フリーランスの国民年金はいくら払う?手続き・免除・未納リスクまで初心者向けに解説

はじめに

フリーランスになると、会社員時代には給与から天引きされていた年金の手続きを自分で行う必要があります。特に「フリーランスの国民年金はいくら払うのか」「会社を辞めたらどこで手続きするのか」「収入が少ないときは免除できるのか」は、多くの人が最初につまずきやすいポイントです。

結論からいうと、20歳以上60歳未満のフリーランスは原則として国民年金の「第1号被保険者」となり、令和8年度の国民年金保険料は月額17,920円です。保険料は売上や所得に応じて変わるものではなく、基本的に一律でかかります。日本年金機構も、令和8年度の国民年金保険料を1カ月あたり17,920円と案内しています。

この記事では、フリーランスが知っておきたい国民年金の基本、保険料、支払い方法、退職後の切り替え手続き、免除・猶予制度、未納リスク、老後に備える上乗せ制度まで、初心者向けに順番に解説します。

1. フリーランスが加入する国民年金の基本

1-1. フリーランスは「第1号被保険者」として国民年金に加入する

日本の公的年金制度では、働き方などに応じて被保険者区分が分かれています。会社員や公務員は厚生年金に加入する「第2号被保険者」、厚生年金加入者に扶養される配偶者は「第3号被保険者」、自営業者・個人事業主・フリーランス・学生・無職の人などは「第1号被保険者」に該当します。

フリーランスとして独立し、会社の厚生年金から外れると、多くの場合は国民年金の第1号被保険者になります。第1号被保険者は、自分で国民年金保険料を納める必要があります。日本年金機構も、第1号被保険者や任意加入被保険者は国民年金保険料を納付しなければならないと案内しています。

会社員時代は、厚生年金保険料が給与から自動で差し引かれていました。そのため、独立直後は「年金の支払いを忘れていた」「納付書が届いて初めて気づいた」ということもあります。フリーランスになったら、税金や国民健康保険だけでなく、国民年金の手続きと支払いも自分で管理する必要があります。

1-2. 会社員の厚生年金との違い

会社員が加入する厚生年金は、国民年金に上乗せされる2階建ての制度です。会社員は老後に「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」を受け取れる可能性があります。一方、フリーランスが第1号被保険者として国民年金だけに加入している場合、基本的に受け取れるのは「老齢基礎年金」です。

また、会社員の厚生年金保険料は給与や賞与に応じて決まり、会社と本人が保険料を負担します。フリーランスの国民年金保険料は、所得や売上にかかわらず定額です。収入が多い月も少ない月も、原則として同じ金額を納めます。

この違いにより、フリーランスは会社員に比べて将来の年金額が少なくなりやすい傾向があります。そのため、国民年金だけで老後資金を考えるのではなく、付加年金、国民年金基金、iDeCo、小規模企業共済などを組み合わせて備えることが重要です。

1-3. 国民年金と国民健康保険を混同しないための基礎知識

フリーランスになると「国民年金」と「国民健康保険」の両方が関係してきます。名前が似ているため混同しやすいですが、制度の目的はまったく違います。

国民年金は、老後・障害・死亡に備える年金制度です。将来の老齢基礎年金だけでなく、一定の要件を満たせば障害基礎年金や遺族基礎年金にも関係します。

国民健康保険は、病気やけがで医療機関を受診したときの医療費負担を軽くする医療保険制度です。会社員時代の健康保険から外れた人が、自治体の国民健康保険に加入するケースが多くあります。

つまり、国民年金は「年金」、国民健康保険は「医療保険」です。どちらもフリーランスにとって大切ですが、保険料の計算方法、手続き先、目的が異なります。国民年金の保険料は全国一律ですが、国民健康保険料は自治体や前年所得などによって変わります。

1-4. 副業フリーランス・扶養配偶者・法人化した人の加入区分

フリーランスといっても、働き方によって加入区分は変わります。

会社員として厚生年金に加入しながら副業でフリーランス収入を得ている人は、基本的には会社員として第2号被保険者のままです。この場合、副業をしているからといって、別途第1号被保険者として国民年金保険料を払うわけではありません。

配偶者の扶養に入っている人がフリーランスとして働く場合は、収入や働き方によって扱いが変わります。厚生年金に加入する配偶者に扶養され、原則として年収130万円未満などの要件を満たす場合は、第3号被保険者に該当することがあります。第3号被保険者は自分で国民年金保険料を納付する必要はありません。日本年金機構も、第3号被保険者の要件として、20歳以上60歳未満で、厚生年金加入者に扶養され、原則として年収130万円未満であることなどを示しています。

個人事業主から法人化した人は、役員報酬の有無や法人の社会保険加入状況によって変わります。法人から役員報酬を受け、厚生年金に加入する場合は第2号被保険者になります。一方、役員報酬を出していない、社会保険の加入関係が整理できていないといった場合は、年金事務所や社会保険労務士に確認したほうが安心です。

2. フリーランスの国民年金保険料はいくら払う?

