フリーランスの税理士費用はいくら?相場・依頼すべき人・費用を抑える方法を徹底解説
はじめに
フリーランスとして活動していると、確定申告・経費計上・青色申告・インボイス制度・消費税申告など、税金まわりの悩みが増えてきます。特に売上が伸びてくると、「税理士に依頼したほうがよいのか」「フリーランスの税理士費用はいくらかかるのか」「費用に見合うメリットはあるのか」と迷う人も多いでしょう。
フリーランスの税理士費用は、依頼内容や売上規模、記帳の有無、消費税申告の有無によって大きく変わります。確定申告だけなら数万円から依頼できるケースもありますが、顧問契約や記帳代行まで含めると年間数十万円になることもあります。
この記事では、フリーランスの税理士費用の相場、依頼すべき人・依頼しなくてもよい人、費用を抑える方法、税理士選びのポイントまで詳しく解説します。
1. フリーランスの税理士費用はいくら?まずは全体相場を確認
フリーランスの税理士費用は、大きく分けると「確定申告だけを依頼するケース」「毎月の顧問契約を結ぶケース」「記帳代行まで丸投げするケース」の3つに分かれます。
一般的な目安は次のとおりです。
| 依頼内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 確定申告のみ | 5万円〜15万円程度 |
| 顧問契約 | 月額1万円〜3万円程度 |
| 顧問契約+確定申告 | 年間20万円〜50万円程度 |
| 記帳代行込み | 年間30万円〜60万円程度 |
| 消費税申告あり | 追加で3万円〜10万円程度 |
| 税務調査対応 | 1日あたり3万円〜10万円程度 |
ただし、税理士費用には一律の決まりがあるわけではありません。税理士事務所ごとに料金体系が異なり、同じ「確定申告代行」でも、売上規模・取引件数・帳簿の整理状況によって見積もりが変わります。
1-1. 確定申告だけを依頼する場合の費用相場
フリーランスが税理士に確定申告だけを依頼する場合、費用相場は5万円〜15万円程度です。
売上が少なく、取引件数も少ないシンプルな申告であれば5万円〜8万円程度で依頼できることもあります。一方、青色申告で複式簿記が必要な場合や、経費の判断が多い場合、売上が大きい場合は10万円〜15万円程度になるケースが一般的です。
確定申告のみの依頼では、毎月の相談や経営アドバイスは含まれないことが多く、基本的には年1回、申告書の作成と提出を依頼する形になります。そのため、「日々の記帳は自分でできるが、最後の申告だけ専門家に確認してほしい」というフリーランスに向いています。
1-2. 顧問契約を結ぶ場合の月額費用・年間費用の相場
税理士と顧問契約を結ぶ場合、月額費用の相場は1万円〜3万円程度です。年間にすると12万円〜36万円程度で、これに確定申告書の作成料として5万円〜15万円程度が加わることがあります。
つまり、顧問契約と確定申告を合わせた年間費用は20万円〜50万円程度が目安です。
顧問契約では、毎月または数か月に1回、売上や経費の確認、節税相談、資金繰りの相談、消費税やインボイス制度への対応などを相談できます。売上が増えて経理が複雑になってきたフリーランスや、事業の数字を定期的に確認したい人に向いています。
1-3. 記帳代行まで丸投げする場合の費用相場
記帳代行まで税理士に依頼する場合、月額5,000円〜3万円程度が追加でかかることが多いです。確定申告や顧問料と合わせると、年間30万円〜60万円程度が目安になります。
記帳代行とは、領収書・請求書・通帳・クレジットカード明細などをもとに、税理士事務所が会計ソフトへ入力して帳簿を作成する業務です。
フリーランスにとって経理作業は負担になりやすいため、丸投げできるのは大きなメリットです。ただし、取引件数が多いほど費用は高くなります。領収書が未整理の状態で大量にある場合や、プライベートと事業の支出が混在している場合は、追加料金が発生しやすくなります。
1-4. 売上規模別に見る税理士費用の目安
税理士費用は、年間売上が大きくなるほど高くなる傾向があります。売上が増えると取引件数が増え、経費判断や消費税、法人成りの検討など、必要な対応も増えるためです。
| 年間売上 | 確定申告のみ | 顧問契約込みの年間費用 |
|---|---|---|
| 〜300万円 | 3万円〜8万円 | 15万円〜25万円 |
| 300万円〜500万円 | 5万円〜10万円 | 20万円〜35万円 |
| 500万円〜1,000万円 | 8万円〜15万円 | 30万円〜50万円 |
| 1,000万円超 | 10万円〜20万円以上 | 40万円〜80万円以上 |
特に売上が1,000万円を超えると、消費税の課税事業者になる可能性が出てきます。消費税は、原則として個人事業者の場合、前々年の課税売上高が1,000万円を超えると納税義務が発生します。また、インボイス発行事業者として登録している場合は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも消費税の納税義務が免除されません。
1-5. 白色申告・青色申告で費用はどう変わる?
