フリーランスは社会保険に加入できる?会社員との違い・必要な手続き・保険料の選び方を徹底解説

はじめに

フリーランスとして独立すると、仕事の自由度が高まる一方で、会社員時代には給与から自動的に差し引かれていた社会保険の手続きを自分で行う必要があります。

特に多いのが、「フリーランスは社会保険に加入できるのか」「会社員の健康保険や厚生年金はそのまま使えるのか」「国民健康保険と任意継続はどちらが安いのか」といった疑問です。

結論からいうと、フリーランスも公的な社会保険に加入します。ただし、会社員と同じ「健康保険・厚生年金」に原則としてそのまま加入するわけではなく、多くの場合は「国民健康保険」と「国民年金」へ切り替えることになります。

この記事では、フリーランスが加入すべき社会保険の種類、会社員との違い、退職後に必要な手続き、保険料の考え方、損しない選び方までわかりやすく解説します。

1. フリーランスは社会保険に加入できる?まず結論をわかりやすく解説

フリーランスは、会社員のように勤務先を通じて社会保険に加入するのではなく、自分で公的医療保険と公的年金の加入手続きを行います。

「フリーランスは社会保険に入れない」といわれることがありますが、これは正確には「会社員が入る健康保険・厚生年金には原則として加入できない」という意味です。日本国内に住所があり、他の医療保険や扶養などに該当しない人は国民健康保険の対象となり、国民健康保険の加入・脱退などは14日以内に市町村窓口へ届け出る必要があります。

1-1. フリーランスでも加入が必要な社会保険は「国民健康保険」と「国民年金」

フリーランスが基本的に加入する社会保険は、医療保険である「国民健康保険」と、年金制度である「国民年金」です。

国民健康保険は、病気やケガで医療機関を受診したときの医療費負担を抑えるための制度です。国民年金は、老後の老齢基礎年金だけでなく、障害を負ったときの障害基礎年金、死亡時の遺族基礎年金にも関わる重要な制度です。

20歳以上60歳未満の自営業者、フリーランス、学生、無職の人などで、厚生年金加入者や第3号被保険者でない人は、国民年金の第1号被保険者に該当します。

1-2. 会社員の「健康保険・厚生年金」と同じ制度には原則加入できない

会社員は、勤務先が社会保険の適用事業所であり、本人が加入条件を満たす場合、健康保険と厚生年金に加入します。すべての法人事業所と、常時5人以上の従業員を使用する一定の個人事業所は、健康保険・厚生年金保険の適用対象です。

一方、フリーランスは雇用されている労働者ではないため、個人で事業をしているだけでは、会社員時代と同じ健康保険・厚生年金に加入し続けることはできません。

ただし、退職後に一定期間だけ健康保険を継続できる「任意継続」や、法人化して役員報酬を受け取る場合の社会保険加入など、例外的な選択肢はあります。

1-3. 退職後に選べる健康保険は「国保・任意継続・扶養」の3つ

会社員からフリーランスになるとき、退職後の健康保険は主に次の3つから選びます。

選択肢概要向いている人
国民健康保険市区町村の国保に加入する多くのフリーランスの基本選択肢
任意継続会社員時代の健康保険を最長2年間継続する退職前の収入が高く、国保が高くなりそうな人
家族の扶養配偶者や家族の健康保険の被扶養者になる収入見込みが扶養条件内の人

任意継続は、退職日の翌日などの資格喪失日から20日以内に申請が必要で、加入には退職前に継続して2か月以上の被保険者期間があることなどの条件があります。

1-4. フリーランスが社会保険で最初に確認すべきポイント

フリーランスになるときは、まず次の4点を確認しましょう。

1つ目は、退職後に国民健康保険・任意継続・扶養のどれを選ぶかです。2つ目は、国民年金への切り替えが必要かどうかです。3つ目は、退職後14日以内・20日以内といった手続き期限です。4つ目は、前年所得をもとにした保険料の見込みです。

特に独立1年目は、前年の会社員時代の所得が国民健康保険料に反映されるため、「会社を辞めたのに保険料が高い」と感じやすい時期です。

2. フリーランスと会社員の社会保険の違い

フリーランスと会社員の社会保険は、加入する制度、保険料の負担方法、扶養の扱い、給付内容、将来の年金額が大きく異なります。

2-1. 会社員が加入する社会保険の種類

会社員が一般的に加入する社会保険には、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険があります。

健康保険は医療費や傷病手当金、出産手当金などに関わります。厚生年金は国民年金に上乗せされる年金制度です。雇用保険は失業時や育児休業時などの給付に関わり、労災保険は業務中や通勤中のケガ・病気に備える制度です。

