システムエンジニアは残業が多い?つらい理由・平均時間・減らす方法と転職判断の目安
はじめに
「システムエンジニアは残業が多いのではないか」「今の残業時間は普通なのか」「このまま働き続けて大丈夫なのか」と不安に感じている人は少なくありません。システムエンジニアの仕事は、要件定義、設計、開発、テスト、運用保守、顧客対応など幅広く、プロジェクトの状況によって働き方が大きく変わります。
結論からいうと、システムエンジニアに残業が発生しやすいのは事実です。ただし、すべてのSEが長時間残業をしているわけではありません。会社の体制、案件の進め方、担当工程、顧客との関係、上司やPMの管理能力によって、残業時間には大きな差があります。
この記事では、システムエンジニアの残業が多い理由、平均残業時間の目安、残業を減らす方法、転職を考えるべき判断基準まで詳しく解説します。
1. システムエンジニアは残業が多い?まず結論と実態を確認
1-1. システムエンジニアに残業が発生しやすいのは事実
システムエンジニアは、納期やリリース日が明確に決まっている仕事が多いため、残業が発生しやすい職種です。特に、システム開発では「要件定義」「設計」「実装」「テスト」「リリース」と工程が連続しており、前工程の遅れが後工程にそのまま影響します。
たとえば、要件定義で仕様が固まるのが遅れた場合でも、リリース日は変わらないことがあります。その結果、設計や開発、テストの期間が圧縮され、SEやプログラマーに残業が集中しやすくなります。
また、システムは完成して終わりではありません。リリース後も障害対応、問い合わせ対応、追加改修、運用改善などが発生します。そのため、担当範囲が広いSEほど、突発的な作業によって予定外の残業が増えやすくなります。
1-2. ただし残業時間は会社・工程・担当領域によって大きく異なる
システムエンジニアの残業時間は一律ではありません。厚生労働省の職業情報提供サイトでは、システムエンジニアの職種も「受託開発」「Webサービス開発」「基盤システム」などに分けられており、労働時間や仕事内容の特徴も領域によって異なります。たとえば、受託開発系のシステムエンジニアは全国の労働時間が159時間、基盤システム系は173時間と掲載されています。
同じSEでも、受託開発のSIer、客先常駐、自社開発、社内SE、インフラ系、Web系、運用保守では働き方が変わります。顧客都合の納期に合わせる受託開発では繁忙期に残業が増えやすく、自社サービスや社内SEでは比較的スケジュールを調整しやすいケースもあります。
ただし、自社開発や社内SEだから必ず残業が少ないとは限りません。小規模な会社で担当範囲が広い場合や、障害対応を少人数で回している場合は、むしろ負荷が高くなることもあります。
1-3. 「残業が多いSE」と「残業が少ないSE」の違い
残業が多いSEと少ないSEの違いは、個人の能力だけでは決まりません。むしろ、プロジェクト管理や職場環境の影響が大きいです。
残業が多いSEは、納期が厳しい案件、仕様変更が多い案件、顧客折衝が多い案件、炎上プロジェクト、慢性的に人手不足のチームに所属していることが多いです。さらに、タスクの見積もりが甘く、問題が起きても上司やPMに相談しにくい環境では、一人で抱え込んで残業が増えやすくなります。
一方、残業が少ないSEは、タスク管理が明確で、仕様変更時の調整ルールがあり、チーム内で作業を分担できる環境にいます。また、上司やPMがスケジュールを現実的に組み、顧客との交渉も適切に行っている職場では、残業が発生しても一部の人に偏りにくくなります。
2. システムエンジニアの平均残業時間はどれくらい?