2-1. 令和8年度の国民年金保険料は月額17,920円

令和8年度、つまり令和8年4月から令和9年3月までの国民年金保険料は、月額17,920円です。1年間では17,920円×12カ月=215,040円になります。日本年金機構の案内でも、令和8年度の国民年金保険料は1カ月あたり17,920円とされています。

フリーランスにとっては、毎月約1.8万円の固定支出です。国民健康保険料、住民税、所得税、事業経費とあわせて資金繰りを考える必要があります。特に独立1年目は、売上が安定しない時期に納付書が届くこともあるため、毎月の生活費とは別に「税金・社会保険料用の口座」を作っておくと管理しやすくなります。

2-2. 年収や売上に関係なく保険料は一律

国民年金保険料は、年収や売上に応じて変わるものではありません。売上が月10万円の月でも、月100万円の月でも、第1号被保険者として納める国民年金保険料は原則として同じです。

ここで注意したいのは、「売上が少ないから自動的に安くなるわけではない」という点です。国民健康保険料は前年所得によって変わることが多いですが、国民年金保険料は一律です。支払いが難しい場合は、自己判断で未納にするのではなく、免除・納付猶予制度を申請する必要があります。

2-3. 夫婦ともフリーランスの場合はいくらになる?

夫婦ともにフリーランスで、どちらも第1号被保険者に該当する場合、国民年金保険料は1人ずつかかります。

令和8年度の保険料で計算すると、1人あたり月額17,920円なので、夫婦2人では月額35,840円です。年間では35,840円×12カ月=430,080円になります。

会社員世帯の場合、配偶者が第3号被保険者であれば、その配偶者自身が国民年金保険料を直接納める必要はありません。しかし夫婦ともにフリーランスの場合は、原則として2人分の国民年金保険料を自分たちで納めます。

家計管理では、国民年金だけで月3.5万円以上の支出になることを前提にしておきましょう。さらに国民健康保険料や住民税も別に発生するため、独立前に夫婦単位で年間の社会保険料・税金を試算しておくことが大切です。

2-4. 付加保険料400円を上乗せすると将来の年金を増やせる

フリーランスが将来の年金を少しでも増やしたい場合、まず検討しやすいのが「付加年金」です。国民年金の定額保険料に加えて、月額400円の付加保険料を納めることで、将来の老齢基礎年金に付加年金が上乗せされます。日本年金機構も、第1号被保険者や任意加入被保険者は、月額400円の付加保険料を納付することで将来の老齢基礎年金額を増やせると案内しています。

付加年金の受給額は、「200円×付加保険料を納めた月数」で計算されます。たとえば10年間、つまり120カ月付加保険料を納めた場合、支払う付加保険料は400円×120カ月=48,000円です。将来の付加年金は200円×120カ月=年24,000円となります。

単純計算では、老齢基礎年金を受け取り始めて2年で支払った付加保険料相当額に達するため、長生きするほどメリットが大きくなりやすい制度です。ただし、国民年金基金に加入している人は付加保険料を納付できないため、どちらを選ぶかは事前に確認しましょう。日本年金機構も、国民年金基金の加入員は付加年金に加入できないとしています。

2-5. 国民年金保険料は経費ではなく社会保険料控除の対象

フリーランスが支払う国民年金保険料は、事業の必要経費にはなりません。帳簿上の経費として売上から差し引くのではなく、確定申告で「社会保険料控除」として所得から差し引きます。

日本年金機構も、納付した国民年金保険料は所得税や個人住民税の計算上、全額が社会保険料控除の対象になると案内しています。

たとえば、1年間で国民年金保険料を215,040円支払った場合、その全額を社会保険料控除として申告できます。配偶者や家族の国民年金保険料を自分が支払った場合も、一定の条件を満たせば自分の社会保険料控除に含められることがあります。

