フリーランス3年目の壁を乗り越える方法|収入が伸びない不安・仕事の増やし方・今やるべきこと
はじめに
フリーランスとして独立して3年目を迎えると、「思っていたほど収入が伸びない」「仕事はあるのに将来が不安」「このまま続けてよいのだろうか」と悩む人が増えてきます。
1年目は仕事を獲得することに必死で、2年目は継続案件をこなすことに集中しがちです。しかし、フリーランス3年目になると目の前の仕事だけでなく、単価や働き方、今後のキャリアまで考える余裕が生まれます。その結果、これまで見えていなかった課題が一気に表面化することがあります。
フリーランス3年目の壁は、能力不足を意味するものではありません。むしろ、働き方を次の段階へ進めるための転換点です。
本記事では、フリーランス3年目に収入が伸びない原因や仕事を増やす方法、単価アップの考え方、4年目以降に向けて今やるべきことを具体的に解説します。
1. フリーランス3年目に「壁」を感じるのは珍しくない
フリーランス3年目に壁を感じる人は少なくありません。
独立直後のような新鮮さが薄れる一方で、収入や仕事内容が大きく変わらない状態が続くと、成長が止まっているように感じるためです。しかし、3年目に生まれる不安は、現状を客観的に見られるようになった証拠でもあります。
まずは、フリーランス3年目に起こりやすい変化を整理しましょう。
1-1. フリーランス3年目でよくある悩み
フリーランス3年目には、次のような悩みが生まれやすくなります。
売上が1〜2年目からほとんど増えていない
忙しく働いているのに手元にお金が残らない
同じ仕事ばかりでスキルが伸びていない
取引先が減ったときの影響が大きい
単価を上げたいが交渉方法がわからない
営業をしなくなり、新規案件が増えない
周囲のフリーランスと比べて焦りを感じる
今の働き方を何年も続けられる気がしない
会社員に戻るべきか迷っている
仕事を継続できているからこそ、次の課題が見えるようになります。悩みが出てきたこと自体を失敗と捉える必要はありません。
大切なのは、漠然とした不安を「収入」「案件」「単価」「スキル」「働く時間」などに分解することです。課題を具体化できれば、取るべき行動も明確になります。
1-2. 1〜2年目との違い
フリーランス1年目は、実績や人脈が少ない状態からスタートします。そのため、まずは仕事を獲得し、納品して報酬を受け取ることが最優先になります。
2年目になると、継続案件や紹介案件が少しずつ増え、仕事の進め方にも慣れてきます。一方で、依頼された仕事をこなすだけになり、自分から営業や提案をする機会が減る人もいます。
フリーランス3年目は、一定の実績があるにもかかわらず、売上や単価が伸びにくくなる時期です。仕事を始めた頃と同じ方法を続けているだけでは、成長が止まりやすくなります。
つまり、3年目には「仕事を獲得する段階」から「仕事を選び、価値を高める段階」への移行が必要です。
1-3. 3年目に不安が大きくなる理由
フリーランス3年目に不安が大きくなる理由の一つは、独立直後の勢いだけでは乗り切れなくなることです。
1年目は収入が低くても「これから伸ばせばよい」と考えられます。2年目も前年より少し成長していれば、前向きな気持ちを保ちやすいでしょう。しかし、3年目になっても収入や仕事内容が変わらないと、「今後もこのままなのではないか」という不安が生まれます。
また、仕事に慣れたことで、自分の弱点や業界内での立ち位置も見えるようになります。税金や社会保険料などの負担を実感し、売上だけでは生活の安定を判断できないと気づく時期でもあります。
不安を解消するには、気持ちだけを整えるのではなく、数字と行動を見直すことが重要です。
1-4. まず確認すべき現在地
フリーランス3年目の壁を乗り越えるには、最初に現在地を確認しましょう。
確認したい項目は次のとおりです。
過去12か月の月別売上
売上から経費を引いた利益
案件ごとの報酬額
案件ごとの実働時間
実質的な時給
取引先別の売上割合
継続案件と単発案件の割合
案件の獲得経路
営業や発信に使った時間
今後伸ばしたいスキル
特に重要なのが、案件ごとの実質時給です。報酬が高く見えても、打ち合わせや修正、連絡、準備に時間がかかっていれば、利益の少ない案件かもしれません。
現在地を数字で把握すると、「仕事が足りない」のか「単価が低い」のか、「経費が多い」のか「作業時間が長すぎる」のかを切り分けられます。
2. フリーランス3年目で収入が伸びない主な原因
