フリーランスの所得が48万円以下なら確定申告は不要?税金・扶養・住民税の注意点を解説

はじめに

「フリーランスの所得が48万円以下なら、確定申告は不要」と聞いたことがある人は多いでしょう。これは、令和6年分以前の所得税における基礎控除額が48万円だったことに由来します。

ただし、令和7年分以後は所得税の基礎控除が改正されています。合計所得金額が132万円以下の人については、令和7年分・令和8年分の基礎控除額が95万円となりました。そのため、現在は「48万円」が一律の確定申告ラインではありません。国税庁+1

また、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告や消費税の申告が必要になることがあります。税法上の扶養と社会保険の扶養でも、判定方法は異なります。

この記事では、フリーランスの所得が48万円以下の場合を中心に、確定申告、税金、扶養、住民税の注意点を解説します。

1. フリーランスの所得が48万円以下なら確定申告は不要?

1-1. 結論:所得48万円以下なら所得税の確定申告は原則不要

フリーランスの収入しかなく、所得控除を差し引いた後の課税所得が0円になる場合は、納める所得税が発生しないため、所得税の確定申告は原則として不要です。

令和6年分以前は、合計所得金額2,400万円以下の人に48万円の基礎控除が適用されていました。そのため、ほかに所得がなく、フリーランス所得が48万円以下であれば、課税所得は基本的に0円でした。

ただし、令和7年分以後は制度が改正されています。合計所得金額132万円以下の人の基礎控除額は95万円となったため、フリーランス所得が48万円を超えていても、所得税がかからない場合があります。国税庁+1

なお、確定申告の要否は「所得が48万円以下か」だけでなく、ほかの所得、所得控除、税額控除、源泉徴収税額などを含めて判断します。

1-2. 「48万円以下」は売上ではなく「所得」で判断する

48万円以下かどうかは、売上ではなく所得で判断します。

フリーランスの事業所得は、原則として次の計算式で求めます。

所得=売上-必要経費

例えば、年間売上が80万円、必要経費が35万円であれば、所得は45万円です。売上は48万円を超えていますが、所得は48万円以下となります。

反対に、売上が48万円以下でも、経費をまったく計上していなければ、売上とほぼ同額が所得になります。売上、入金額、手取り額を混同しないことが重要です。国税庁+1

1-3. 所得48万円以下でも確定申告したほうがよいケースがある

所得48万円以下で納税義務がなくても、次のような場合は確定申告をしたほうが有利です。

  • 報酬から所得税が源泉徴収されている

  • 事業の赤字を翌年以後に繰り越したい

  • 55万円または65万円の青色申告特別控除を受けたい

  • 住宅ローン、賃貸契約、保育園などで所得証明が必要

  • 給与所得など、フリーランス以外の所得がある

  • 医療費控除や寄附金控除などを申告したい

確定申告義務がない人でも、源泉徴収された税金が本来の税額より多ければ、還付申告によって返金を受けられます。還付申告は原則として翌年1月1日から5年間提出できます。国税庁+1

1-4. 令和7年分以降は基礎控除の改正にも注意が必要

所得税の基礎控除額は、対象年と合計所得金額によって異なります。

対象年合計所得金額基礎控除額
令和6年分以前2,400万円以下48万円
令和7年分・令和8年分132万円以下95万円
令和7年分・令和8年分132万円超336万円以下88万円
令和7年分・令和8年分336万円超489万円以下68万円
令和7年分・令和8年分489万円超655万円以下63万円
令和7年分・令和8年分655万円超2,350万円以下58万円

令和9年分以後も、合計所得金額132万円以下の場合は95万円ですが、132万円超2,350万円以下では原則58万円となります。国税庁

したがって、令和7年分以後にフリーランス所得が48万円以下であれば、ほかに所得がない限り所得税がかからない可能性は高いものの、「現在の基礎控除額が48万円」という説明は正確ではありません。

