケースが一般的です。
フリーランスも一定期間ごとに契約を更新することがありますが、契約社員との大きな違いは「雇用されているかどうか」です。契約社員は労働者として会社の指揮命令を受け、給与を受け取ります。フリーランスは事業者として仕事を受け、報酬を受け取ります。
契約期間がある点は似ていても、法律上の立場や社会保険、労働時間管理、有給休暇の扱いは大きく異なります。
2-3. 派遣社員との違い
派遣社員は、派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業で働く雇用形態です。雇用主は派遣会社であり、実際に働く場所は派遣先企業になります。
一方、フリーランスは派遣会社に雇用されているわけではありません。企業と直接または仲介サービスを通じて業務委託契約を結び、仕事を行います。
派遣社員は労働者として保護されますが、フリーランスは原則として事業者として扱われます。そのため、勤務時間の管理、残業代、有給休暇、社会保険などの適用範囲に違いがあります。
2-4. アルバイト・パートとの違い
アルバイトやパートは、勤務時間が正社員より短い場合が多い雇用形態です。呼び方は異なっても、会社と雇用契約を結んで働く点では労働者に該当します。
フリーランスは、たとえ短時間だけ働く場合でも、雇用契約ではなく業務委託契約などで仕事を受ける場合が多いです。アルバイト・パートは時給制で給与を受け取ることが一般的ですが、フリーランスは成果物、作業時間、案件単位などで報酬が決まります。
また、アルバイトやパートは一定の条件を満たせば社会保険や雇用保険の対象になりますが、フリーランスは原則として自分で国民健康保険や国民年金に加入し、税金も自分で申告します。
2-5. 業務委託・請負・委任との違い
業務委託は、企業が外部の個人や法人に業務を依頼する契約形態です。フリーランスとして働く人の多くは、この業務委託契約によって仕事を受けています。
ただし、業務委託は契約形態であり、フリーランスは働き方です。つまり、「フリーランスとして業務委託契約で働く」という表現が正確です。
業務委託には、成果物の完成を目的とする請負契約や、業務の遂行を目的とする委任・準委任契約があります。民法では、請負は仕事の完成を約する契約、準委任は法律行為ではない事務の委託に関する契約として整理されています。
2-6. 副業フリーランスとの違い
副業フリーランスとは、会社員として働きながら、空いた時間に個人で仕事を受ける働き方です。平日は会社員として給与を得て、休日や夜間にライティング、デザイン、プログラミング、コンサルティングなどの案件を受けるケースが該当します。
専業フリーランスは主な収入源がフリーランス活動ですが、副業フリーランスは会社員としての給与収入を持ちながら活動できる点が特徴です。
いきなり独立するのが不安な人は、副業から始めて実績や取引先を増やし、収入の見通しが立ってから独立を検討する方法もあります。
3. フリーランスと会社員の違いを比較
3-1. 契約関係の違い
会社員は会社と雇用契約を結びます。会社の指揮命令に従って働き、会社から給与を受け取る関係です。勤務時間、勤務地、業務内容などは会社のルールに基づいて決められます。
フリーランスは、企業や個人と業務委託契約、請負契約、準委任契約などを結んで仕事を受けます。依頼主と対等な事業者として契約し、業務内容や報酬、納期、成果物などを契約で定めます。
ただし、契約書の名称が業務委託であっても、実態として会社の指揮命令を受けて働いている場合は、労働者性が認められる可能性があります。厚生労働省も、労働基準法上の労働者に該当するかどうかは契約の形式や名称ではなく、実態を総合的に判断すると説明しています。
3-2. 報酬・給与の違い
会社員は、毎月決まった日に給与を受け取ります。基本給、残業代、賞与、各種手当などが支給されることもあります。
フリーランスは、契約に基づいて報酬を受け取ります。報酬は、案件単価、時間単価、月額固定、成果報酬などさまざまです。納品後に請求書を発行し、翌月末などに入金されるケースが一般的です。
会社員は収入の予測がしやすい一方、フリーランスは案件数や単価によって収入が変動します。高単価案件を継続的に受注できれば会社員以上の収入を得られる可能性がありますが、仕事が途切れると収入が大きく減るリスクもあります。