2-1. SEの平均残業時間の目安
システムエンジニア単体の残業時間は、調査機関や職種分類によって数値が変わるため、「SEの平均は必ず何時間」と断定するのは難しいです。ただし、一般的なビジネスパーソン全体の平均残業時間として、dodaの2025年調査では月20.6時間とされています。
この数値を基準に考えると、システムエンジニアの残業が月20時間前後であれば、比較的標準的な範囲といえます。月30時間を超えると平日の自由時間が減り、月45時間を超える状態が続くと、働き方を見直すべきサインになります。
特にSEの場合、通常期は月10〜20時間程度でも、納期前やリリース前だけ月40時間以上になることがあります。そのため、単月だけで判断するのではなく、「年間を通して残業が常態化しているか」「繁忙期後に落ち着くか」を見ることが重要です。
2-2. 月20時間・30時間・45時間超で変わる働き方の負担感
月20時間の残業は、1日あたりにするとおよそ1時間程度です。仕事後に多少の疲れは残るものの、睡眠時間や学習時間、家族との時間を確保しやすい範囲です。
月30時間になると、1日1〜2時間程度の残業が続く感覚になります。平日の夜に勉強や趣味の時間を取るのが難しくなり、通勤時間が長い人は帰宅後に食事と入浴を済ませて寝るだけになりがちです。
月45時間を超えると、負担感はかなり大きくなります。厚生労働省の時間外労働の上限規制でも、残業時間の上限は原則として月45時間・年360時間とされ、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできないとされています。
2-3. 繁忙期と通常期で残業時間が変わりやすい理由
システムエンジニアの残業時間は、通常期と繁忙期で大きく変わります。通常期は設計や開発を計画的に進められていても、リリース前にはテスト、レビュー、障害修正、手順書作成、顧客確認、リリース判定会議などが一気に増えます。
また、テスト工程で不具合が多く見つかると、修正と再テストが繰り返されます。特に本番環境に近い結合テストや総合テストでは、複数システムとの連携確認も必要になり、関係部署との調整に時間がかかることがあります。
そのため、SEの残業を考えるときは「毎月の平均」だけでなく、「繁忙期がどれくらい続くか」「繁忙期後に代休や調整があるか」も重要です。繁忙期が数週間で終わり、チーム全体で負荷を調整できているなら許容範囲の場合もあります。一方で、常に繁忙期のような状態なら注意が必要です。
2-4. 客先常駐・社内SE・SIer・Web系で残業時間は違う?
客先常駐のSEは、配属先の文化や案件状況に残業時間が左右されやすいです。自社の制度では残業抑制を掲げていても、常駐先のプロジェクトが炎上していれば残業が増えることがあります。
SIerのSEは、顧客の要望に合わせてシステムを開発することが多く、納期や仕様変更の影響を受けやすい傾向があります。特に多重下請け構造の下流にいる場合、スケジュールや仕様の決定権が弱く、無理な作業が降りてくることもあります。
社内SEや情報システム部門は、外部顧客向けの納品よりも社内業務改善やシステム運用が中心になるため、比較的残業を抑えやすいことがあります。ただし、社内の問い合わせ対応、障害対応、基幹システム刷新、セキュリティ対応などを少人数で担当している場合は忙しくなります。
Web系・自社開発系は、開発スピードが速い一方で、プロダクトの改善サイクルを自社で調整しやすい点があります。ただし、スタートアップや少人数の開発組織では、リリース頻度が高く、担当範囲も広いため残業が増えることもあります。
3. システムエンジニアの残業が多くなる主な理由
3-1. 納期前やリリース前に業務が集中しやすい
システムエンジニアの残業が増える最大の理由は、納期前やリリース前に業務が集中することです。開発プロジェクトでは、最終的なリリース日が決まっていることが多く、途中で遅れが出ても納期を簡単に変更できない場合があります。
その結果、後半の工程であるテスト、障害修正、ドキュメント作成、リリース準備に負荷が集中します。特に、顧客への納品日や本番稼働日が決まっている案件では、「間に合わせるために残業する」という状況になりやすいです。
3-2. 仕様変更・追加要望で作業が増える
システム開発では、途中で仕様変更や追加要望が発生することがあります。顧客が実際の画面や動作を見てから「この項目も追加したい」「この処理を変更したい」と要望するケースは珍しくありません。
本来であれば、仕様変更が発生した時点でスケジュール、費用、体制を見直す必要があります。しかし、現場によっては追加作業だけが増え、納期はそのままということがあります。この状態が続くと、SEや開発メンバーの残業で吸収するしかなくなります。