フリーランス3年目で収入が伸びない場合、単純に仕事量が足りないとは限りません。
低単価案件への依存や営業不足、利益率の低い働き方など、複数の原因が重なっている可能性があります。自分に当てはまる原因を確認してみましょう。
2-1. 単価が低い案件を続けている
独立直後に受注した案件を、当時と同じ金額で続けていないでしょうか。
1年目は実績を作るため、低い単価でも仕事を受ける場面があります。しかし、経験やスキルが増えた3年目でも価格を据え置いていると、仕事量を増やさなければ収入が伸びません。
低単価案件を続けることには、機会損失もあります。スケジュールが埋まっているため、新しい高単価案件に応募できないからです。
すぐにすべての案件を断つ必要はありませんが、単価や作業時間、将来性を基準に契約を見直しましょう。
2-2. 新規営業を止めている
継続案件が増えると、新規営業を止めてしまいがちです。
しかし、一つの案件がいつまで続くかはわかりません。クライアント側の予算削減や方針変更、担当者の異動によって、突然契約が終了することもあります。
営業は、仕事がなくなってから始めるものではありません。仕事がある時期から少しずつ続けることで、案件を選べる状態を作れます。
毎週1件だけ提案を送る、月に1度ポートフォリオを更新するなど、無理なく継続できる営業習慣を作りましょう。
2-3. 既存クライアントに依存している
売上の大部分を一社に依存している場合、現在の収入が安定していてもリスクは高い状態です。
たとえば、売上の70%を占めるクライアントとの契約が終了すれば、生活や事業に大きな影響が出ます。取引先が一社だけでは、単価交渉の際にも弱い立場になりやすいでしょう。
売上の集中度を確認し、複数のクライアントや案件獲得ルートを持つことが大切です。
ただし、取引先を増やしすぎると連絡や請求などの管理負担が増えます。売上の柱となる継続案件を複数持ちながら、単発案件や新規営業も組み合わせる形が現実的です。
2-4. スキルや実績の見せ方が弱い
実力があっても、クライアントに価値が伝わらなければ高単価案件にはつながりません。
ポートフォリオに制作物だけを並べている場合は、次の情報も加えましょう。
どのような課題があったか
自分が担当した範囲
どのような提案をしたか
制作や支援によって何が改善したか
数字で示せる成果はあるか
クライアントからどのような評価を得たか
クライアントが知りたいのは、単に「何を作れるか」だけではありません。「依頼すると、どのような結果が期待できるか」を知りたいと考えています。
実績を成果や課題解決の形で見せることで、価格ではなく価値で比較されやすくなります。
2-5. 忙しいのに利益が残らない働き方になっている
毎日忙しく働いているのに収入が伸びない場合、売上ではなく利益や時間の使い方に問題があるかもしれません。
利益が残りにくい仕事には、次のような特徴があります。
修正回数が多い
打ち合わせが頻繁にある
連絡への即時対応を求められる
作業範囲が曖昧
急な追加依頼が多い
外注費や有料ツール代が高い
見積もりに含めていない作業が多い
報酬額だけで案件を判断せず、納品までに必要な時間と経費を含めて採算を確認しましょう。
業務範囲や修正回数、連絡可能な時間を契約時に明確にするだけでも、利益率が改善することがあります。
3. フリーランス3年目に見直すべき仕事の取り方
フリーランス3年目からは、受け身で依頼を待つだけではなく、案件を選べる仕組みを作ることが重要です。
安定した仕事の獲得には、営業先を増やすだけでなく、実績の見せ方や人間関係、発信内容の見直しも必要になります。
3-1. 案件獲得ルートを複数持つ
一つのサービスや紹介元だけに依存すると、その経路から案件が来なくなったときに収入が大きく減ります。
案件獲得ルートには、次のような選択肢があります。
既存クライアントからの継続依頼
既存クライアントからの紹介
過去の取引先からの再依頼
クラウドソーシング
フリーランスエージェント
求人・業務委託募集サイト
SNSからの問い合わせ
ブログやWebサイトからの問い合わせ
同業者からの協業依頼
交流会やコミュニティでのつながり
企業への直接営業
すべてに同じ労力をかける必要はありません。自分と相性のよい経路を2〜4種類程度持ち、それぞれを継続的に育てましょう。
3-2. 紹介につながる関係性を作る
紹介案件は、発注前から一定の信頼があるため、成約しやすい傾向があります。