3-3. 働く時間や場所の自由度の違い
会社員は、会社が定めた勤務時間や就業場所に従って働くのが基本です。リモートワークやフレックスタイム制度がある企業も増えていますが、最終的には会社の就業規則に従う必要があります。
フリーランスは、契約内容に問題がなければ、働く時間や場所を自分で決めやすい働き方です。自宅、コワーキングスペース、カフェ、地方、海外など、職種によっては自由な働き方が可能です。
ただし、クライアントとの打ち合わせ時間、納期、稼働条件が決まっている場合は、完全に自由とは限りません。常駐型案件や時間指定のある案件では、会社員に近い働き方になることもあります。
3-4. 社会保険・年金・税金の違い
会社員は、勤務先を通じて健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などに加入するのが一般的です。社会保険料は会社と本人で負担し、所得税や住民税も給与から天引きされることが多いです。
フリーランスは、原則として自分で国民健康保険や国民年金に加入し、確定申告によって所得税を申告します。住民税、消費税、個人事業税などが関係する場合もあります。
厚生労働省は、国民年金基金について、自営業者やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者が老後の所得保障を充実させるため任意で加入できる制度と説明しています。
3-5. 労働基準法や有給休暇の適用範囲の違い
会社員は労働者であるため、労働基準法の対象になります。労働時間、休憩、休日、残業代、有給休暇などについて、法律上の保護を受けます。
一方、フリーランスは原則として労働者ではなく事業者として扱われるため、労働基準法上の有給休暇や残業代の制度は基本的に適用されません。休むかどうかは自分で決められますが、休んでいる間の報酬は発生しないことが多いです。
ただし、業務委託という名称でも、実態として勤務時間を細かく指定され、会社の指揮命令下で働いている場合は、労働者と判断される可能性があります。
3-6. 収入の安定性とキャリア形成の違い
会社員は、毎月の給与が安定しやすく、社内研修や人事制度を通じてキャリア形成を進められるメリットがあります。一方で、職種や配属、評価制度に左右されることもあります。
フリーランスは、自分で案件を選び、専門性を高めながらキャリアを作っていく働き方です。特定分野に強みを持てば、高単価案件や継続案件につながる可能性があります。
ただし、スキルアップ、営業、実績作り、単価交渉を自分で行う必要があります。会社員のように誰かがキャリアを用意してくれるわけではないため、自律的に行動できるかが重要です。
4. フリーランスと業務委託の違い
4-1. 業務委託は契約形態、フリーランスは働き方
フリーランスと業務委託は混同されやすい言葉ですが、意味が異なります。
フリーランスは、特定の会社に雇われず、個人で仕事を受ける働き方です。一方、業務委託は、仕事を依頼する側と受ける側が結ぶ契約形態です。
つまり、フリーランスは「どのように働くか」を表す言葉であり、業務委託は「どのような契約で仕事を受けるか」を表す言葉です。フリーランスとして働く場合、業務委託契約を結ぶケースが多いものの、両者は同じ意味ではありません。
4-2. 業務委託契約の種類
業務委託契約には、主に請負契約、委任契約、準委任契約があります。
請負契約は、成果物の完成を目的とする契約です。たとえば、Webサイトを制作して納品する、記事を執筆して納品する、ロゴを作成して納品する、といったケースが該当します。
委任契約は、法律行為を委託する契約です。準委任契約は、法律行為以外の事務や業務を委託する契約です。たとえば、ITコンサルティング、マーケティング支援、システム運用支援などは準委任契約で行われることがあります。
4-3. 請負契約と準委任契約の違い
請負契約と準委任契約の大きな違いは、成果物の完成責任があるかどうかです。
請負契約では、仕事を完成させることが目的になります。成果物の納品が報酬の条件になるため、完成度や納期が重要です。
準委任契約では、業務の遂行そのものが目的になります。必ずしも成果物の完成を約束するわけではなく、一定の期間、専門的な業務を行うことに対して報酬が支払われます。
