システムエンジニアの初任給はいくら?平均額・手取り・企業別の違いと年収アップのコツ
はじめに
システムエンジニアの初任給は、一般的には月給22万〜28万円前後が目安です。ただし近年はIT人材の獲得競争が強まり、大手SIer、Web系企業、メガベンチャーでは月給30万円以上を提示する企業も増えています。一方で、SES企業や中小IT企業では20万円台前半からスタートするケースもあり、「システムエンジニア 初任給」と一口にいっても、企業規模・職種・勤務地・スキルによって大きな差があります。
また、求人票に書かれている初任給は「額面」であり、実際に銀行口座へ振り込まれる「手取り」とは異なります。初任給が高く見えても、固定残業代を含んでいたり、賞与が少なかったり、昇給が緩やかだったりする場合もあるため、企業選びでは初任給だけでなく、年収、手当、残業時間、研修制度、配属先まで確認することが大切です。
1. システムエンジニアの初任給はいくら?まず押さえたい平均額
1-1. システムエンジニアの初任給の平均額
システムエンジニアの初任給は、未経験の新卒採用であれば月給22万〜28万円前後、大手企業や技術力を重視する企業では月給30万円以上がひとつの目安です。厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査では、新規学卒者の賃金は大学卒で24.83万円、大学院卒で28.74万円となっており、システムエンジニアの初任給もこの水準を基準に考えると分かりやすいです。
ただし、システムエンジニアは「技術職」として採用されるため、一般的な事務職より高めに設定されることもあります。特に、クラウド、AI、データ分析、セキュリティ、アプリ開発などの分野で学生時代から実績がある人は、通常の新卒一律給与ではなく、スキルに応じた個別オファーを受けるケースもあります。
1-2. 大卒・専門卒・高専卒・大学院卒で初任給はどう変わる?
学歴別に見ると、初任給はおおむね大学院卒>大学卒>高専・短大卒>専門卒>高校卒の順に高くなる傾向があります。令和6年の新規学卒者賃金は、男女計で高校卒19.75万円、専門学校卒22.28万円、高専・短大卒22.39万円、大学卒24.83万円、大学院卒28.74万円です。
システムエンジニアの場合、大学院卒は研究開発、AI、データサイエンス、セキュリティ、基盤技術など専門性の高い職種で評価されやすい一方、専門卒や高専卒でもプログラミング経験やポートフォリオがあれば高く評価されることがあります。つまり、学歴は初任給に影響しますが、IT業界では「何を作れるか」「どの技術を使えるか」も重要な判断材料になります。
| 学歴 | 初任給の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 専門卒 | 20万〜24万円前後 | 実践的な開発経験が評価されやすい |
| 高専卒 | 21万〜25万円前後 | 技術基礎が強く、メーカー系・SIerで評価されやすい |
| 大卒 | 23万〜28万円前後 | 最も採用枠が多く、企業比較もしやすい |
| 大学院卒 | 26万〜32万円前後 | 研究職・AI・データ・セキュリティ系で優遇されやすい |
1-3. 初任給と1年目の年収目安
システムエンジニア1年目の年収は、初任給だけでなく賞与の有無によって大きく変わります。月給24万円でも、賞与がほとんどない企業なら年収は300万円前後ですが、賞与が年2〜4カ月分支給される企業なら350万〜400万円程度になることもあります。
| 初任給 | 賞与が少ない場合 | 賞与・手当込みの年収目安 |
|---|---|---|
| 月給22万円 | 約264万〜300万円 | 約300万〜340万円 |
| 月給25万円 | 約300万〜330万円 | 約350万〜400万円 |
| 月給30万円 | 約360万〜400万円 | 約420万〜500万円 |
| 月給42万円 | 約504万円〜 | 年俸制・高スキル採用でさらに上振れあり |
たとえば、サイバーエージェントのエンジニア新卒採用では、能力別給与体系として最低年俸504万円から、エキスパート認定では最低年俸720万円からとされています。新卒でも技術力や実績が評価されれば、一般的なシステムエンジニアの初任給を大きく上回る可能性があります。
1-4. 他のIT職種・一般職種との初任給比較
システムエンジニアの初任給は、IT職種の中では標準〜やや高めの水準です。プログラマ、インフラエンジニア、社内SEと近い水準ですが、ITコンサルタント、AIエンジニア、データサイエンティスト、セキュリティエンジニアなどは、企業によってさらに高くなることがあります。
| 職種 | 初任給の目安 | 傾向 |
|---|---|---|
| システムエンジニア | 22万〜28万円 | 企業規模で差が大きい |
| プログラマ | 20万〜26万円 | 未経験採用ではやや低めの場合もある |
| インフラエンジニア | 22万〜28万円 | クラウド経験があると上がりやすい |
| 社内SE | 22万〜27万円 | 安定志向の求人が多い |
| ITコンサルタント | 28万〜35万円 | 大手・外資系で高くなりやすい |
| AI・データ系エンジニア | 25万〜40万円以上 | 研究実績・実装経験で差が出やすい |
| 一般職・事務系総合職 | 20万〜25万円 | 業界によって差がある |
システムエンジニアは、入社時点の初任給だけでなく、入社後にスキルを伸ばすことで年収が上がりやすい職種です。厚生労働省の職業情報提供サイトでは、システムエンジニア(Webサービス開発)の全国年収が578.5万円、スキルレベル別ではITSSレベル1〜2でも年収420万〜620万円の範囲が示されています。
2. システムエンジニアの初任給の手取りはいくら?
