フリーランスの控除一覧|経費との違いや節税できる申告方法をわかりやすく解説

はじめに

フリーランスとして働くと、会社員のように年末調整だけで税金の手続きが完結するとは限りません。原則として、1年間の売上や経費、各種控除を自分で整理し、確定申告で所得税を計算します。

このとき重要になるのが「控除」です。控除を正しく使うと、課税対象となる所得や最終的な税額を減らせるため、結果として節税につながります。一方で、控除には種類や適用条件があり、経費との違いを理解していないと、申告漏れや二重計上の原因になることもあります。

この記事では、フリーランスが使える控除一覧、経費との違い、青色申告特別控除、節税に活用しやすい制度、確定申告の流れまでわかりやすく解説します。

1. フリーランスが使える控除とは?まず押さえたい基本

1-1. 控除とは所得や税額から差し引ける金額のこと

控除とは、税金を計算するときに一定の金額を差し引ける制度です。所得から差し引くものを「所得控除」、税額から直接差し引くものを「税額控除」といいます。

国税庁は、所得控除について「各納税者の個人的事情への考慮」などから設けられている制度と説明しています。所得控除に該当するものには、基礎控除、社会保険料控除、医療費控除、配偶者控除、扶養控除などがあります。

1-2. フリーランスの税金は「所得-控除」で大きく変わる

フリーランスの所得税は、単純に売上だけで決まるわけではありません。基本的には、まず売上から必要経費を差し引いて事業所得を計算し、そこから所得控除などを反映して課税所得を求めます。

たとえば、売上が同じ500万円でも、経費や控除の金額が違えば課税所得は変わります。所得税は課税される所得金額に応じて5%から45%までの税率で計算されるため、控除を正しく申告することは税負担に大きく影響します。

1-3. 所得控除・税額控除・青色申告特別控除の違い

フリーランスが知っておきたい控除は、大きく次の3つに分けられます。

所得控除は、所得から差し引く控除です。基礎控除、社会保険料控除、医療費控除、生命保険料控除、扶養控除などが該当します。

税額控除は、計算された所得税額から直接差し引く控除です。住宅ローン控除、配当控除、外国税額控除、政党等寄附金特別控除などがあります。国税庁も、税額控除を「課税所得金額に税率を乗じて算出した所得税額から、一定の金額を控除するもの」と説明しています。

青色申告特別控除は、青色申告者が一定の要件を満たすことで、事業所得などから10万円、55万円、または65万円を差し引ける制度です。

1-4. 会社員とフリーランスで控除の考え方が異なるポイント

会社員は、勤務先が年末調整で多くの控除を反映してくれます。給与所得者には給与所得控除もあり、給与収入から一定額が差し引かれます。

一方、フリーランスは自分で売上、経費、控除を管理し、確定申告で申告する必要があります。会社員なら勤務先に提出する保険料控除証明書も、フリーランスの場合は自分で保管し、確定申告書に反映します。

つまり、フリーランスは「使える控除を自分で把握して申告する」ことが重要です。

2. フリーランスが使える所得控除一覧

2-1. 基礎控除

基礎控除は、原則として多くの納税者が使える基本的な所得控除です。

令和7年度税制改正により、令和7年分以後の所得税では基礎控除額が見直されています。たとえば、合計所得金額が132万円以下の場合は95万円、655万円超2,350万円以下の場合は58万円です。なお、132万円超655万円以下の一部の基礎控除額には、令和9年分以後に変更されるものがあります。

フリーランスでも、要件に当てはまれば基礎控除を受けられます。

2-2. 社会保険料控除

社会保険料控除は、国民年金、国民健康保険、国民年金基金などの社会保険料を支払った場合に使える控除です。フリーランスにとって特に重要な控除のひとつです。

控除できる金額は、その年に実際に支払った金額の全額です。国民年金保険料や国民年金基金の掛金については、控除証明書などの書類が必要になります。

2-3. 小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済やiDeCoなどの掛金を支払った場合に使える所得控除です。