たとえば、記事1本を納品する契約は請負契約に近く、月20時間のマーケティング相談を行う契約は準委任契約に近いと考えられます。
4-4. フリーランスが業務委託で働くケース
フリーランスが業務委託で働くケースは非常に多くあります。たとえば、以下のような働き方です。
Webライターが企業のメディア記事を執筆する、エンジニアがシステム開発案件に参画する、デザイナーがバナーやLPを制作する、動画編集者がYouTube動画を編集する、コンサルタントが企業の業務改善を支援する、といったケースが代表例です。
この場合、会社員のように雇用されているわけではなく、契約で定めた業務を行い、報酬を受け取ります。
4-5. 偽装請負や実質的な雇用関係に注意
フリーランスとして業務委託契約を結んでいても、実態が会社員とほとんど変わらない場合は注意が必要です。
たとえば、勤務時間や勤務場所を細かく指定される、上司のような担当者から日常的に指揮命令を受ける、他社の仕事を制限される、報酬が時給や月給のように固定されている、といった場合は、実質的な雇用関係が疑われることがあります。
契約名が業務委託でも、実態によっては労働者性が問題になる可能性があります。契約書の名称だけで判断せず、働き方の実態を確認することが重要です。
5. フリーランスとして働くメリット
5-1. 働く時間・場所を選びやすい
フリーランスの大きなメリットは、働く時間や場所を選びやすいことです。職種や契約内容にもよりますが、自宅やコワーキングスペースで働いたり、朝型・夜型など自分に合った時間帯に作業したりできます。
通勤時間を減らせるため、家族との時間、学習時間、趣味の時間を確保しやすくなる人もいます。地方在住のまま都市部の企業と仕事をするなど、働き方の選択肢も広がります。
5-2. 案件や取引先を自分で選べる
会社員の場合、担当業務や取引先は会社の方針で決まることが多いです。一方、フリーランスは自分で案件や取引先を選ぶことができます。
得意な分野に特化したり、興味のある業界に絞ったり、単価や条件のよい案件を優先したりできる点は大きな魅力です。
もちろん、最初から自由に案件を選べるとは限りません。しかし、実績やスキルが積み上がるほど、自分に合った仕事を選びやすくなります。
5-3. スキル次第で収入アップを目指せる
フリーランスは、スキルや実績が報酬に直結しやすい働き方です。高い専門性、成果につながる提案力、安定した納品力があれば、単価アップや継続契約につながります。
会社員の場合、成果を出しても給与に反映されるまで時間がかかることがあります。フリーランスは、単価交渉や案件選びによって、収入を自分で伸ばせる可能性があります。
ただし、収入を上げるには、スキルだけでなく営業力、交渉力、信頼構築力も必要です。
5-4. 会社の人間関係や組織ルールに縛られにくい
フリーランスは、会社の人事異動、社内政治、細かな組織ルールに縛られにくい働き方です。自分に合わない環境から距離を取りやすく、働く相手を選びやすい点はメリットです。
ただし、クライアントとの関係構築は必要です。会社の人間関係から完全に自由になるわけではなく、取引先との信頼関係を自分で築く必要があります。
5-5. 専門性や実績を積み上げやすい
フリーランスは、自分の専門分野を明確にしやすい働き方です。たとえば「SEO記事に強いライター」「Shopifyに強いエンジニア」「採用広報に強いデザイナー」など、専門性を打ち出すことで選ばれやすくなります。
案件ごとの成果がポートフォリオになり、次の仕事につながります。自分の名前や屋号で実績を積み上げられるため、長期的なブランド形成にもつながります。
6. フリーランスとして働くデメリット・注意点
6-1. 収入が不安定になりやすい
フリーランスの最大のデメリットは、収入が不安定になりやすいことです。案件が途切れたり、取引先の予算が削減されたり、体調不良で働けなくなったりすると、収入が減る可能性があります。
会社員のように毎月一定の給与が保証されるわけではありません。そのため、生活費の数か月分を貯蓄しておく、複数の取引先を持つ、継続案件を増やすなどの対策が必要です。
6-2. 社会保険や税金の手続きを自分で行う必要がある