2-1. 額面給与と手取り額の違い
求人票に書かれている初任給は、基本的に額面給与です。額面給与とは、税金や社会保険料が引かれる前の金額を指します。一方、実際に口座へ振り込まれる金額が手取り額です。
たとえば、初任給が月給25万円と書かれていても、所得税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などが引かれるため、手取りはおおむね20万〜21万円前後になります。新卒1年目は前年の所得が少ないため住民税がかからないケースが多いですが、2年目以降は住民税が差し引かれ、手取りが下がることがあります。
2-2. 初任給から引かれる税金・社会保険料
システムエンジニアの初任給から主に引かれるものは、所得税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料です。40歳未満であれば介護保険料は通常かかりません。厚生年金保険料率は18.3%で固定されており、会社と従業員で折半するため、本人負担は原則9.15%です。
健康保険料率は加入している健康保険や都道府県によって変わります。協会けんぽ東京支部の令和8年度保険料額表では、健康保険料率9.85%、厚生年金保険料率18.300%が示されています。雇用保険料については、令和8年度の一般の事業では労働者負担が5/1,000です。
2-3. 月給20万円・22万円・25万円の場合の手取り目安
以下は、東京都勤務・協会けんぽ加入・40歳未満・扶養なし・住民税なしの新卒1年目を想定した概算です。実際の手取りは、勤務地、健康保険組合、標準報酬月額、扶養人数、通勤手当、企業の給与計算方法によって変わります。所得税は、社会保険料等控除後の給与額をもとに源泉徴収税額表で計算されます。
| 額面月給 | 社会保険料・税金の目安 | 手取り目安 |
|---|---|---|
| 20万円 | 約3.2万〜3.4万円 | 約16.6万〜16.8万円 |
| 22万円 | 約3.6万〜3.8万円 | 約18.2万〜18.5万円 |
| 25万円 | 約4.2万〜4.4万円 | 約20.6万〜20.9万円 |
初任給が高くなるほど手取りも増えますが、額面がそのまま使えるわけではありません。特に一人暮らしを始める場合は、家賃、通信費、奨学金返済、食費、交通費を差し引いた後に自由に使える金額を考えておく必要があります。
2-4. 住宅手当・残業代・賞与が手取りに与える影響
住宅手当や地域手当がある企業では、額面給与が増えるため手取りも増えます。ただし、社会保険料や税金の対象になる手当もあるため、「手当が3万円増えたから手取りも3万円増える」とは限りません。
残業代も同様です。実残業代が支給される企業であれば、残業時間に応じて収入が増えます。一方、固定残業代が初任給に含まれている場合、一定時間までは追加支給がないため注意が必要です。賞与は年収に大きく影響しますが、初年度の夏賞与は満額ではなく寸志程度になる企業もあります。初任給を見るときは、月給だけでなく「賞与実績」「残業代の扱い」「住宅手当の有無」をセットで確認しましょう。
3. 企業別に見るシステムエンジニアの初任給の違い
3-1. 大手SIerの初任給
大手SIerのシステムエンジニア初任給は、近年上昇傾向にあります。従来は大卒で22万〜25万円前後が一般的でしたが、現在は大卒で30万円前後、院卒で30万円台半ばを提示する企業も出ています。
たとえばSCSKの募集要項では、大卒月給33万円、院卒月給35万円とされており、業務手当、学び手当、リモートワーク推進手当を含む形です。また、業務手当は残業20時間相当分で、超過分は別途支給と明記されています。
NTTデータグループのサステナビリティレポートでは、2024年度の新卒初任給として学士卒26万2,790円、修士了27万4,790円、博士了33万8,160円が示されています。大手SIerは初任給だけでなく、賞与、福利厚生、研修制度、長期的な昇給の安定性も含めて比較することが重要です。
3-2. Web系企業・メガベンチャーの初任給
Web系企業やメガベンチャーでは、システムエンジニアという職種名よりも、ソフトウェアエンジニア、バックエンドエンジニア、フロントエンドエンジニア、SRE、データエンジニアなど職種別に採用されることが多くなります。