対象となる掛金には、小規模企業共済の掛金、企業型年金加入者掛金、個人型年金加入者掛金、いわゆる心身障害者扶養共済制度の掛金などがあります。控除できる金額は、その年に支払った掛金の全額です。

2-4. 生命保険料控除

生命保険料控除は、生命保険、介護医療保険、個人年金保険などの保険料を支払った場合に使える控除です。

平成24年1月1日以後に契約した新契約では、新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料について、それぞれ一定の計算式で控除額を求めます。年間支払保険料が8万円を超える場合、それぞれの控除額は一律4万円です。

2-5. 地震保険料控除

地震保険料控除は、地震保険料を支払った場合に使える所得控除です。

地震保険料については、年間支払保険料が5万円以下なら支払金額の全額、5万円を超える場合は一律5万円が控除額です。旧長期損害保険料がある場合は別の計算があり、地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合でも控除額は最高5万円です。

2-6. 医療費控除・セルフメディケーション税制

医療費控除は、自分や生計を一にする配偶者、親族のために医療費を支払った場合に使える控除です。対象となるのは、その年の1月1日から12月31日までに実際に支払った医療費です。

控除額は、原則として「実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-10万円」で計算し、最高200万円です。総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく総所得金額等の5%を差し引きます。

セルフメディケーション税制は、一定の市販薬を購入し、健康診査や予防接種など一定の取組を行っている場合に使える医療費控除の特例です。通常の医療費控除とは選択制で、併用はできません。

2-7. 寄附金控除・ふるさと納税

寄附金控除は、国や地方公共団体、一定の団体などに寄附をした場合に使える所得控除です。フリーランスに身近なものとして、ふるさと納税があります。

ふるさと納税は、地方公共団体への寄附金として寄附金控除の対象になります。一定の限度額までは、寄附金額から2,000円を差し引いた金額が所得税と翌年度の住民税から控除されます。

2-8. 配偶者控除・配偶者特別控除

配偶者控除は、配偶者の所得が一定以下で、納税者本人の所得などの条件を満たす場合に使える控除です。

配偶者特別控除は、配偶者控除の対象から外れる場合でも、配偶者の所得が一定範囲内であれば段階的に受けられる控除です。令和7年分からは、配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額が58万円超133万円以下とされています。

2-9. 扶養控除

扶養控除は、生計を一にする親族を扶養している場合に使える控除です。対象となる扶養親族は、原則としてその年12月31日時点で16歳以上の人です。

令和7年度税制改正では、扶養親族や同一生計配偶者の合計所得金額の要件が58万円以下に見直されています。

2-10. 障害者控除

障害者控除は、納税者本人、同一生計配偶者、扶養親族が所得税法上の障害者に該当する場合に使える控除です。障害の程度により、一般の障害者、特別障害者、同居特別障害者で控除額が異なります。

本人だけでなく、扶養している家族が対象になる場合もあるため、障害者手帳などの状況を確認しましょう。

2-11. 寡婦控除・ひとり親控除

寡婦控除とひとり親控除は、配偶者と離婚・死別した人や、ひとり親として子を扶養している人などが一定の条件を満たす場合に使える控除です。

令和7年度税制改正では、ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の要件が58万円以下に見直されています。

2-12. 勤労学生控除

勤労学生控除は、学生でありながら働いて所得がある人が、一定の要件を満たす場合に使える控除です。

令和7年度税制改正により、勤労学生の合計所得金額の要件は85万円以下に見直されています。

2-13. 雑損控除

雑損控除は、災害、盗難、横領によって住宅や家財などに損害を受けた場合に使える控除です。

控除額は、「損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額-総所得金額等の10%」または「災害関連支出の金額-保険金等の額-5万円」のいずれか多い方で計算します。

2-14. 特定親族特別控除

特定親族特別控除は、令和7年分以後の所得税で新たに適用される控除です。生計を一にする19歳以上23歳未満の親族等で、合計所得金額が一定範囲内の「特定親族」がいる場合に、所得控除を受けられます。