白色申告よりも青色申告のほうが、税理士費用は高くなりやすいです。青色申告では、複式簿記による帳簿作成や青色申告決算書の作成が必要になるケースが多いためです。
ただし、青色申告には節税面のメリットがあります。青色申告特別控除には55万円、一定の要件を満たす場合は65万円、または10万円の控除があり、65万円控除を受けるには、55万円控除の要件に加えて、電子帳簿保存またはe-Taxによる申告などが必要です。
そのため、税理士費用だけを見ると白色申告のほうが安く見えますが、節税効果まで考えると青色申告のほうが有利になるケースもあります。売上が増えてきたフリーランスは、税理士に相談して青色申告へ切り替える価値があります。
2. フリーランスが税理士に依頼できる主な業務
税理士に依頼できる業務は、確定申告だけではありません。税理士は、税務代理、税務書類の作成、税務相談、e-Taxの代理送信、記帳代行など、税務・会計に関する幅広い業務に対応します。日本税理士会連合会も、税理士の業務として確定申告や税務調査の立会い、税務書類の作成、税務相談、会計業務などを挙げています。
2-1. 確定申告書・青色申告決算書の作成
フリーランスが税理士に依頼する代表的な業務が、確定申告書や青色申告決算書の作成です。
売上、経費、各種控除、減価償却、家事按分などを整理し、所得税の申告書を作成してもらえます。青色申告の場合は、損益計算書や貸借対照表の作成も必要になるため、専門家に依頼することでミスを減らしやすくなります。
また、税理士によってはe-Taxで代理送信してくれるため、自分で税務署に行く手間を減らせます。
2-2. 記帳代行・会計ソフトへの入力
記帳代行は、日々の売上や経費を会計ソフトに入力してもらう業務です。
フリーランスの場合、請求書、領収書、クレジットカード明細、銀行口座の入出金などをもとに帳簿を作成します。会計ソフトを使えば自分でも記帳できますが、勘定科目の選び方や経費判断に迷うことも少なくありません。
記帳代行を依頼すれば、経理作業の時間を削減できます。ただし、丸投げすると費用が上がるため、費用を抑えたい場合は、会計ソフトへの入力は自分で行い、税理士にはチェックと申告だけ依頼する方法もあります。
2-3. 節税対策の相談
税理士には、節税対策の相談もできます。
フリーランスの節税では、経費計上、青色申告特別控除、少額減価償却資産、家事按分、小規模企業共済、iDeCo、倒産防止共済、ふるさと納税など、検討できる項目が複数あります。
ただし、節税は「何でも経費にすればよい」というものではありません。事業との関連性がない支出を経費にすると、税務調査で否認されるリスクがあります。税理士に相談すれば、無理のない範囲で適切な節税策を検討できます。
2-4. 消費税申告・インボイス制度への対応
売上が増えたフリーランスや、インボイス発行事業者に登録したフリーランスは、消費税申告が必要になる場合があります。
消費税申告では、所得税の確定申告とは別に、課税売上や課税仕入れ、簡易課税、2割特例などを考慮して申告します。インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者になった小規模事業者には、納付税額を売上税額の2割にできる経過措置が設けられています。
消費税は所得税よりも判断が複雑になりやすいため、課税事業者になったタイミングで税理士に相談するメリットは大きいです。
2-5. 税務調査への対応
税務署から税務調査の連絡が来た場合、税理士に対応を依頼できます。
税務調査では、売上の計上漏れ、経費の妥当性、家事按分、外注費、現金取引、プライベート支出との区分などが確認されることがあります。税理士に依頼すれば、事前準備、資料整理、調査当日の立会い、税務署とのやり取りをサポートしてもらえます。
税務調査対応は通常の顧問料とは別料金になることが多く、1日あたり3万円〜10万円程度が目安です。
2-6. 法人成りや資金繰りの相談
売上や利益が増えてきたフリーランスは、個人事業主のまま続けるか、法人化するかを検討するタイミングが来ます。
法人成りをすると、役員報酬の設定、社会保険、法人税、消費税、設立費用、会計処理などが関係します。税理士に相談すれば、所得税と法人税の負担比較、法人化のタイミング、役員報酬の設計、資金繰りの見通しなどを確認できます。
特に利益が大きくなってきた場合は、法人化によって税負担を抑えられる可能性がありますが、事務負担や社会保険料も増えるため、総合的な判断が必要です。