3-3. 障害対応やトラブル対応が突発的に発生する
システムエンジニアは、予定していた作業だけを進められるとは限りません。本番環境で障害が発生した場合、原因調査、暫定対応、恒久対応、顧客報告、再発防止策の作成などが必要になります。
特に、金融、医療、物流、EC、基幹システムなど、停止すると事業への影響が大きいシステムでは、夜間や休日に対応が発生することもあります。障害対応は緊急性が高いため、通常業務の後に対応する形になり、残業が増えやすくなります。
3-4. 人手不足やスキル不足で一部のSEに負荷が偏る
チーム内に経験者が少ない場合、特定のSEに作業が集中しやすくなります。設計ができる人、顧客と話せる人、障害調査ができる人、特定システムに詳しい人が限られていると、その人に相談やレビュー、トラブル対応が集まります。
また、若手メンバーが多いチームでは、育成やレビューに時間がかかります。自分のタスクに加えて、メンバーのサポートや品質確認も担当するため、中堅SEやリーダー層ほど残業が増えやすい傾向があります。
3-5. 見積もりが甘くスケジュールに余裕がない
開発工数の見積もりが甘いと、最初から無理のあるスケジュールになります。たとえば、調査が必要な作業を単純な実装作業として見積もったり、レビューやテスト、手戻りの時間を十分に確保していなかったりすると、後で必ずしわ寄せが発生します。
また、営業段階で短納期・低予算の案件を受注してしまうと、現場の努力だけでは解決できないこともあります。SE個人がどれだけ効率化しても、計画そのものに無理があれば残業は減りにくいです。
3-6. 顧客対応・会議・調整業務で開発時間が圧迫される
SEはプログラムを書く時間だけでなく、顧客との打ち合わせ、社内会議、進捗報告、レビュー、問い合わせ対応、資料作成なども担当します。日中が会議で埋まり、夕方からようやく設計や開発に着手するという人もいます。
この状態が続くと、本来の作業時間が後ろ倒しになり、結果として残業が発生します。特にリーダーや上流工程を担当するSEは、調整業務が増えるほど自分の作業時間を確保しにくくなります。
4. 残業がつらいと感じるシステムエンジニアの悩み
4-1. 平日の自由時間がなく生活リズムが崩れる
残業が続くと、平日の自由時間がほとんどなくなります。帰宅が遅くなると、食事、入浴、睡眠だけで一日が終わり、趣味や運動、勉強の時間を確保できません。
生活リズムが崩れると、朝起きるのがつらくなり、日中の集中力も落ちます。SEの仕事は論理的思考や細かな確認が必要なため、睡眠不足や疲労がそのまま仕事の質に影響します。
4-2. 慢性的な疲労で集中力や学習意欲が落ちる
システムエンジニアは、常に新しい技術や業務知識を学ぶ必要があります。しかし、残業が多い状態では、仕事後に勉強する気力が残りません。
本来であれば、クラウド、セキュリティ、AI、開発言語、資格取得などに時間を使いたいのに、疲れて何もできない状態が続くと、将来への不安も大きくなります。残業は短期的には収入増につながることもありますが、長期的には成長機会を奪う要因にもなります。
4-3. 家族・恋人・友人との時間が取りにくい
残業が多いと、家族や恋人、友人との時間も減ります。平日は帰宅が遅く、休日は疲れて寝てしまうという状態になると、人間関係にも影響が出ます。
特に、子育て中の人や介護をしている人にとって、突発的な残業や休日対応は大きな負担になります。仕事を続けるうえでは、収入だけでなく、生活とのバランスも重要です。
4-4. 残業代が出ても心身の負担に見合わない
残業代が正しく支払われている場合でも、残業が続くと「お金より時間がほしい」と感じることがあります。収入が増えても、使う時間がなければ満足度は上がりにくいです。
また、みなし残業制の場合は、一定時間分の残業代が給与に含まれているため、残業しても追加の支払いが少ない、または一定時間を超えないと増えないことがあります。求人票や雇用契約書で、みなし残業時間と超過分の支払い条件を確認することが大切です。
4-5. このままSEを続けてよいのか不安になる
残業が多い状態が続くと、「SEに向いていないのでは」「IT業界を辞めたほうがいいのでは」と考えることがあります。しかし、残業が多い原因は、SEという職種そのものではなく、会社や案件、働き方にある場合も多いです。
同じシステムエンジニアでも、職場を変えたことで残業が減り、仕事を続けやすくなる人はいます。まずは、SEを辞めるかどうかではなく、「今の環境が自分に合っているか」を切り分けて考えることが重要です。