控除額は特定親族の合計所得金額に応じて段階的に変わり、最高63万円です。特定親族の合計所得金額が58万円超123万円以下であることなどが要件です。

3. フリーランスが使える税額控除一覧

3-1. 住宅ローン控除

住宅ローン控除は、一定の要件を満たす住宅の新築、取得、増改築などをした場合に、住宅ローン等の年末残高を基に計算した金額を一定期間、所得税額から控除できる制度です。

フリーランスでも、要件を満たせば住宅ローン控除を受けられます。ただし、初年度は確定申告が必要です。

3-2. 配当控除

配当控除は、総合課税の配当所得がある場合に使える税額控除です。原則として、配当所得の金額の10%または5%に相当する金額を控除します。ただし、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得には適用できません。

3-3. 外国税額控除

外国税額控除は、日本で課税される所得の中に外国で生じた所得があり、その所得に対して外国で所得税に相当する税金が課されている場合に、二重課税を調整するための控除です。適用には一定の書類が必要です。

海外クライアントから報酬を受け取るフリーランスや、海外投資をしている人は確認しておきたい控除です。

3-4. 政党等寄附金特別控除

政党等寄附金特別控除は、政党や政治資金団体に対して一定の寄附金を支払った場合に使える税額控除です。寄附金控除という所得控除を使う場合とは選択適用になります。

3-5. 所得控除と税額控除では節税効果が異なる

所得控除は、課税所得を減らす控除です。そのため、節税額は「控除額×所得税率」のように考えます。

一方、税額控除は、計算された税額から直接差し引く控除です。同じ10万円でも、所得控除と税額控除では節税効果が異なる場合があります。

たとえば所得税率10%の人が10万円の所得控除を受けると、所得税の軽減効果はおおむね1万円です。一方で、10万円の税額控除なら、原則として税額から10万円を直接差し引きます。どの控除に該当するのかを正しく区別することが大切です。

4. フリーランスの節税に重要な青色申告特別控除

4-1. 青色申告特別控除とは

青色申告特別控除とは、青色申告者が一定の要件を満たすことで、所得金額から一定額を差し引ける制度です。

フリーランスにとっては、節税効果が大きい代表的な制度です。青色申告には、青色申告特別控除のほか、赤字の繰越しや青色事業専従者給与などのメリットもあります。

4-2. 10万円・55万円・65万円控除の違い

青色申告特別控除には、10万円、55万円、65万円の3種類があります。

10万円控除は、比較的簡易な記帳でも適用を受けられる控除です。

55万円控除は、事業所得または不動産所得を生ずべき事業を営み、複式簿記で記帳し、貸借対照表や損益計算書などを添付して期限内に申告することが主な要件です。

65万円控除は、55万円控除の要件に加えて、e-Taxで確定申告書等を提出するか、優良な電子帳簿保存を行うことが必要です。

4-3. 65万円控除を受けるための条件

65万円の青色申告特別控除を受けるには、次のような条件を満たす必要があります。

まず、事業所得または不動産所得があり、正規の簿記の原則、一般的には複式簿記で記帳します。次に、貸借対照表や損益計算書を作成し、確定申告書に添付して期限内に提出します。さらに、e-Taxで申告するか、優良な電子帳簿保存の要件を満たす必要があります。

紙で提出すると、他の要件を満たしていても65万円ではなく55万円控除になる可能性があります。

4-4. 白色申告から青色申告に切り替えるメリット

白色申告でも基礎控除や社会保険料控除などの所得控除は使えます。しかし、青色申告に切り替えると、青色申告特別控除を受けられる可能性があります。

特に65万円控除を受けられる場合、課税所得を大きく減らせるため、所得税だけでなく住民税や国民健康保険料にも影響する可能性があります。会計ソフトを使えば複式簿記にも対応しやすくなるため、継続的にフリーランスとして活動するなら青色申告を検討する価値があります。

4-5. 青色申告承認申請書の提出期限

青色申告を始めるには、原則として「所得税の青色申告承認申請書」を税務署へ提出します。すでに事業をしている人が翌年分から青色申告にしたい場合は、その年の3月15日までの提出が基本です。新たに事業を開始した場合は、開業日から2か月以内などの期限があります。