2. フリーランスの「所得48万円以下」の正しい計算方法

2-1. 所得=売上-必要経費で計算する

事業所得や業務に係る雑所得は、基本的に売上から必要経費を差し引いて計算します。

事業所得または雑所得=総収入金額-必要経費

売上には、銀行口座に入金された金額だけでなく、年内に仕事が完了して売上として計上すべき未入金の報酬が含まれる場合があります。事業所得では、原則として実際の入金日だけでなく、報酬を受け取る権利が確定した時点を基準に計上します。

一方、必要経費にできるのは、売上を得るために直接必要だった費用や、その年に発生した販売費、一般管理費などです。国税庁+1

2-2. 売上が48万円を超えていても経費を引けば所得48万円以下になる場合

例えば、次のようなケースを考えてみましょう。

  • 年間売上:90万円

  • パソコンや周辺機器の減価償却費:10万円

  • 通信費の事業使用分:8万円

  • ソフトウェア利用料:12万円

  • 交通費・消耗品費など:15万円

必要経費の合計は45万円なので、所得は次のようになります。

90万円-45万円=45万円

売上は90万円ですが、所得は45万円です。令和6年分以前の基準で見ても48万円以下となります。

ただし、経費を増やす目的で、私生活の支出を事業経費に含めることはできません。領収書があるだけで自動的に経費になるわけではなく、事業との関連性を説明できる必要があります。

2-3. 経費にできるもの・できないもの

フリーランスの必要経費になり得るものには、次のような支出があります。

  • 仕事用パソコン、スマートフォン、周辺機器

  • 文房具や事務用品

  • 会計ソフト、画像編集ソフトなどの利用料

  • 業務に使用した通信費

  • 事務所家賃や自宅家賃の事業使用分

  • 取引先への移動にかかった交通費

  • 広告宣伝費

  • 外注費

  • 業務に必要な書籍、研修費

  • 振込手数料

  • 仕事上必要な損害保険料

自宅家賃、電気代、インターネット料金など、私生活と事業の両方に関係する支出は、使用面積や使用時間など合理的な基準で按分します。

一方、次のような支出は原則として必要経費にできません。

  • 私生活だけに使った食費や日用品代

  • 所得税や住民税

  • 事業と関係のない衣服や美容代

  • 交通違反の反則金や罰金

  • 家族や友人との私的な飲食費

  • 事業との関連性を説明できない旅行費用

国税庁も、家事上の経費は必要経費にならず、事業に必要な部分を明確に区分できる場合に限り、その部分を必要経費にできるとしています。国税庁

2-4. 青色申告特別控除を使う場合の所得の考え方

青色申告者は、一定の要件を満たすことで、事業所得などから10万円、55万円または65万円の青色申告特別控除を差し引けます。

55万円控除を受けるには、原則として複式簿記で記帳し、貸借対照表や損益計算書を添付した申告書を期限内に提出する必要があります。さらに、e-Taxによる申告または優良な電子帳簿の保存などの要件を満たすと、最高65万円の控除を受けられます。国税庁+1

例えば、売上から経費を引いた金額が60万円で、青色申告特別控除を55万円適用できれば、事業所得は5万円です。

ただし、55万円または65万円の控除は、期限内申告が要件です。「青色申告特別控除を使えば所得48万円以下になるから申告しなくてよい」と考えることはできません。控除を適用するために確定申告が必要です。