5. システムエンジニアの残業を減らす方法
5-1. タスクの優先順位と作業時間を見える化する
残業を減らすには、まず自分のタスクを見える化することが大切です。今日やる作業、今週やる作業、期限が近い作業、他人の確認待ちの作業を整理しましょう。
タスクごとに予定時間と実績時間を記録すると、どの作業に時間がかかっているかが見えます。見積もりより時間がかかる作業が多い場合は、技術的な調査が必要なのか、仕様が曖昧なのか、レビュー待ちが長いのかを分析できます。
5-2. 仕様変更や追加作業は早めに上司・PMへ相談する
仕様変更や追加作業が発生したら、自分だけで抱え込まず、早めに上司やPMへ相談しましょう。「少し頑張ればできる」と引き受け続けると、最終的に残業で吸収することになります。
相談するときは、単に「忙しいです」と伝えるのではなく、「追加作業に8時間必要」「このままだとテスト開始が2日遅れる」「優先順位を決めたい」と具体的に伝えるのが効果的です。PMは状況を把握できなければ調整できないため、早めの共有が重要です。
5-3. 定型作業を自動化して作業時間を短縮する
SEの仕事には、自動化できる作業が多くあります。ログ確認、テストデータ作成、環境構築、デプロイ、レポート作成、コード整形、定型チェックなどは、スクリプトやツールで効率化できる可能性があります。
最初に自動化の仕組みを作る時間は必要ですが、繰り返し発生する作業であれば長期的には大きな時間短縮になります。特に、毎日・毎週発生する作業は、自動化の効果が出やすいです。
5-4. 会議・報告・調整業務のムダを減らす
会議や報告が多すぎると、実作業の時間が削られます。会議の目的が曖昧な場合は、事前に議題を整理し、決めるべきことを明確にしましょう。
また、進捗報告はチャットやタスク管理ツールで代替できる場合があります。毎回口頭で確認するのではなく、チケットやボードを見れば状況が分かる状態にすると、会議時間を減らしやすくなります。
5-5. 一人で抱え込まずチームに共有する
残業が増えやすいSEほど、責任感が強く、一人で抱え込む傾向があります。しかし、属人化が進むと、自分が休めなくなるだけでなく、チーム全体のリスクも高まります。
作業状況、詰まっている点、判断に迷っている点は、早めに共有しましょう。自分では時間がかかる問題でも、詳しいメンバーに聞けばすぐ解決することがあります。チームで助け合える状態を作ることが、残業削減につながります。
5-6. 残業が少ない部署・案件への異動を相談する
自分の工夫だけでは残業が減らない場合、部署や案件の異動を相談するのも選択肢です。たとえば、炎上案件、夜間対応が多い運用案件、顧客都合に振り回される常駐案件では、個人努力だけで改善するのが難しいことがあります。
異動を相談するときは、「残業がつらい」だけでなく、「長期的にパフォーマンスを維持したい」「より設計や改善業務に集中したい」「家庭事情により夜間対応が難しい」など、前向きかつ具体的に伝えると話が進みやすくなります。
6. 残業が多い会社で働き続けるリスク
6-1. 長時間労働が続くと心身の不調につながる
長時間労働が続くと、睡眠不足、疲労感、頭痛、胃痛、気分の落ち込みなど、心身の不調につながる可能性があります。厚生労働省の時間外労働の上限規制では、特別な事情がある場合でも、時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満、2〜6カ月平均80時間以内などの制限が示されています。
残業が多い状態に慣れてしまうと、自分の不調に気づきにくくなります。「眠れない」「休日も仕事のことが頭から離れない」「朝になると強い憂うつ感がある」といった状態が続く場合は、早めに休養や相談を検討する必要があります。
6-2. スキルアップや資格勉強の時間が取れなくなる
IT業界では、スキルの更新が重要です。しかし、残業が多い職場では、資格勉強や技術習得の時間が取れなくなります。
短期的には目の前の案件をこなせても、長期的には市場価値が上がりにくくなる可能性があります。クラウド、セキュリティ、データベース、AI、プロジェクトマネジメントなどを学ぶ時間が取れない状態は、キャリア形成にとって大きな損失です。
6-3. 判断力が落ちてミスや障害対応の負担が増える
疲労が蓄積すると、判断力や注意力が落ちます。SEの仕事では、設定値の入力ミス、確認漏れ、仕様の読み違い、テスト不足が大きなトラブルにつながることがあります。
残業によって疲れてミスが増え、そのミスの対応でさらに残業が増えるという悪循環に入ることもあります。品質を守るためにも、無理な長時間労働を前提にしない働き方が必要です。