期限を過ぎると、その年分は青色申告にできない場合があるため、早めに準備しましょう。

5. 控除と経費の違い

5-1. 経費は売上から差し引くもの

経費は、事業のために必要な支出を売上から差し引くものです。たとえば、仕事用のパソコン、ソフトウェア利用料、通信費、取材費、交通費、外注費、書籍代などが該当します。

フリーランスの場合、まず「売上-必要経費」で事業所得を計算します。経費を正しく計上することで、事業所得を適切に計算できます。

5-2. 控除は所得や税額から差し引くもの

控除は、所得や税額から差し引くものです。社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、扶養控除などは、事業のための支出ではなく、個人的事情や政策的配慮に基づく所得控除です。

税額控除は、所得税額から直接差し引く控除です。住宅ローン控除や外国税額控除などが代表例です。

5-3. 経費にできるもの・控除にするものの見分け方

見分け方の基本は、「事業に直接必要な支出かどうか」です。

仕事のために購入したパソコンや業務用ソフトは、事業に必要な支出なので経費です。一方、国民年金や国民健康保険料は事業のための仕入れや外注費ではないため、経費ではなく社会保険料控除として扱います。

生命保険料、地震保険料、医療費、ふるさと納税も、原則として経費ではなく控除の対象として考えます。

5-4. 同じ支出を経費と控除で二重計上しない

同じ支出を経費にも控除にも入れることはできません。たとえば、国民健康保険料を経費に入れたうえで社会保険料控除にも入れる、という処理は誤りです。

経費と控除の区分を間違えると、税務署から確認を受ける可能性があります。支出の性質ごとに、経費なのか控除なのかを整理しておきましょう。

5-5. フリーランスが間違えやすい経費と控除の例

フリーランスが間違えやすいものとして、国民年金、国民健康保険、iDeCo、生命保険料、医療費、ふるさと納税があります。

国民年金や国民健康保険は社会保険料控除、iDeCoは小規模企業共済等掛金控除、生命保険料は生命保険料控除、医療費は医療費控除、ふるさと納税は寄附金控除として扱います。

一方、仕事用のパソコン、レンタルサーバー代、会計ソフト代、業務用の交通費などは、原則として経費として処理します。

6. フリーランスが節税しやすい控除・制度

6-1. 国民年金・国民健康保険料を社会保険料控除にする

フリーランスは、国民年金や国民健康保険に加入している人が多いでしょう。これらは社会保険料控除の対象になり、支払った金額の全額を控除できます。

家族の国民年金保険料を支払った場合なども、条件によって控除対象になることがあります。支払証明書をなくさないように保管しましょう。

6-2. 小規模企業共済で退職金を準備しながら控除を受ける

小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者などが退職金を準備するための制度です。掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象となり、支払った掛金の全額を所得から差し引けます。

将来の資金を準備しながら節税効果も期待できるため、フリーランスにとって使いやすい制度です。

6-3. iDeCoで掛金を全額所得控除にする

iDeCoの掛金も、小規模企業共済等掛金控除の対象です。掛金はその年に支払った全額が所得控除になります。

ただし、iDeCoは老後資金を準備する制度のため、原則として60歳まで資産を引き出せません。節税効果だけでなく、資金拘束や運用リスクも理解したうえで活用しましょう。

6-4. ふるさと納税で寄附金控除を活用する

ふるさと納税は、一定の上限額内であれば、寄附金額から2,000円を差し引いた金額が所得税と翌年度の住民税から控除されます。

ただし、フリーランスは所得が年によって変動しやすいため、控除上限額の見積もりには注意が必要です。年末にまとめて寄附する場合は、その年の所得見込みを確認してから行いましょう。

6-5. 医療費が多い年は医療費控除を確認する

入院、通院、出産、歯科治療などで医療費が多くかかった年は、医療費控除を確認しましょう。医療費控除は、自分だけでなく生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費も対象になる場合があります。