また、青色申告特別控除は、控除前の事業所得などの金額が上限です。控除によって新たな赤字を作ることはできません。国税庁

2-5. 所得48万円以下か確認する具体例

例1:白色申告で所得45万円

  • 売上:75万円

  • 必要経費:30万円

  • 所得:45万円

令和6年分以前は、ほかに所得がなければ基礎控除48万円の範囲内です。令和7年分以後も、低所得者に適用される基礎控除95万円の範囲内です。

例2:売上100万円で青色申告特別控除を利用

  • 売上:100万円

  • 必要経費:45万円

  • 控除前所得:55万円

  • 青色申告特別控除:55万円

  • 控除後の事業所得:0円

55万円控除の要件を満たして期限内申告をすれば、事業所得は0円になります。ただし、控除を受けるには確定申告書と青色申告決算書の提出が必要です。

例3:赤字になった場合

  • 売上:40万円

  • 必要経費:55万円

  • 所得:マイナス15万円

納付する所得税は通常発生しません。ただし、青色申告者が赤字を翌年以後に繰り越したい場合は、確定申告を行う必要があります。

3. 所得48万円以下でも確定申告が必要・有利になるケース

3-1. 源泉徴収された税金の還付を受けたい場合

原稿料、デザイン料、講演料、士業報酬など、一部の報酬は支払時に所得税と復興特別所得税が源泉徴収されることがあります。

例えば、年間報酬50万円から5万1,050円が源泉徴収され、必要経費を差し引いた所得が30万円だった場合、最終的な所得税が0円であれば、確定申告によって源泉徴収税額の還付を受けられる可能性があります。

申告しなければ、源泉徴収された税金は原則として自動では返金されません。支払調書や入金明細で、源泉徴収税額を確認しましょう。国税庁+1

3-2. 赤字を翌年以降に繰り越したい場合

青色申告者の事業で純損失が生じた場合、一定の要件を満たすことで、損失を翌年以後3年間繰り越せます。翌年以後に利益が出たとき、繰り越した損失を差し引くことで税負担を抑えられます。国税庁+1

赤字だから何もしなくてよいと考えて申告しなかった場合、繰越控除を利用できなくなる可能性があります。開業直後で広告費や設備費が多い年ほど、申告するメリットが大きくなります。

3-3. 青色申告を継続したい場合

個人の青色申告承認は、所得が少ない年に確定申告をしなかっただけで、自動的に失効するとは限りません。個人の青色申告承認の取消しは、帳簿の不備や記録の隠蔽などを含めて総合的に判断されます。国税庁

ただし、申告しなければ、その年の55万円・65万円控除や赤字の繰越などの特典を利用できません。事業を継続しているなら、所得が少なくても帳簿を整え、毎年申告するほうが事業実績を明確にできます。

3-4. 収入証明・所得証明が必要になる場合

賃貸住宅の契約、住宅ローン、保育園の申込み、奨学金、各種給付金、融資などでは、確定申告書の控えや課税証明書、所得証明書を求められることがあります。

確定申告も住民税申告もしていないと、市区町村が所得を把握できず、非課税証明書などを発行できない場合があります。横浜市公式サイト+1

3-5. 医療費控除や社会保険料控除を受けたい場合

医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、寄附金控除などを反映させたい場合は、確定申告または住民税申告が必要になることがあります。

ただし、もともと所得税が0円で、源泉徴収もされていない場合、所得控除を追加しても所得税の還付は生じません。一方で、住民税の所得割が発生している場合には、住民税が下がる可能性があります。

3-6. 副業フリーランスで給与所得がある場合

会社員が副業としてフリーランス活動をしている場合、フリーランス所得だけが48万円以下でも、それだけで確定申告不要とは判断できません。

給与所得と事業所得・雑所得などを合算し、所得控除を差し引いて税額を計算する必要があります。また、給与所得者には「給与以外の所得が20万円以下なら確定申告を省略できる場合がある」という別のルールがあります。国税庁

4. フリーランス所得48万円以下と税金の関係

4-1. 所得税:基礎控除により課税所得が0円なら原則かからない

所得税は、おおむね次の流れで計算します。

各種所得の合計-所得控除=課税所得

課税所得が0円であれば、原則として所得税はかかりません。

令和6年分以前は基礎控除48万円が目安でしたが、令和7年分・令和8年分については、合計所得金額132万円以下の人の基礎控除は95万円です。国税庁

ただし、ほかに給与所得、不動産所得、配当所得、暗号資産による所得などがあれば、それらも含めて判断します。

4-2. 住民税:所得税の申告不要とは別に判断される

所得税がかからなくても、住民税がかかることがあります。

住民税には、所得に応じて計算する「所得割」と、一定額を負担する「均等割」があります。さらに、令和6年度からは森林環境税も併せて徴収されています。

扶養親族がいない人の場合、合計所得金額45万円以下を住民税の非課税基準としている自治体が多く見られます。そのため、所得が45万円超48万円以下の場合、所得税は0円でも住民税が課税される可能性があります。名古屋市公式サイト+1