6-4. 将来のキャリア選択肢が狭くなる可能性がある
残業が多すぎる環境では、目の前の作業をこなすだけで精一杯になり、将来のキャリアを考える余裕がなくなります。気づいたときには、特定の古い技術や限定的な業務にしか経験がないという状態になることもあります。
システムエンジニアとして長く働くには、経験の質が重要です。ただ忙しいだけで成長につながらない仕事が続いている場合は、早めに環境を見直すことが大切です。
7. 転職を考えるべき残業時間・職場環境の目安
7-1. 月45時間を超える残業が常態化している
月45時間を超える残業が何カ月も続いている場合は、転職を含めて働き方を見直すべきサインです。法律上も、時間外労働は原則として月45時間・年360時間が上限とされており、これを超えるには臨時的な特別の事情が必要です。
一時的な繁忙期ならまだしも、毎月のように45時間を超えている場合、会社の人員計画や案件管理に問題がある可能性があります。
7-2. 残業代が正しく支払われていない
残業しているのに残業代が支払われない、打刻後に作業を求められる、みなし残業を超えているのに追加支給がないといった場合は注意が必要です。
残業代の未払いは、単なる不満ではなく労務管理上の問題です。勤怠記録、業務指示、チャットログ、メールなどを残し、必要に応じて社内窓口や公的な相談先に相談することも検討しましょう。
7-3. 休日出勤や深夜対応が当たり前になっている
休日出勤や深夜対応が常態化している職場も危険です。もちろん、システム保守やリリース作業では、業務時間外の対応が必要になることがあります。
しかし、それが例外ではなく当たり前になっている場合、生活リズムが崩れやすくなります。代休が取れない、夜間対応後も通常出勤を求められる、担当者が固定されているといった状況なら、改善を求めるべきです。
7-4. 上司に相談しても改善されない
残業が多いことを上司に相談しても、「みんな忙しい」「今だけだから」「若いうちは仕方ない」と流される場合は注意が必要です。
本当に一時的な繁忙期なら、終了時期や追加要員、優先順位の見直しが示されるはずです。具体的な改善策がなく、精神論だけで乗り切らせようとする職場では、同じ状況が繰り返される可能性が高いです。
7-5. 体調不良やメンタル不調が出ている
すでに体調不良やメンタル不調が出ている場合は、転職以前に休養や相談を優先してください。仕事を続けることよりも、心身の安全が重要です。
「朝起きられない」「涙が出る」「眠れない」「食欲がない」「動悸がする」「休日も回復しない」といった状態があるなら、医療機関や産業医、社内外の相談窓口に早めに相談しましょう。
7-6. 成長より消耗が大きいと感じる
残業が多くても、成長実感があり、スキルや経験につながっているなら、一定期間は意味があるかもしれません。しかし、ただ消耗しているだけで、技術力も上がらず、評価もされず、将来につながらないなら環境を変えるべきです。
「この経験は次のキャリアに活きるか」「1年後に市場価値が上がっているか」と考えてみましょう。答えが明確に出ない場合は、転職活動を始めて選択肢を確認する価値があります。
8. 残業が少ないシステムエンジニア職の選び方
8-1. 社内SE・自社開発・情シスなど働き方の違いを知る
残業を減らしたいSEは、職種や働き方の違いを理解することが大切です。社内SEや情報システム部門は、社内向けのシステム運用や業務改善が中心になるため、外部顧客の納期に振り回されにくい場合があります。
自社開発のSEは、自社プロダクトの改善や機能追加に関わるため、受託開発よりもスケジュール調整がしやすいことがあります。一方で、事業成長が速い会社では開発スピードが求められ、忙しくなることもあります。
重要なのは、職種名だけで判断しないことです。「社内SE」「自社開発」と書かれていても、実態として休日対応や障害対応が多いケースはあります。
8-2. 求人票で残業時間・みなし残業・休日対応を確認する
求人票を見るときは、平均残業時間だけでなく、みなし残業時間、固定残業代、休日出勤、夜間対応、オンコール対応の有無を確認しましょう。
「残業月20時間程度」と書かれていても、繁忙期は大きく増える可能性があります。また、「固定残業代45時間分を含む」と書かれている場合、制度上は45時間程度の残業を想定している可能性もあります。
年間休日、有給取得率、リモートワーク制度、フレックス制度、代休取得の実績なども、働きやすさを判断する材料になります。
8-3. 面接で残業実態を自然に確認する質問例
面接では、残業について直接聞きづらいと感じるかもしれません。しかし、働き方を確認することは重要です。聞き方を工夫すれば、悪い印象を与えずに確認できます。
