フリーランスの税金はいくら?確定申告・経費・節税対策を初心者向けにわかりやすく解説

はじめに

フリーランスとして働き始めると、会社員時代には給与から天引きされていた税金や社会保険料を、自分で計算・申告・納付する必要があります。特に「フリーランス 税金」と検索している方の多くは、「結局いくら残しておけばいいの?」「確定申告は何をすればいいの?」「経費にできるものはどこまで?」と不安を感じているのではないでしょうか。

フリーランスの税金は、売上金額だけで決まるわけではありません。売上から必要経費や各種控除を差し引いた「所得」をもとに、所得税・住民税・個人事業税・消費税などが計算されます。さらに、国民健康保険料や国民年金保険料も自分で支払う必要があります。

この記事では、フリーランスにかかる税金の種類、計算方法、確定申告、経費、節税対策、初心者が失敗しやすいポイントまで、できるだけわかりやすく解説します。

1. フリーランスにかかる税金はいくら?まず全体像を理解しよう

1-1. フリーランスが支払う主な税金一覧

フリーランスが主に関係する税金は、次の4つです。

税金の種類概要支払先
所得税1年間の所得に応じてかかる国税
住民税前年の所得をもとに翌年課税される地方税都道府県・市区町村
個人事業税一定の業種・所得に該当するとかかる地方税都道府県
消費税課税事業者になると申告・納付が必要国・地方

このほか、税金ではありませんが、国民健康保険料や国民年金保険料もフリーランスにとって大きな負担です。国民年金保険料は令和8年度で月額17,920円です。国民健康保険料は自治体や前年所得、世帯構成によって変わります。

1-2. 会社員とフリーランスで税金の仕組みはどう違う?

会社員の場合、所得税は毎月の給与から源泉徴収され、年末調整で過不足が調整されます。住民税も給与から天引きされるケースが一般的です。

一方、フリーランスは自分で売上・経費・所得を集計し、原則として確定申告によって所得税を申告・納付します。住民税は確定申告の内容をもとに自治体が計算し、翌年6月ごろから納付書などで支払います。

つまり、会社員は「会社が税金手続きを代行してくれる」のに対し、フリーランスは「自分で税金を管理する」必要があります。

1-3. 税金は「売上」ではなく「所得」に対してかかる

フリーランスの税金を考えるうえで最も重要なのは、税金は基本的に「売上」ではなく「所得」に対してかかるという点です。

たとえば、年間売上が500万円あっても、仕事に必要な経費が150万円あれば、利益は350万円です。さらに青色申告特別控除や基礎控除、社会保険料控除などを差し引いた金額が、所得税や住民税の計算ベースになります。

基本の考え方は次のとおりです。

売上 − 必要経費 = 事業の利益
事業の利益 − 各種控除 = 課税所得
課税所得 × 税率 = 税額

売上だけを見て「税金が高そう」と判断するのではなく、経費と控除を差し引いたあとの所得で考えることが大切です。

1-4. 年収別・所得別の税金シミュレーション

以下は、フリーランスの税金の目安をつかむための簡易シミュレーションです。前提は「独身・扶養なし・青色申告65万円控除・経費率30%・個人事業税率5%・住民税は概算」としています。実際の税額は、社会保険料控除、扶養、自治体、業種、消費税の有無などで変わります。

年間売上経費30%控除後の利益所得税・復興特別所得税の目安住民税の目安個人事業税の目安税金合計の目安
300万円210万円約2.9万円約10.7万円0円約13.6万円
500万円350万円約10.2万円約24.7万円約3.0万円約37.9万円
800万円560万円約44.6万円約45.7万円約13.5万円約103.8万円
1,000万円700万円約73.2万円約59.7万円約20.5万円約153.4万円

所得税は課税所得が増えるほど税率が上がる累進課税で、課税所得に応じて5%から45%の税率が適用されます。復興特別所得税は基準所得税額の2.1%です。

なお、令和7年分以後の所得税では基礎控除が見直され、合計所得金額に応じて基礎控除額が変わります。令和7年分・令和8年分は、合計所得金額が一定以下の場合に加算措置があります。

