フリーランスの納品書の書き方|必要項目・テンプレート・請求書との違いまで解説
はじめに
フリーランスとして仕事をしていると、取引先から「納品書を送ってください」と依頼されることがあります。しかし、請求書との違いや必要な記載項目が分からず、作成方法に迷う方も少なくありません。
納品書は、制作物や商品、サービスを「いつ、何を、どれだけ納品したか」を取引先と確認するための書類です。正しく作成しておけば、請求内容の食い違いや納品漏れを防ぎ、取引を円滑に進められます。
本記事では、フリーランスの納品書に必要な項目や具体的な書き方、テンプレートの選び方、請求書との違い、保存期間まで詳しく解説します。
1. フリーランスに納品書は必要?基本の役割を解説
1-1. 納品書とは納品内容を証明する書類
納品書とは、商品や制作物、サービスなどを取引先へ納めた際に、その内容を伝えるために発行する書類です。
一般的な納品書には、次のような情報を記載します。
納品日
納品した商品やサービスの名称
数量
単価
金額
発行者と取引先の情報
フリーランスの場合、納品物は物品だけではありません。記事原稿、Webサイト、デザインデータ、動画、システム、コンサルティング業務なども納品書の対象になります。
ただし、納品書を発行しただけで、取引先の検収が完了したことになるとは限りません。検収完了の条件は、業務委託契約書や発注書などで別途定められていることがあるため、契約内容も確認しましょう。
1-2. フリーランスが納品書を発行する主な場面
フリーランスが納品書を発行する主な場面は、次のとおりです。
企業から納品書の提出を求められたとき
商品や制作物を納品したとき
複数の成果物をまとめて納品するとき
月ごとの作業内容を報告するとき
分割納品や段階納品を行うとき
納品後に請求書を発行するとき
取引先の経理処理に納品書が必要なとき
特に企業との取引では、発注、納品、検収、請求という手順が社内規程で決められていることがあります。納品書がないと検収や支払いの手続きに進めない場合もあるため、取引開始時に必要書類を確認しておくことが重要です。
1-3. 納品書を作成する目的とメリット
納品書を作成する最大の目的は、納品した内容について発注者と受注者の認識を一致させることです。
たとえば、記事制作を10本受注した場合、納品書に記事タイトルや本数を記載しておけば、どの記事を納品したのか明確になります。Web制作やデザイン業務でも、納品ファイルや対応範囲を記載することで、納品漏れや認識違いを防げます。
納品書を発行する主なメリットは、次のとおりです。
納品内容を客観的に確認できる
発注内容との相違を発見しやすくなる
請求書を作成する際の根拠になる
取引先の検収や経理処理がスムーズになる
納品日や取引内容の記録を残せる
複数案件を管理しやすくなる
納品書番号を付け、請求書番号や案件番号と関連付けておけば、問い合わせがあったときにも該当する取引をすぐに確認できます。
1-4. 納品書は必ず発行しなければならないのか
すべての取引で、必ず「納品書」という名称の書類を発行しなければならないわけではありません。納品内容をメールや業務管理システムで確認し、納品書を省略する取引もあります。
ただし、次のような場合は納品書を発行しましょう。
契約書や発注書で提出が定められている
取引先から発行を依頼されている
取引先の検収手続きに必要である
納品内容を明確に記録しておきたい
複数回に分けて納品する
インボイス制度でも、必要事項を満たしていれば書類の名称は問われず、納品書を適格請求書として扱うことができます。反対に、納品書とは別に適格請求書を発行することも可能です。国税庁+1
発行の要否に迷った場合は、取引開始時に「納品書と請求書の両方が必要ですか」と確認しておくと安心です。
2. 納品書と請求書・見積書・発注書との違い
納品書、請求書、見積書、発注書は、それぞれ発行する時期と目的が異なります。
| 書類 | 主な発行者 | 発行時期 | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| 見積書 | フリーランス | 契約・発注前 | 料金や作業条件を提示する |
| 発注書 | 取引先 | 発注時 | 業務や商品の注文内容を示す |
| 納品書 | フリーランス | 納品時 | 納品した内容を示す |
| 請求書 | フリーランス | 納品・検収後 | 代金の支払いを求める |
2-1. 納品書と請求書の違い
納品書は「何を納品したか」を伝える書類であり、請求書は「いくら支払ってほしいか」を伝える書類です。
両方に品目、数量、単価、金額を記載することがありますが、目的は異なります。請求書には、通常、支払期限や振込先などを記載します。一方、納品書では、納品日や納品内容を明確にすることが重視されます。