サイバーエージェントのエンジニア新卒採用では、能力別給与体系として最低年俸504万円から、エキスパート認定では最低年俸720万円からとされています。 メルカリの新卒採用ページでは、採用時に提示する給与例として月給30万円の場合の内訳が示され、固定残業代45時間分を含むことも明記されています。
楽天グループのエンジニア新卒採用では、給与は個人の経験、スキル、能力を総合的に評価して決定するとされており、内定時に職種が確定するポジション型の採用が特徴です。 Web系企業では、初任給が高い一方で、入社前から実装力、GitHub、インターン経験、技術面接への対応力が求められやすい点に注意しましょう。
3-3. SES企業・中小IT企業の初任給
SES企業や中小IT企業のシステムエンジニア初任給は、20万〜25万円前後が目安です。未経験者を積極的に採用し、入社後研修で育成する企業も多いため、初任給は大手やメガベンチャーより低めに見えることがあります。
ただし、SES企業すべてが悪いわけではありません。若手のうちから多様な現場を経験できる、インフラ・開発・運用保守など幅広い案件に触れられる、資格取得支援があるといったメリットもあります。重要なのは、初任給の金額だけでなく、配属先、案件内容、商流、研修期間、待機時の給与、評価制度を確認することです。
3-4. 外資系IT企業の初任給
外資系IT企業のシステムエンジニアやソフトウェアエンジニアは、年俸制や職種別給与を採用していることが多く、初任給が一律で公開されないケースもあります。新卒でも、コンピュータサイエンスの基礎、アルゴリズム、クラウド、英語力、インターン経験、コーディングテストの結果によって、提示額が大きく変わることがあります。
外資系IT企業は、初任給や年収が高い可能性がある一方で、選考難易度も高くなりがちです。日系企業のように長期研修で一から育てるというより、入社時点で一定の実装力や自走力を期待されることが多いため、学生時代から開発経験を積んでおくことが重要です。
3-5. 自社開発企業と受託開発企業の違い
自社開発企業は、自社サービスやプロダクトを継続的に改善していく働き方が中心です。ユーザーの反応を見ながら機能改善を行うため、技術力だけでなく、プロダクト思考やデータ分析力も評価されます。初任給は企業の成長性や資金力によって差がありますが、Web系・SaaS系では比較的高めの企業もあります。
受託開発企業は、顧客企業のシステムを設計・開発する働き方が中心です。要件定義、設計、開発、テスト、運用保守など、システム開発の全体像を学びやすい点がメリットです。初任給だけで見ると自社開発企業のほうが高く見えることもありますが、受託開発企業でも大手SIerや専門性の高い企業では、長期的に高年収を目指せます。
4. システムエンジニアの初任給に差が出る理由
4-1. 学歴・専攻による違い
システムエンジニアの初任給は、学歴や専攻によって差が出ることがあります。情報工学、数理、電気電子、機械学習、セキュリティなど、業務に直結する分野を学んでいる人は、研究内容や技術面接で評価されやすくなります。
ただし、文系出身だから不利とは限りません。システムエンジニアには、顧客の要望を整理する力、資料作成力、コミュニケーション力、論理的思考力も求められます。文系出身でも、プログラミング学習、基本情報技術者試験、インターン経験、ポートフォリオがあれば、十分に評価されます。
4-2. 勤務地・地域による違い
初任給は勤務地によっても変わります。東京、大阪、名古屋、福岡などの都市部では、IT企業が多く、生活費も高いため、地域手当や住宅手当が付くことがあります。一方、地方では初任給がやや低めでも、家賃や生活費を抑えられるため、手元に残るお金は大きく変わらない場合もあります。
リモートワークを導入している企業では、勤務地に関係なく全国一律給与を採用する場合もあれば、居住地に応じて給与テーブルを変える場合もあります。地方在住で高い初任給を狙うなら、フルリモート可の自社開発企業やクラウド系企業も選択肢になります。
4-3. 企業規模・業界による違い