1-5. 税金以外に必要な社会保険料も忘れずに確認

フリーランスは、税金だけでなく社会保険料も自分で支払います。代表的なものは、国民健康保険料と国民年金保険料です。

特に国民健康保険料は前年所得をもとに計算されるため、売上が伸びた翌年に負担が大きくなることがあります。所得税の納付が終わって安心していたら、住民税や国民健康保険料の通知が届いて資金繰りが苦しくなる、というケースは珍しくありません。

フリーランスは、税金だけでなく「所得税・住民税・個人事業税・消費税・国民健康保険料・国民年金保険料」をまとめて年間コストとして考える必要があります。

2. フリーランスが支払う税金の種類と計算方法

2-1. 所得税:利益に応じて税率が変わる税金

所得税は、1月1日から12月31日までの所得に対してかかる国税です。フリーランスの場合、売上から必要経費を差し引き、さらに青色申告特別控除や基礎控除などの所得控除を差し引いて課税所得を計算します。

所得税の速算表は次のようになっています。

課税所得税率控除額
1,000円〜194万9,000円5%0円
195万円〜329万9,000円10%97,500円
330万円〜694万9,000円20%427,500円
695万円〜899万9,000円23%636,000円
900万円〜1,799万9,000円33%1,536,000円
1,800万円〜3,999万9,000円40%2,796,000円
4,000万円以上45%4,796,000円

たとえば課税所得が300万円の場合、所得税は「300万円×10%−97,500円=202,500円」と計算します。ここに復興特別所得税が加わります。

2-2. 住民税:前年の所得をもとに翌年支払う税金

住民税は、前年の所得をもとに翌年課税される地方税です。所得に応じて計算される「所得割」と、定額で課税される「均等割」で構成されます。所得割は標準的には10%で計算されますが、自治体によって均等割などの金額が異なる場合があります。

フリーランスの場合、確定申告をすると、その情報が自治体に送られ、住民税が計算されます。納付書が届くのは一般的に翌年6月ごろです。所得税は確定申告時期に支払い、住民税はその後に支払いが始まるため、資金を残しておくことが重要です。

2-3. 個人事業税:業種や所得によって発生する税金

個人事業税は、都道府県に納める地方税です。すべてのフリーランスにかかるわけではなく、法定業種に該当し、一定以上の所得がある場合に発生します。

計算の基本は次のとおりです。

(事業所得 − 事業主控除290万円など)× 税率

税率は業種によって3%〜5%に分かれます。多くのフリーランス業種では5%が目安になりますが、業種判定は自治体によって判断が分かれることもあります。事業主控除が原則290万円あるため、所得が290万円以下であれば個人事業税がかからないケースが一般的です。

2-4. 消費税:課税事業者になる条件とインボイス制度

消費税は、原則として基準期間の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者となり、申告・納付が必要になります。個人事業主の場合、基準期間は原則として2年前です。また、前年1月1日から6月30日までの特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合も、課税事業者になることがあります。

インボイス制度にも注意が必要です。適格請求書発行事業者として登録すると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、消費税の申告が必要になります。取引先が法人や課税事業者の場合、インボイス登録を求められることもあるため、売上規模だけでなく取引先との関係も含めて判断しましょう。

2-5. 国民健康保険料・国民年金との関係

フリーランスは会社の健康保険や厚生年金から外れ、原則として国民健康保険と国民年金に加入します。国民年金保険料は定額ですが、国民健康保険料は前年所得や自治体によって変動します。

また、国民健康保険料や国民年金保険料は、確定申告で社会保険料控除の対象になります。つまり、支払った社会保険料は所得から差し引けるため、所得税や住民税の負担を下げる効果があります。支払証明書や納付記録は必ず保管しておきましょう。

3. フリーランスの税金はいつ払う?年間スケジュール

3-1. 確定申告の期間と提出期限

確定申告は、原則として翌年2月16日から3月15日までに行います。期限日が土日祝日にあたる場合は、翌開庁日が期限になります。

たとえば令和7年分の所得税・贈与税の申告・納付期限は令和8年3月16日、個人事業者の消費税等の申告・納付期限は令和8年3月31日です。

3-2. 所得税の納付時期

所得税は、確定申告の提出期限までに納付します。納付方法には、金融機関や税務署での納付、振替納税、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、ダイレクト納付などがあります。