取引先によっては「納品書兼請求書」として1枚にまとめることも可能です。ただし、取引先の社内処理上、別々の書類が必要な場合があるため、事前に確認しましょう。
2-2. 納品書と見積書の違い
見積書は、契約や発注が確定する前に、予定している作業内容と料金を提示する書類です。納品書は、実際に納めた内容を記録する書類です。
見積もりの段階では作業量が確定しておらず、実際の納品時に数量や金額が変わることもあります。その場合は、変更について取引先の了承を得たうえで、確定した内容を納品書に記載します。
見積書と納品書の内容が大きく異なる場合、請求時のトラブルにつながる可能性があります。追加作業が発生したときは、メールや変更見積書などで合意を残しておきましょう。
2-3. 納品書と発注書の違い
発注書は、取引先がフリーランスに対して、仕事や商品を正式に注文するための書類です。納品書は、その発注内容に対して、フリーランスが実際に納めたものを示します。
納品書を作成するときは、発注書に記載された次の情報と照合することが重要です。
案件名
発注番号
品目
数量
単価
納期
納品方法
担当部署
担当者名
発注番号がある場合は、納品書の備考欄などに記載すると、取引先が社内で照合しやすくなります。
2-4. 納品書から請求書までの一般的な流れ
フリーランスの取引では、一般的に次のような流れで書類をやり取りします。
フリーランスが見積書を提出する
取引先が発注書を発行する
契約を締結し、業務を開始する
成果物と納品書を提出する
取引先が検収する
フリーランスが請求書を提出する
取引先が代金を支払う
必要に応じて領収書を発行する
実際の流れは取引先によって異なります。納品書を提出せず、検収完了後に請求書だけを提出するケースもあります。
また、月額契約では、月末に作業報告書と納品書を提出し、翌月初めに請求書を発行する方法が一般的です。
3. フリーランスの納品書に記載すべき必要項目
納品書の書式に厳密な決まりはありませんが、取引内容を正確に伝えるため、基本的な項目を漏れなく記載しましょう。
3-1. 納品書の発行日
発行日には、納品書を作成または発行した日付を記載します。
たとえば、6月15日に成果物を納品し、6月16日に納品書を作成した場合は、発行日を6月16日、納品日を6月15日とします。
取引先から日付の指定がある場合を除き、実際とは異なる日付にさかのぼって発行することは避けましょう。
3-2. 納品書番号
納品書番号は、書類を管理するための識別番号です。法律上、一般的な納品書に必ず必要な項目というわけではありませんが、番号を付けておくと管理しやすくなります。
番号の例は次のとおりです。
DN-2026-001
N-202606-015
20260619-01
ABC-DN-001
「年・月・連番」など、一定のルールで採番しましょう。請求書番号や案件番号と関連付けると、後から照合しやすくなります。
3-3. 宛先・取引先名
宛先には、納品先となる会社名、屋号、個人名などを正式名称で記載します。
法人宛ての場合は、株式会社を「(株)」と省略せず、登記上または取引上使用されている名称を記載するのが基本です。
記載例は次のとおりです。
株式会社〇〇 御中
株式会社〇〇 マーケティング部 御中
株式会社〇〇 マーケティング部 山田太郎 様
会社や部署に宛てる場合は「御中」、個人に宛てる場合は「様」を使用します。「御中」と「様」を同時に付けないように注意しましょう。
3-4. 発行者情報
発行者情報には、フリーランス自身の情報を記載します。
基本的な記載項目は次のとおりです。
氏名
屋号
住所
電話番号
メールアドレス
適格請求書発行事業者の登録番号
屋号を使用している場合でも、取引先が発行者を特定できるよう、屋号と個人名を併記すると分かりやすくなります。
納品書を適格請求書として使用する場合は、氏名または名称に加えて、適格請求書発行事業者の登録番号など、インボイスの必要事項を記載しなければなりません。国税庁+1
3-5. 納品日
納品日には、商品、成果物、サービスを実際に取引先へ納めた日を記載します。
データをメールやクラウドストレージで提出した場合は、原則として送信または共有した日を記載します。ただし、契約書で納品日の定義が決められている場合は、その取り決めを優先します。
複数回に分けて納品した場合は、品目ごとに納品日を記載するか、納品書を分けて発行すると分かりやすくなります。
3-6. 納品内容・品目
納品内容は、第三者が見ても何を納品したのか分かるように具体的に記載します。
たとえば「制作費」だけでは、何を制作したのか分かりません。次のように案件名や成果物を記載しましょう。