会社員は、社会保険や税金の手続きの多くを会社が行ってくれます。しかし、フリーランスは自分で手続きしなければなりません。
国民健康保険、国民年金、所得税、住民税、消費税、個人事業税など、状況に応じて必要な手続きが変わります。確定申告のために、売上、経費、請求書、領収書を日頃から管理することも重要です。
税金や保険料の支払いを考えずに売上を使ってしまうと、後から資金繰りに困ることがあります。
6-3. 有給休暇や失業保険など会社員向け制度が原則使えない
フリーランスは、原則として会社員向けの有給休暇や雇用保険の失業給付の対象ではありません。休みたいときに休める自由はありますが、休んでいる間の報酬は発生しないことが多いです。
また、案件がなくなっても、会社員の退職時のように失業保険を受け取れるとは限りません。病気やケガ、出産、介護、取引停止などに備えて、貯蓄や民間保険、共済制度などを検討しておくことが大切です。
6-4. 営業・契約・請求・経理も自分で対応する必要がある
フリーランスは、専門業務だけをしていればよいわけではありません。案件獲得のための営業、見積もり作成、契約書の確認、請求書の発行、入金確認、経理処理、確定申告なども自分で行う必要があります。
特に独立直後は、本業以外の事務作業に時間を取られやすいです。会計ソフト、請求書作成ツール、テンプレート、専門家への相談などを活用し、効率化することが重要です。
6-5. 契約トラブルや未払いリスクがある
フリーランスは、契約トラブルや報酬未払いのリスクにも注意が必要です。たとえば、納品後に報酬が支払われない、業務範囲が曖昧で追加作業が増える、突然契約を解除される、修正対応が無制限に続く、といったトラブルがあります。
フリーランス・トラブル110番では、契約上・仕事上のトラブルについて、弁護士に無料で相談できる窓口が設けられています。
トラブルを防ぐには、契約前に業務範囲、報酬、納期、支払日、修正回数、著作権、契約解除条件を明確にしておくことが大切です。
6-6. 体調不良や休業時の備えが必要
フリーランスは、自分が働けなくなると収入が止まりやすい働き方です。体調不良、ケガ、家族の介護などで仕事ができなくなった場合に備えておく必要があります。
具体的には、生活防衛資金を準備する、納期に余裕を持つ、代替できる外注先や協力者を探しておく、所得補償保険や共済を検討するなどの方法があります。
自由度が高い分、自分自身が事業の中心になるため、健康管理も重要な仕事の一部です。
7. フリーランスになる前に確認すべきポイント
7-1. 自分の職種がフリーランスに向いているか確認する
まず、自分の職種がフリーランスに向いているかを確認しましょう。Web制作、ライティング、デザイン、エンジニアリング、動画編集、翻訳、コンサルティング、マーケティングなどは、比較的フリーランス案件が多い分野です。
一方で、設備や資格、許認可、チーム体制が必要な職種では、独立のハードルが高くなることもあります。自分のスキルが市場で求められているか、案件数や単価は十分かを事前に調べておくことが大切です。
7-2. 必要なスキル・実績・ポートフォリオを整理する
フリーランスとして仕事を獲得するには、スキルや実績をわかりやすく示す必要があります。ポートフォリオ、実績資料、プロフィール文、料金表、提案文などを準備しておきましょう。
クライアントは「この人に依頼して大丈夫か」を判断したいと考えています。過去の成果物、担当範囲、成果、得意分野を具体的に示すことで、信頼されやすくなります。
実績が少ない場合は、副業、知人からの依頼、クラウドソーシング、自主制作などで実績を作る方法もあります。
7-3. 生活費と事業資金を確保する
独立前には、生活費と事業資金を分けて準備しておきましょう。フリーランスは、独立直後から安定収入を得られるとは限りません。
最低でも数か月分の生活費を確保しておくと、焦って条件の悪い案件を受けるリスクを減らせます。また、パソコン、ソフトウェア、通信費、広告費、学習費、会計ソフト代など、事業に必要な支出も見込んでおく必要があります。
売上ではなく、手元に残る利益を意識して資金計画を立てることが重要です。
7-4. 開業届や青色申告の準備をする