3. 税理士費用が変わる主な要因
同じフリーランスでも、税理士費用には大きな差があります。費用が変わる主な要因を理解しておくと、見積もりを比較しやすくなります。
3-1. 年間売上や取引量
年間売上が大きいほど、税理士費用は高くなりやすいです。
売上が増えると、請求書の枚数、入金回数、経費の種類、外注費、固定資産、消費税対応などが増えるため、税理士の作業量も増えます。特に、毎月の取引件数が多いフリーランスは、記帳代行費用が高くなる傾向があります。
たとえば、同じ年商500万円でも、月に数件の高単価案件だけの人と、月に数百件の小口取引がある人では、後者のほうが記帳の手間が大きくなります。
3-2. 依頼する業務範囲
税理士費用は、依頼する業務範囲によって大きく変わります。
確定申告書の作成だけなら比較的安く済みますが、毎月の顧問契約、記帳代行、節税相談、消費税申告、給与計算、税務調査対応、法人成り相談などを含めると費用は上がります。
見積もりを取る際は、「どこまで料金に含まれているか」を必ず確認しましょう。料金が安く見えても、記帳代行や消費税申告が別料金になっていることがあります。
3-3. 記帳を自分で行うか丸投げするか
税理士費用を大きく左右するのが、記帳を自分で行うか、税理士に丸投げするかです。
自分で会計ソフトに入力し、税理士にはチェックと申告だけ依頼する場合、費用は抑えやすくなります。一方、領収書や通帳明細を渡してすべて入力してもらう場合は、税理士事務所の作業量が増えるため費用も高くなります。
費用を抑えたいフリーランスは、銀行口座やクレジットカードを会計ソフトと連携し、日々の入力をできるだけ自動化しておくとよいでしょう。
3-4. 面談頻度や相談回数
面談頻度や相談回数も、税理士費用に影響します。
毎月面談する契約は、年1回や年数回の面談よりも費用が高くなります。また、チャットやメールでの相談回数に制限がある事務所もあります。
フリーランスの場合、毎月の面談が必ず必要とは限りません。売上規模が小さいうちは、年1回の確定申告依頼や、数か月に1回の相談で十分なケースもあります。逆に、売上が増えて資金繰りや節税を継続的に相談したい場合は、顧問契約のほうが向いています。
3-5. 消費税申告の有無
消費税申告があると、税理士費用は上がります。
消費税申告では、課税売上、非課税売上、不課税取引、課税仕入れ、簡易課税、インボイス、2割特例などを確認する必要があります。所得税の確定申告とは別の作業が発生するため、追加で3万円〜10万円程度かかることがあります。
特にインボイス発行事業者になったフリーランスは、請求書の記載内容や消費税の計算方法も確認が必要です。登録した場合、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも消費税の納税義務が免除されない点にも注意が必要です。
3-6. 税理士事務所の料金体系
税理士事務所によって、料金体系は異なります。
売上規模で料金が決まる事務所、取引件数で決まる事務所、面談頻度で決まる事務所、業務ごとにオプション料金を設定している事務所などがあります。
そのため、単純に「月額1万円だから安い」と判断するのではなく、確定申告料、記帳代行料、消費税申告料、相談回数、年末調整、税務調査対応などを含めた年間総額で比較することが大切です。
4. フリーランスで税理士に依頼すべき人
すべてのフリーランスが税理士に依頼すべきとは限りません。しかし、次のような人は税理士に依頼するメリットが大きいです。
4-1. 売上が1,000万円を超えた人
年間売上が1,000万円を超えたフリーランスは、税理士への相談を強く検討すべきです。
個人事業者の場合、原則として前々年の課税売上高が1,000万円を超えると消費税の課税事業者になります。また、前年1月1日から6月30日までの特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合も、納税義務が免除されないことがあります。
消費税申告が加わると、申告の難易度は上がります。売上1,000万円を超えたら、所得税だけでなく消費税や法人成りも含めて相談するとよいでしょう。
4-2. 青色申告や経費判断に不安がある人
青色申告をしたいけれど、複式簿記や貸借対照表の作成に不安がある人は、税理士に依頼する価値があります。
青色申告特別控除は節税効果が大きい一方、帳簿作成や期限内申告などの要件があります。55万円控除や65万円控除を受けるには、一定の帳簿作成や申告要件を満たす必要があります。