SEO記事制作「フリーランスの納品書の書き方」
コーポレートサイトトップページデザイン
商品紹介動画編集・完成データ
2026年6月分システム保守業務
ロゴデザイン最終データ一式
オンラインコンサルティング2時間
ファイル名、URL、納品形式などを備考欄に記載する方法も有効です。
3-7. 数量・単価・金額
数量、単価、金額は、請求内容との食い違いを防ぐために記載します。
記事制作であれば「5本」、コンサルティングであれば「2時間」、月額業務であれば「1か月」など、業務内容に合った単位を使用します。
固定報酬で単価を示しにくい場合は、数量を「1式」、単価を契約金額として記載できます。
記載例は次のとおりです。
| 品目 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| SEO記事制作 | 5 | 本 | 20,000円 | 100,000円 |
| 画像選定 | 1 | 式 | 10,000円 | 10,000円 |
3-8. 消費税・合計金額
金額を記載する場合は、小計、消費税額、合計金額を分けると確認しやすくなります。
納品書を適格請求書として使用する場合は、税率ごとに区分した税込または税抜対価の合計額、適用税率、税率ごとの消費税額などを記載します。消費税額の端数処理は、適格請求書単位で税率ごとに1回行うのが原則です。国税庁+1
免税事業者など、適格請求書発行事業者として登録していないフリーランスは、登録番号を記載できません。自分の登録状況に合った書類を作成しましょう。
3-9. 備考欄
備考欄には、取引先が納品内容を確認するために必要な補足情報を記載します。
たとえば、次のような内容です。
発注番号
案件番号
契約書番号
納品ファイル名
データ共有先のURL
分割納品である旨
修正対応の範囲
検収期限
請求書番号
再発行である旨
「本納品書は〇月〇日付発注書No.123に基づくものです」などと記載すると、関連書類を照合しやすくなります。
4. フリーランス向け納品書の書き方・作成手順
4-1. 取引内容と納品物を確認する
最初に、契約書、発注書、見積書、メールなどを確認し、納品内容を整理します。
確認すべきポイントは、次のとおりです。
案件名
納品物
数量
単価
納期
納品方法
消費税の扱い
取引先の正式名称
発注番号
指定された書式の有無
追加作業や数量変更があった場合は、取引先の承認を得ているかも確認しましょう。
4-2. 納品書のフォーマットを用意する
次に、Excel、Word、Googleスプレッドシート、請求書作成ツールなどで納品書のフォーマットを用意します。
取引先から指定のテンプレートを渡されている場合は、その書式を使用します。指定がなければ、A4縦1枚程度に収まるシンプルなフォーマットが使いやすいでしょう。
一度テンプレートを作成しておけば、次回以降は日付や品目を変更するだけで発行できます。
4-3. 必要項目を記入する
用意したフォーマットに、発行日、納品日、宛先、発行者情報、品目、数量、金額などを入力します。
特に宛先の会社名や担当者名は間違えやすいため、メールの署名、契約書、取引先の公式情報などと照合しましょう。
納品書番号を採番する場合は、過去の番号と重複しないように管理します。
4-4. 金額や税率を確認する
品目ごとに「数量×単価」が正しく計算されているか確認します。小計、消費税額、合計金額も請求予定額と一致させましょう。
複数の税率が混在する場合は、税率ごとに金額と消費税額を区分します。通常のWeb制作、執筆、デザイン、コンサルティングなどの役務には標準税率が適用されますが、物品販売を伴う場合などは取引内容に応じて税率を確認してください。
4-5. PDF化して取引先へ送付する
納品書が完成したら、ExcelやWordの編集ファイルをそのまま送るのではなく、PDF形式に変換して送付するのが基本です。
PDFにすると、次のようなメリットがあります。
相手の環境によるレイアウト崩れを防げる
数式や文字を誤って変更されにくい
パソコンやスマートフォンで確認しやすい
作成時の表示状態を保ちやすい
ファイル名は、内容が分かるように統一します。
例:
納品書_株式会社〇〇御中_20260619_DN-2026-015.pdf
メール本文には、案件名、納品日、添付ファイル名などを簡潔に記載しましょう。
4-6. 控えを保存する
取引先へ送った納品書は、必ず控えを保存します。送付後にファイルを書き換えず、送った時点のPDFをそのまま保管することが重要です。
納品書をメールやクラウドサービスなどで電子的に送付した場合は、電子取引データとして電子データのまま保存する必要があります。送った側も保存対象となるため、PDFだけでなく、必要に応じて送信メールや取引記録も確認できる状態にしておきましょう。国税庁+1