確定申告では、日本年金機構から届く「社会保険料控除証明書」が必要になります。年末調整がないフリーランスは、自分で忘れずに申告しましょう。

3. 国民年金の支払い方法とお得な納付方法

3-1. 納付書・口座振替・クレジットカード・電子決済で支払える

国民年金保険料の支払い方法には、納付書、口座振替、クレジットカード、スマートフォンアプリ、Pay-easyなどがあります。日本年金機構は、納付方法として納付書、口座振替、クレジットカード、スマートフォンアプリ、ねんきんネットを活用したPay-easy納付などを案内しています。

納付書払いは、金融機関、郵便局、コンビニなどで支払う方法です。手元の現金で管理したい人にはわかりやすい一方、支払い忘れが起きやすい点に注意が必要です。

口座振替は、指定した銀行口座から自動で引き落とされる方法です。支払い忘れを防ぎやすく、前納や早割を使うと割引を受けられます。

クレジットカード払いは、カードで保険料を支払う方法です。カード会社のポイントが付く場合もありますが、前納の割引額は口座振替と異なるため、割引とポイントを比較して選ぶとよいでしょう。

スマートフォンアプリやPay-easyを使えば、納付書情報をもとにオンラインで支払うこともできます。忙しいフリーランスには便利ですが、アプリや支払い方法によって利用条件が異なる場合があります。

3-2. 毎月の納付期限は翌月末

国民年金保険料の納付期限は、原則として納付対象月の翌月末日です。たとえば4月分の保険料は5月末までに納めます。日本年金機構も、納付期限は法令で「納付対象月の翌月末日」と定められていると案内しています。

ただし、月末が土日祝日や年末年始にあたる場合は、翌月最初の金融機関等の営業日が納付期限になります。

フリーランスは入金日が不規則になりやすいため、「月末に余ったら払う」という考え方だと支払いが遅れやすくなります。売上が入った時点で、国民年金や国民健康保険、住民税などの支払い分を先に別口座へ移しておくと安心です。

3-3. 前納制度を使うと保険料が割引される

国民年金保険料には、一定期間分をまとめて前払いする「前納制度」があります。前納を利用すると、毎月納付するよりも保険料が割引されます。日本年金機構も、国民年金保険料は一定期間分をまとめて前払いでき、前納すると割引が適用されると案内しています。

前納には、6カ月前納、1年前納、2年前納などがあります。一般的には、まとめて納める期間が長いほど割引額が大きくなります。また、納付書・クレジットカードよりも、口座振替のほうが割引額が大きいケースがあります。

ただし、前納はまとまった資金が必要です。資金繰りに余裕がない状態で無理に2年前納をすると、事業資金や生活費が不足する可能性があります。割引額だけでなく、手元資金とのバランスを見て選びましょう。

3-4. 口座振替の早割・6カ月前納・1年前納・2年前納の違い

令和8年度の国民年金保険料について、日本年金機構は前納の納付額と割引額を公表しています。たとえば、納付書・クレジットカード払いの場合、2年前納は418,510円で割引額16,010円、1年前納は211,220円で割引額3,820円、6カ月前納は106,650円で割引額870円です。口座振替の場合、2年前納は417,150円で割引額17,370円、1年前納は210,530円で割引額4,510円、6カ月前納は106,300円で割引額1,220円、早割は毎月60円の割引です。

早割は、通常の翌月末振替ではなく当月末振替にすることで、毎月60円の割引を受けられる制度です。大きな割引ではありませんが、まとまった資金を用意しなくても始めやすいのがメリットです。

6カ月前納は、半年分をまとめて支払う方法です。1年前納や2年前納ほど大きな割引ではありませんが、資金負担を抑えながら割引を受けたい人に向いています。

1年前納は、1年分をまとめて支払う方法です。確定申告や年間の資金計画を立てやすいメリットがあります。

2年前納は、割引額が最も大きくなりやすい方法です。ただし、40万円以上のまとまった支払いになるため、資金に余裕がある人向けです。

3-5. 支払い忘れを防ぐためのおすすめ管理方法

フリーランスが国民年金の支払い忘れを防ぐには、仕組み化が大切です。おすすめは、口座振替にして自動引き落としにすることです。納付書払いは自分で支払いに行く必要があるため、忙しい時期や出張が続く時期に忘れやすくなります。