個人で事業を始める場合は、税務署への開業届の提出を検討しましょう。国税庁は、新たに事業を開始した場合、所得税や消費税などに関する各種届出書等の提出が必要になると案内しています。
また、青色申告を利用すると、一定の要件を満たすことで税制上のメリットを受けられる場合があります。青色申告を希望する場合は、所得税の青色申告承認申請書の提出期限も確認しておきましょう。国税庁は、青色申告承認申請書について、原則3月15日まで、開業日が1月16日以後の場合は開業日から2か月以内と案内しています。
7-5. 国民健康保険・国民年金への切り替えを確認する
会社を退職してフリーランスになる場合、健康保険や年金の切り替えが必要です。一般的には、国民健康保険への加入、会社の健康保険の任意継続、家族の扶養に入るなどの選択肢があります。
年金については、厚生年金から国民年金への切り替えが必要になるケースが多いです。手続きが遅れると未納期間が発生する可能性があるため、退職前後に市区町村や年金事務所で確認しましょう。
7-6. 契約書・請求書・確定申告の基礎知識を身につける
フリーランスとして働くなら、契約書、請求書、確定申告の基礎知識は必須です。
契約書では、業務内容、報酬、支払期日、納期、検収条件、修正回数、著作権、秘密保持、契約解除条件を確認します。請求書では、請求金額、振込先、支払期限、源泉徴収の有無などを正確に記載します。
確定申告では、売上と経費を整理し、所得を計算します。日頃から帳簿をつけ、領収書や請求書を保存しておくことで、申告時の負担を減らせます。
8. フリーランスに向いている人・向いていない人
8-1. 自己管理が得意な人
フリーランスに向いているのは、自己管理が得意な人です。勤務時間を誰かに管理されない分、スケジュール、納期、体調、学習、営業を自分で管理する必要があります。
自由な働き方に見えても、納期を守れなければ信頼を失います。自分で計画を立て、優先順位を決め、継続的に行動できる人はフリーランスに向いています。
8-2. 専門スキルを継続的に磨ける人
フリーランスは、スキルが仕事の獲得や報酬に直結します。そのため、専門スキルを継続的に磨ける人に向いています。
業界の変化に合わせて新しい知識を学び、サービスの質を高め続けることが大切です。特にIT、Web、マーケティング、クリエイティブ分野は変化が早いため、学習を止めると競争力が下がる可能性があります。
8-3. 営業や交渉に前向きな人
フリーランスは、仕事を自分で獲得する必要があります。紹介や継続案件だけで安定する人もいますが、独立直後は営業や提案が欠かせません。
営業といっても、飛び込み営業だけではありません。SNSで発信する、ポートフォリオを整える、知人に活動を知らせる、クラウドソーシングを活用する、企業に提案するなど、方法はさまざまです。
単価交渉や契約条件の確認も必要になるため、コミュニケーションに前向きな人ほど活動しやすいでしょう。
8-4. 安定収入や手厚い福利厚生を重視する人は慎重に検討する
毎月決まった給与、賞与、退職金、社会保険、福利厚生を重視する人は、フリーランスになる前に慎重に検討した方がよいでしょう。
フリーランスは自由度が高い一方で、収入の波や保障の薄さがあります。安定を重視する場合は、会社員を続けながら副業でフリーランス活動を始める方法もあります。
自分が何を優先したいのか、収入、自由度、成長、安定、家族との時間などを整理してから判断しましょう。
8-5. 指示待ちで働きたい人は会社員の方が合う場合がある
フリーランスは、基本的に自分で仕事を作り、判断し、行動する働き方です。誰かから指示された業務だけをこなしたい人や、営業・交渉・経理を避けたい人には負担が大きいかもしれません。
会社員であれば、会社が仕事を用意し、チームで役割分担しながら働けます。指示や評価制度がある環境の方が力を発揮しやすい人もいます。
フリーランスが優れていて会社員が劣っているわけではありません。自分に合った働き方を選ぶことが大切です。
9. フリーランスでよくある誤解
9-1. フリーランスは必ず自由に働けるわけではない
フリーランスは自由な働き方というイメージがありますが、必ずしも完全に自由とは限りません。
納期、打ち合わせ、クライアントの要望、修正対応、稼働時間の条件などがあるため、案件によっては会社員に近い働き方になることもあります。