ただし、待っているだけで紹介が発生するとは限りません。納品後に「同じような課題を抱えている方がいれば、ご紹介いただけるとうれしいです」と一言伝えるだけでも、相手が紹介を思い出しやすくなります。
紹介されるためには、仕事の品質だけでなく、次の要素も重要です。
返信がわかりやすい
納期を守る
進捗を適切に共有する
問題が起きたときに早めに相談する
相手の目的を理解して提案する
契約終了後も良好な関係を保つ
「知人に安心して勧められる人」になることが、紹介案件を増やす近道です。
3-3. ポートフォリオや実績を更新する
フリーランス3年目であれば、独立直後よりも多くの実績があるはずです。それにもかかわらず、ポートフォリオが1年目のままでは、現在のスキルや専門性を正しく伝えられません。
掲載する実績は、数よりも方向性を重視しましょう。
今後増やしたい仕事に近い実績を目立つ位置に置き、低単価案件や専門性と関係の薄い実績は整理します。公開できない案件が多い場合は、業種や課題、担当範囲、成果を匿名で紹介する方法もあります。
少なくとも3か月に1度は内容を見直し、現在のスキルや希望案件と一致しているか確認しましょう。
3-4. SNS・ブログ・営業資料で信頼を積み上げる
SNSやブログで継続的に情報を発信すると、営業をしなくても相談が届く可能性があります。
発信内容は、専門知識だけでなく、仕事への姿勢や対応できる範囲も伝わるものにしましょう。
たとえば、次のような内容が考えられます。
よくある課題と解決方法
実務で工夫していること
事例や成果の紹介
業界の変化に対する考察
サービス内容や料金の目安
仕事を依頼する際の流れ
対応可能なスケジュール
発信の目的は、反応の数を増やすことだけではありません。見込み客があなたを知ったときに、安心して相談できる材料を用意することが重要です。
3-5. 受ける仕事と断る仕事の基準を決める
仕事を増やすことと、すべての依頼を受けることは同じではありません。
フリーランス3年目からは、案件を選ぶ基準を作る必要があります。基準がないと、不安から低単価案件や負担の大きい案件まで引き受けてしまいます。
判断基準の例は次のとおりです。
最低報酬額を上回っているか
実質時給が基準を満たすか
希望する分野の実績になるか
継続の可能性があるか
業務範囲が明確か
相手との連絡に問題がないか
無理のない納期か
他の案件に悪影響が出ないか
自分の価値観や方針に合うか
断る基準を決めることは、仕事を減らすためではありません。よりよい案件に使う時間を確保するためです。
4. 収入を伸ばすために今すぐできる単価アップ戦略
フリーランス3年目に収入を伸ばすには、作業量を増やすだけでなく、単価を見直す必要があります。
稼働時間には限界があるため、低単価のまま仕事量を増やすと、体調や生活に負担がかかります。継続的に収入を伸ばすための単価アップ戦略を見ていきましょう。
4-1. 現在の単価を見直す
まずは、現在受けている案件の実質単価を計算します。
報酬が10万円の案件でも、作業や打ち合わせ、修正、連絡に合計80時間かかっていれば、実質時給は1,250円です。一方、報酬が7万円でも20時間で完了する案件なら、実質時給は3,500円になります。
案件ごとに次の時間を記録しましょう。
制作や実作業
調査や準備
打ち合わせ
メールやチャット対応
修正
請求などの事務作業
単価を見直す際は、希望する月収から逆算する方法も有効です。
たとえば、月の利益として40万円を確保したくても、請求可能な作業時間が月100時間であれば、経費を考慮せずとも平均時給4,000円以上が必要です。営業や事務、学習、休暇の時間も考え、無理のない価格を設定しましょう。
4-2. 値上げ交渉のタイミングを決める
値上げ交渉は、思いついたときに突然行うのではなく、適切なタイミングを選びます。
交渉しやすいタイミングには、次のようなものがあります。
契約更新前
業務範囲が増えたとき
成果を出したあと
依頼量が増えたとき
新しいスキルや資格を習得したとき
サービス全体の料金を改定するとき
長期間、価格を変更していないとき
伝える際は、「生活が苦しいから」ではなく、業務内容や提供価値を根拠にします。
「対応範囲が当初より広がっているため」「品質維持に必要な工数が増えているため」「今後も安定した体制で支援するため」など、相手にとって理解しやすい理由を示しましょう。
値上げ後の料金と適用時期を明確にし、相手が検討できる期間を設けることも大切です。