会社員の場合、多くの手続きは勤務先が行い、保険料は給与から天引きされます。

2-2. フリーランスが加入する社会保険の種類

フリーランスが基本的に加入するのは、国民健康保険と国民年金です。40歳以上65歳未満になると、医療保険料に介護保険分も加わります。

雇用保険は、雇用される労働者を対象とする制度のため、フリーランス本人は原則として加入できません。労災保険については、通常の労働者としてではなく、一定の要件を満たす場合に「特別加入」という形で備える選択肢があります。

2-3. 保険料の負担割合の違い

会社員の健康保険料や厚生年金保険料は、原則として会社と本人が分担して負担します。一方、フリーランスの国民健康保険料と国民年金保険料は、基本的に全額自己負担です。

この違いにより、フリーランスになった直後は、社会保険料の負担が急に重くなったように感じることがあります。会社員時代も保険料を払っていたものの、会社負担分が見えにくかったため、独立後に「こんなに払うのか」と驚きやすいのです。

2-4. 扶養・傷病手当金・出産手当金の違い

会社員の健康保険には、一定条件を満たす家族を被扶養者にできる仕組みがあります。被扶養者になった家族は、原則として自分で健康保険料を払わずに医療保険の対象になります。

一方、国民健康保険には会社員の健康保険のような「扶養」の考え方がありません。配偶者や子どもが同じ世帯で国保に加入する場合、それぞれが被保険者として扱われ、世帯単位で保険料が計算されます。

また、会社員の健康保険には、病気やケガで働けないときの傷病手当金、出産のために休業したときの出産手当金があります。国民健康保険では、これらは会社員の健康保険ほど一般的な給付ではないため、フリーランスは民間保険や貯蓄で所得補償を補う意識が重要です。

2-5. 将来受け取る年金額の違い

会社員は国民年金に加えて厚生年金に加入します。つまり、老後は老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金を受け取れる可能性があります。

一方、フリーランスが国民年金だけに加入している場合、老後に受け取る公的年金は原則として老齢基礎年金が中心です。そのため、会社員と比べると将来の年金額が少なくなりやすく、付加年金、国民年金基金、iDeCoなどで上乗せを検討する必要があります。

2-6. フリーランスになると社会保険料が高く感じやすい理由

フリーランスになると社会保険料が高く感じやすい理由は、主に3つあります。

第一に、会社負担分がなくなり、保険料を全額自分で払うからです。第二に、国民健康保険料は前年所得をもとに計算されるため、独立直後の収入が下がっても保険料がすぐには下がらないことがあります。第三に、国民健康保険には扶養の概念がないため、家族が多いほど保険料が増えやすいからです。

3. フリーランスが加入する健康保険の選択肢

フリーランスの健康保険選びは、独立直後の家計に大きく影響します。国民健康保険に入るのが基本ですが、任意継続や扶養、国民健康保険組合の方が有利になるケースもあります。

3-1. 国民健康保険に加入する

国民健康保険は、会社の健康保険などに加入していない人が入る公的医療保険です。フリーランス、個人事業主、自営業者、退職後に再就職していない人などが対象になります。

国民健康保険に加入する場合は、退職後、住民票のある市区町村の窓口で手続きを行います。厚生労働省は、国民健康保険の被保険者になったときや脱退するときなどは、14日以内に市町村の国民健康保険窓口へ関係書類を提出する必要があると案内しています。

国民健康保険料は自治体によって計算方法や料率が異なります。前年所得、加入人数、年齢、世帯構成によって保険料が変わるため、独立前に自治体の試算ページや窓口で確認しておくと安心です。

3-2. 会社員時代の健康保険を任意継続する

任意継続とは、退職後も会社員時代に加入していた健康保険を一定期間継続できる制度です。協会けんぽの場合、任意継続の被保険者期間は2年間で、資格喪失日から20日以内に申請が必要です。

任意継続のメリットは、退職前の標準報酬月額に基づいて保険料が計算されるため、前年所得が高く国民健康保険料が高くなりそうな人にとって有利になる場合があることです。また、扶養家族がいる場合、任意継続では被扶養者制度を使えるケースがあるため、世帯全体で見ると国保より安くなることがあります。

一方で、会社員時代は会社と折半していた保険料を、任意継続では原則として全額自己負担します。協会けんぽでは、退職時の標準報酬月額に都道府県ごとの保険料率を乗じて計算し、一定の上限も設けられています。