医療費の領収書、医療費通知、交通費の記録などを整理しておくと、申告時にスムーズです。

6-6. 家族構成に応じて配偶者控除・扶養控除を確認する

配偶者や子ども、親などを扶養している場合は、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、特定親族特別控除などを確認しましょう。

令和7年分以後は、扶養親族や同一生計配偶者の所得要件が58万円以下に見直され、特定親族特別控除も創設されています。

家族がアルバイトや副業をしている場合は、年収ではなく「合計所得金額」で判定する点に注意が必要です。

6-7. 青色申告特別控除で課税所得を下げる

継続してフリーランスとして働くなら、青色申告特別控除は特に重要です。要件を満たせば、最大65万円を所得金額から差し引けます。

会計ソフトを使って日々の取引を記帳し、e-Taxで申告できる体制を整えれば、65万円控除を目指しやすくなります。

7. 控除を受けるための確定申告の流れ

7-1. 1年間の売上・経費・控除証明書を整理する

まずは、1月1日から12月31日までの売上、経費、控除に関する書類を整理します。

売上については請求書や入金明細、経費については領収書やクレジットカード明細、控除については保険料控除証明書、社会保険料控除証明書、寄附金受領証明書、医療費の明細などを準備します。

7-2. 確定申告書に所得控除・税額控除を入力する

確定申告書には、基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、寄附金控除、配偶者控除、扶養控除などを入力します。

住宅ローン控除や外国税額控除などの税額控除がある場合は、該当する欄や明細書も作成します。

7-3. 青色申告決算書または収支内訳書を作成する

青色申告の場合は、青色申告決算書を作成します。65万円または55万円の青色申告特別控除を受けるには、貸借対照表や損益計算書などの作成が必要です。

白色申告の場合は、収支内訳書を作成します。白色申告でも記帳や帳簿保存は必要です。

7-4. e-Taxまたは税務署への提出で申告する

確定申告書は、e-Tax、郵送、税務署窓口への持参などで提出できます。

65万円の青色申告特別控除を受けたい場合は、e-Taxで確定申告書、貸借対照表、損益計算書などを期限内に提出するか、優良な電子帳簿保存の要件を満たす必要があります。

7-5. 控除証明書や領収書を保管する

確定申告が終わったあとも、控除証明書や領収書は保管しておきましょう。社会保険料控除、生命保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、寄附金控除などは、証明書が必要になる場合があります。

医療費控除では、医療費の領収書そのものの提出は不要でも、一定期間の保管が必要です。申告内容を後から確認できるように、紙またはデータで整理しておきましょう。

7-6. 申告期限と納税期限を確認する

令和7年分の所得税および復興特別所得税の申告・納付期限は、令和8年3月16日月曜日です。個人事業者の消費税等の申告・納付期限は令和8年3月31日火曜日です。

期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税などが発生する可能性があります。早めに準備を始めましょう。

8. フリーランスが控除を申告するときの注意点

8-1. 控除にはそれぞれ適用条件がある

控除は、支出したから必ず使えるわけではありません。医療費控除、配偶者控除、扶養控除、住宅ローン控除などは、それぞれ細かい適用条件があります。

「去年使えたから今年も使える」と考えず、毎年の所得、家族構成、支払状況を確認しましょう。

8-2. 控除額は申告する年分の制度で確認する

税制は改正されることがあります。令和7年度税制改正では、基礎控除の見直しや特定親族特別控除の創設などが行われました。

申告する年分によって控除額や所得要件が異なる場合があるため、最新の制度で確認することが重要です。

8-3. 証明書がないと控除できない場合がある

社会保険料控除、生命保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、寄附金控除などは、証明書や領収書が必要になる場合があります。

特に国民年金保険料、小規模企業共済、iDeCo、生命保険料、ふるさと納税の寄附金受領証明書は、年末から確定申告時期にかけて整理しておきましょう。

8-4. 家族の所得額によって使えない控除がある

配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、特定親族特別控除は、家族の所得額によって適用可否や控除額が変わります。