4-3. 時給型から成果・価値提供型に変える
作業時間だけを基準に価格を決めると、スキルが上がって作業が速くなるほど報酬が減ってしまう場合があります。
フリーランス3年目以降は、時間ではなく成果や提供価値を含めて価格を設計しましょう。
たとえば、単に「記事を1本執筆する」のではなく、次の要素を組み合わせます。
キーワード調査
構成案の作成
競合分析
記事執筆
入稿
画像選定
リライト
公開後の改善提案
Web制作であれば、ページ数だけでなく、導線設計や更新性、問い合わせ獲得への貢献まで含めて提案できます。
クライアントが得られる結果を明確にすることで、単純な作業単価の比較から抜け出しやすくなります。
4-4. 高単価案件に必要な実績を作る
高単価案件を獲得するには、それに見合う実績が必要です。
ただし、高単価案件を受けるまで実績を作れないと考える必要はありません。現在の案件で担当範囲を広げたり、自主制作を行ったりすることで、必要な経験を増やせます。
具体的には、次のような方法があります。
既存案件で改善提案まで担当する
得意分野に関する自主制作を行う
小規模案件で上流工程を経験する
数値改善につながる仕事を選ぶ
他職種と協業して対応範囲を広げる
実績を事例記事として整理する
目指す案件の募集要項を複数確認し、共通して求められている経験やスキルを洗い出すと、何を身につけるべきか明確になります。
4-5. 継続案件を増やして収入を安定させる
単価アップと同時に、継続案件を増やすことも収入の安定につながります。
毎月ゼロから案件を探す働き方では、営業に多くの時間がかかります。継続契約があれば、翌月の売上を予測しやすくなり、学習や新規営業にも時間を使えます。
単発の依頼を受けた際は、納品だけで終わらせず、その後に必要となる業務を提案しましょう。
たとえば、Webサイト制作後の保守運用、記事執筆後のリライト、デザイン納品後の継続的な制作支援などです。
月額プランや一定期間の支援プランを用意すると、クライアントも継続を検討しやすくなります。
5. フリーランス3年目が仕事を増やす具体的な方法
仕事を増やすために、新しい相手へ大量に営業する必要はありません。
既存クライアントや過去の取引先への提案など、すでに関係性がある相手から始めると、効率よく案件を増やせます。
5-1. 既存クライアントに追加提案する
既存クライアントは、あなたの仕事ぶりを知っています。そのため、新規顧客よりも追加提案を受け入れてもらいやすい相手です。
現在担当している業務の前後に、どのような課題があるかを考えてみましょう。
たとえば、記事制作を担当しているなら、キーワード選定や過去記事のリライト、アクセス分析を提案できます。デザインを担当しているなら、広告用画像や営業資料、Webサイト改善などに広げられます。
追加提案では、単に「ほかの仕事もできます」と伝えるのではなく、課題と期待できる効果をセットで示すことが重要です。
5-2. 過去の取引先に連絡する
過去の取引先への連絡は、新規営業よりも心理的な負担が少なく、仕事につながる可能性があります。
連絡する際は、営業だけを目的にせず、近況確認を含めた自然な内容にしましょう。
たとえば、次のような情報を伝えます。
過去の仕事へのお礼
最近対応している業務
新しくできるようになったこと
現在の稼働状況
相手に役立ちそうな情報
「また何かあればお願いします」だけでは、具体的な依頼を想像しにくい場合があります。「現在は○○にも対応しています」と明示すると、相談につながりやすくなります。
5-3. エージェントやマッチングサービスを活用する
営業が苦手な場合や、より条件のよい案件を探したい場合は、フリーランス向けのエージェントやマッチングサービスを活用する方法があります。
エージェントを利用すると、案件探しや条件交渉を支援してもらえる場合があります。自分では接点を作りにくい企業の案件に出会えることも利点です。
一方で、職種や経験によって紹介される案件数は異なります。手数料や契約形態、支払い条件、稼働時間なども確認が必要です。
一つのサービスだけに頼らず、複数を比較しながら、自分の希望条件に合う案件を探しましょう。
5-4. 同業者・異業種とのつながりを広げる
フリーランスの仕事は、クライアントから直接受注するものだけではありません。同業者や異業種のフリーランスから依頼や紹介を受けることもあります。