3-3. 家族の健康保険の扶養に入る

配偶者や親など家族が会社員で、その健康保険の被扶養者になれる場合は、扶養に入る選択肢もあります。

被扶養者に認定されると、自分で健康保険料を支払わずに医療保険の対象になれるため、収入が少ない独立初期には大きな助けになります。

ただし、扶養に入るには収入条件があります。協会けんぽでは、同一世帯の場合、認定対象者の年間収入が原則130万円未満で、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満であることなどが基準として示されています。60歳以上または一定の障害がある人は180万円未満、19歳以上23歳未満で配偶者を除く人は150万円未満という扱いもあります。

フリーランスの場合、扶養判定における「収入」と、税金計算上の「所得」は同じではありません。必要経費としてどこまで控除できるかは健康保険組合によって扱いが異なるため、必ず家族の勤務先や加入している健康保険組合に確認しましょう。

3-4. 業種によっては国民健康保険組合に加入できる場合がある

フリーランスの職種によっては、市区町村の国民健康保険ではなく、国民健康保険組合に加入できる場合があります。

国民健康保険組合は、同種の事業や業務に従事する人で組織される国民健康保険法上の公法人です。医師、歯科医師、薬剤師、建設業、文芸・美術・著作活動など、業種ごとに組合が存在します。

国保組合は、保険料が定額に近い仕組みになっている場合があり、所得が高いフリーランスにとっては市区町村国保より負担が軽くなることがあります。ただし、加入できる職種、居住地、業務実態、組合員資格、団体加入の要件などがあるため、誰でも入れるわけではありません。

3-5. 健康保険の選び方を比較表で整理

項目国民健康保険任意継続家族の扶養国民健康保険組合
主な対象フリーランス全般退職前に健康保険へ加入していた人家族の健康保険の扶養条件を満たす人特定業種の人
手続き先市区町村協会けんぽ・健康保険組合家族の勤務先各国保組合
手続き期限原則14日以内原則20日以内早めに勤務先へ確認組合ごとに異なる
扶養制度なしあり得る本人が被扶養者組合ごとに異なる
保険料前年所得・世帯で変動退職時の標準報酬月額などで計算原則本人負担なし組合ごとに異なる
向いている人一般的な独立者前年所得が高い人、扶養家族がいる人収入見込みが低い人対象業種で所得が高めの人

4. フリーランスが加入する年金制度

フリーランスの年金は、会社員の厚生年金とは異なります。基本は国民年金ですが、将来の年金額を増やすための上乗せ制度を自分で選ぶことが重要です。

4-1. フリーランスは国民年金の第1号被保険者になる

会社を退職してフリーランスになると、厚生年金から国民年金の第1号被保険者へ切り替えるのが一般的です。

日本年金機構は、会社を退職して再就職しない場合、退職日の翌日から国民年金第1号被保険者となり、資格取得の手続きが必要になると案内しています。

手続きは、住所地の市区町村の国民年金窓口で行います。退職日の翌日から14日以内が提出期限です。

4-2. 会社員の厚生年金との違い

会社員は、国民年金に加えて厚生年金にも加入します。厚生年金は給与や賞与に応じた保険料を支払い、将来の年金額にも反映されます。

一方、フリーランスが加入する国民年金は、原則として保険料が定額です。所得が高くても低くても、基本的な国民年金保険料は同じです。そのため、厚生年金のように収入に応じて将来の年金額が増える仕組みではありません。

この違いを補うため、フリーランスは自分で老後資金対策を設計する必要があります。

4-3. 国民年金保険料の支払い方法

2026年度の国民年金保険料は、月額17,920円です。日本年金機構は、前納すると割引が適用されること、付加保険料として月額400円を上乗せすると将来の老齢基礎年金を増額できることも案内しています。

支払い方法には、納付書、口座振替、クレジットカード、電子納付などがあります。資金繰りに余裕がある場合は、6か月前納、1年前納、2年前納を利用すると保険料を抑えられます。

4-4. 付加年金・国民年金基金・iDeCoで将来の年金を増やす方法

フリーランスが将来の年金を増やす方法には、主に付加年金、国民年金基金、iDeCoがあります。

付加年金は、国民年金保険料に月額400円を上乗せして納める制度です。老齢基礎年金に「200円×付加保険料納付月数」が年額で上乗せされるため、長く納めるほど効果が出やすい制度です。

国民年金基金は、自営業者やフリーランスなど第1号被保険者が公的年金に上乗せする制度です。終身年金を中心に老後資金を準備でき、掛金は社会保険料控除の対象になります。

iDeCoは、自分で掛金を拠出して運用する私的年金制度です。厚生労働省は、国民年金第1号被保険者のiDeCo拠出限度額を月額68,000円とし、国民年金基金の掛金や国民年金の付加保険料を納付している場合は、それらを控除した額になると案内しています。