自由度を高めるには、契約内容を確認し、自分に合わない条件の案件を避ける判断も必要です。
9-2. フリーランスは必ず高収入になるわけではない
フリーランスは、スキル次第で収入アップを目指せますが、誰でも高収入になれるわけではありません。
案件を獲得できなければ収入はありませんし、低単価案件ばかり受けていると長時間働いても利益が残りにくくなります。
高収入を目指すには、専門性、実績、営業力、単価交渉、継続契約、業務効率化が必要です。
9-3. フリーランスでも契約内容によって働き方は大きく変わる
同じフリーランスでも、契約内容によって働き方は大きく変わります。
成果物を納品する請負型の案件もあれば、月額固定で稼働する準委任型の案件もあります。完全リモートの案件もあれば、常駐が必要な案件もあります。
「フリーランスだから自由」と一括りにせず、契約ごとの条件を確認することが重要です。
9-4. フリーランスでも法人化して働くケースがある
フリーランスは個人事業主のイメージが強いですが、法人化して働くケースもあります。たとえば、合同会社や株式会社を設立し、法人として企業と契約する人もいます。
法人化すると、税務、社会保険、信用力、経費管理などの面で個人事業主とは異なる扱いになります。ただし、設立費用や事務負担も増えるため、売上規模や取引先の要望に応じて検討する必要があります。
9-5. 会社員からいきなり独立しなくても副業から始められる
フリーランスになる方法は、会社を辞めてすぐ独立するだけではありません。副業から始めて、実績や収入が安定してから独立する方法もあります。
副業であれば、会社員としての安定収入を維持しながら、案件獲得、納品、請求、確定申告の流れを経験できます。
独立に不安がある人は、まず副業フリーランスとして小さく始めるのがおすすめです。
10. フリーランスとして安心して働くための対策
10-1. 契約書で業務範囲・報酬・納期を明確にする
フリーランスとして安心して働くには、契約書の作成が重要です。口約束だけで仕事を始めると、後から「どこまで対応するのか」「いつ支払われるのか」「修正は何回までか」でトラブルになる可能性があります。
契約書には、業務内容、成果物、報酬、支払日、納期、検収条件、修正回数、著作権、秘密保持、契約解除条件を明記しましょう。
契約書がない場合でも、メールやチャットで条件を残しておくことが大切です。
10-2. 複数の取引先を持ち収入源を分散する
1社だけに依存していると、その取引先との契約が終了したときに収入が大きく減ります。フリーランスとして安定するには、複数の取引先を持つことが大切です。
理想は、継続案件を複数持ちつつ、新規案件の営業も続けることです。収入源を分散すれば、特定のクライアントに依存しすぎず、条件交渉もしやすくなります。
10-3. 税金・保険・年金の支払いを計画的に管理する
フリーランスは、売上がそのまま自由に使えるお金ではありません。所得税、住民税、国民健康保険料、国民年金保険料、消費税などの支払いに備える必要があります。
入金があったら、税金や保険料の支払い分を別口座に分けておくと安心です。会計ソフトを使って売上と経費を管理し、毎月の利益を把握しましょう。
10-4. トラブル時に相談できる窓口を把握する
契約トラブル、未払い、ハラスメント、突然の契約解除などが起きた場合に備えて、相談先を把握しておくことも大切です。
フリーランス・トラブル110番では、フリーランスや個人事業主の契約・仕事上のトラブルについて、無料相談や和解あっせんに関する案内が行われています。
一人で抱え込まず、早めに専門窓口へ相談することで、解決につながる可能性があります。
10-5. スキルアップと営業活動を継続する
フリーランスとして長く働くには、スキルアップと営業活動を継続することが欠かせません。
既存案件が順調でも、契約がいつ終了するかはわかりません。定期的に実績を更新し、ポートフォリオを整え、SNSやブログ、紹介、交流会、営業メールなどで接点を増やしましょう。
また、単価を上げるには、単に作業をこなすだけでなく、クライアントの課題解決に貢献する視点が重要です。
11. フリーランスの雇用形態に関するよくある質問
11-1. フリーランスは履歴書の雇用形態にどう書く?