5. 納品書テンプレートの選び方と使い方
5-1. Excel・Wordテンプレートを使う方法
Excelは、数量、単価、消費税などを自動計算したい場合に適しています。数式を設定しておけば、品目や数量を入力するだけで合計金額を算出できます。
Wordは、品目が少なく、文章による説明を多く記載したい場合に使いやすい方法です。デザイン制作やコンサルティングなど、納品内容の補足説明が必要な取引に向いています。
ただし、前回の納品書を上書きして控えを失わないよう、案件ごとに別名で保存しましょう。
5-2. Googleスプレッドシートで作成する方法
Googleスプレッドシートを使えば、パソコンにExcelが入っていなくても、ブラウザ上で納品書を作成できます。
クラウド上に保存されるため、複数の端末から編集できる点もメリットです。作成後は「ファイル」からPDFとしてダウンロードし、取引先へ送付します。
テンプレート原本は編集せず、案件ごとにコピーして使用すると、誤って元のフォーマットを変更するリスクを減らせます。
5-3. 請求書作成ツールを活用する方法
納品書の発行件数が多い場合は、請求書作成ツールやクラウド会計ソフトを利用すると便利です。
ツールによっては、見積書の内容を納品書へ変換し、その納品書から請求書を作成できます。品目を何度も入力する必要がなくなり、転記ミスを減らせます。
取引先情報、品目、税率、登録番号などもあらかじめ登録できるため、継続案件が多いフリーランスに適しています。
選ぶ際は、次の機能を確認しましょう。
納品書を作成できるか
PDF出力に対応しているか
見積書や請求書へ変換できるか
インボイス制度に対応しているか
電子帳簿保存法に対応しているか
書類番号を自動採番できるか
データを検索・出力できるか
5-4. テンプレートを使う際の注意点
無料テンプレートを使う場合は、必要な項目がそろっているか確認してください。
特に注意したいのは、次の点です。
発行日と納品日を分けて記載できるか
納品書番号を記載できるか
宛先と発行者情報の欄があるか
品目、数量、単価、金額を入力できるか
消費税率と消費税額を区分できるか
備考欄があるか
適格請求書に必要な項目を追加できるか
数式が設定されたExcelテンプレートでは、行を追加した際に合計範囲から外れることがあります。完成後は必ず計算結果を確認しましょう。
5-5. フリーランスにおすすめの納品書フォーマット
フリーランスには、A4縦1枚で取引内容を確認できる、次のようなフォーマットがおすすめです。
納品書
納品書番号:DN-2026-001
発行日 :2026年6月19日
株式会社〇〇
〇〇部 ご担当者様
下記のとおり納品いたします。
【納品日】
2026年6月18日
【案件名】
オウンドメディア記事制作
【納品内容】
品目 数量 単価 金額
SEO記事制作 5本 20,000円 100,000円
画像選定・入稿作業 1式 10,000円 10,000円
小計 110,000円
消費税10% 11,000円
合計 121,000円
【備考】
発注番号:PO-2026-123
納品データは指定の共有フォルダに格納済みです。
【発行者】
屋号:〇〇デザイン
氏名:山田太郎
住所:東京都〇〇区〇〇
電話:00-0000-0000
メール:example@example.com
登録番号:T1234567890123
振込先や支払期限は請求書に記載する情報であるため、納品書だけに必ず記載する必要はありません。「納品書兼請求書」として使用する場合は、振込先や支払期限も追加します。
6. 納品書を作成・送付するときの注意点
6-1. 請求書と内容を一致させる
納品書と請求書の品目、数量、単価、金額は一致させるのが基本です。
内容が異なる場合、取引先の経理担当者が確認できず、支払いが遅れる可能性があります。値引き、追加作業、数量変更などが発生した場合は、その理由が分かるように記載しましょう。
納品書番号を請求書に記載すると、どの納品に対する請求なのか明確になります。
6-2. 納品日と発行日を混同しない
納品日は商品や成果物を納めた日、発行日は納品書を作成・発行した日です。
同じ日になることもありますが、必ずしも一致するとは限りません。納品後に納品書を作成した場合は、それぞれ実際の日付を記載します。
取引先の締め日や売上計上にも影響することがあるため、曖昧な日付を記載しないようにしましょう。
6-3. 税率や消費税額を間違えない
金額を記載する場合は、適用税率と消費税額を正しく計算します。
複数税率がある取引では、対象品目を区分し、税率ごとの対価と消費税額を記載します。納品書を適格請求書として使用する場合は、インボイスの記載要件と端数処理のルールにも注意が必要です。国税庁+1