たとえば、Webデザイナーとエンジニア、ライターと編集者、カメラマンとマーケターなど、対応領域が異なる人同士は協業しやすい関係です。
つながりを作る際は、すぐに仕事を求めるのではなく、互いの得意分野や対応範囲を理解することから始めましょう。
自分が対応できない相談を適切な人へ紹介すると、将来的に相手からも仕事を紹介してもらえる可能性があります。
5-5. 得意分野を絞って専門性を打ち出す
「何でもできます」と伝えるより、「特定の課題に強い」と伝えたほうが、依頼する理由が明確になります。
専門性の打ち出し方には、次のような切り口があります。
職種で絞る
業界で絞る
顧客層で絞る
課題で絞る
使用ツールで絞る
制作物の種類で絞る
たとえば、「Webライター」よりも「人材業界のSEO記事に強いライター」、「デザイナー」よりも「BtoB企業の営業資料に強いデザイナー」と伝えるほうが、専門性が伝わります。
絞ることは、ほかの仕事を断ることではありません。営業や発信で何を強く見せるかを決めることです。
6. フリーランス3年目でやってはいけないNG行動
フリーランス3年目は、行動を変えれば大きく成長できる時期です。一方で、不安から誤った判断をすると、忙しさだけが増えて状況が悪化する可能性があります。
注意したいNG行動を確認しましょう。
6-1. 安い案件を惰性で続ける
長く付き合っているクライアントの案件は、断りにくいものです。しかし、「慣れているから」「断るのが申し訳ないから」という理由だけで低単価案件を続けると、成長の機会を失います。
定期的に単価や作業時間、得られる経験を見直しましょう。
条件が合わなくなった場合は、値上げを相談する、対応範囲を減らす、契約終了を申し出るといった選択肢があります。
これまでの感謝を伝え、余裕を持って相談すれば、関係性を損なわずに契約を見直せる可能性があります。
6-2. 不安から何でも引き受ける
仕事が減る不安から、専門外の案件や無理な納期の案件まで引き受けると、品質低下や体調不良につながります。
さらに、条件の悪い案件でスケジュールが埋まると、希望に合う依頼が来ても対応できません。
案件を受ける前に、報酬、納期、業務範囲、修正回数、必要なスキルを確認しましょう。対応が難しい場合は、条件の調整を提案することもできます。
断ることは悪いことではありません。責任を持って対応できない仕事を無理に受けないことも、信頼を守る行動です。
6-3. 営業や発信を後回しにする
忙しい時期ほど、営業や発信は後回しになりがちです。しかし、案件が終了してから営業を始めると、収入が途切れる可能性があります。
営業を「仕事がないときにする活動」ではなく、日常業務の一部として予定に組み込みましょう。
週に30分でも、実績の更新や過去の取引先への連絡、SNS投稿などを継続すれば、将来の案件獲得につながります。
仕事がある時期に営業基盤を整えることが、収入の波を小さくするためのポイントです。
6-4. 目先の売上だけで判断する
報酬額が高い案件でも、実績として公開できない、作業負担が大きい、支払いが遅いなどの問題がある場合があります。
反対に、報酬がやや低くても、希望分野の実績になる、継続契約が期待できる、優秀な人と仕事ができるといった価値がある案件も存在します。
案件を判断するときは、売上だけでなく、次の要素を含めて考えましょう。
利益率
作業時間
継続性
実績としての価値
スキルアップの可能性
紹介につながる可能性
精神的な負担
支払い条件
短期的な売上と、中長期的な成長の両方を考えることが重要です。
6-5. 体調やメンタルを無視して働く
フリーランスは、働いた分だけ売上につながる一方、体調を崩すと収入が止まる可能性があります。
睡眠不足や長時間労働を続けると、集中力が低下し、ミスや納期遅延も増えます。結果としてクライアントからの信頼を失いかねません。
休息は仕事をしない時間ではなく、事業を継続するために必要な時間です。
定期的な休日を設け、働く時間の上限を決めましょう。心身の不調が続く場合は、一人で抱え込まず、医療機関などの専門家に相談することも大切です。
7. フリーランス3年目に整えるべきお金と働き方
フリーランス3年目からは、売上を増やすだけでなく、お金の管理と働き方を整える必要があります。
利益や税負担、生活防衛資金を把握すると、漠然とした不安を減らし、落ち着いて仕事を選べるようになります。
7-1. 売上・経費・利益を見える化する
「今月はいくら入金されたか」だけで事業の状態を判断してはいけません。