4-3. 個人事業税:所得48万円以下なら通常は対象外

個人事業税は、地方税法上の法定業種に該当する事業を行う人に課される税金です。

年間を通じて事業を行った場合、原則として年間290万円の事業主控除があります。そのため、所得48万円以下であれば、通常は個人事業税がかかりません。東京税務署

ただし、個人事業税では青色申告特別控除を適用せずに所得を計算します。また、年の途中で開業・廃業した場合は、290万円の事業主控除が月割りになります。

4-4. 消費税:所得ではなく売上・インボイス登録状況で判断される

消費税の申告義務は、所得48万円以下かどうかでは判断しません。

原則として、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合や、特定期間の課税売上高などが1,000万円を超える場合は、消費税の課税事業者になります。国税庁

また、適格請求書発行事業者、いわゆるインボイス発行事業者として登録している場合は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、登録期間中は原則として消費税の申告が必要です。国税庁

所得が0円や赤字でも、消費税の納税額が発生する場合があるため注意しましょう。

4-5. 国民健康保険料・国民年金への影響

国民健康保険料は、前年の所得や世帯構成などを基に自治体が計算します。所得48万円以下であっても、均等割などがあるため、必ず0円になるわけではありません。

所得が一定以下の世帯には保険料の軽減制度がありますが、所得の申告がないと軽減判定を受けられないことがあります。横浜市公式サイト+1

国民年金保険料は所得税のように所得額から自動計算されるものではありません。支払いが難しい場合は、本人、配偶者、世帯主などの所得要件に基づく免除・納付猶予制度を申請できます。年金機構+1

5. 所得48万円以下でも住民税の申告は必要?

5-1. 住民税には所得税とは異なる非課税基準がある

住民税の非課税基準は、所得税の基礎控除額とは別に定められています。

そのため、令和6年分以前の所得税で使われていた「48万円以下」という基準を、そのまま住民税に当てはめることはできません。所得48万円以下でも、自治体の非課税基準を超えていれば、住民税の均等割や所得割が課される可能性があります。

5-2. 自治体によって住民税の非課税ラインが異なる

住民税の非課税基準は、自治体、扶養親族の人数、障害者・未成年者・ひとり親・寡婦に該当するかなどによって変わります。

扶養親族がいない人については、合計所得金額45万円以下を非課税としている自治体が多い一方、申告が不要となる所得基準などは自治体ごとに異なる場合があります。岡山市公式ウェブサイト+1