4-5. 収入が少ないときに使える免除・猶予制度

独立直後で収入が少ない、病気や廃業で収入が落ちた、資金繰りが厳しいといった場合は、国民年金保険料の免除・納付猶予制度を検討しましょう。

未納のまま放置すると、老齢基礎年金の受給額が減るだけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給要件に影響することがあります。支払えないときは、未納にするのではなく、必ず市区町村や年金事務所で免除・猶予の相談をすることが大切です。

5. 会社員からフリーランスになるときに必要な社会保険の手続き

退職後の社会保険手続きは、期限が短いものがあります。特に国民健康保険と国民年金は14日以内、任意継続は20日以内が目安です。

5-1. 退職後すぐにやるべき手続きの全体像

会社員からフリーランスになるときは、退職後すぐに次の流れで確認しましょう。

手続き期限の目安提出先
健康保険の選択退職前から検討市区町村・協会けんぽ・家族の勤務先など
国民健康保険への加入原則14日以内市区町村
任意継続の申請原則20日以内協会けんぽ・健康保険組合
扶養申請速やかに家族の勤務先
国民年金への切り替え原則14日以内市区町村
確定申告の準備独立後随時税務署・会計ソフトなど

退職前に、会社から健康保険資格喪失証明書、離職票、源泉徴収票などを受け取れる時期も確認しておくとスムーズです。

5-2. 国民健康保険へ切り替える手続き

国民健康保険へ切り替える場合は、住民票のある市区町村の国民健康保険窓口で手続きします。

一般的に必要なものは、本人確認書類、マイナンバー確認書類、健康保険資格喪失証明書、退職日がわかる書類などです。必要書類は自治体によって異なるため、事前に市区町村の公式サイトで確認しましょう。

手続きが遅れても加入できる場合はありますが、保険料は資格取得日にさかのぼって請求されることがあります。また、保険証や資格確認書がない期間に医療機関を受診すると、一時的に医療費を全額自己負担する可能性があります。

5-3. 任意継続を選ぶ場合の手続き

任意継続を選ぶ場合は、退職後すぐに協会けんぽや健康保険組合へ申請します。

協会けんぽでは、退職日の翌日から20日以内に「健康保険任意継続被保険者資格取得申出書」を提出する必要があります。郵送の場合も20日以内に必着する必要があるため、期限ぎりぎりの申請は避けましょう。

任意継続は、国民健康保険と比べて安い場合もありますが、必ずしも有利とは限りません。退職前の標準報酬月額、居住地、年齢、扶養家族の有無によって結果が変わります。

5-4. 家族の扶養に入る場合の手続き

家族の健康保険の扶養に入る場合は、家族の勤務先を通じて手続きを行います。

フリーランス収入がある場合、扶養に入れるかどうかは、年間収入の見込み、事業経費の扱い、継続的な収入の有無などで判断されます。税法上の扶養と社会保険上の扶養は基準が異なるため、「確定申告では所得が少ないから大丈夫」と自己判断しないようにしましょう。

特にフリーランスは売上の増減が大きいため、扶養に入った後も収入見込みが基準を超えそうな場合は、早めに勤務先へ相談する必要があります。

5-5. 国民年金へ切り替える手続き

会社を退職して厚生年金に加入しなくなる場合は、国民年金への切り替えが必要です。

手続きは住所地の市区町村で行い、退職日の翌日から14日以内が期限です。必要書類には、基礎年金番号またはマイナンバーが確認できるもの、本人確認書類、退職日を確認できる書類などがあります。

配偶者の扶養に入る場合は、国民年金の第3号被保険者となる可能性があります。この場合は、配偶者の勤務先を通じて手続きします。

5-6. 手続きに必要な書類と提出先

退職後の社会保険手続きでは、次の書類を準備しておくと安心です。

書類主な用途
健康保険資格喪失証明書国民健康保険への加入
離職票年金免除申請、雇用保険手続きなど
退職証明書退職日の確認
マイナンバーカード本人確認・番号確認
年金手帳または基礎年金番号通知書国民年金手続き
源泉徴収票確定申告
扶養申請書類家族の健康保険の扶養申請

提出先は、国民健康保険と国民年金は市区町村、任意継続は協会けんぽや健康保険組合、扶養は家族の勤務先です。

5-7. 手続き期限を過ぎた場合の対処法

手続き期限を過ぎてしまった場合でも、放置せず、すぐに窓口へ相談しましょう。

国民健康保険や国民年金は、手続きが遅れてもさかのぼって加入・納付が必要になる場合があります。任意継続は20日以内という期限が厳格に扱われることが多く、期限を過ぎると選択できない可能性があります。