計算ミスを防ぐには、数式を設定したテンプレートや請求書作成ツールを利用すると効果的です。
6-4. 押印の有無を取引先に確認する
一般的な納品書では、必ずしも押印を求められるとは限りません。電子印鑑を含め、押印なしで受け付ける企業もあります。
一方で、取引先の社内規程や指定フォーマットによっては、角印や担当者印が必要なことがあります。取引先から指定がある場合は、そのルールに従いましょう。
毎回確認する手間を減らすため、初回取引時に押印の要否を確認しておくのがおすすめです。
6-5. メール送付時はPDF形式にする
メールで納品書を送る場合は、基本的にPDF形式を使用します。ExcelやWordのまま送ると、相手の端末でレイアウトが崩れたり、誤って内容が変更されたりする可能性があります。
送信前には、次の項目を確認しましょう。
宛先に誤りがないか
正しいPDFを添付しているか
ファイルが開けるか
文字や表が切れていないか
金額が正しいか
古い納品書が混在していないか
パスワード設定に関する取引先のルールを満たしているか
電子メールで送付した納品書は、電子取引データとして検索・確認できる状態で保存する必要があります。国税庁は、電子取引データについて、改ざん防止措置や「日付・金額・取引先」による検索などの保存要件を示しています。国税庁+1
6-6. 再発行時は管理番号で区別する
記載ミスなどで納品書を再発行する場合は、最初の納品書と区別できるようにします。
たとえば、次のような方法があります。
納品書番号の末尾に「R1」を付ける
備考欄に「2026年6月19日発行分の訂正版」と記載する
ファイル名に「再発行」または「訂正版」と付ける
元の納品書を無効として管理する
単に同じ番号の書類を上書きすると、どの書類が最新なのか分からなくなります。誤った納品書も削除せず、無効であることが分かる状態で保存しておくと、変更履歴を追いやすくなります。
7. 納品書の保存期間と管理方法
7-1. フリーランスが納品書を保存すべき理由
納品書の控えは、確定申告のためだけでなく、取引内容を証明する資料としても重要です。
保存しておけば、次のような場面で役立ちます。
請求内容について問い合わせを受けたとき
入金額と請求額が一致しないとき
過去の納品内容を確認するとき
継続案件の単価や数量を確認するとき
税務調査で取引内容を説明するとき
取引先と納品日の認識が食い違ったとき
見積書、発注書、契約書、納品書、請求書、入金記録をひとまとまりで管理すると、取引の流れを説明しやすくなります。
7-2. 納品書の保存期間の目安
個人事業を行うフリーランスが取引に関して作成または受領した納品書は、原則として5年間保存する書類に該当します。
ただし、納品書を適格請求書として交付している場合など、消費税に関する書類として7年間の保存が必要になるケースがあります。国税庁は、請求書、見積書、契約書、納品書などの「その他の書類」を5年間、適格請求書発行事業者が交付した適格請求書の写しや提供した電磁的記録を7年間保存するよう案内しています。国税庁+1
実務上は、書類ごとに保存期限を細かく分けるより、関連する見積書、納品書、請求書などをまとめて7年間保存すると管理しやすいでしょう。
7-3. 紙と電子データの管理方法
紙で発行・受領した納品書は、年や取引先ごとにファイルへまとめます。日付順や納品書番号順に並べると探しやすくなります。
電子データは、次のようなフォルダ構成で管理すると便利です。
2026年
├─ 01_株式会社A
│ ├─ 見積書
│ ├─ 発注書
│ ├─ 納品書
│ ├─ 請求書
│ └─ 入金記録
└─ 02_株式会社B
ファイル名も統一しましょう。
20260618_納品書_株式会社A_DN-2026-015_121000円.pdf
電子メールやクラウドサービスでやり取りした納品書は、電子データのまま保存する必要があります。紙に印刷するだけではなく、元のPDFなどを確認できる状態で保管しましょう。国税庁+1
7-4. 確定申告に備えた書類管理のポイント
確定申告に備えるには、納品書を単独で保存するのではなく、売上データや請求書と関連付けて管理することが大切です。
月に一度、次の内容を確認すると、年度末の作業を減らせます。
納品済みだが請求していない案件がないか
請求済みだが未入金の案件がないか
納品書と請求書の金額が一致しているか
取引先名や日付で検索できるか
電子データのバックアップがあるか
再発行や訂正の履歴が残っているか
クラウドストレージだけでなく、別の保存先にも定期的にバックアップしておくと、誤削除や端末故障に備えられます。
8. フリーランスの納品書に関するよくある質問
8-1. 納品書に印鑑は必要?
