フリーランス月収30万の手取りはいくら?税金・保険料と生活できる目安をわかりやすく解説
はじめに
フリーランスで月収30万円あると、「生活できそう」「会社員の月収30万円と同じくらい手元に残るのでは」と考えやすいかもしれません。しかし、フリーランスの月収30万円は、基本的に「売上30万円」を指すことが多く、そこから経費、税金、国民健康保険料、国民年金保険料などを自分で支払う必要があります。
結論からいうと、フリーランス月収30万円の手取りは、経費が少ない独身の場合で月20万円前後、経費が多い場合は月15万〜18万円前後がひとつの目安です。家族構成、住んでいる自治体、年齢、青色申告の有無、インボイス登録の有無によっても変わります。
この記事では、フリーランス月収30万の手取りについて、税金・保険料・生活できる目安をできるだけわかりやすく解説します。
1. フリーランス月収30万円の手取りは結局いくら?
1-1. 月収30万円でも手取りは30万円ではない
フリーランスの「月収30万円」は、会社員の給与明細にある額面30万円とは意味が異なります。会社員は給与から所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料などが差し引かれた金額が口座に振り込まれます。一方、フリーランスは売上がそのまま入金されることも多く、税金や保険料を後から自分で支払います。
そのため、月収30万円をすべて生活費に使ってしまうと、確定申告後や住民税・国民健康保険料の通知が来たタイミングで資金不足になりやすいです。フリーランス月収30万の手取りを考えるときは、「入金額」ではなく「最終的に自由に使える金額」で見ることが大切です。
1-2. フリーランスの手取りは「売上−経費−税金−保険料」で決まる
フリーランスの手取りは、ざっくり次の式で考えられます。
手取り=売上−経費−税金−社会保険料
ここでいう税金には、所得税、住民税、業種や所得によっては個人事業税、課税事業者であれば消費税が含まれます。社会保険料には、国民健康保険料、国民年金保険料、40歳以上65歳未満の人は介護保険料が関係します。
所得税は課税所得に応じて5%〜45%の超過累進税率で計算されます。令和8・9年分の所得税では基礎控除の引き上げなどの改正もあり、合計所得金額に応じて基礎控除額が変わります。
1-3. 月収30万円の手取り目安は生活状況によって変わる
同じ月収30万円でも、手取りは人によって大きく変わります。たとえば、パソコン1台で仕事をしていて経費が月3万円程度の人と、外注費・広告費・交通費・材料費などで月10万円以上かかる人では、手元に残るお金がまったく違います。
また、国民健康保険料は自治体によって料率や均等割額が異なります。東京都の国民健康保険でも、実際の保険料率は区市町村が決定します。 そのため、この記事のシミュレーションはあくまで目安として見てください。
1-4. 会社員の月収30万円との違い
会社員の月収30万円は、勤務先が社会保険料を一部負担し、給与から税金・社会保険料が天引きされる仕組みです。フリーランスは、国民健康保険料や国民年金保険料を自分で納める必要があり、仕事に必要な経費も自分で負担します。
さらに、会社員には有給休暇、雇用保険、労災保険、賞与、退職金制度などがある場合がありますが、フリーランスには原則としてありません。そのため、同じ「月収30万円」でも、フリーランスは手取りだけでなく、病気・ケガ・老後・仕事がない期間への備えまで含めて考える必要があります。
2. フリーランス月収30万円の手取りシミュレーション
ここでは、次の条件で概算します。
月収30万円、年収360万円、東京都新宿区在住、39歳以下、独身、青色申告65万円控除あり、事業税5%の対象業種、消費税は免税または試算外とします。国民健康保険料は新宿区の令和8年度料率をもとにし、国民年金保険料は令和8年度の月額17,920円で計算します。新宿区の国民健康保険料は、医療分・支援金分・子ども・子育て支援金分などを合算し、算定基礎額は総所得金額等から基礎控除額43万円を差し引いて計算します。
| ケース | 年間経費 | 年間手取り目安 | 月あたり手取り目安 |
|---|---|---|---|
| 独身・経費少なめ・青色申告あり | 約36万円 | 約247万円 | 約20.6万円 |
| 独身・経費多め・青色申告あり | 約120万円 | 約185万円 | 約15.4万円 |
| 独身・経費少なめ・青色申告なし | 約36万円 | 約231万円 | 約19.2万円 |
| 配偶者あり・国保と国民年金を2人分負担 | 約36万円 | 約228万円 | 約19.0万円 |
実際には、医療費控除、生命保険料控除、iDeCo、小規模企業共済、扶養控除、住宅ローン控除、自治体ごとの保険料、インボイス登録の有無などで変わります。
2-1. 独身・経費少なめの場合の手取り目安
独身で経費が月3万円程度なら、フリーランス月収30万円の手取りは月20万円前後が目安です。