売上から経費を引いた利益を把握し、月ごとの推移を確認しましょう。
最低限、次の項目を記録します。
月ごとの売上
固定費
変動費
外注費
利益
未入金の報酬
案件ごとの利益率
稼働時間
数字を見える化すると、売上が増えても利益が減っている、特定の経費が増えているといった変化に気づけます。
会計ソフトや表計算ツールを使い、毎月決まった日に確認する習慣を作りましょう。
7-2. 税金や社会保険の負担を把握する
フリーランスの売上は、そのまま自由に使えるお金ではありません。
所得や居住地、家族構成などに応じて、所得税、住民税、国民健康保険料、国民年金保険料などの負担が生じます。また、事業の状況によっては消費税についても確認が必要です。
入金された報酬をすべて生活費に使うと、納税時期に資金が不足する恐れがあります。税金や社会保険料に充てるお金は、入金時点で別に確保しておきましょう。
負担額や必要な手続きは人によって異なるため、不明点がある場合は税務署、自治体、年金事務所、税理士などに確認することが大切です。
7-3. 生活費と事業資金を分ける
生活費と事業資金を同じ口座で管理すると、事業に使えるお金がわかりにくくなります。
事業用の銀行口座やクレジットカードを用意し、仕事に関する入出金をまとめましょう。生活費は毎月一定額を個人口座へ移す方法にすると、お金の流れを把握しやすくなります。
口座を分けることで、経理作業の負担も軽減できます。確定申告の直前にすべての取引を整理するのではなく、月単位で記録しておきましょう。
7-4. 収入が減ったときの備えを作る
フリーランスの収入には波があります。取引先の事情や市場の変化によって、仕事が減る可能性を完全にはなくせません。
そのため、収入が減っても一定期間生活できる資金を準備しておくことが重要です。
必要な金額は、毎月の生活費や固定費、扶養家族の有無などによって異なります。まずは最低限必要な生活費と事業経費を計算し、段階的に備えを増やしましょう。
資金の余裕があると、条件の悪い案件を焦って受ける必要がなくなります。緊急資金は、仕事を選ぶ力にもつながります。
7-5. 働く時間と休む時間を設計する
フリーランスは自由に働ける反面、仕事と私生活の境界が曖昧になりやすい働き方です。
長く続けるためには、仕事量ではなく、働ける時間から逆算して案件を組み立てる必要があります。
たとえば、次の時間をあらかじめ予定に入れます。
クライアントワーク
営業
発信
学習
経理や事務
休憩
休日
稼働可能な時間をすべて納品作業に使うと、営業や学習が止まり、将来の収入が伸びにくくなります。予定を埋めすぎず、急な修正や体調不良に対応できる余白も確保しましょう。
8. 4年目以降に向けて考えるキャリア戦略
フリーランス3年目は、目の前の売上だけでなく、4年目以降の働き方を考えるタイミングです。
どの道が正解かは、人によって異なります。自分が望む収入、生活、仕事の内容を整理し、進む方向を決めましょう。
8-1. 専門特化するか幅を広げるか決める
キャリアの方向性には、大きく分けて専門性を深める方法と、対応範囲を広げる方法があります。
専門特化は、特定分野の知識や実績を増やし、その領域の第一候補として選ばれることを目指す戦略です。専門性が伝わりやすく、高単価につながる可能性があります。
一方、対応範囲を広げると、複数の課題を一括して支援できます。ライティングだけでなく編集や分析まで担当するなど、上流工程へ広げることで提供価値を高められます。
どちらを選ぶ場合も、手当たり次第に学ぶのではなく、顧客の需要と自分の強みを基準に決めることが重要です。
8-2. 個人で稼ぐかチーム化するか考える
一人で対応できる案件数や作業時間には限界があります。
収入をさらに伸ばしたい場合は、自分の単価を高めるほか、外注やチーム化によって対応量を増やす方法があります。
ただし、チーム化すると、進行管理、品質管理、採用、教育、報酬の支払いなどの業務が増えます。自分が実作業をする立場から、管理や営業を担う立場へ変わる可能性もあります。
制作が好きなのか、事業を大きくしたいのかを考え、自分に合う形を選びましょう。
8-3. 受託以外の収入源を作る
クライアントから依頼を受ける受託業務だけでは、稼働時間と収入が連動しやすくなります。
4年目以降を見据えるなら、受託以外の収入源を検討する方法もあります。
たとえば、次のような選択肢があります。
オンライン講座
教材やテンプレートの販売