期限を過ぎた場合は、国民健康保険への加入、家族の扶養、年金免除・猶予など、残された選択肢を早めに確認することが重要です。

6. フリーランスの社会保険料はいくら?計算方法と目安

フリーランスの社会保険料は、健康保険と年金を分けて考えると整理しやすくなります。

国民年金は全国一律の定額ですが、国民健康保険は自治体や所得、家族構成によって大きく変わります。

6-1. 国民健康保険料の計算方法

国民健康保険料は、主に次の要素で構成されます。

項目内容
所得割前年所得に応じて計算
均等割加入者1人ごとに計算
平等割世帯ごとに計算される場合がある
介護分40歳以上65歳未満の人に加算

自治体によって、料率、上限額、均等割、平等割の有無が異なります。そのため、同じ所得でも住んでいる地域によって保険料が変わります。

フリーランスの場合、前年の所得が高いと翌年度の国民健康保険料も高くなります。独立初年度は、会社員時代の給与所得が反映される点に注意が必要です。

6-2. 国民年金保険料の金額

2026年度の国民年金保険料は、月額17,920円です。

年間では、単純計算で215,040円になります。前納制度を利用すると割引があり、口座振替の前納は納め忘れ防止にも役立ちます。

国民年金は、所得に関係なく基本的に定額です。収入が少ない時期でも同じ金額を納める必要があるため、支払いが難しい場合は免除・猶予制度を検討しましょう。

6-3. 任意継続の保険料の考え方

任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額に保険料率をかけて計算されます。協会けんぽでは、退職時の標準報酬月額が一定額を超える場合、標準報酬月額32万円を上限として保険料が計算されます。

会社員時代は会社と本人で保険料を分担していましたが、任意継続では本人が全額負担します。そのため、給与明細で見ていた健康保険料の約2倍程度に感じることがあります。

ただし、国民健康保険料が高くなる人や扶養家族がいる人は、任意継続の方が安くなる場合があります。

6-4. 扶養に入る場合の保険料

家族の健康保険の被扶養者に認定された場合、本人の健康保険料負担は原則ありません。

また、配偶者の扶養に入り、国民年金の第3号被保険者に該当する場合は、本人が国民年金保険料を直接納める必要もありません。

ただし、扶養に入るには収入条件や生計維持関係の確認があります。フリーランス収入が増えて基準を超えると、扶養から外れて国民健康保険・国民年金へ切り替える必要があります。

6-5. 所得・家族構成・自治体によって保険料が変わる理由

国民健康保険料が人によって大きく違う理由は、前年所得、加入人数、年齢、自治体の料率が異なるからです。

たとえば、独身で所得が低い人は国民健康保険料が比較的抑えられることがあります。一方、前年所得が高く、配偶者や子どもも国保に加入する場合は、世帯全体の保険料が高くなりやすくなります。

任意継続は扶養家族を含めても保険料が大きく増えない場合があるため、家族がいる人ほど比較が重要です。

6-6. 保険料を試算するときに確認すべき項目

保険料を試算するときは、次の項目を確認しましょう。

確認項目理由
前年の所得国民健康保険料に影響する
退職時の標準報酬月額任意継続保険料に影響する
年齢介護保険料の有無に影響する
扶養家族の人数国保・任意継続の比較に影響する
居住自治体国保料率が自治体ごとに異なる
今年の収入見込み扶養判定や資金繰りに影響する
加入できる国保組合業種によって選択肢が増える

独立前に、国民健康保険、任意継続、扶養、国保組合の4つを比較しておくと、退職後に慌てずに済みます。

7. フリーランスの社会保険の選び方

フリーランスの社会保険選びで大切なのは、「保険料の安さ」だけで判断しないことです。給付内容、家族構成、将来の年金、収入変動まで含めて考えましょう。

7-1. 独立1年目は任意継続と国民健康保険を比較する

会社員から独立する場合、まず比較すべきなのは国民健康保険と任意継続です。

前年所得が高い人は、国民健康保険料が高くなる可能性があります。この場合、任意継続の方が保険料を抑えられることがあります。

一方、前年所得が低い人や退職時の標準報酬月額が高い人は、国民健康保険の方が安くなることもあります。

7-2. 前年所得が高い人・低い人で選び方は変わる

前年所得が高い人は、国民健康保険料が高くなりやすいため、任意継続や国保組合を検討する価値があります。

前年所得が低い人は、国民健康保険の方が安くなる可能性があります。さらに、独立後の収入が少ない場合は、国民年金の免除・猶予制度も検討できます。

ただし、所得が低いからといって自動的に保険料が最安になるとは限りません。自治体の計算方法や家族構成によって変わるため、必ず試算しましょう。

7-3. 扶養に入れるかどうかを確認する

独立初期で収入見込みが少ない場合は、家族の扶養に入れるか確認しましょう。

扶養に入れると、健康保険料や国民年金保険料の負担を大きく抑えられる可能性があります。ただし、フリーランスの場合は収入の見込み方や経費の扱いが健康保険組合によって異なるため、事前確認が欠かせません。