また、事業用口座とは別に「税金・社会保険料用口座」を作るのも効果的です。売上が入ったら、一定割合をすぐに移しておくと、納付月に慌てにくくなります。

会計ソフトやカレンダーアプリで、国民年金、国民健康保険、住民税、所得税、消費税の支払い予定をまとめて管理するのもおすすめです。フリーランスは会社が管理してくれない分、自分で「支払いを忘れない仕組み」を作ることが重要です。

4. 会社員からフリーランスになるときの国民年金手続き

4-1. 退職後は厚生年金から国民年金への切り替えが必要

会社員を退職してフリーランスになる場合、厚生年金から国民年金への切り替え手続きが必要です。退職すると、会社の厚生年金の資格を失い、次の会社に入らない場合や自営業・フリーランスになる場合は、国民年金の第1号被保険者として加入することになります。

たとえば3月31日に退職し、4月1日からフリーランスになる場合は、4月1日から国民年金第1号被保険者になります。日本年金機構も、会社を退職してすぐに就職しない場合は、厚生年金保険の資格喪失日から国民年金第1号被保険者となり、資格取得の手続きが必要になると説明しています。

退職した会社が自動で国民年金への切り替えまでしてくれるわけではありません。自分で市区町村役場などに届け出る必要があります。

4-2. 手続きは市区町村役場または電子申請で行う

国民年金への加入手続きは、住所地の市区町村役場の国民年金担当窓口で行います。日本年金機構は、手続きの簡素化や迅速化が見込める電子申請の利用も案内しています。

役場の窓口に行く場合は、必要書類を持参して手続きします。自治体によって窓口名が「国民年金係」「保険年金課」など異なるため、事前に自治体ホームページで確認しておくとスムーズです。

電子申請を利用できる場合は、マイナポータルなどから手続きできることがあります。平日に役所へ行く時間が取りにくいフリーランスにとっては便利な方法です。

4-3. 手続きに必要なもの

退職後に国民年金へ切り替えるときは、主に次のようなものが必要になります。

まず、本人確認書類です。マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなどが該当します。

次に、基礎年金番号またはマイナンバーが確認できるものです。基礎年金番号通知書、年金手帳、マイナンバーカードなどを準備しましょう。

さらに、退職日や厚生年金の資格喪失日を確認できる書類が必要になる場合があります。日本年金機構は、退職直後に第1号被保険者の加入手続きを行う場合、厚生年金保険等の資格喪失日を証明できるもの、たとえば離職票等が必要になる場合があると案内しています。

具体的には、離職票、退職証明書、健康保険資格喪失証明書などです。会社からの書類発行に時間がかかることもあるため、退職前に担当部署へ確認しておくと安心です。

4-4. 退職後14日以内に手続きするのが基本

国民年金への切り替え手続きは、退職日の翌日から14日以内に行うのが基本です。日本年金機構も、国民年金に加入するための手続きの提出期限を「退職日の翌日から14日以内」としています。

たとえば3月31日に退職した場合、4月1日から14日以内に手続きするイメージです。退職後は開業届、国民健康保険、失業給付の確認、取引先対応などで忙しくなりがちですが、国民年金の手続きも忘れないようにしましょう。

14日を過ぎたからといって手続きできなくなるわけではありませんが、遅れると納付書の到着が遅れたり、未納期間が生じたりする可能性があります。できるだけ早めに対応するのが安全です。

4-5. 手続きが遅れた場合や納付書が届かない場合の対処法

手続きが遅れた場合でも、まずは速やかに市区町村役場または年金事務所に相談しましょう。放置するよりも、遅れてでも手続きすることが大切です。

納付書が届かない場合も、自己判断で「払わなくていい」と考えるのは危険です。住所変更、手続きのタイミング、会社からの資格喪失情報の反映遅れなどにより、納付書の到着が遅れることがあります。

日本年金機構は、加入手続きが遅れた場合に「届出はお済みですか(国民年金加入のご案内)」が届く場合があると案内しています。

納付書が届かないときは、年金事務所に問い合わせるか、ねんきんネットで納付状況を確認しましょう。未納のまま時間が経つと、将来の年金額や障害年金・遺族年金の受給要件に影響する可能性があります。

5. フリーランスは将来いくら年金をもらえる?