居住地の市区町村が公開している住民税の案内を確認することが大切です。

5-3. 確定申告をしない場合は住民税申告が必要になることがある

所得税の確定申告書を提出すると、その情報が市区町村にも送られるため、原則として住民税申告を別途行う必要はありません。

一方、所得税の確定申告をしないフリーランスは、市区町村に事業所得や雑所得の情報が届かないことがあります。その場合は、住民税申告が必要です。横浜市公式サイト+1

所得が少ない、または赤字であることを市区町村に伝えるための申告になることもあります。

5-4. 住民税申告をしない場合のデメリット

住民税申告をしないと、次のような影響が生じる可能性があります。

  • 課税証明書や非課税証明書を発行できない

  • 国民健康保険料の軽減を受けられない

  • 介護保険料の算定に影響する

  • 保育料や公営住宅の審査に影響する

  • 児童手当などの行政サービスで所得を確認できない

  • 所得が不明なため、行政上の負担額が高くなる

無収入の場合でも、自治体によっては住民税申告を求めています。横浜市公式サイト+1

5-5. 住民税申告が不要になるケース

一般的に、次のような場合は住民税申告が不要です。

  • 所得税の確定申告をした

  • 給与所得のみで、勤務先から給与支払報告書が提出されている

  • 公的年金収入のみで、追加する控除がない

  • 同一世帯の親族の扶養親族として自治体に情報が届いている

  • 自治体が定める申告不要要件に該当する

ただし、自治体ごとに取扱いが異なります。所得48万円以下だから住民税申告も不要と自己判断せず、居住地の市区町村に確認しましょう。

6. 所得48万円以下と扶養の関係

6-1. 税法上の扶養は合計所得金額48万円以下が目安

令和6年分以前の所得税では、配偶者控除や扶養控除の対象となる親族の合計所得金額は、原則48万円以下でした。

ただし、令和7年分以後は、この所得要件が58万円以下に引き上げられています。給与収入だけの場合は、給与所得控除の最低額65万円を差し引くため、給与収入123万円以下が目安です。国税庁+1

フリーランスの場合は給与所得控除を使えないため、原則として売上から必要経費などを差し引いた合計所得金額で判定します。

6-2. 配偶者控除・扶養控除で見るべき所得金額

配偶者控除では、令和7年分以後、配偶者の年間合計所得金額が58万円以下であることが基本要件です。また、控除を受ける本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合、配偶者控除は受けられません。国税庁

配偶者の合計所得金額が58万円を超えても、133万円以下であれば、納税者本人の所得などに応じて配偶者特別控除を受けられる可能性があります。国税庁

一般の扶養親族についても、令和7年分以後は原則として合計所得金額58万円以下が基準です。ただし、19歳以上23歳未満の親族には、所得に応じて特定親族特別控除が適用される場合があります。国税庁

6-3. 親の扶養に入っているフリーランスが注意すべき点

親が扶養控除を受けている場合、子どもの所得が基準を超えると、親が扶養控除を受けられなくなる可能性があります。

判定に使うのは、原則としてフリーランスの売上ではなく合計所得金額です。ただし、経費として認められない私的支出を差し引いて所得を低く見せることはできません。

所得の見込みが基準を超えそうな場合は、親の年末調整や確定申告にも影響します。年間の売上と経費を早めに集計し、親に正確な所得見込額を伝えましょう。

6-4. 社会保険の扶養は「所得」ではなく「収入」で判断されることが多い

健康保険の被扶養者認定は、税法上の扶養とは別の制度です。

一般的には、年間収入130万円未満であることに加え、同居の場合は被保険者の収入の2分の1未満、別居の場合は仕送り額未満といった要件があります。年金機構

自営業者やフリーランスの場合は、総売上から事業を行うために直接必要な経費を差し引いて判定されることがあります。ただし、税務上の必要経費がすべて健康保険の扶養判定でも認められるとは限りません。減価償却費や青色申告特別控除などの取扱いは、加入する健康保険組合によって異なることがあります。年金機構

6-5. 扶養から外れると税金・保険料にどんな影響があるか

税法上の扶養から外れると、扶養している親や配偶者の所得控除が減り、家族の所得税や住民税が増える可能性があります。

社会保険の扶養から外れた場合は、自分で国民健康保険などに加入し、保険料を支払う必要があります。配偶者の扶養に入り国民年金の第3号被保険者となっていた人は、第1号被保険者への変更と国民年金保険料の負担が必要になることがあります。

なお、親の健康保険の扶養に入っている20歳以上の子どもは、健康保険の扶養であっても、国民年金では原則として第1号被保険者です。健康保険と年金の扶養を同じものとして考えないようにしましょう。

7. 副業フリーランスの場合の48万円・20万円ルールの違い

7-1. 所得48万円以下と副業所得20万円以下は別のルール

「48万円以下」と「20万円以下」は、適用される場面が異なります。

48万円は、令和6年分以前の基礎控除額や扶養判定に使われていた金額です。現在は基礎控除や扶養の所得要件が改正されています。

一方、20万円ルールは、年末調整を受けた給与所得者などが、給与以外の所得について所得税の確定申告を省略できる制度です。専業フリーランスには原則として適用されません。