売上が増えて扶養条件を超えそうな場合は、早めに扶養から外れる手続きを行いましょう。

7-4. 家族がいる場合は世帯全体の保険料で考える

配偶者や子どもがいる場合は、自分一人の保険料ではなく、世帯全体の保険料で比較することが重要です。

国民健康保険には扶養がないため、家族の人数が増えるほど保険料が上がる傾向があります。任意継続では、扶養家族が認められる場合、家族分の追加負担を抑えられることがあります。

家族がいる人ほど、国民健康保険と任意継続の差が大きく出やすいと考えましょう。

7-5. 将来の年金対策まで含めて判断する

健康保険だけでなく、年金対策も同時に考える必要があります。

フリーランスは厚生年金がないため、老後資金を自分で上乗せする意識が必要です。付加年金、国民年金基金、iDeCo、小規模企業共済、NISAなどを組み合わせ、事業の資金繰りに無理のない範囲で準備しましょう。

特にiDeCoや国民年金基金は、原則として老後まで引き出しにくい制度です。節税効果だけで選ばず、手元資金とのバランスを考えることが大切です。

7-6. 保険料だけでなく給付内容も確認する

保険料が安いかどうかは重要ですが、給付内容も確認しましょう。

会社員の健康保険には、傷病手当金や出産手当金など、働けない期間の所得補償に近い給付があります。国民健康保険では同じような給付が十分でない場合があるため、フリーランスは就業不能保険、医療保険、所得補償保険などで補うことも検討しましょう。

「毎月の保険料を下げること」と「万一のときに生活を守ること」の両方を考えるのが、フリーランスの社会保険選びの基本です。

8. フリーランスが知っておきたい労災保険・雇用保険・介護保険

フリーランスは、健康保険と年金だけでなく、働けなくなったときのリスクにも備える必要があります。

8-1. フリーランスは原則として雇用保険に加入できない

雇用保険は、会社に雇用される労働者を対象とする制度です。そのため、フリーランス本人は原則として雇用保険に加入できません。

会社員が退職してフリーランスになる場合、退職前の雇用保険の加入状況や退職理由によっては、基本手当の対象になる可能性があります。ただし、開業して事業主として活動している場合は「失業状態」と認められないことがあります。