大手SIer、通信系、金融系IT、コンサル系、メガベンチャーは、初任給が高くなりやすい傾向があります。理由は、採用競争が激しいこと、育成投資に余力があること、大規模案件や高単価案件を扱っていることです。
一方、中小IT企業や下請け構造にある企業では、利益率が低く、初任給が抑えられやすい場合があります。企業規模だけで判断する必要はありませんが、売上高、営業利益、主要取引先、案件の商流、平均年収、離職率は確認しておきたいポイントです。
4-4. プログラミング経験・資格・インターン経験の有無
学生時代にプログラミング経験がある人は、初任給や選考評価で有利になりやすいです。特に、Webアプリを自作した経験、チーム開発経験、GitHubでのコード公開、長期インターン、競技プログラミング、クラウド環境でのデプロイ経験は評価されます。
資格では、基本情報技術者、応用情報技術者、AWS認定、Azure認定、Linux系資格、Cisco系資格、情報処理安全確保支援士などが評価材料になります。資格だけで初任給が大きく上がるとは限りませんが、未経験者にとっては学習意欲と基礎知識を証明する手段になります。
4-5. 固定残業代やみなし残業を含む給与体系の違い
初任給を見るときに最も注意したいのが、固定残業代やみなし残業です。たとえば「月給30万円」と書かれていても、その中に45時間分の固定残業代が含まれている場合、基本給は実質的にもっと低いことがあります。
固定残業代が悪いわけではありませんが、次の点は必ず確認しましょう。
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 固定残業時間 | 20時間なのか45時間なのか |
| 固定残業代の金額 | 基本給と分けて明記されているか |
| 超過分の支給 | 固定時間を超えた分が別途支給されるか |
| 実際の残業時間 | 平均残業時間と乖離していないか |
| 基本給 | 賞与や退職金の計算基準になるか |
初任給が高く見える企業ほど、内訳の確認が重要です。
5. 初任給だけで企業を選ぶときの注意点
5-1. 初任給が高くても年収が伸びにくいケース
初任給が高い企業でも、昇給率が低かったり、賞与が少なかったり、評価制度が不透明だったりすると、数年後の年収が伸びにくいことがあります。逆に、初任給は平均的でも、技術研修が充実し、上流工程やクラウド案件に携われる企業であれば、3年後、5年後に市場価値が大きく上がる可能性があります。
システムエンジニアは、初任給よりも「どんな経験を積めるか」が将来年収に直結します。目先の数万円だけでなく、配属先、案件内容、評価制度、昇進スピードを見ましょう。
5-2. 賞与・昇給率・福利厚生も確認する
年収を考えるうえで、賞与は非常に重要です。月給25万円で賞与なしなら年収は300万円ですが、賞与4カ月分なら年収は400万円前後になります。初任給だけを見ると同じでも、賞与の有無で年収は大きく変わります。
また、住宅手当、家賃補助、資格手当、在宅勤務手当、交通費、退職金、企業型確定拠出年金、持株会、研修費補助なども実質的な待遇に影響します。特に一人暮らしをする場合、住宅手当の有無は手取り以上に生活の安定に関わります。
5-3. 残業時間・休日・働き方を比較する
初任給が高くても、長時間労働が続くと心身の負担が大きくなります。システムエンジニアは納期前に忙しくなることがありますが、慢性的な長時間労働がある企業は注意が必要です。
確認すべき項目は、平均残業時間、年間休日、有給取得率、リモートワーク制度、フレックスタイム制、休日出勤の扱い、障害対応の頻度です。求人票だけで分からない場合は、説明会、OB・OG訪問、口コミ、面接で質問しましょう。
5-4. 研修制度や配属先で将来の市場価値が変わる
未経験や新卒でシステムエンジニアになる場合、研修制度は非常に重要です。入社後すぐに現場へ配属される企業もあれば、数カ月かけてプログラミング、ネットワーク、データベース、クラウド、セキュリティ、チーム開発を学べる企業もあります。
また、配属先によって成長スピードは大きく変わります。運用保守から始まること自体は悪くありませんが、長期間同じ単純作業だけを担当する環境では、開発力や設計力が伸びにくい場合があります。将来の年収アップを考えるなら、研修後にどのような案件へ配属されるのかを確認しましょう。