たとえば、年収360万円から年間経費36万円を差し引くと、事業の利益は324万円です。青色申告65万円控除を使うと、所得税や住民税、国民健康保険料の計算に使う所得が下がります。青色申告特別控除は、一定の要件を満たすと55万円、さらにe-Taxなど一定要件を満たすと65万円の控除を受けられます。
このケースでは、経費・税金・保険料を差し引いた後の手取りは年247万円程度、月あたり約20.6万円が目安です。家賃が高すぎなければ、一人暮らしは十分可能な水準といえます。
2-2. 独身・経費多めの場合の手取り目安
経費が月10万円ほどかかる場合、手取りは大きく下がります。年収360万円でも年間経費が120万円なら、事業の利益は240万円です。青色申告65万円控除を使った後の所得は175万円程度となり、税金や保険料は下がる一方で、経費として出ていく金額が大きいため、自由に使えるお金は少なくなります。
このケースでは、年間手取りは約185万円、月あたり約15.4万円が目安です。家賃、通信費、食費、交際費、貯金まで考えると、都市部ではやや厳しく感じる可能性があります。
2-3. 扶養家族ありの場合の手取り目安
扶養家族がいる場合は、所得税や住民税の控除が増えることがあります。ただし、会社員の健康保険のように「扶養に入れば家族分の保険料がかからない」という仕組みとは異なり、国民健康保険では加入者の人数に応じた均等割がかかるのが一般的です。
たとえば、配偶者に所得がなく、国民健康保険と国民年金を夫婦2人分負担する場合、配偶者控除によって税金は軽くなりますが、保険料負担は増えます。月収30万円で家族を養う場合、手取りは月19万円前後でも、生活費全体は増えるため、独身より余裕は少なくなりやすいです。
2-4. 青色申告あり・なしで手取りはどう変わる?
青色申告を活用すると、所得を圧縮できるため、所得税・住民税・国民健康保険料の負担を下げやすくなります。月収30万円、経費月3万円の例では、青色申告65万円控除ありの手取りは月20.6万円程度、青色申告なしでは月19.2万円程度が目安です。
差額は年間で約16万円、月あたり約1.3万円程度になる可能性があります。もちろん実際の差額は所得や自治体によって変わりますが、フリーランス月収30万の手取りを増やしたいなら、青色申告は優先度の高い対策です。
2-5. 年収360万円の場合の年間手取り目安
月収30万円を12か月継続できると、年収は360万円です。ただし、年収360万円がそのまま手取りになるわけではありません。
経費が少なければ年間手取りは240万〜250万円前後、経費が多ければ180万〜220万円前後まで下がることがあります。フリーランスの場合は、入金額ではなく、年間でいくら残るかを見て生活設計をすることが重要です。
3. フリーランス月収30万円にかかる税金
3-1. 所得税
所得税は、売上から経費や青色申告特別控除、社会保険料控除、基礎控除などを差し引いた「課税所得」に対してかかります。課税所得が低いほど税率は低く、課税所得が高いほど税率が上がる超過累進課税です。国税庁の所得税速算表では、課税所得1,000円から194万9,000円までは5%、195万円から329万9,000円までは10%など、段階的に税率が決まっています。
月収30万円のフリーランスは、経費や控除の状況によって所得税が大きく変わります。経費が少なく青色申告ありの例では、所得税と復興特別所得税で年7万円台程度がひとつの目安です。
3-2. 住民税
住民税は、前年の所得をもとに翌年課税されます。つまり、独立1年目よりも2年目以降に負担を感じやすい税金です。住民税の所得割は一般的に10%で、市区町村民税6%、都道府県民税4%の合計で計算される自治体が多く、均等割や森林環境税も加わります。
フリーランス月収30万円の場合、住民税は年10万〜25万円程度になることがあります。会社員時代と違って自分で納付する普通徴収になるケースも多いため、6月以降の納付に備えて資金を残しておきましょう。
3-3. 個人事業税
個人事業税は、すべてのフリーランスにかかるわけではありません。デザイン業、コンサルタント業、請負業、広告業など、法定業種に該当する場合に課税対象となります。東京都では、個人事業税の税率は業種により3%〜5%で、事業主控除は原則として年間290万円です。
注意したいのは、個人事業税では青色申告特別控除が適用されず、所得金額に加算して計算する点です。東京都主税局も、個人の事業税には青色申告特別控除の適用がないため所得金額に加算すると説明しています。
月収30万円、経費月3万円の場合、業種によっては年1万〜2万円程度の個人事業税が発生する可能性があります。
3-4. 消費税
月収30万円、年収360万円だけを見ると、消費税の課税売上高1,000万円には届きません。原則として、基準期間や特定期間の課税売上高が1,000万円以下であれば、消費税の納税義務は免除される場合があります。ただし、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合などは、基準期間が1,000万円以下でも納税義務が生じることがあります。