源泉徴収されている報酬がある場合は、すでに一部の所得税が差し引かれているため、確定申告で精算されます。源泉徴収額が本来の税額より多ければ還付され、少なければ追加で納付します。

3-3. 住民税の納付時期

住民税は、確定申告した年の6月ごろに自治体から通知が届きます。フリーランスの場合は「普通徴収」として、自分で納付書や口座振替で支払うのが一般的です。

納期は自治体によって異なりますが、年4回に分けて支払うケースが多くなっています。所得税の納付後に住民税の支払いが始まるため、確定申告が終わった段階で税金用の資金を使い切らないよう注意しましょう。

3-4. 個人事業税の納付時期

個人事業税は、対象者に対して都道府県から納税通知書が届きます。納付時期は一般的に8月と11月の年2回ですが、自治体によって異なる場合があります。

個人事業税は所得税や住民税と違い、自分で申告書を作るというより、確定申告の内容をもとに都道府県が計算して通知する仕組みです。通知が来てから慌てないよう、所得が290万円を超えそうな場合は事前に概算を把握しておきましょう。

3-5. 消費税の申告・納付時期

個人事業者の消費税の申告・納付期限は、原則として翌年3月31日です。令和7年分の個人事業者の消費税等の申告・納付期限も令和8年3月31日とされています。

消費税は所得税とは別に申告が必要です。課税事業者やインボイス登録事業者になった場合は、売上に含まれる消費税をすべて手元資金として使わず、納税用に分けておくことが大切です。

3-6. 税金の支払いに備えて毎月いくら残すべきか

フリーランス初心者は、売上の20%〜30%程度を税金・社会保険料用に別口座へ移しておくと安心です。売上が大きい人、利益率が高い人、消費税の課税事業者は、30%〜40%程度を目安にすることもあります。

たとえば月売上50万円なら、毎月10万円〜15万円程度を税金用口座に移すイメージです。実際の負担は経費率や控除によって変わりますが、「納税時期にまとめて用意する」のではなく、「毎月先に分けておく」ことが資金繰りの基本です。

4. フリーランスに必要な確定申告の基礎知識

4-1. 確定申告が必要なフリーランスの条件

フリーランスとして事業所得があり、所得税が発生する場合は確定申告が必要です。所得税が発生しない場合でも、青色申告の赤字繰越を使いたい場合や、源泉徴収された税金の還付を受けたい場合は、確定申告をしたほうがよいケースがあります。

会社員の副業フリーランスの場合、副業などで得た所得が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。また、医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合は、副業所得が20万円以下でもあわせて申告が必要です。

4-2. 白色申告と青色申告の違い

確定申告には、白色申告と青色申告があります。

白色申告は手続きが比較的簡単ですが、節税メリットは限られます。青色申告は事前に申請が必要で、帳簿付けの手間も増えますが、青色申告特別控除、赤字の繰越、家族への給与の経費化など、さまざまなメリットがあります。

フリーランスとして継続的に活動するなら、基本的には青色申告を選ぶのがおすすめです。

4-3. 青色申告のメリットと最大65万円控除の条件

青色申告の大きなメリットは、最大65万円の青色申告特別控除を受けられることです。65万円控除を受けるには、55万円控除の要件を満たしたうえで、e-Taxによる申告または優良な電子帳簿保存などの要件を満たす必要があります。

青色申告には、赤字を翌年以後3年間にわたって繰り越せるメリットもあります。開業初期は経費が多く赤字になりやすいため、赤字の年でも確定申告しておくことで、翌年以降の黒字と相殺できる可能性があります。

4-4. 確定申告に必要な書類

フリーランスの確定申告で主に必要になる書類は、次のとおりです。

書類内容
確定申告書所得税を申告するメイン書類
青色申告決算書青色申告者が売上・経費・所得をまとめる書類
収支内訳書白色申告者が売上・経費・所得をまとめる書類
控除証明書国民年金、生命保険、iDeCoなどの控除に必要
源泉徴収票・支払調書など会社員収入や源泉徴収された報酬の確認に使用
領収書・レシート・請求書経費や売上の根拠資料

青色申告の人は青色申告決算書、白色申告の人は収支内訳書を確定申告書と一緒に提出します。

4-5. 確定申告の流れ

確定申告の基本的な流れは次のとおりです。

1. 1年分の売上を集計する
2. 経費を集計する
3. 帳簿を整理する
4. 所得控除を確認する
5. 青色申告決算書または収支内訳書を作成する
6. 確定申告書を作成する
7. e-Tax・郵送・税務署窓口で提出する
8. 所得税を納付する、または還付を受ける

会計ソフトを使えば、銀行口座やクレジットカードの明細を取り込み、日々の記帳から申告書作成まで効率化できます。初心者ほど、早い段階で会計ソフトを導入したほうがミスを減らしやすくなります。

4-6. 確定申告をしないとどうなる?