5-5. 求人票で確認すべき給与項目
求人票では、次の項目を必ず確認しましょう。
| 項目 | 確認ポイント |
|---|---|
| 基本給 | 固定残業代を除いた金額か |
| 固定残業代 | 何時間分・いくら含まれるか |
| 賞与 | 年何回・何カ月分の実績か |
| 昇給 | 年1回か、評価連動か |
| 手当 | 住宅手当、資格手当、地域手当の有無 |
| 試用期間 | 給与が変わるか |
| 残業代 | 超過分が支給されるか |
| 年収例 | 2年目・3年目・5年目のモデル年収があるか |
「月給30万円」とだけ書かれている求人より、「基本給、固定残業代、手当、賞与、超過残業代」が明確に書かれている求人のほうが比較しやすく、入社後のギャップも少なくなります。
6. システムエンジニアが初任給から年収アップを目指す方法
6-1. プログラミングスキルを高める
システムエンジニアとして年収を上げるには、まずプログラミングスキルを高めることが重要です。Java、Python、JavaScript、TypeScript、Go、C#、PHPなど、企業や案件によって使われる言語は異なりますが、基本的な設計、実装、テスト、デバッグの力は共通して求められます。
最初は1つの言語を深く学び、WebアプリやAPIを自作し、データベースと連携させ、クラウド上に公開するところまで経験すると実務に近づきます。単に文法を覚えるだけでなく、「動くものを作る」経験が大切です。
6-2. 上流工程や要件定義の経験を積む
年収を上げたいなら、開発だけでなく上流工程の経験も重要です。要件定義、基本設計、顧客折衝、プロジェクト管理、見積もり、品質管理ができるシステムエンジニアは、企業から高く評価されます。
若手のうちは詳細設計や実装、テストから始まることが多いですが、仕様の背景を理解し、改善提案を行い、顧客やユーザーの課題を把握する姿勢を持つことで、上流工程へ進みやすくなります。
6-3. クラウド・AI・セキュリティなど需要の高い分野を学ぶ
クラウド、AI、データ分析、セキュリティ、SRE、DevOpsは、今後も需要が高い分野です。AWS、Azure、Google Cloud、Docker、Kubernetes、Terraform、CI/CD、ゼロトラスト、機械学習基盤などを扱えるエンジニアは、転職市場でも評価されやすくなります。
厚生労働省の職業情報提供サイトでも、システムエンジニア(Webサービス開発)のハローワーク求人賃金は令和6年度で月額35.2万円、令和8年3月の月別求人賃金は36.5万円と示されています。経験者向けの求人賃金は新卒初任給より高く、スキルを伸ばせば収入アップを狙いやすい職種といえます。
6-4. 資格取得でスキルを証明する
資格は、実務経験に比べると評価の決定打にはなりにくいものの、基礎力や学習意欲を示す材料になります。特に若手のうちは、資格取得が配属や評価にプラスになることがあります。
おすすめの資格は、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、AWS Certified Solutions Architect、Azure Fundamentals、Linux Professional Institute Certification、Cisco CCNA、情報処理安全確保支援士などです。資格は取って終わりではなく、学んだ内容を実務や個人開発で使うことが重要です。
6-5. 副業・転職・社内昇進で収入を上げる
システムエンジニアが収入を上げる方法は、社内昇進、転職、副業の3つに大きく分かれます。社内でリーダー、プロジェクトマネージャー、アーキテクトを目指す方法もあれば、より高い報酬を提示するWeb系企業、外資系IT企業、コンサル企業へ転職する方法もあります。
副業では、Webサイト制作、業務自動化、アプリ開発、技術記事執筆、プログラミング講師などがあります。ただし、新卒1年目は本業で基礎を固める時期でもあるため、まずは会社の就業規則を確認し、無理のない範囲で始めることが大切です。
7. システムエンジニアの初任給に関するよくある質問
7-1. 未経験でもシステムエンジニアの初任給は高い?