アルバイト収入や副業収入がある家族を扶養している場合は、給与収入だけでなく合計所得金額を確認しましょう。

8-5. 赤字でも控除を入力すべきケースがある

事業が赤字の場合でも、確定申告をする意味はあります。青色申告では、一定の要件を満たすことで純損失の繰越控除を使える場合があります。

また、所得税が発生しなくても、住民税や国民健康保険料の計算に影響することがあります。赤字だからといって申告を省略せず、必要な手続きを確認しましょう。

8-6. 住民税や国民健康保険料にも影響する場合がある

所得控除や青色申告特別控除で課税所得が下がると、所得税だけでなく住民税や国民健康保険料にも影響する場合があります。

特にフリーランスは国民健康保険料の負担が大きくなりやすいため、所得を正しく計算し、使える控除を漏れなく申告することが大切です。

9. フリーランスの控除に関するよくある質問

9-1. フリーランスでも基礎控除は受けられる?

はい。フリーランスでも、要件に当てはまれば基礎控除を受けられます。基礎控除は、確定申告や年末調整で所得税額を計算する際に、総所得金額などから差し引ける控除です。

ただし、控除額は合計所得金額によって異なります。

9-2. 国民年金や国民健康保険は控除できる?

はい。国民年金や国民健康保険料は、社会保険料控除の対象です。控除できる金額は、その年に実際に支払った金額の全額です。

国民年金保険料については、控除証明書を保管しておきましょう。

9-3. iDeCoや小規模企業共済はどちらが節税になる?

iDeCoも小規模企業共済も、掛金が小規模企業共済等掛金控除の対象となり、その年に支払った掛金の全額を所得控除できます。

どちらがよいかは、目的によって異なります。老後資金を準備したいならiDeCo、フリーランスとして退職金のような資金を準備したいなら小規模企業共済が選択肢になります。節税効果だけでなく、途中解約や資金拘束、運用リスクも含めて判断しましょう。

9-4. 経費と控除はどちらを優先すべき?

経費と控除は、どちらかを優先するものではなく、性質が異なります。

事業に直接必要な支出は経費として処理し、社会保険料や生命保険料、医療費、寄附金などは控除として申告します。同じ支出を経費と控除の両方に入れることはできません。

9-5. 青色申告しないと控除は受けられない?

いいえ。白色申告でも、基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、配偶者控除、扶養控除などの所得控除は使えます。

ただし、青色申告特別控除は青色申告者だけが使える制度です。最大65万円の控除を受けたい場合は、青色申告の承認を受け、要件を満たす必要があります。

9-6. 控除を入れ忘れた場合は修正できる?

控除の入れ忘れに気づいた場合は、状況に応じて更正の請求や修正申告を行います。

税金を多く納めすぎていた場合は更正の請求、税金が少なかった場合は修正申告が必要です。医療費控除や寄附金控除の漏れなどは比較的起こりやすいため、申告後に気づいたら早めに確認しましょう。

9-7. 副業フリーランスでも控除は使える?

はい。副業でフリーランス収入がある場合でも、要件を満たせば控除は使えます。

ただし、会社員として年末調整を受けていても、副業の所得がある場合は確定申告が必要になることがあります。年末調整で反映済みの控除と、確定申告で追加する控除を整理しましょう。

まとめ

フリーランスの控除には、基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、寄附金控除、配偶者控除、扶養控除などの所得控除と、住宅ローン控除、配当控除、外国税額控除などの税額控除があります。

さらに、青色申告を選択すれば、要件に応じて10万円、55万円、65万円の青色申告特別控除を受けられます。特に65万円控除は節税効果が大きいため、継続的にフリーランスとして活動する人は活用を検討したい制度です。

控除と経費は混同しやすいですが、経費は売上から差し引くもの、控除は所得や税額から差し引くものです。同じ支出を二重に計上しないよう注意しましょう。

フリーランスは、控除を自分で把握して申告する必要があります。1年間の売上、経費、控除証明書を早めに整理し、使える控除を漏れなく反映することが、無理のない節税につながります。