5-1. 国民年金を満額納めた場合の老齢基礎年金額

令和8年度の老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以後生まれの人で月額70,608円です。年額では847,300円が目安になります。日本年金機構は、令和8年度の老齢基礎年金満額を月額70,608円とし、免除制度の説明ページでは40年納付した場合の老齢基礎年金を年額847,300円と示しています。

ただし、これは40年間保険料を納めた場合の満額です。20歳から60歳までの40年間に未納期間や免除期間があると、受け取れる年金額は少なくなることがあります。

年金額は毎年度改定されるため、将来実際に受け取る金額は今の金額と同じとは限りません。あくまで現時点の制度に基づく目安として考えましょう。

5-2. 厚生年金がないため会社員より受給額は少なくなりやすい

フリーランスが国民年金だけに加入している場合、老後の公的年金は老齢基礎年金が中心になります。一方、会社員は老齢基礎年金に加えて、報酬比例の老齢厚生年金を受け取れる可能性があります。

令和8年度の日本年金機構の年金額例では、平均的な収入で40年間就業した会社員と配偶者の世帯について、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金額が月額237,279円とされています。

この金額と、国民年金のみの満額を比べると、フリーランスは老後の公的年金収入が少なくなりやすいことがわかります。もちろん、会社員時代の厚生年金加入期間がある人は、その分の老齢厚生年金を受け取れる可能性があります。独立前に会社員期間が長い人ほど、将来の受給額は国民年金だけの人とは異なります。

5-3. 未納期間・免除期間があると受給額はどう変わる?

国民年金は、未納期間があると老齢基礎年金が減ります。さらに、未納期間は受給資格期間にも影響します。老齢基礎年金を受け取るためには、保険料納付済期間、厚生年金加入期間、免除期間などを合算して10年以上必要です。日本年金機構も、老齢基礎年金を受け取るには、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した期間が10年以上必要と案内しています。

免除期間は、未納とは扱いが異なります。全額免除の場合、保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1が反映されます。4分の3免除は8分の5、半額免除は8分の6、4分の1免除は8分の7が反映されます。納付猶予は受給資格期間にはカウントされますが、年金額には反映されません。

つまり、払えないときに未納で放置するより、免除や猶予を申請したほうが将来への影響を抑えやすいのです。

5-4. 自分の将来受給額はねんきんネットで確認できる

自分が将来いくら年金を受け取れそうかは、「ねんきんネット」で確認できます。ねんきんネットは、自分の年金情報や年金記録、将来受け取る年金見込額などを確認できるサービスです。日本年金機構も、ねんきんネットで年金情報の確認や各種手続きができ、将来受け取る年金見込額を知りたいときに利用できると案内しています。

フリーランスの場合、会社員時代の厚生年金加入期間、独立後の国民年金納付期間、免除・猶予期間などによって将来の年金額が変わります。ざっくりした一般論ではなく、自分の記録を確認することが大切です。

特に、転職や退職、独立を繰り返している人は、年金記録に漏れがないか確認しておきましょう。年金定期便だけでなく、ねんきんネットを活用すると、より詳しく把握できます。

5-5. 老後資金が不安なフリーランスが考えるべき上乗せ制度

国民年金だけでは老後資金が不安な場合、フリーランスは自分で上乗せ制度を活用する必要があります。代表的な選択肢は、付加年金、国民年金基金、iDeCo、小規模企業共済です。

付加年金は月400円から始められ、シンプルで負担が小さい制度です。国民年金基金は、老齢基礎年金に上乗せする公的な年金制度です。全国国民年金基金は、自営業・フリーランスなどの国民年金第1号被保険者が、老齢基礎年金に上乗せして加入できる公的な年金制度と説明しています。

iDeCoは、自分で掛金を拠出し、自分で運用する私的年金制度です。厚生労働省は、iDeCoを公的年金とは別に給付を受けられる私的年金制度の一つと説明しています。

小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者などのための退職金制度です。中小機構は、小規模企業共済を個人事業主などのための積み立てによる退職金制度で、掛金は全額所得控除できると説明しています。

それぞれメリット・デメリットや併用可否が異なるため、自分の収入、年齢、家族構成、投資経験、節税効果を踏まえて選びましょう。

6. 国民年金を払えないときに使える免除・猶予制度

6-1. 所得が少ない場合は保険料免除を申請できる

フリーランスは収入が不安定になりやすく、開業直後や売上が落ちた年には国民年金保険料の支払いが重く感じることがあります。そのような場合は、未納のまま放置せず、保険料免除制度を検討しましょう。