確定申告が必要なのに申告しないと、無申告加算税や延滞税などのペナルティが発生する可能性があります。また、申告をしていないと所得証明が取れず、住宅ローン、賃貸契約、保育園の手続き、各種補助金申請などで困ることもあります。

フリーランスにとって確定申告は、単に税金を納めるためだけの手続きではありません。自分の所得を公的に証明するための重要な手続きでもあります。

5. フリーランスが経費にできるもの・できないもの

5-1. 経費とは?税金が安くなる仕組み

経費とは、事業の売上を得るために必要だった支出のことです。経費が増えると所得が減り、結果として所得税や住民税の負担も下がります。

たとえば売上500万円、経費100万円なら所得は400万円です。経費が150万円なら所得は350万円になります。税金は所得に対してかかるため、仕事に必要な支出を正しく経費計上することは、合法的な節税につながります。

ただし、何でも経費にできるわけではありません。「事業に必要か」「プライベートと区別できるか」「領収書や記録で説明できるか」が重要です。

5-2. フリーランスが経費にしやすい代表例

フリーランスが経費にしやすいものには、次のようなものがあります。

経費項目具体例
消耗品費文房具、プリンター用紙、少額備品
通信費スマホ代、インターネット代
地代家賃事務所家賃、自宅兼事務所の事業利用分
水道光熱費電気代などの事業利用分
旅費交通費電車代、タクシー代、出張費
接待交際費取引先との会食、手土産
新聞図書費業務に関係する書籍、専門誌
研修費セミナー、講座、勉強会
広告宣伝費Web広告、チラシ、ポートフォリオ制作費
支払手数料振込手数料、決済手数料、クラウドサービス利用料

大切なのは、支出の名前ではなく「仕事に必要だったかどうか」です。同じカフェ代でも、取引先との打ち合わせなら経費になり得ますが、友人との食事なら経費にはなりません。

5-3. 自宅兼事務所の家賃・光熱費は経費にできる?

自宅で仕事をしているフリーランスは、家賃や光熱費の一部を経費にできる場合があります。ただし、全額ではなく、事業に使っている割合だけを按分します。これを「家事按分」といいます。

たとえば、自宅の床面積の25%を仕事部屋として使っているなら、家賃の25%を経費にするという考え方です。電気代であれば、作業時間や使用部屋の割合などをもとに按分します。

按分割合は合理的に説明できることが重要です。なんとなく半分を経費にするのではなく、面積・時間・使用実態などをもとに根拠を残しておきましょう。

5-4. 通信費・パソコン・ソフト代の扱い

スマホ代やインターネット代も、仕事に使っている分は経費になります。プライベートでも使っている場合は、使用割合に応じて按分します。

パソコンやカメラなどの備品は、金額によって処理が変わります。少額のものは消耗品費として処理できる場合がありますが、高額なものは固定資産として減価償却が必要になることがあります。

会計ソフト、デザインツール、チャットツール、クラウドストレージ、レンタルサーバー、ドメイン代などは、業務で使っていれば経費にしやすい支出です。

5-5. 交際費・交通費・セミナー代の判断基準

交際費は、取引先との関係維持や営業活動に必要な支出であれば経費になります。会食、手土産、打ち合わせの飲食代などが該当します。ただし、誰と、何の目的で使ったのかを記録しておくことが大切です。

交通費は、取引先訪問、撮影、打ち合わせ、セミナー参加など、仕事に関係する移動であれば経費になります。ICカードを使う場合は、利用履歴やメモを残しておくと安心です。

セミナー代や講座代は、自分の事業に関係する内容であれば経費になります。たとえばライターがSEO講座を受ける、エンジニアがプログラミング講座を受ける、デザイナーがデザインセミナーに参加するなどは、業務関連性を説明しやすい支出です。