また、経費にできるもの・できないものの判断に迷う場合も、税理士に確認することで税務リスクを抑えられます。
4-3. 本業が忙しく経理に時間をかけられない人
本業が忙しく、領収書整理や会計ソフト入力に時間をかけられない人も、税理士に依頼するメリットがあります。
フリーランスにとって、経理作業に時間を使いすぎると、本来の仕事や営業活動に使える時間が減ってしまいます。特に単価の高い仕事をしている人は、経理に何時間も使うより、税理士に任せて本業に集中したほうが結果的に利益が増えることもあります。
4-4. 節税対策を本格的に行いたい人
売上や利益が増えてきた人は、節税対策を本格的に考えるタイミングです。
税理士に相談すれば、青色申告、経費計上、共済制度、設備投資、法人成り、役員報酬、消費税の簡易課税など、状況に応じた選択肢を検討できます。
ただし、節税目的だけで不要な支出を増やすと、手元資金が減ってしまいます。税理士に相談することで、「税金を減らすこと」と「お金を残すこと」のバランスを取りやすくなります。
4-5. インボイス制度や消費税申告の対象になった人
インボイス発行事業者に登録した人や、消費税の課税事業者になった人は、税理士に相談するメリットが大きいです。
インボイスを発行する場合、登録番号や適用税率、消費税額など、請求書の記載内容に注意が必要です。また、消費税の申告では、一般課税、簡易課税、2割特例など、どの方法が有利かを確認する必要があります。
免税事業者が課税事業者を選択した場合、消費税の申告・納税が必要になります。さらに、インボイスを発行する場合は登録申請や請求書様式への登録番号の追加、インボイスの交付・保存なども必要です。
4-6. 税務調査のリスクを減らしたい人
税務調査のリスクを完全になくすことはできませんが、日頃から正しい帳簿を作成し、根拠資料を整理しておくことで、調査時の負担を減らせます。
税理士に依頼していれば、経費判断や売上計上のミスを減らしやすくなります。また、税務調査の連絡が来た際も、税理士が窓口になってくれるため安心感があります。
特に現金取引が多い人、外注費が多い人、家事按分が多い人、高額な経費がある人は、日頃から税理士に確認しておくとよいでしょう。
4-7. 法人成りを検討している人
利益が増えてきて法人成りを検討している人は、税理士への相談がほぼ必須です。
法人化には節税メリットがある一方、法人住民税、社会保険、税務申告、役員報酬、会社設立費用などの負担も発生します。個人事業主のままがよいのか、法人化したほうがよいのかは、売上ではなく利益、家族構成、社会保険、将来の事業計画などによって変わります。
法人化してから後悔しないためにも、事前に税理士へシミュレーションを依頼しましょう。
5. 税理士に依頼しなくてもよいケース
一方で、税理士に依頼しなくても対応できるケースもあります。費用対効果を考えて判断しましょう。
5-1. 売上が少なく取引量も少ない場合
年間売上が少なく、取引件数も少ない場合は、税理士に依頼しなくても自力で確定申告できる可能性があります。
たとえば、毎月の売上が数件、経費も通信費や交通費、消耗品費程度であれば、会計ソフトを使って自分で申告できるケースが多いです。
ただし、初めての確定申告で不安がある場合は、スポット相談だけ利用するのもよい方法です。
5-2. 会計ソフトで自力対応できている場合
会計ソフトを使って日々の記帳ができており、確定申告書の作成にも問題がない場合は、無理に税理士へ依頼する必要はありません。
最近の会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードと連携でき、取引データを自動取得できます。勘定科目の候補も表示されるため、基本的な取引であれば自力対応しやすくなっています。
ただし、経費判断や消費税、法人成りなどで迷う場合は、部分的に税理士へ相談すると安心です。
5-3. 白色申告で申告内容がシンプルな場合
白色申告で、売上や経費がシンプルな場合も、税理士に依頼しなくても対応しやすいです。
ただし、白色申告でも帳簿作成や書類保存は必要です。「白色申告だから何もしなくてよい」というわけではありません。
将来的に売上を伸ばしていきたい場合は、早めに青色申告へ切り替えることも検討しましょう。
5-4. 費用対効果が見合わない場合
税理士費用が利益に対して大きすぎる場合は、依頼しないほうがよいこともあります。