保険料免除制度は、本人、世帯主、配偶者の前年所得が一定額以下の場合や、失業した場合などに、本人が申請して承認されると保険料の納付が免除される制度です。日本年金機構も、収入減少や失業等で保険料の納付が経済的に困難な場合の手続きとして、保険料免除制度・納付猶予制度を案内しています。

フリーランスの場合、売上ではなく所得が基準になります。売上が多くても経費が大きく、所得が低い場合は対象になる可能性があります。一方、本人の所得が少なくても、配偶者や世帯主の所得によって承認されないこともあります。

6-2. 免除には全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除がある

国民年金の免除には、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4種類があります。日本年金機構も、免除される額は全額、4分の3、半額、4分の1の4種類と案内しています。

全額免除は、保険料の全額が免除される制度です。ただし、年金額への反映は全額納付した場合の2分の1になります。

4分の3免除は、保険料の4分の3が免除され、残り4分の1を納める制度です。令和8年度の場合、納める保険料は4,480円です。

半額免除は、保険料の半額が免除され、残り半額を納める制度です。令和8年度の場合、納める保険料は8,960円です。

4分の1免除は、保険料の4分の1が免除され、残り4分の3を納める制度です。令和8年度の場合、納める保険料は13,440円です。日本年金機構は、これら一部免除の令和8年度納付額と年金額への反映割合も示しています。

一部免除の場合、減額された保険料を納めないと未納扱いになる点に注意が必要です。「半額免除が承認されたから何もしなくてよい」というわけではありません。

6-3. 50歳未満なら納付猶予制度を使える場合がある

50歳未満の人は、納付猶予制度を利用できる場合があります。納付猶予制度は、20歳以上50歳未満の人で、本人と配偶者の前年所得が一定額以下の場合に、申請して承認されると保険料の納付が猶予される制度です。日本年金機構も、20歳以上50歳未満で本人・配偶者の所得が一定額以下の場合、申請により保険料の納付が猶予されると案内しています。

免除との大きな違いは、老齢基礎年金の金額への反映です。納付猶予期間は、老齢基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間にはカウントされますが、年金額には反映されません。

つまり、納付猶予は「将来の年金額を増やす制度」ではなく、「未納にせず、受給資格や障害年金・遺族年金の要件に影響しにくくする制度」と考えるとわかりやすいでしょう。

6-4. 失業・退職直後は特例免除を利用できる可能性がある

会社員を退職してフリーランスになった直後は、前年に会社員としての給与所得があるため、通常の所得基準では免除が通りにくいことがあります。そのようなときに確認したいのが、失業等による特例免除です。

日本年金機構は、失業、倒産、事業の廃止などの事実を確認できた場合、失業等した本人の前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられる特例があると案内しています。

会社を退職した人は、雇用保険被保険者離職票、雇用保険受給資格者証、雇用保険受給資格通知などのコピーが必要になることがあります。退職後すぐに収入が安定しない場合は、年金事務所や市区町村役場で特例免除の対象になるか相談しましょう。

6-5. 免除・猶予は自動適用ではなく申請が必要

国民年金の免除・猶予は、自動的に適用されるわけではありません。所得が少ない、退職した、売上が減ったという事情があっても、自分で申請しなければ未納扱いになる可能性があります。

申請先は、住所地の市区町村役場の国民年金担当窓口または年金事務所です。郵送や電子申請が利用できる場合もあります。日本年金機構は、免除・納付猶予の申請先として住所地の市区町村役場の国民年金担当窓口や年金事務所を案内し、郵送提出や電子申請も案内しています。

申請には、基礎年金番号またはマイナンバーが確認できる書類、本人確認書類、失業等による申請の場合は離職票などの書類が必要です。

なお、申請は原則として毎年度必要です。継続審査の対象になる場合もありますが、失業等による特例免除は翌年度も申請が必要とされています。

6-6. 追納すれば将来の年金額を増やせる

免除や納付猶予を受けた期間は、あとから保険料を納める「追納」ができます。日本年金機構は、免除・納付猶予の承認を受けた期間の保険料は、10年以内であれば申し出により追納でき、老齢基礎年金の受給額を満額に近づけられると案内しています。

独立直後は資金繰りが厳しく、免除や猶予を使うのは合理的な選択です。ただし、事業が軌道に乗って余裕が出てきたら、追納を検討すると将来の年金額を増やせます。

追納は古い期間から順に行うのが基本で、一定期間を過ぎると加算額が上乗せされることがあります。将来の年金額を重視するなら、免除や猶予を受けたまま放置せず、資金に余裕ができたタイミングで追納計画を立てましょう。