7-2. 会社員の副業は所得20万円以下なら所得税の確定申告が不要になる場合がある

1か所から給与を受け取り、その給与が源泉徴収の対象で年末調整済みの会社員は、給与・退職所得以外の所得合計が20万円以下であれば、所得税の確定申告を省略できる場合があります。国税庁

ここでも判定するのは売上ではなく所得です。

例えば、副業売上が35万円、必要経費が18万円なら、副業所得は17万円です。ほかに給与以外の所得がなければ、20万円以下の範囲に入ります。

ただし、医療費控除や住宅ローン控除の初年度など、別の理由で確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も含めて申告しなければなりません。

7-3. 副業所得20万円以下でも住民税申告は必要になる

20万円ルールは、所得税の確定申告に関する制度です。住民税には同じ申告省略制度がないため、副業所得が20万円以下でも、原則として住民税申告が必要です。名古屋市公式サイト+1

所得税の確定申告をすれば、通常はその情報が市区町村にも送られます。確定申告をしない場合は、住民税申告を忘れないようにしましょう。

7-4. 給与所得とフリーランス所得を合算して判断する

所得税額は、給与所得と事業所得、雑所得などを原則として合算して計算します。

副業所得が48万円以下であっても、本業の給与所得があれば、全体の課税所得は0円にならないことが一般的です。そのため、副業フリーランスが「所得48万円以下だから所得税はかからない」と考えるのは誤りです。

20万円ルールを使えるか、確定申告をした場合に追加納税や還付が発生するかを分けて確認しましょう。

7-5. 会社に副業が知られたくない場合の住民税の注意点

給与以外の事業所得や雑所得に対する住民税については、確定申告書や住民税申告書で「自分で納付」を選択できる場合があります。選択が認められれば、副業所得分の住民税は、勤務先の給与から天引きせず、自分で納付します。熊本市公式サイト

ただし、自治体の処理や所得の種類によっては希望どおりに分けられないことがあります。また、住民税以外の情報から副業が知られる可能性もあるため、完全に防げる方法ではありません。

勤務先の就業規則も確認し、必要な許可や届出を行うことが大切です。

8. フリーランス所得48万円以下の人がやるべき手続き

8-1. まず売上・経費・所得を正確に集計する

最初に、1月1日から12月31日までの売上と必要経費を集計します。

売上は、通帳への入金額だけでなく、請求書、売上管理表、決済サービスの履歴などとも照合しましょう。経費については、領収書、レシート、クレジットカード明細、請求書を整理し、事業との関係を説明できるようにします。

8-2. 確定申告が必要かどうかを確認する

次の順番で確認すると判断しやすくなります。

  1. 売上から必要経費を引いて所得を計算する

  2. 給与所得など、ほかの所得を合算する

  3. 基礎控除や社会保険料控除などを確認する

  4. 源泉徴収税額や予定納税額を確認する

  5. 青色申告特別控除や赤字繰越を利用するか検討する

  6. 所得税の納付額または還付額を試算する

「所得48万円以下」という一点だけで判断せず、対象年の基礎控除額を確認しましょう。

8-3. 住民税申告の要否を自治体に確認する

所得税の確定申告をしない場合は、居住する市区町村のウェブサイトや税務担当窓口で、住民税申告が必要か確認します。

確認する際は、「フリーランスの事業所得または雑所得がある」「所得税の確定申告はしない予定」と伝えると、必要な手続きを案内してもらいやすくなります。

8-4. 扶養に入っている場合は家族の勤務先ルールを確認する

税法上の扶養については、対象年の合計所得金額を確認します。令和6年分以前は48万円以下、令和7年分以後は原則58万円以下が目安です。

社会保険の扶養については、家族が加入している健康保険組合や勤務先に確認します。税務上の所得が58万円以下でも、健康保険上の収入基準を超えれば扶養から外れる可能性があります。