たとえば、「通常期と繁忙期で、チームの働き方はどのように変わりますか」「リリース前後の体制や休日対応の頻度を教えていただけますか」「残業を減らすために取り組んでいることはありますか」と質問すると、自然に実態を確認できます。
また、「直近で残業が増えたプロジェクトでは、どのように改善されましたか」と聞くと、会社が問題にどう向き合うかも見えます。
8-4. 炎上案件や多重下請け構造を避ける
残業を減らしたいなら、炎上案件や多重下請け構造の案件はできるだけ避けたいところです。多重下請けの下層では、顧客との距離が遠く、仕様や納期の調整権限が限られます。
そのため、無理なスケジュールが上から降りてきても、現場で受け入れるしかない状況になりやすいです。転職時には、商流、顧客との関係、一次請け案件の割合、自社内開発の割合などを確認しましょう。
8-5. リモートワーク・フレックス制度の有無も確認する
残業時間そのものが同じでも、リモートワークやフレックス制度があると負担感は変わります。通勤時間がなくなれば、平日の自由時間を確保しやすくなります。
また、フレックス制度があれば、前日に遅くなった翌日に少し遅めに始業するなど、柔軟に調整できます。ただし、制度があるだけで実際には使えない会社もあるため、利用率やチームでの運用実態を確認することが大切です。
9. システムエンジニアが残業を減らして働きやすくするキャリア戦略
9-1. 技術力を高めて作業効率と市場価値を上げる
残業を減らすには、職場環境だけでなく、自分の技術力を高めることも重要です。技術力が上がると、調査や実装、テスト、障害対応にかかる時間を短縮しやすくなります。
また、市場価値が上がれば、より働きやすい会社を選べる可能性も高まります。クラウド、セキュリティ、データベース、設計力、テスト自動化、CI/CDなど、実務で使えるスキルを身につけることが、長期的な残業削減につながります。
9-2. 要件定義・設計・調整力を身につけて上流工程を目指す
上流工程に関わる力を身につけると、無理な仕様やスケジュールを早い段階で調整できるようになります。要件定義や設計の段階でリスクを見つけ、顧客やPMと相談できるSEは、プロジェクト全体の残業を減らす役割を担えます。
ただし、上流工程に行けば必ず楽になるわけではありません。顧客折衝や会議が増えるため、別の忙しさがあります。それでも、作業を受けるだけの立場から、計画を作る立場に移ることで、働き方をコントロールしやすくなります。
9-3. マネジメントではなく専門職として働く選択肢
SEのキャリアというと、プロジェクトマネージャーや管理職を目指すイメージがあります。しかし、マネジメントに進むと、会議、調整、顧客対応、メンバー管理が増え、残業が増える場合もあります。
技術が好きな人は、スペシャリストとして働く選択肢もあります。アーキテクト、クラウドエンジニア、セキュリティエンジニア、SRE、データエンジニアなど、専門性を高めることで、無理に管理職を目指さずにキャリアを築くことも可能です。
9-4. 残業の少なさだけでなく仕事内容・年収・成長性も比較する
転職先を選ぶときは、残業の少なさだけで決めないことも大切です。残業が少なくても、仕事内容に興味が持てない、年収が大きく下がる、スキルが伸びない環境では、長期的に不満が出る可能性があります。
理想は、残業時間、仕事内容、年収、スキルアップ、働き方の柔軟性のバランスが取れている職場です。残業を減らしたい理由が「体調を整えたい」のか、「勉強時間を確保したい」のか、「家族との時間を増やしたい」のかによって、選ぶべき会社も変わります。
まとめ
システムエンジニアは、納期、仕様変更、障害対応、顧客調整などの影響で残業が発生しやすい職種です。しかし、すべてのSEが長時間労働をしているわけではなく、会社、案件、担当工程、チーム体制によって残業時間は大きく異なります。
平均残業時間を見るときは、単月の数字だけでなく、繁忙期と通常期の差、月45時間を超える状態が常態化していないか、残業代が正しく支払われているか、心身に不調が出ていないかを確認することが重要です。
残業を減らすには、タスクの見える化、早めの相談、自動化、会議の削減、チーム共有、異動相談など、今の職場でできる対策があります。それでも改善されない場合は、転職を検討してもよいでしょう。
システムエンジニアとして働き続けるためには、ただ残業に耐えるのではなく、自分が健康に成長できる環境を選ぶことが大切です。残業が多すぎると感じているなら、今の働き方を見直し、必要に応じてより働きやすいSE職へのキャリアチェンジを考えてみましょう。