7. 国民年金を未納のまま放置するリスク

7-1. 老後にもらえる老齢基礎年金が減る

国民年金を未納のまま放置すると、将来受け取る老齢基礎年金が減ります。老齢基礎年金は、保険料を納めた期間に応じて計算されるため、未納期間が長いほど満額から遠ざかります。

40年間すべて納めれば満額に近い年金を受け取れますが、未納期間があるとその分だけ年金額が減ります。特にフリーランスは厚生年金がない期間が長くなりやすいため、国民年金の未納が老後資金に与える影響は大きくなります。

「どうせ少ないから払わない」と考えるのは危険です。老齢基礎年金は終身で受け取れる公的年金です。長生きした場合の生活基盤になるため、できるだけ未納期間を作らないことが大切です。

7-2. 障害年金や遺族年金を受け取れない可能性がある

国民年金は老後のためだけの制度ではありません。病気やけがで障害が残ったときの障害基礎年金、家族が亡くなったときの遺族基礎年金にも関係します。

未納期間があると、一定の保険料納付要件を満たせず、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れない可能性があります。日本年金機構も、納付期限までに保険料が納付されないと、障害基礎年金や遺族基礎年金を受給できない場合があると案内しています。

また、不慮の事故や病気が発生してから過去にさかのぼって申請しても、障害基礎年金の保険料納付要件には算入されません。日本年金機構は、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち保険料納付済期間と免除期間が3分の2未満の場合や、直近1年間に未納がある場合には、障害基礎年金や遺族基礎年金が支給されない例があると説明しています。

フリーランスは会社員のような傷病手当金や手厚い福利厚生がないことも多いため、障害年金の重要性は高いといえます。

7-3. 督促・延滞金・差し押さえにつながることがある

国民年金保険料を納めないままにしていると、納付勧奨や督促の対象になることがあります。日本年金機構は、国民年金保険料が納付期限までに納付されない場合、納付勧奨を実施すると案内しています。

さらに、所得があるにもかかわらず長期間未納を続けた場合、督促状が届き、延滞金が発生したり、最終的に財産差し押さえにつながったりすることがあります。差し押さえの対象は、預貯金、給与、売掛金などに及ぶ可能性があります。

フリーランスの場合、売掛金や事業用口座に影響が出ると、事業継続にも支障が出かねません。支払えない事情があるなら、放置するのではなく、早めに免除・猶予を申請することが大切です。

7-4. 「払えない」と「払わない」は扱いが違う

国民年金では、「経済的に払えない人」と「払えるのに払わない人」では扱いが違います。

収入が少ない、退職直後で生活が厳しい、事業が不安定という場合は、免除・納付猶予制度を利用できる可能性があります。申請して承認されれば、未納とは違い、受給資格期間に算入されたり、年金額の一部に反映されたりする場合があります。

一方、何も申請せずに放置すると未納になります。未納期間は老齢基礎年金の年金額に反映されず、受給資格期間にも算入されません。障害年金や遺族年金の要件にも悪影響が出る可能性があります。

「今は払えない」と感じたときこそ、年金事務所や市区町村役場に相談し、免除や猶予の申請を検討しましょう。

7-5. 未納に気づいたときの確認方法と対処手順

国民年金の未納に気づいたら、まず自分の納付状況を確認しましょう。ねんきんネット、年金定期便、年金事務所への問い合わせで確認できます。

次に、納付できる期間かどうかを確認します。国民年金保険料は、原則として納付期限から2年以内であれば後から納められます。2年を過ぎると納められない場合があるため、早めの対応が必要です。

支払える場合は、納付書を再発行してもらい、未納分を納めましょう。納付書がない場合は年金事務所へ問い合わせます。

支払えない場合は、免除・納付猶予の申請を検討します。免除・猶予は、保険料の納付期限から2年を経過していない期間について申請できる場合があります。日本年金機構は、申請時点から2年1カ月前までの期間が申請できると案内しています。

未納に気づいたら、「確認する」「納める」「申請する」の順で早めに対応しましょう。

8. フリーランスが国民年金だけで不安なときの備え

8-1. 国民年金基金で将来の年金を上乗せする

国民年金基金は、自営業者やフリーランスなどの第1号被保険者が、老齢基礎年金に上乗せするための公的な年金制度です。全国国民年金基金は、自営業・フリーランスなどの国民年金第1号被保険者が、国民年金に上乗せして加入できる制度と説明しています。