5-6. 経費にできないものの具体例

次のような支出は、原則として経費にできません。

経費にできないもの理由
プライベートの食事代事業との関係がないため
家族旅行代業務目的でないため
私服代日常生活でも使えるため
所得税・住民税事業経費ではないため
国民健康保険料・国民年金保険料経費ではなく社会保険料控除の対象
罰金・交通違反金経費計上が認められないため
個人的な趣味の支出売上との関係を説明できないため

ただし、衣装、撮影小物、取材旅行、業務用備品など、仕事との関係が明確であれば経費になる場合もあります。判断に迷う支出は、領収書を残したうえで税理士や税務署に確認しましょう。

5-7. 領収書・レシートの保管方法

領収書やレシートは、経費を証明する大切な資料です。白色申告でも青色申告でも、帳簿や書類の保存が必要です。白色申告者の場合、収入金額や必要経費を記載した法定帳簿は7年、領収書などの書類は5年保存が必要とされています。

保管方法は、月別・支払方法別・経費項目別など、自分が後から探しやすい形で整理しましょう。紙の領収書は封筒やファイルにまとめ、電子取引の請求書や領収書はフォルダ管理しておくと便利です。

6. フリーランスができる節税対策

6-1. 青色申告を活用する

フリーランスの基本的な節税対策は、青色申告を活用することです。最大65万円の青色申告特別控除を受けられれば、課税所得を大きく減らせます。65万円控除には、複式簿記による記帳、貸借対照表・損益計算書の作成、期限内申告、e-Tax申告または電子帳簿保存などの要件があります。

青色申告を始めるには、原則としてその年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出します。1月16日以後に新規開業した場合は、業務開始日から2か月以内が提出期限です。

6-2. 経費を正しく計上する

経費を正しく計上することは、最も基本的で効果的な節税です。ただし、節税したいからといって私的な支出を無理に経費にするのは危険です。

経費計上のポイントは、次の3つです。

・仕事に必要な支出である
・金額や支払先を証明できる
・事業利用分と私的利用分を合理的に分けている

「経費にできるか」ではなく、「税務署に説明できるか」という視点で判断しましょう。

6-3. 小規模企業共済を利用する

小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者のための退職金制度です。掛金は月額1,000円から70,000円まで設定でき、全額が所得控除の対象になります。

将来の退職金を準備しながら、所得税・住民税の負担を抑えられるのが大きなメリットです。ただし、短期間で解約すると元本割れする可能性があるため、長期的に続けられる金額で始めることが大切です。

6-4. iDeCoを活用する

iDeCoは、自分で掛金を積み立てて運用し、老後資金を作る制度です。掛金は全額所得控除の対象となるため、所得税や住民税の節税効果があります。運用益が非課税で再投資される点もメリットです。

一方で、原則として60歳まで引き出せません。短期的な資金繰りに不安がある人は、無理のない掛金から始めましょう。

6-5. ふるさと納税を活用する

ふるさと納税は、自治体に寄附をすることで、一定の上限内で寄附額から2,000円を差し引いた部分について、所得税や住民税の控除を受けられる制度です。

フリーランスの場合、会社員のように年収が固定されていないため、寄附上限額の見積もりが難しいことがあります。年末時点の所得見込みをもとに、上限を超えない範囲で活用しましょう。

6-6. 家族への給与を経費にする場合の注意点

青色申告者は、一定の要件を満たせば、家族に支払う給与を「青色事業専従者給与」として経費にできる場合があります。ただし、事前に届出が必要であり、実際に事業に従事していること、給与額が仕事内容に対して妥当であることが求められます。

名義だけ家族にして給与を払ったことにする、実態に合わない高額給与を設定する、といった処理は否認される可能性があります。家族への給与を経費にしたい場合は、勤務実態や業務内容、支払記録をきちんと残しましょう。

6-7. 節税と脱税の違いを理解する

節税は、法律の範囲内で制度を活用し、税負担を適正に抑えることです。一方、脱税は、売上を隠す、架空経費を計上する、領収書を偽造するなど、違法に税金を逃れる行為です。