たとえば、年間利益が50万円のフリーランスが、年間30万円の税理士費用を支払うと、手元に残るお金が大きく減ってしまいます。このような場合は、会計ソフトで自力対応し、必要なときだけスポット相談を利用するほうが現実的です。
税理士に依頼するかどうかは、「費用を払ってでも時間・安心・節税効果を得たいか」で判断しましょう。
5-5. スポット相談だけで十分な場合
継続的な顧問契約までは不要でも、年に数回のスポット相談で十分なケースもあります。
たとえば、開業初年度の経理方法、青色申告の始め方、インボイス登録の判断、経費判断、法人成りの簡易シミュレーションなどは、スポット相談で解決できる場合があります。
スポット相談の費用は、1時間あたり5,000円〜2万円程度が目安です。顧問契約よりも費用を抑えやすいため、まずは相談だけ試してみるのもよいでしょう。
6. フリーランスが税理士費用を抑える方法
税理士費用は工夫次第で抑えられます。重要なのは、税理士の作業量を減らし、依頼範囲を明確にすることです。
6-1. 記帳は自分で行い申告だけ依頼する
最も費用を抑えやすい方法は、日々の記帳を自分で行い、確定申告だけ税理士に依頼することです。
記帳代行を依頼すると、毎月費用が発生します。一方、自分で会計ソフトに入力しておけば、税理士の作業はチェックと申告書作成が中心になるため、費用を抑えやすくなります。
経理に苦手意識がある人でも、毎月少しずつ入力すれば、年末にまとめて作業するより負担は軽くなります。
6-2. 会計ソフトを活用して作業量を減らす
会計ソフトを使うことで、記帳作業を大幅に減らせます。
銀行口座やクレジットカードを連携すれば、入出金データを自動で取り込めます。請求書作成機能やレシート撮影機能を使えば、売上や経費の管理も効率化できます。
税理士が対応している会計ソフトを使えば、データ共有もスムーズです。見積もり時には、使用している会計ソフトに対応しているか確認しましょう。
6-3. 領収書や請求書を日頃から整理しておく
領収書や請求書が整理されていないと、税理士の作業時間が増え、追加費用が発生しやすくなります。
月ごとに領収書を分ける、事業用クレジットカードを使う、事業用口座を分ける、請求書をフォルダ管理するなど、日頃から整理しておきましょう。
特にプライベート支出と事業支出が混在していると、確認作業が増えます。事業用口座と事業用カードを用意するだけでも、税理士費用を抑えやすくなります。
6-4. 顧問契約ではなくスポット依頼を検討する
売上規模が小さいうちは、顧問契約ではなくスポット依頼でも十分な場合があります。
確定申告だけ依頼する、年に1回だけ相談する、消費税やインボイスなど特定のテーマだけ相談するなど、必要なときだけ税理士を活用すれば、年間費用を抑えられます。
ただし、売上が増えて経理が複雑になった場合は、スポット相談だけでは対応しきれないこともあります。事業規模に応じて見直しましょう。
6-5. 面談頻度を必要最低限にする
顧問契約を結ぶ場合でも、面談頻度を調整することで費用を抑えられます。
毎月面談ではなく、3か月に1回、半年に1回、または必要時のみ相談する契約にすれば、顧問料が安くなることがあります。
フリーランスの場合、毎月大きく数字が変わらない事業であれば、毎月面談が不要なケースもあります。自分の事業に必要な相談頻度を考えましょう。
6-6. 複数の税理士から見積もりを取る
税理士費用は事務所によって差があります。必ず複数の税理士から見積もりを取りましょう。
見積もりを比較するときは、月額料金だけでなく、年間総額で見ることが重要です。確定申告料、記帳代行料、消費税申告料、年末調整、相談回数、税務調査対応など、どこまで含まれているか確認しましょう。
安さだけで選ぶと、相談しにくかったり、追加費用が多かったりすることがあります。料金とサービス内容のバランスを見て判断することが大切です。
6-7. 依頼範囲を明確にして追加費用を防ぐ
税理士費用を抑えるには、契約前に依頼範囲を明確にすることが欠かせません。
「記帳代行は含まれるのか」「消費税申告は別料金か」「相談回数に制限はあるか」「税務調査対応はいくらか」「年末調整や法定調書は必要か」などを確認しましょう。
依頼範囲が曖昧なまま契約すると、後から追加費用が発生する可能性があります。契約前に見積書や契約書で確認しておくと安心です。
7. 税理士に依頼するメリット・デメリット
税理士に依頼するかどうかは、メリットとデメリットの両方を理解したうえで判断しましょう。
7-1. メリット1:確定申告の手間を減らせる