未経験でも、新卒のシステムエンジニア初任給は一般職と比べて同程度か、やや高めになることがあります。目安は月給22万〜26万円前後です。ただし、完全未経験で研修前提の企業では20万円台前半から始まることもあります。
高い初任給を狙うなら、入社前にプログラミング学習、資格取得、ポートフォリオ作成、インターン参加をしておくと有利です。
7-2. 文系出身と理系出身で初任給は変わる?
新卒一括採用の場合、文系・理系で初任給が変わらない企業も多いです。ただし、研究開発職、AIエンジニア、データサイエンティスト、セキュリティエンジニアなど専門性の高い職種では、理系・情報系の知識が評価されやすくなります。
文系出身でも、論理的思考力、顧客折衝力、ドキュメント作成力、業務理解力はシステムエンジニアにとって大きな武器になります。技術学習を継続すれば、文系出身でも十分に年収アップを狙えます。
7-3. 初任給が低い企業は避けるべき?
初任給が低いからといって、必ず避けるべきとは限りません。研修制度が充実している、上流工程に早く関われる、クラウド案件が多い、資格支援が手厚い、残業が少ないといった企業であれば、初任給以上の価値があります。
ただし、初任給が低いうえに、固定残業代が多い、研修がない、配属先が不透明、昇給がほとんどない、残業が多い企業は注意が必要です。初任給の低さに納得できるだけの成長環境があるかを確認しましょう。
7-4. 初任給からどのくらい年収は上がる?
順調に経験を積めば、システムエンジニアは入社3〜5年で年収400万〜600万円台を目指せます。さらに、上流工程、プロジェクトマネジメント、クラウド、AI、セキュリティなどのスキルを身につければ、年収700万円以上も現実的です。
厚生労働省の職業情報提供サイトでは、システムエンジニア(Webサービス開発)のスキルレベル別給与として、設計・構築のITSSレベル1〜2で420万〜620万円、ITSSレベル5以上で600万〜950万円の範囲が示されています。 初任給はスタート地点にすぎず、どの分野で専門性を伸ばすかが年収アップの鍵になります。
7-5. 新卒で高収入を狙うならどんな企業を選ぶべき?
新卒で高収入を狙うなら、メガベンチャー、外資系IT企業、ITコンサル、専門性の高い自社開発企業、大手SIerの高待遇コースが候補になります。特に、能力別給与やジョブ型採用を導入している企業では、学生時代の実績が初任給に反映されやすくなります。
富士通は、2026年度以降の新卒入社者について学歴別の一律初任給ではなく、ジョブレベルに応じた処遇へ切り替える方針を示し、大半の新卒入社者は年収約550万〜700万円程度、高度な専門性を持つ人材は年収約1,000万円程度になることもあると説明しています。 高収入を狙うなら、企業名だけでなく「どの職種で、どのスキルが評価され、どの給与体系になるのか」まで確認しましょう。
まとめ
システムエンジニアの初任給は、一般的には月給22万〜28万円前後、大手SIerやWeb系企業では月給30万円以上、高スキル採用では年収500万〜700万円以上も狙える水準です。厚生労働省の新規学卒者賃金では、大学卒24.83万円、大学院卒28.74万円が示されており、システムエンジニアの初任給を考えるうえでの基準になります。
ただし、初任給はあくまでスタート地点です。手取り額は額面より少なくなり、固定残業代、賞与、住宅手当、昇給率、残業時間、研修制度によって実質的な待遇は大きく変わります。企業選びでは、月給の高さだけでなく、年収、福利厚生、働き方、配属先、身につくスキルを総合的に比較しましょう。
システムエンジニアは、入社後の努力次第で年収を伸ばしやすい職種です。プログラミング、上流工程、クラウド、AI、セキュリティ、プロジェクトマネジメントなどを計画的に学べば、初任給から大きく年収アップを目指せます。初任給の金額に一喜一憂するだけでなく、「3年後、5年後に市場価値の高いエンジニアになれる環境か」を基準に企業を選ぶことが大切です。