履歴書や職務経歴書では、フリーランスは雇用形態として「業務委託」「個人事業主」「フリーランス」「自営業」などと記載するのが一般的です。
たとえば、職務経歴書には「フリーランスWebライターとして活動」「個人事業主として業務委託案件を受託」「業務委託契約にてWeb制作を担当」などと書くと伝わりやすくなります。
重要なのは、雇用形態の名称よりも、担当業務、実績、成果、使用スキルを具体的に示すことです。
11-2. フリーランスは無職扱いになる?
フリーランスとして継続的に仕事をして収入を得ている場合、一般的には無職とはいえません。個人事業主、自営業、自由業などとして扱われることが多いです。
ただし、会社に雇用されていないため、ローン審査や賃貸契約などでは、会社員より収入の安定性を厳しく見られることがあります。確定申告書、収支内訳書、青色申告決算書、取引実績などを提示できるようにしておくと安心です。
11-3. フリーランスでも会社と雇用契約を結べる?
フリーランスとして活動している人でも、会社と雇用契約を結ぶことは可能です。たとえば、フリーランス活動を続けながら、別の会社でアルバイトや契約社員として働くケースがあります。
ただし、雇用契約を結んでいる時間については、その会社の労働者として扱われます。一方、個人で受けている業務委託案件については、フリーランスとしての活動になります。
複数の働き方を組み合わせる場合は、就業規則、副業規定、税金、社会保険の扱いを確認しましょう。
11-4. フリーランスと自営業の違いは?
フリーランスは、特定の会社に雇われず、個人で仕事を受ける働き方を指します。自営業は、自分で事業を営む人や働き方を広く指す言葉です。
たとえば、飲食店を経営する人、小売店を営む人、士業として事務所を運営する人も自営業に含まれます。一方、フリーランスは、案件ごとに仕事を受ける専門職やクリエイターに使われることが多い言葉です。
つまり、フリーランスは自営業の一種として扱われることがありますが、言葉のニュアンスは少し異なります。
11-5. フリーランスでも社会保険に入れる?
フリーランスは、会社員のように勤務先の健康保険や厚生年金に加入するのではなく、原則として国民健康保険や国民年金に加入します。
また、自営業者やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者は、老後資金を補うために国民年金基金などを検討することもできます。
法人化して自分の会社から役員報酬を受け取る場合は、条件に応じて健康保険・厚生年金保険の加入対象になることがあります。働き方や事業形態によって変わるため、必要に応じて年金事務所や専門家に確認しましょう。
11-6. フリーランスから会社員に戻ることはできる?
フリーランスから会社員に戻ることは可能です。実際に、フリーランスとしての経験を活かして企業に転職する人もいます。
フリーランス経験は、自己管理能力、専門スキル、営業力、課題解決力、顧客対応力のアピール材料になります。職務経歴書では、活動期間、担当業務、取引先の業界、成果、使用ツールなどを具体的にまとめましょう。
ただし、企業によっては組織適応力やチームワークを重視するため、個人での実績だけでなく、チームで働けることも伝えるとよいでしょう。
まとめ
フリーランスは、正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト・パートのような雇用形態ではありません。会社に雇われる働き方ではなく、個人として仕事を受ける働き方・就業形態です。
雇用形態は、会社と労働者が雇用契約を結ぶ際の区分です。一方、フリーランスは業務委託契約、請負契約、準委任契約などを通じて、事業者として仕事を行うケースが多くなります。
フリーランスには、働く時間や場所を選びやすい、案件や取引先を自分で選べる、スキル次第で収入アップを目指せるといったメリットがあります。一方で、収入が不安定になりやすい、社会保険や税金の手続きを自分で行う必要がある、有給休暇や失業保険など会社員向け制度が原則使えないといった注意点もあります。
大切なのは、「フリーランスは自由そうだから」というイメージだけで判断しないことです。雇用形態、契約形態、社会保険、税金、契約書、収入の安定性を理解したうえで、自分に合った働き方を選びましょう。
不安がある場合は、いきなり独立するのではなく、副業フリーランスから始める方法もあります。実績、スキル、資金、取引先を少しずつ整えながら準備することで、フリーランスとして安心して働きやすくなります。