失業給付を受ける可能性がある人は、開業届を出すタイミングや求職活動の状況について、ハローワークで確認しましょう。

8-2. 業務中のケガに備えるなら労災保険の特別加入を検討する

フリーランスは通常の労働者ではないため、原則として会社員のように労災保険へ自動加入するわけではありません。

ただし、労災保険には特別加入制度があります。厚生労働省は、2024年11月1日からフリーランスにも労災保険の特別加入の対象を拡大したと案内しています。

現場作業、配送、建設、撮影、訪問業務など、業務中のケガのリスクが高い仕事をしている人は、特別加入を検討する価値があります。

8-3. 40歳以上は介護保険料の負担も発生する

40歳以上65歳未満の人は、介護保険の第2号被保険者となり、健康保険料とあわせて介護保険料を負担します。

会社員の場合は給与から天引きされますが、フリーランスで国民健康保険に加入している場合は、国民健康保険料の中に介護分が含まれます。

40歳になった年から保険料が上がることがあるため、資金繰りに組み込んでおきましょう。

8-4. 民間保険で補うべきリスク

フリーランスが民間保険で補いたい主なリスクは、病気やケガで働けない期間の収入減、入院・手術費用、死亡時の家族の生活費、賠償責任です。

特に、収入が自分の稼働に直結している人は、就業不能保険や所得補償保険の必要性が高くなります。

ただし、保険に入りすぎると固定費が重くなります。生活防衛資金、貯蓄、既存の公的保障を確認したうえで、足りない部分だけを民間保険で補うのが基本です。

8-5. フリーランス向けの保障サービスを活用する方法

近年は、フリーランス向けの福利厚生サービス、賠償責任保険、所得補償制度、労災特別加入団体などが増えています。

業務委託契約で情報漏えい、納品物の不備、著作権トラブル、対人・対物事故などのリスクがある人は、賠償責任保険も確認しておきましょう。

公的保険、民間保険、業界団体の保障サービスを組み合わせることで、会社員時代に近い安心を自分で設計できます。

9. フリーランスが社会保険で損しないための注意点

社会保険は、手続きの遅れや制度の誤解によって損をしやすい分野です。特に退職直後は注意しましょう。

9-1. 退職後の手続き期限を必ず確認する

国民健康保険と国民年金は、退職日の翌日から14日以内が目安です。任意継続は20日以内です。

この期限を過ぎると、選べたはずの制度を使えなくなったり、保険料をまとめて請求されたり、医療費を一時的に全額負担したりする可能性があります。

退職日が決まったら、退職後ではなく退職前から社会保険の選択肢を比較しておきましょう。

9-2. 国民健康保険料は前年所得で決まる点に注意する

国民健康保険料は、原則として前年所得をもとに計算されます。

独立1年目に収入が少なくても、前年の会社員時代の給与が高ければ、国民健康保険料も高くなることがあります。

「今年は収入が少ないから保険料も安いはず」と思い込まず、自治体で試算してもらいましょう。

9-3. 任意継続は途中で自由に切り替えにくい

任意継続は、加入後の扱いに注意が必要です。

現在は、任意継続をやめたい旨を申し出ることで資格喪失できる仕組みがありますが、保険料の納付期限や資格喪失日などのルールを理解しておく必要があります。安易に選ぶのではなく、2年間の収入見込み、国保への切り替え時期、扶養の可能性を含めて判断しましょう。

9-4. 扶養に入る場合は収入条件を超えないようにする

扶養に入る場合は、収入見込みの管理が重要です。

フリーランスは月ごとの売上が変動しやすく、年の途中で急に収入が増えることがあります。扶養条件を超える見込みになった場合は、家族の勤務先へ早めに相談しましょう。

扶養から外れる手続きが遅れると、あとから国民健康保険や国民年金の手続きが必要になり、保険料がさかのぼって発生することがあります。

9-5. 未加入・未納のまま放置しない

社会保険を未加入・未納のまま放置するのは避けましょう。

国民健康保険に加入していない期間に病気やケガをすると、医療費を全額自己負担するリスクがあります。国民年金を未納にすると、将来の年金額や障害年金・遺族年金の受給に影響することがあります。

支払えない場合は、未納にするのではなく、免除・猶予・分割納付などを相談することが大切です。

9-6. 確定申告で社会保険料控除を忘れない

フリーランスが支払った国民健康保険料、国民年金保険料、国民年金基金の掛金などは、社会保険料控除の対象になります。国税庁は、健康保険、国民年金、厚生年金、国民健康保険料または国民健康保険税、介護保険料、国民年金基金の掛金などを社会保険料控除の対象として示しています。

社会保険料控除は、所得税や住民税の計算に影響します。支払証明書や控除証明書を保管し、確定申告で忘れずに申告しましょう。

10. ケース別|フリーランスの社会保険はどれを選ぶべき?

社会保険の最適解は、人によって異なります。ここでは、代表的なケース別に選び方を整理します。

10-1. 退職直後で前年所得が高い人

前年所得が高い人は、国民健康保険料が高くなりやすいため、任意継続との比較が必須です。

特に扶養家族がいる場合は、国民健康保険では家族分も保険料に反映される一方、任意継続では被扶養者として扱える可能性があります。

まずは自治体で国民健康保険料を試算し、退職前の健康保険で任意継続保険料を確認しましょう。

10-2. 独立初年度で収入が不安定な人

独立初年度で収入が不安定な人は、固定費をできるだけ正確に把握することが重要です。

国民健康保険料、国民年金保険料、住民税は、独立直後の資金繰りを圧迫しやすい支出です。売上が安定するまでの生活費と納税資金を分けて管理しましょう。

収入が少ない場合は、国民年金の免除・猶予制度を検討してください。

10-3. 配偶者の扶養に入れる可能性がある人

独立初期の収入見込みが低い場合は、配偶者の扶養に入れるか確認しましょう。

扶養に入れれば、健康保険料と国民年金保険料の負担を大きく抑えられる可能性があります。

ただし、フリーランス収入が継続的に基準を超える見込みになった場合は、扶養から外れる必要があります。売上が伸び始めたタイミングで確認を怠らないようにしましょう。

10-4. 家族を扶養している人

会社員時代に配偶者や子どもを扶養していた人は、国民健康保険に切り替えると保険料が上がりやすい傾向があります。

国民健康保険には扶養がないため、家族も被保険者として保険料計算に含まれます。

このケースでは、任意継続、国保組合、市区町村国保を必ず比較しましょう。家族全体の保険料で判断することが大切です。

10-5. 副業からフリーランスになる人

副業からフリーランスになる人は、退職前後で社会保険の扱いが変わります。

会社員として勤務している間は、勤務先の健康保険・厚生年金に加入している場合が多く、副業収入があっても直ちに国民健康保険や国民年金に切り替えるわけではありません。

退職して本業フリーランスになるタイミングで、健康保険と年金の切り替えが必要になります。

10-6. 法人化を検討している人

フリーランスが法人化すると、社会保険の扱いが変わります。

法人は、社長1人の会社であっても、役員報酬を支払う場合は健康保険・厚生年金の適用対象になるのが原則です。個人事業主のままでは国民健康保険・国民年金が基本ですが、法人化後は会社として社会保険に加入し、会社負担分も発生します。