税理士に依頼する最大のメリットは、確定申告の手間を減らせることです。
フリーランスの確定申告では、売上集計、経費整理、帳簿作成、控除確認、申告書作成、納税額確認など、多くの作業が発生します。これらを自分で行うと、数日から数週間かかることもあります。
税理士に任せれば、申告作業の負担を減らし、本業に集中しやすくなります。
7-2. メリット2:申告ミスや税務リスクを抑えられる
税理士に依頼すれば、申告ミスや税務リスクを抑えやすくなります。
特に、売上計上のタイミング、経費の可否、家事按分、減価償却、消費税、インボイス対応などは、自己判断だけでは間違えやすいポイントです。
税理士が確認することで、過少申告や経費の過大計上を防ぎやすくなります。税務調査の際も、整理された帳簿や資料があれば説明しやすくなります。
7-3. メリット3:節税や資金繰りの相談ができる
税理士に依頼すると、申告だけでなく節税や資金繰りの相談もできます。
フリーランスは、会社員と違って税金や社会保険料を自分で管理する必要があります。納税資金を残していなかったために、確定申告後に資金繰りが苦しくなるケースもあります。
税理士に相談すれば、納税額の見込み、経費の使い方、利益の残し方、法人成りのタイミングなどを早めに検討できます。
7-4. デメリット1:費用がかかる
税理士に依頼するデメリットは、当然ながら費用がかかることです。
確定申告だけでも数万円、顧問契約なら年間数十万円かかることがあります。売上や利益が少ないうちは、税理士費用が負担に感じられるかもしれません。
そのため、税理士に依頼する場合は、費用だけでなく、削減できる時間、安心感、節税効果、ミス防止効果を含めて判断することが大切です。
7-5. デメリット2:相性の悪い税理士を選ぶと相談しにくい
税理士との相性も重要です。
専門用語ばかりで説明がわかりにくい、返信が遅い、フリーランスの事情に詳しくない、節税提案が少ない、相談しにくい雰囲気がある場合、せっかく顧問契約を結んでも満足度は下がります。
契約前に面談を行い、説明のわかりやすさやレスポンスの早さを確認しましょう。
7-6. デメリット3:丸投げすると自分のお金の流れを把握しにくい
税理士に経理を丸投げすると、自分の売上・経費・利益・納税額を把握しにくくなることがあります。
フリーランスにとって、事業のお金の流れを理解することは重要です。税理士に依頼する場合でも、毎月の売上、利益、税金の見込みは自分でも確認しましょう。
理想は、作業は税理士に任せつつ、数字の意味は自分でも理解することです。
8. フリーランスが税理士を選ぶときのポイント
税理士選びで失敗しないためには、料金だけでなく、実績・対応範囲・相性を確認することが大切です。
8-1. フリーランスや個人事業主の実績が豊富か
フリーランスが税理士を選ぶ際は、フリーランスや個人事業主の支援実績が豊富な税理士を選びましょう。
法人中心の税理士事務所の場合、個人事業主の経費判断、家事按分、クラウドソーシング収入、インボイス対応、副業収入などに詳しくないこともあります。
Webライター、デザイナー、エンジニア、動画編集者、コンサルタント、講師、クリエイターなど、自分の職種に近い実績があるか確認すると安心です。
8-2. 料金体系が明確か
料金体系が明確な税理士を選びましょう。
月額顧問料だけでなく、確定申告料、記帳代行料、消費税申告料、税務調査対応、年末調整、法人成り相談などの料金が明示されているか確認します。
見積書が曖昧な場合、後から追加費用が発生する可能性があります。契約前に年間総額を確認しましょう。
8-3. 依頼したい業務に対応しているか
税理士によって対応できる業務は異なります。
確定申告だけ依頼したいのか、記帳代行も依頼したいのか、節税相談をしたいのか、インボイスや消費税申告に対応してほしいのか、法人成りまで相談したいのかを整理しましょう。
日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトでは、税務代理・税務書類の作成・税務相談のほか、記帳業務代行、経営相談、独立・開業・法人設立等創業に関する相談などの取扱業務で税理士を探せます。
8-4. クラウド会計ソフトに対応しているか
フリーランスの場合、クラウド会計ソフトに対応している税理士を選ぶと便利です。
クラウド会計ソフトに対応していれば、データ共有がスムーズで、オンラインでやり取りしやすくなります。銀行口座やクレジットカードの連携データを税理士が確認できるため、資料の受け渡しも簡単です。