フリーランスは自分で申告するからこそ、判断を誤ると大きなリスクになります。節税の基本は、青色申告、正しい経費計上、所得控除の活用、資金管理です。グレーな方法に頼るのではなく、説明できる処理を積み重ねましょう。

7. フリーランス初心者が税金で失敗しやすいポイント

7-1. 売上をすべて使ってしまい税金が払えない

初心者に多い失敗が、入金された売上をすべて生活費や事業投資に使ってしまうことです。フリーランスの売上は、会社員の手取りとは違います。そこから税金や社会保険料を支払う必要があります。

入金があったら、まず税金用口座に一定割合を移しましょう。「残ったら貯める」ではなく、「先に分ける」ことが大切です。

7-2. 経費の判断を間違える

経費にできるものを計上し忘れると税金を払いすぎる可能性があります。一方で、経費にできないものを計上すると、税務調査で指摘されるリスクがあります。

判断に迷ったときは、「仕事との関係を説明できるか」「証拠が残っているか」「按分が合理的か」を確認しましょう。

7-3. 帳簿付けを後回しにする

確定申告直前に1年分の帳簿をまとめて処理しようとすると、領収書の紛失、売上の計上漏れ、経費の分類ミスが起こりやすくなります。

帳簿付けは毎月行うのが理想です。少なくとも月1回、売上・経費・口座残高を確認する習慣をつけましょう。

7-4. 開業届や青色申告承認申請書を出し忘れる

フリーランスとして継続的に事業を行うなら、開業届や青色申告承認申請書の提出を忘れないようにしましょう。

開業届は、事業を開始した年分の確定申告期限までに提出します。青色申告承認申請書は、原則として青色申告をしようとする年の3月15日まで、1月16日以後に新規開業した場合は業務開始日から2か月以内に提出します。

7-5. 住民税や国民健康保険料を見落とす

所得税の確定申告が終わると、税金の支払いも終わったように感じるかもしれません。しかし、住民税や国民健康保険料はその後に通知が来ます。

特に売上が大きく伸びた翌年は、住民税と国民健康保険料の負担が重くなります。確定申告後も、納税用資金を残しておきましょう。

7-6. インボイス制度への対応を放置する

インボイス制度への対応も、フリーランスが見落としやすいポイントです。免税事業者のままでも事業はできますが、取引先が仕入税額控除を重視する場合、登録を求められることがあります。

一方で、インボイス登録をすると消費税の申告・納付が必要になります。登録するかどうかは、取引先、売上規模、価格交渉、事務負担を含めて慎重に判断しましょう。

8. フリーランスの税金対策に役立つ準備

8-1. 事業用の銀行口座とクレジットカードを分ける

フリーランスになったら、事業用の銀行口座とクレジットカードを分けるのがおすすめです。プライベートの支出と事業の支出が混ざると、帳簿付けが複雑になり、経費の判断も難しくなります。

事業用口座には売上の入金、事業用カードには経費の支払いを集約すると、会計ソフトとの連携もしやすくなります。

8-2. 会計ソフトを導入する

会計ソフトを使うと、銀行口座やクレジットカードの明細を自動取得し、仕訳や申告書作成を効率化できます。簿記に詳しくない初心者でも、質問に答える形式で確定申告書を作れるサービスもあります。

青色申告65万円控除を目指すなら、複式簿記での記帳が必要です。手書きや表計算ソフトで管理するより、最初から会計ソフトを使ったほうが負担を減らせます。

8-3. 毎月の売上・経費を記録する

税金対策は、確定申告の時期だけに行うものではありません。毎月の売上と経費を記録し、利益がどれくらい出ているかを把握することが大切です。

毎月確認したい項目は次のとおりです。

・売上はいくらか
・未入金の請求書はないか
・経費はいくらか
・利益はいくらか
・税金用口座にいくら移すか
・消費税の課税事業者になる可能性はあるか

数字を毎月見る習慣があれば、納税直前に慌てることが少なくなります。

8-4. 税金用のお金を別口座に確保する

税金用口座を作り、売上が入ったら一定割合を移す仕組みを作りましょう。生活費口座と納税用口座を分けるだけで、資金管理はかなり楽になります。

目安として、免税事業者であれば売上の20%〜30%、消費税の課税事業者であれば30%〜40%程度を残しておくと安心です。もちろん、実際の必要額は利益率や控除によって変わるため、毎年見直しましょう。