法人化は節税だけでなく、社会保険料の会社負担、将来の厚生年金、事務負担まで含めて判断しましょう。

11. フリーランスの社会保険に関するよくある質問

11-1. フリーランスは社会保険に入らないとどうなる?

国民健康保険に加入しないまま医療機関を受診すると、医療費を全額自己負担するリスクがあります。後から加入しても、保険料はさかのぼって請求されることがあります。

国民年金を未納にすると、将来の老齢基礎年金が減るだけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給要件に影響する可能性があります。

支払いが難しい場合は、未加入・未納のまま放置せず、免除・猶予制度を相談しましょう。

11-2. 個人事業主でも厚生年金に入れる?

個人事業主本人は、個人事業主であるという理由だけでは厚生年金に加入できません。厚生年金は、原則として適用事業所に使用される会社員などが対象です。

ただし、法人化して役員報酬を受け取る場合や、別の会社で社会保険の加入条件を満たして働く場合は、厚生年金に加入することがあります。

11-3. フリーランスでも扶養に入れる?

フリーランスでも、収入見込みなどの条件を満たせば、家族の健康保険の被扶養者になれる場合があります。

ただし、フリーランス収入の判定では、売上からどの経費を差し引けるかが健康保険組合によって異なることがあります。税金上の所得だけで判断せず、必ず家族の勤務先や健康保険組合に確認しましょう。

11-4. 退職後、健康保険証はいつまで使える?

会社員時代の健康保険証や資格確認書は、原則として退職日までです。退職日の翌日以降は資格を失うため、使えません。

退職後に誤って使うと、後日、保険者負担分の返還を求められることがあります。退職後は、国民健康保険、任意継続、扶養のいずれかの手続きを速やかに行いましょう。

11-5. 国民健康保険と任意継続はどちらが安い?

どちらが安いかは、前年所得、退職時の標準報酬月額、住んでいる自治体、年齢、扶養家族の有無によって変わります。

前年所得が高い人や扶養家族がいる人は、任意継続が有利になることがあります。一方、前年所得が低い人や扶養家族がいない人は、国民健康保険の方が安い場合もあります。

必ず両方を試算して比較しましょう。

11-6. 社会保険料は経費にできる?

フリーランス本人の国民健康保険料や国民年金保険料は、事業の必要経費ではなく、確定申告で社会保険料控除として扱います。

つまり、帳簿上の経費として売上から差し引くのではなく、所得控除として税金計算に反映します。国民年金基金や介護保険料なども社会保険料控除の対象になる場合があります。

11-7. 法人化すると社会保険はどう変わる?

法人化すると、健康保険・厚生年金への加入が必要になるのが原則です。

個人事業主のときは国民健康保険・国民年金が基本ですが、法人化後は会社として社会保険に加入し、保険料を会社と個人で負担します。

法人化により厚生年金に加入できるため、将来の年金額が増える可能性があります。一方で、会社負担分の社会保険料や事務手続きも発生します。法人化は、税金だけでなく社会保険料まで含めてシミュレーションしましょう。

まとめ

フリーランスも社会保険に加入する必要があります。ただし、会社員と同じ健康保険・厚生年金にそのまま加入するのではなく、多くの場合は国民健康保険と国民年金へ切り替えます。

会社員からフリーランスになるときの健康保険は、国民健康保険、任意継続、家族の扶養の3つが基本です。業種によっては国民健康保険組合に加入できる場合もあります。

年金は国民年金が基本となり、厚生年金がなくなる分、付加年金、国民年金基金、iDeCoなどで将来の備えを自分で設計することが大切です。

退職後は、国民健康保険と国民年金は原則14日以内、任意継続は原則20日以内という期限があります。期限を過ぎると選択肢が狭まったり、保険料や医療費の負担が増えたりする可能性があります。

フリーランスの社会保険で損しないためには、独立前に保険料を試算し、家族構成や収入見込み、将来の年金対策まで含めて比較することが重要です。保険料の安さだけでなく、万一のときの給付内容や働けない期間の備えも考え、自分に合った社会保険の形を選びましょう。