取引先から指定されていなければ、押印なしで受け付けてもらえることがあります。押印の有無だけでなく、宛先、発行者、納品日、納品内容などが正確に記載されていることが重要です。
ただし、取引先の社内規程で角印や担当者印が必要な場合があります。指定のフォーマットがある場合は、押印欄も確認しましょう。
電子納品書では、角印の画像や電子印鑑を使用することもありますが、使用方法は取引先のルールに合わせてください。
8-2. 納品書に収入印紙は必要?
通常の納品書は、商品やサービスを納品した事実を示す書類であり、一般的には収入印紙を貼る必要はありません。
ただし、紙の納品書に「代金領収済み」「現金受領」など、金銭を受け取った事実を証明する記載をすると、名称が納品書であっても金銭の受取書として扱われる可能性があります。国税庁も、領収済みであることを記載した納品書などは、第17号文書に該当し得るとしています。国税庁+1
納品書と領収書は役割を分け、金銭受領の記載を安易に追加しないようにしましょう。
8-3. 納品書はメールだけで送ってもよい?
取引先が電子送付を認めていれば、納品書をPDFにしてメールで送付できます。郵送が必須でない企業も多いため、取引開始時に送付方法を確認しましょう。
メールで送った納品書は、電子取引データとして保存します。送信済みメールに添付したままにするだけでなく、取引先名、日付、金額などで探せるように整理しておくことが大切です。国税庁+1
8-4. 納品書の金額は税込・税抜どちらで書く?
税込と税抜のどちらで記載することもできますが、どちらの金額なのか明確にする必要があります。
たとえば、次のように小計、消費税、合計を分けて記載すると分かりやすくなります。
小計 100,000円
消費税10% 10,000円
合計 110,000円
納品書を適格請求書として扱う場合は、税率ごとに区分した税込または税抜対価の額、適用税率、消費税額など、所定の事項を記載します。国税庁+1
8-5. 個人名と屋号のどちらを記載すべき?
屋号を使用しているフリーランスは、屋号と個人名を併記する方法がおすすめです。
記載例は次のとおりです。
〇〇デザイン
代表 山田太郎
屋号だけでは発行者を特定しにくい場合があります。契約書や銀行口座、請求書の名義とも整合性を持たせましょう。
適格請求書発行事業者として登録している場合は、公表・登録されている名称や登録番号との関係も確認してください。
8-6. 納品書を出し忘れた場合はどうする?
納品書を出し忘れたことに気付いたら、まず取引先へ連絡し、提出が必要か確認します。必要な場合は、できるだけ早く発行しましょう。
後日発行するときは、納品日には実際に納品した日を、発行日には実際に納品書を発行した日を記載します。発行日を実際とは異なる過去の日付に変更するのではなく、備考欄に「〇月〇日納品分」などと記載すると分かりやすくなります。
請求書をすでに提出している場合は、請求書の品目や金額と一致しているか確認してから送付してください。
まとめ
フリーランスの納品書は、商品や成果物、サービスを「いつ、何を、どれだけ納品したか」を取引先へ伝えるための書類です。すべての取引で必ず発行するとは限りませんが、取引先の検収や経理処理、請求内容の確認に役立ちます。
納品書には、発行日、納品書番号、宛先、発行者情報、納品日、品目、数量、単価、金額、消費税、備考などを記載しましょう。作成後はPDFに変換し、請求書と内容が一致していることを確認してから送付します。
また、メールなどで電子的に送った納品書は、電子データのまま適切に保存することが重要です。見積書、発注書、納品書、請求書を関連付けて管理すれば、確定申告や取引先からの問い合わせにもスムーズに対応できます。
テンプレートや請求書作成ツールを活用し、自分の取引に合った納品書の作成・管理ルールを整えましょう。