8-5. 税理士に相談すべきタイミング

フリーランスでも、必ず税理士をつけなければならないわけではありません。会計ソフトを使えば、自分で確定申告することも可能です。

ただし、次のような場合は税理士への相談を検討しましょう。

・売上が1,000万円に近づいてきた
・インボイス登録や消費税申告が必要になった
・経費判断に不安がある
・税務調査の連絡が来た
・法人化を検討している
・家族への給与を経費にしたい
・本業に集中するため経理を外注したい

税理士費用はかかりますが、申告ミスの防止や節税提案、時間削減につながる場合があります。

9. フリーランスの税金に関するよくある質問

9-1. 副業フリーランスでも確定申告は必要?

会社員が副業でフリーランス収入を得ている場合、副業所得が20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要です。副業所得が20万円以下でも、医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合は、副業所得もあわせて申告します。

また、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。副業をしている人は、所得税だけでなく住民税も確認しましょう。

9-2. 年収いくらから税金がかかる?

フリーランスの場合、「年収いくらから税金がかかる」と単純には言えません。なぜなら、税金は売上ではなく、売上から経費や控除を差し引いた所得に対してかかるからです。

所得税については、事業の利益から青色申告特別控除や基礎控除、社会保険料控除などを差し引いた結果、課税所得が残れば発生します。令和7年分以後の所得税の基礎控除は、合計所得金額に応じて変わります。

住民税は所得税と控除額や非課税基準が異なるため、所得税が0円でも住民税が発生する場合があります。

9-3. 赤字でも確定申告したほうがいい?

赤字でも、青色申告をしているなら確定申告したほうがよいケースがあります。青色申告者は、一定の損失を翌年以後3年間にわたって繰り越し、将来の所得から差し引ける場合があります。

また、源泉徴収された報酬がある場合、赤字や所得が少ないことで税金が還付される可能性もあります。赤字だから申告しなくていいと判断せず、申告するメリットを確認しましょう。

9-4. 税金が払えないときはどうすればいい?

税金が払えないときは、放置せず、できるだけ早く税務署や自治体に相談しましょう。状況によっては、分割納付や納税猶予などの相談ができる場合があります。

やってはいけないのは、通知を無視することです。延滞税が増えたり、督促や差押えにつながったりする可能性があります。資金繰りが厳しいとわかった時点で、早めに相談することが大切です。

9-5. 税務調査はフリーランスにも来る?

税務調査は法人だけでなく、個人事業主やフリーランスにも来る可能性があります。特に、売上の申告漏れ、経費の過大計上、現金売上の管理不備、家事按分の根拠不足などは確認されやすいポイントです。

税務調査に備える最善策は、日頃から正しく帳簿をつけ、領収書や請求書を保管し、説明できる経理処理をしておくことです。

9-6. 税理士なしでも確定申告できる?

税理士なしでも確定申告はできます。売上や経費の内容がシンプルで、会計ソフトを使って毎月記帳していれば、初心者でも自力で申告できる可能性は十分あります。

ただし、消費税申告、インボイス対応、家族への給与、事業とプライベートの支出が複雑な場合、売上が大きくなってきた場合は、税理士に相談したほうが安心です。税理士に丸投げするかどうかではなく、「自分でできる部分」と「専門家に確認する部分」を分けて考えるとよいでしょう。

まとめ

フリーランスの税金は、会社員のように自動で天引きされるわけではありません。所得税、住民税、個人事業税、消費税に加えて、国民健康保険料や国民年金保険料も自分で管理する必要があります。

まず押さえるべきポイントは、税金は売上ではなく所得にかかるということです。売上から経費を差し引き、さらに青色申告特別控除や基礎控除、社会保険料控除などを反映して税額が決まります。

フリーランス初心者は、次の5つを早めに整えましょう。

・開業届と青色申告承認申請書を提出する
・事業用口座とクレジットカードを分ける
・会計ソフトで毎月記帳する
・領収書や請求書を保管する
・売上の一部を税金用口座に移す

税金対策で大切なのは、無理な節税ではなく、正しく記録し、正しく申告し、納税資金を計画的に残すことです。フリーランスとして長く安定して働くためにも、早い段階で税金の仕組みを理解し、毎月の管理を習慣化しましょう。