すでに使っている会計ソフトがある場合は、そのソフトに対応しているか確認しましょう。
8-5. 相談しやすくレスポンスが早いか
税理士は長く付き合う相手になることも多いため、相談しやすさは重要です。
質問に対してわかりやすく答えてくれるか、メールやチャットの返信が早いか、専門用語をかみ砕いて説明してくれるかを確認しましょう。
フリーランスは、急な案件や経費判断で迷うこともあります。レスポンスが遅い税理士だと、判断が遅れて不安が増える可能性があります。
8-6. 節税や事業成長の提案をしてくれるか
単に申告書を作るだけでなく、節税や事業成長の提案をしてくれる税理士を選ぶと、費用対効果が高くなります。
たとえば、青色申告の活用、経費整理、消費税の簡易課税、インボイス対応、法人成り、資金繰り、利益計画などを提案してくれる税理士は心強い存在です。
ただし、過度な節税をすすめる税理士には注意が必要です。税務リスクを抑えながら、現実的な提案をしてくれるかを見極めましょう。
8-7. 契約前に見積もりと業務範囲を確認する
契約前には、必ず見積もりと業務範囲を確認しましょう。
確認すべきポイントは、月額料金、確定申告料、記帳代行の有無、消費税申告の料金、相談回数、面談頻度、対応方法、追加費用の条件、解約条件などです。
口頭だけでなく、見積書や契約書で確認しておくと、後からトラブルになりにくくなります。
9. 税理士に依頼するベストなタイミング
税理士に依頼するタイミングは、早いほどよいケースもあれば、必要になってからで十分なケースもあります。代表的なタイミングを見ていきましょう。
9-1. 開業直後
開業直後は、税理士に相談するよいタイミングです。
開業届、青色申告承認申請書、会計ソフトの設定、事業用口座、経費の考え方、インボイス登録の判断など、最初に整えておくべきことが多いためです。
最初の設定を間違えると、後から修正する手間が増えます。開業直後にスポット相談だけでも利用すると、経理の土台を作りやすくなります。
9-2. 確定申告前
確定申告前も、税理士に依頼するタイミングです。
ただし、申告期限直前になると、税理士事務所が繁忙期に入り、新規受付を停止していることがあります。依頼するなら、できれば年内から翌年1月ごろまでに相談するのがおすすめです。
期限ギリギリに依頼すると、資料整理が間に合わず、追加費用が発生する可能性もあります。
9-3. 売上が増えて経理が複雑になったとき
売上が増えて、取引先や経費の種類が増えてきたら、税理士に相談するタイミングです。
経理が複雑になると、申告ミスや経費判断の誤りが起きやすくなります。また、利益が増えると節税対策の重要性も高まります。
「経理に時間がかかりすぎて本業に集中できない」と感じたら、税理士への依頼を検討しましょう。
9-4. 消費税の課税事業者になったとき
消費税の課税事業者になったときは、税理士に相談するべきタイミングです。
消費税申告は、所得税の申告より複雑です。一般課税と簡易課税の選択、インボイス対応、2割特例の適用可否、請求書の保存など、確認すべき項目が増えます。
個人事業者の場合、前々年の課税売上高が1,000万円を超えると原則として消費税の納税義務が発生します。インボイス発行事業者の登録を受けている場合も、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも納税義務が免除されません。
9-5. 税務調査の連絡が来たとき
税務署から税務調査の連絡が来た場合は、すぐに税理士へ相談しましょう。
税務調査では、過去の帳簿や領収書、請求書、通帳、契約書などを確認されます。税理士に依頼すれば、事前準備や調査当日の対応をサポートしてもらえます。
すでに顧問税理士がいない場合でも、税務調査対応だけスポットで依頼できる税理士もいます。
9-6. 法人成りを検討し始めたとき
法人成りを考え始めたら、早めに税理士へ相談しましょう。
法人化は、設立してから考えるのではなく、設立前にシミュレーションすることが重要です。役員報酬の金額、設立時期、消費税、社会保険、法人税、資金繰りなど、事前に決めるべきことが多いためです。
利益が増えてきたからといって、必ず法人化が有利になるとは限りません。税理士に相談し、個人事業主のままの場合と法人化した場合を比較しましょう。
10. 税理士費用に関するよくある質問
フリーランスの税理士費用について、よくある質問をまとめます。
10-1. フリーランスの税理士費用は経費にできる?