国民年金基金のメリットは、老後に終身年金として受け取れるタイプを選べること、掛金が全額所得控除の対象になることです。将来の年金額をある程度見通しやすい点も特徴です。

一方で、途中脱退が原則として難しいこと、物価上昇に完全に連動するわけではないこと、付加年金と併用できないことには注意が必要です。

安定した老後の年金収入を増やしたい人には選択肢になりますが、資金の自由度を重視する人は、iDeCoや小規模企業共済との比較も必要です。

8-2. iDeCoで老後資金を積み立てる

iDeCoは、自分で掛金を出し、自分で運用商品を選び、老後に受け取る私的年金制度です。厚生労働省は、iDeCoを公的年金とは別に給付を受けられる私的年金制度の一つであり、加入の申込、掛金の拠出、運用を自分で行う制度と説明しています。

フリーランスにとっての大きなメリットは、掛金が所得控除の対象になることです。課税所得がある人ほど、節税効果を得やすくなります。また、運用益が非課税になる点もメリットです。

一方で、iDeCoは原則として老後まで引き出せません。投資信託を選ぶ場合は元本割れのリスクもあります。短期的な資金繰りに不安がある人が、無理に大きな掛金を設定するのは避けたほうがよいでしょう。

フリーランスは収入変動があるため、まずは生活防衛資金を確保し、そのうえで無理のない掛金から始めるのがおすすめです。

8-3. 小規模企業共済を退職金代わりに活用する

小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者などが、廃業や退職時に備えて積み立てる退職金制度です。中小機構は、小規模企業共済を個人事業主などのための積み立てによる退職金制度で、掛金は全額所得控除できると説明しています。

会社員には退職金制度がある場合がありますが、フリーランスには基本的に退職金がありません。小規模企業共済を活用すれば、将来の廃業時や引退時にまとまった資金を受け取る準備ができます。

掛金は月1,000円から70,000円までの範囲で設定でき、加入後に増減も可能です。所得控除による節税効果があるため、利益が出ているフリーランスには特に検討価値があります。

ただし、短期間で任意解約すると元本割れする可能性があります。短期の貯金ではなく、長期の退職金づくりとして考えましょう。

8-4. 付加年金・国民年金基金・iDeCoの併用可否に注意する

老後資金対策を考えるときは、制度の併用可否に注意が必要です。

付加年金とiDeCoは併用できます。ただし、iDeCoには拠出限度額があり、付加保険料を納める場合はその分も含めて上限管理が必要になる場合があります。日本年金機構も、個人型確定拠出年金と付加年金は同時加入できる一方、iDeCoには拠出限度額があり、納付額によっては併用できない場合があると案内しています。

一方、付加年金と国民年金基金は併用できません。国民年金基金の加入員は付加保険料を納付できないため、どちらを選ぶか決める必要があります。

国民年金基金とiDeCoは併用できますが、掛金の合計上限に注意が必要です。小規模企業共済は、国民年金基金やiDeCoとは別枠で活用できる制度です。

制度を選ぶときは、「毎月いくらまで無理なく出せるか」「節税効果を重視するか」「終身年金がほしいか」「途中で資金が必要になる可能性があるか」を整理しましょう。

まとめ

フリーランスは、原則として国民年金の第1号被保険者として自分で保険料を納めます。令和8年度の国民年金保険料は月額17,920円で、年収や売上にかかわらず一律です。夫婦ともにフリーランスなら、2人分で月額35,840円、年間430,080円の負担になります。

会社員からフリーランスになる場合は、退職後に厚生年金から国民年金への切り替え手続きが必要です。手続きは退職日の翌日から14日以内に、市区町村役場や電子申請で行うのが基本です。

国民年金を払えないときは、未納のまま放置せず、免除・納付猶予制度を申請しましょう。未納のままにすると、老齢基礎年金が減るだけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取れない可能性もあります。

また、フリーランスは厚生年金がない期間が長くなりやすいため、国民年金だけでは老後資金が不足しやすい点にも注意が必要です。付加年金、国民年金基金、iDeCo、小規模企業共済などを組み合わせ、自分に合った備えを早めに始めましょう。

国民年金は、単なる毎月の支出ではなく、老後・障害・死亡に備える土台です。フリーランスとして安心して働き続けるためにも、保険料、手続き、免除制度、上乗せ制度を正しく理解しておくことが大切です。