8-5. 源泉徴収票・支払調書・領収書を保管する

フリーランスは、次のような書類を整理して保管しましょう。

  • 請求書

  • 領収書、レシート

  • 銀行口座や決済サービスの明細

  • クレジットカード明細

  • 支払調書

  • 給与所得がある場合の源泉徴収票

  • 国民年金保険料などの控除証明書

  • 生命保険料控除証明書

  • 医療費の明細

  • インボイスや仕入れに関する書類

支払調書が発行されなくても、売上を申告しなくてよいわけではありません。自分の帳簿と入金記録を基に、すべての売上を集計します。

8-6. 来年以降の収入増に備えて帳簿をつけておく

所得48万円以下で申告不要となる年でも、記帳は続けましょう。

収入が増えてから過去の取引を整理しようとすると、経費の計上漏れや売上の集計ミスが起こりやすくなります。会計ソフトや表計算ソフトを利用し、売上、経費、事業用口座の入出金を定期的に記録しておくことが大切です。

9. フリーランス所得48万円以下でよくある質問

9-1. 売上が48万円以下なら確定申告しなくていい?

売上ではなく、売上から必要経費を差し引いた所得で判断します。

売上48万円以下でも、給与所得などがあれば確定申告が必要になる場合があります。また、所得税の申告が不要でも、住民税申告や消費税申告が必要になることがあります。

9-2. 経費を引いたら所得0円でも申告は必要?

ほかに所得がなく、源泉徴収税額もなく、赤字の繰越などを利用しない場合は、所得税の確定申告が不要となることがあります。

ただし、住民税申告が必要な場合があります。青色申告の赤字を繰り越したい場合や、源泉徴収税額の還付を受けたい場合は、確定申告を行いましょう。

9-3. 開業届を出していても所得48万円以下なら確定申告不要?

開業届を出しているだけで、必ず所得税の確定申告義務が発生するわけではありません。

確定申告義務は、所得や所得控除、税額などを基に判断します。ただし、開業届を出して事業を継続している場合は、所得が少なくても帳簿や証憑書類を整理しておく必要があります。

9-4. 青色申告承認申請を出している場合は申告しないとどうなる?

個人の青色申告承認が、1年申告しなかっただけで直ちに自動取消しになるとは限りません。

ただし、55万円・65万円の青色申告特別控除、赤字の繰越、純損失の繰戻しなどを利用するには、確定申告が必要です。青色申告のメリットを維持したい場合は、所得が少ない年も期限内申告を検討しましょう。

9-5. 所得48万円以下でもインボイス登録している場合はどうなる?

インボイス発行事業者として登録している場合、所得48万円以下でも、原則として消費税の確定申告が必要です。

所得税と消費税は別の税金です。所得税の確定申告が不要でも、消費税の申告期限や納税額を確認しなければなりません。国税庁

9-6. フリーランス1年目で所得48万円以下なら何をすればいい?

まず、年間の売上と必要経費を集計し、所得を確定させます。そのうえで、次の点を確認しましょう。

  • 報酬から源泉徴収されていないか

  • 青色申告特別控除を使う予定があるか

  • 事業が赤字になっていないか

  • 給与など、ほかの所得がないか

  • 住民税申告が必要か

  • 家族の税法上・社会保険上の扶養に影響しないか

  • インボイス登録をしていないか

所得税の確定申告が不要でも、帳簿や領収書は整理して保管し、翌年以後の収入増加に備えましょう。

まとめ

フリーランスの所得が48万円以下で、ほかに所得がなく、所得税の課税所得が0円になる場合は、所得税の確定申告は原則として不要です。

ただし、48万円は令和6年分以前の基礎控除額です。令和7年分・令和8年分は、合計所得金額132万円以下の人について、所得税の基礎控除額が95万円に引き上げられています。一方、配偶者控除や扶養控除の所得要件は、令和7年分以後、原則58万円以下です。

また、所得税の確定申告が不要でも、次の手続きが必要になることがあります。

  • 住民税の申告

  • 源泉徴収税額の還付申告

  • 青色申告の赤字繰越

  • インボイス登録者の消費税申告

  • 国民健康保険料の軽減判定に必要な所得申告

「フリーランス所得48万円以下」という金額だけで判断せず、対象年、ほかの所得、住民税、扶養、社会保険、インボイス登録状況まで確認することが重要です。