有料記事や電子書籍
コンサルティング
メディア運営
紹介による報酬
自社サービス
コミュニティ運営
ただし、新しい収入源がすぐに利益を生むとは限りません。受託業務で生活を安定させながら、小さく試して需要を確認しましょう。
8-4. 長く選ばれるフリーランスになる条件
長く選ばれるフリーランスは、スキルが高いだけではありません。
クライアントが安心して仕事を任せられることが重要です。
具体的には、次の要素が求められます。
納期と約束を守る
相手の目的を理解する
連絡が明確で速い
課題に対して提案できる
品質を安定させる
業界や技術の変化を学び続ける
対応範囲とできないことを明示する
トラブル時に誠実に対応する
自分の健康と稼働を管理する
「この人に頼めば進行が楽になる」と思ってもらえる存在になれば、価格だけで比較されにくくなります。
8-5. 会社員に戻る選択肢も含めて考える
フリーランスを続けることだけが成功ではありません。
会社員に戻る、会社員と副業を組み合わせる、一定期間だけ業務委託を減らすといった選択肢もあります。
会社員に戻ることで、安定した収入や福利厚生、チームで働く経験を得られる可能性があります。フリーランス経験を生かし、独立前よりも条件のよい転職を目指すこともできます。
大切なのは、世間のイメージではなく、自分が望む生活や働き方に合っているかどうかです。会社員への転職を検討することは、フリーランスとしての失敗を意味しません。
9. フリーランス3年目が今やるべきことチェックリスト
フリーランス3年目の壁を乗り越えるには、考えるだけでなく、具体的な行動に落とし込む必要があります。
次の項目を順番に進めてみましょう。
9-1. 現在の案件・単価・収入を棚卸しする
まずは、現在受けている案件を一覧にします。
案件ごとに、次の情報を記録しましょう。
クライアント名
業務内容
報酬
作業時間
実質時給
契約期間
継続の可能性
ストレスの大きさ
実績としての価値
今後も続けたいか
案件を一覧にすると、優先して伸ばす仕事と、見直すべき仕事が明確になります。
売上だけでなく、利益、時間、将来性の3つの視点で評価しましょう。
9-2. 今後伸ばす分野を決める
次に、今後1〜2年で伸ばしたい分野を決めます。
現在の得意分野、需要がある分野、自分が続けたい分野が重なる領域を探しましょう。
伸ばす分野を決めたら、次の行動まで具体化します。
必要なスキルを学ぶ
関連案件に応募する
自主制作を行う
ポートフォリオを作る
専門分野について発信する
経験者とつながる
学習だけを続けるのではなく、実務や営業と組み合わせることが重要です。
9-3. 営業・発信・紹介依頼を習慣化する
仕事がある時期でも、営業や発信を止めない仕組みを作ります。
たとえば、次のように行動日を決めます。
毎週1件、新規提案を送る
毎週1回、SNSで専門情報を発信する
毎月1件、過去の取引先へ連絡する
毎月1回、ポートフォリオを更新する
納品後に紹介を依頼する
毎月、案件獲得経路を振り返る
無理な目標を立てるより、少ない回数でも続けるほうが効果的です。営業活動を予定表に入れ、納品業務と同じように扱いましょう。
9-4. 値上げや契約条件の見直しを行う
案件の棚卸しが終わったら、単価や契約条件を見直します。
確認したい項目は次のとおりです。
現在の報酬は作業量に合っているか
業務範囲が契約時より増えていないか
修正回数が決められているか
追加作業の料金が設定されているか
支払い期限は適切か
キャンセル時の条件があるか
著作権や実績公開の扱いが明確か
連絡可能な時間が決まっているか
値上げだけでなく、業務範囲や修正回数を整えることでも、実質単価を改善できます。
9-5. 3か月後・半年後の行動計画を作る
目標は、遠い将来だけでなく、3か月後と半年後に分けて設定しましょう。
たとえば、次のように具体化します。
3か月後の目標
ポートフォリオを更新する
新規営業を12件行う
既存案件を1件値上げする
過去の取引先3社に連絡する
低単価案件を1件見直す
半年後の目標
月の平均利益を一定額増やす
売上の柱となるクライアントを複数持つ
希望分野の実績を3件作る
新しい案件獲得ルートを確立する
月に数日の休日を安定して確保する
売上目標だけでなく、営業回数や実績数など、自分で管理できる行動目標も設定しましょう。
10. フリーランス3年目に関するよくある質問
10-1. フリーランス3年目の平均年収はどのくらい?