フリーランスが事業のために支払った税理士費用は、原則として経費にできます。
確定申告書の作成、記帳代行、税務相談、消費税申告、税務調査対応など、事業に関係する税理士費用は「支払手数料」などの勘定科目で処理することが一般的です。
ただし、個人的な相続税相談など、事業と関係のない費用は事業経費にはできません。事業用と個人用が混在する場合は、内容を分けて管理しましょう。
10-2. 確定申告だけ税理士に依頼できる?
確定申告だけ税理士に依頼することは可能です。
顧問契約を結ばず、年1回だけ申告書作成を依頼する「スポット依頼」に対応している税理士も多くいます。費用相場は5万円〜15万円程度です。
ただし、申告期限直前は税理士事務所が忙しく、受付してもらえないことがあります。確定申告だけ依頼したい場合でも、早めに相談しましょう。
10-3. 税理士に丸投げするといくらかかる?
記帳から確定申告まで丸投げする場合、年間30万円〜60万円程度が目安です。
取引件数が少ない場合は20万円台で収まることもありますが、売上規模が大きい、領収書が多い、消費税申告がある、資料が未整理といった場合は、さらに高くなることがあります。
丸投げは便利ですが、費用を抑えたいなら、領収書整理や会計ソフト入力の一部を自分で行うとよいでしょう。
10-4. 売上がいくらになったら税理士に依頼すべき?
明確な基準はありませんが、年間売上500万円〜1,000万円を超えてきたら、税理士への相談を検討する価値があります。
特に、売上1,000万円を超えると消費税の課税事業者になる可能性があるため、早めに相談したほうが安心です。消費税の納税義務は、個人事業者の場合、原則として前々年の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで判定されます。
また、売上が少なくても、経理が苦手な人、本業が忙しい人、節税対策をしたい人は、税理士に依頼するメリットがあります。
10-5. 税理士費用が高いと感じたらどうすればよい?
税理士費用が高いと感じたら、まず依頼範囲を見直しましょう。
記帳代行を自分で行う、面談頻度を減らす、顧問契約ではなくスポット依頼にする、消費税申告や年末調整など不要なオプションを外すことで、費用を抑えられる可能性があります。
また、複数の税理士から見積もりを取り、年間総額で比較することも大切です。安さだけでなく、対応範囲や相談しやすさも含めて判断しましょう。
10-6. オンライン対応の税理士でも問題ない?
オンライン対応の税理士でも問題ありません。
クラウド会計ソフト、チャット、メール、オンライン面談を活用すれば、対面しなくても十分にやり取りできます。むしろ、フリーランスの場合はオンライン対応の税理士のほうが相性がよいこともあります。
ただし、レスポンスの早さ、資料共有の方法、対応している会計ソフト、相談範囲は事前に確認しましょう。
10-7. 税理士と会計ソフトはどちらを選ぶべき?
会計ソフトと税理士は、どちらか一方を選ぶものではなく、併用するのが理想です。
売上や取引量が少ないうちは、会計ソフトだけで自力対応できる場合があります。売上が増えてきたら、会計ソフトで日々の記帳を行い、税理士にチェックや申告を依頼する方法が効率的です。
会計ソフトは作業を効率化する道具であり、税理士は判断や相談をサポートする専門家です。経費判断、節税、消費税、法人成りなど、判断が必要な場面では税理士に相談すると安心です。
まとめ
フリーランスの税理士費用は、確定申告だけなら5万円〜15万円程度、顧問契約なら月額1万円〜3万円程度、記帳代行まで含めると年間30万円〜60万円程度が目安です。
費用は、年間売上、取引件数、依頼範囲、記帳代行の有無、面談頻度、消費税申告の有無によって変わります。特に売上1,000万円を超えた人、インボイス発行事業者になった人、青色申告や経費判断に不安がある人、法人成りを検討している人は、税理士に相談するメリットが大きいです。
一方で、売上が少なく取引量も少ない場合や、会計ソフトで自力対応できている場合は、無理に顧問契約を結ぶ必要はありません。スポット相談や確定申告のみの依頼を活用すれば、費用を抑えながら必要なサポートを受けられます。
税理士費用を抑えるには、記帳を自分で行う、会計ソフトを活用する、領収書を整理する、複数の税理士から見積もりを取る、依頼範囲を明確にすることが重要です。
フリーランスにとって税理士は、単なる申告代行者ではなく、税務リスクを減らし、事業のお金を整えるパートナーです。費用だけで判断せず、自分の事業規模や悩みに合った税理士を選びましょう。