フリーランス3年目だけに限定した、信頼性の高い平均年収を示すことは困難です。
フリーランスの収入は、職種、経験、稼働時間、取引先、案件単価、経費などによって大きく異なります。また、売上と年収、利益、手取りが混同されている情報もあるため、単純な比較には注意が必要です。
他人の平均年収よりも、現在の利益と必要な生活費を確認し、自分に必要な売上を計算するほうが実用的です。
たとえば、希望する手取り額だけでなく、経費や税金、社会保険料、貯蓄なども考慮して目標売上を決めましょう。
10-2. 収入が安定しないときはどうすればいい?
収入が安定しない場合は、まず原因を確認します。
案件数が少ないなら営業量を増やし、単価が低いなら価格や業務範囲を見直します。特定のクライアントへの依存が大きいなら、取引先を分散させる必要があります。
収入を安定させる方法としては、次の施策が有効です。
継続案件を増やす
案件獲得ルートを複数持つ
毎月営業を続ける
固定費を見直す
生活防衛資金を準備する
複数のサービスを用意する
受託以外の収入源を小さく試す
売上を増やす対策と、支出や資金を管理する対策を同時に進めましょう。
10-3. 仕事が減ったら会社員に戻るべき?
仕事が減ったからといって、すぐに会社員へ戻る必要があるとは限りません。
まずは、仕事が減った原因と、手元資金で生活できる期間を確認しましょう。一時的な減少なのか、市場やスキルの変化によるものなのかで対応は異なります。
ただし、生活費の確保が難しい、心身の負担が大きい、営業を続けても改善の見込みがない場合は、会社員への転職も現実的な選択肢です。
正社員に限定せず、契約社員や派遣社員、会社員と副業の組み合わせなども含めて検討できます。
10-4. 3年目でスキル不足を感じたら何を学ぶべき?
学ぶ内容は、希望する案件から逆算して決めましょう。
不安だからといって、幅広いスキルを手当たり次第に学ぶと、実務に生かせない可能性があります。
まず、目指す案件を複数確認し、共通して求められているスキルを整理します。そのうえで、次の順番で考えるとよいでしょう。
現在の専門スキルを深める
顧客の課題を理解する知識を学ぶ
提案やコミュニケーション能力を高める
周辺業務を習得して対応範囲を広げる
営業やマーケティングを学ぶ
フリーランス3年目以降は、制作スキルだけでなく、課題発見や提案、進行管理などの能力も収入に影響します。
10-5. フリーランスを続けるか迷ったときの判断基準は?
続けるか迷ったときは、感情だけで判断せず、収入、健康、成長、生活の4つの視点で考えましょう。
具体的には、次の質問に答えてみてください。
必要な生活費を確保できているか
半年後に収入が改善する見込みはあるか
今の仕事で成長を感じられるか
働き方が自分の価値観に合っているか
心身の健康を維持できているか
フリーランスを続けたい理由は何か
会社員になることで解決できる問題は何か
働き方を変えれば状況は改善するか
「フリーランスを続けるか、会社員に戻るか」の二択だけで考える必要はありません。稼働量を減らす、副業として続ける、別の分野に移るといった選択肢もあります。
まとめ
フリーランス3年目に収入や将来への不安を感じるのは珍しいことではありません。
1〜2年目と同じ方法を続けているだけでは、単価や売上が伸びにくくなります。3年目の壁を乗り越えるには、仕事量を増やす前に、現在の案件、実質単価、利益、取引先への依存度を見直すことが重要です。
そのうえで、次の行動を進めましょう。
案件ごとの単価と利益を確認する
低単価案件や契約条件を見直す
新規営業や発信を習慣化する
既存クライアントへ追加提案する
過去の取引先へ連絡する
ポートフォリオを現在の実績に更新する
得意分野を明確にして専門性を伝える
継続案件と案件獲得ルートを増やす
税金や生活防衛資金を含めてお金を管理する
4年目以降の働き方を考える
フリーランス3年目は、独立が成功したか失敗したかを判断する時期ではありません。これまでに得た経験を整理し、自分に合った仕事の取り方へ変えていく時期です。
すべてを一度に変える必要はありません。まずは案件と収入を棚卸しし、今後3か月で取り組む行動を一つずつ決めましょう。小さな見直しを積み重ねることが、収入の安定と4年目以降の成長につながります。