また、インボイス発行事業者として登録すると、免税事業者であっても課税事業者として消費税の申告が必要になります。 取引先からインボイス登録を求められる場合は、売上だけでなく消費税負担も含めて単価交渉を考えましょう。
3-5. 税金はいつ・いくら払う必要があるのか
所得税は、原則として翌年2月中旬から3月中旬の確定申告期間に申告・納付します。消費税の課税事業者である個人事業者は、所得税とは別に消費税の申告・納付が必要で、令和7年分の個人事業者の消費税申告期限は令和8年3月31日でした。
住民税はおおむね6月ごろに通知が届き、年4回または一括で納付します。個人事業税は原則として8月と11月の年2回に分けて納めます。東京都では、個人事業税は8月に納税通知書が送付され、原則として8月末と11月末が納期限です。
4. フリーランス月収30万円にかかる社会保険料
4-1. 国民健康保険料
フリーランスは、多くの場合、自治体の国民健康保険に加入します。国民健康保険料は、所得に応じてかかる所得割と、加入者数に応じてかかる均等割などで構成されます。
新宿区の令和8年度保険料率では、医療分の所得割7.51%、支援金分2.80%、子ども・子育て支援金分0.27%などがあり、39歳以下の単身者でも所得に応じて年間20万〜30万円台になることがあります。40歳から64歳までは介護分も加わります。
国民健康保険料は自治体差が大きいため、正確な金額は住んでいる市区町村のシミュレーターや窓口で確認しましょう。
4-2. 国民年金保険料
フリーランスは原則として国民年金第1号被保険者となり、国民年金保険料を自分で納めます。令和8年度の国民年金保険料は月額17,920円です。 年間では215,040円となり、月収30万円のフリーランスにとって無視できない固定費です。
会社員の厚生年金と違い、国民年金だけでは将来の年金額が少なくなりやすいため、iDeCo、国民年金基金、付加年金などを検討する人もいます。
4-3. 介護保険料
40歳以上65歳未満になると、国民健康保険料に介護分が加わります。新宿区の令和8年度では、40歳から64歳までの加入者について介護分の均等割と所得割が別途設定されています。
月収30万円のフリーランスでも、40歳以降は保険料が上がる可能性があります。今は30代で問題なく生活できていても、40代以降は同じ売上でも手取りが減ることを見込んでおくと安心です。
4-4. 会社員の社会保険との違い
会社員は健康保険と厚生年金に加入し、保険料を会社と本人で負担します。一方、フリーランスは国民健康保険と国民年金を自分で納めます。会社員の給与明細では社会保険料が天引きされているため「引かれている感覚」がありますが、フリーランスは後からまとめて支払うため、負担が重く感じやすいです。
また、会社員の扶養制度では、一定条件を満たす家族を健康保険の被扶養者にできる場合があります。日本年金機構では、被扶養者の収入要件として原則年収130万円未満、60歳以上または障害者の場合は180万円未満などの基準を示しています。 一方、国民健康保険では加入者ごとに保険料がかかるため、家族が増えると負担が増えやすくなります。
4-5. 保険料が高いと感じる理由
フリーランスが国民健康保険料を高いと感じる理由は、前年所得をもとに計算されるからです。前年に売上がよく、翌年に売上が落ちても、前年所得を基準に保険料が決まるため、資金繰りが苦しくなることがあります。
また、国民年金保険料は所得に関係なく定額です。月収30万円でも月収15万円でも同じ金額を納めるため、売上が不安定な時期ほど負担感が大きくなります。
5. 月収30万円のフリーランスは生活できる?
5-1. 一人暮らしなら生活できる可能性が高い
経費が少なく、家賃を抑えられるなら、月収30万円のフリーランスでも一人暮らしは十分可能です。手取り月20万円前後を確保できれば、家賃、食費、通信費、光熱費、保険料、交際費を支払ったうえで、少額の貯金もできます。
ただし、毎月30万円の売上が安定して入ることが前提です。月によって売上が20万円、翌月が40万円というように変動する場合は、平均月収だけでなく、最低月収でも生活できるかを確認しましょう。
5-2. 家賃・生活費別の生活イメージ
月の手取りが約20万円の場合、家賃が5万〜7万円なら比較的バランスを取りやすいです。家賃8万〜10万円になると、食費や交際費、貯金をかなり意識する必要があります。家賃が10万円を超えると、月収30万円のフリーランスでは余裕が少なくなりやすいです。
目安としては、家賃を手取りの3分の1以内に抑えると生活が安定しやすくなります。手取り20万円なら、家賃は6万〜7万円台までに抑えると無理が出にくいでしょう。
5-3. 都市部と地方で必要な手取りは変わる
都市部は家賃、外食費、交通費、コワーキングスペース代などが高くなりやすい一方、案件単価が高い傾向もあります。地方は生活費を抑えやすい反面、対面案件や地域案件の単価が低い場合もあります。
リモートワーク中心の職種であれば、地方に住みながら都市部の案件を受けることで、月収30万円でも生活に余裕を持ちやすくなります。
5-4. 家族を養う場合は余裕が少なくなりやすい
月収30万円で家族を養う場合、独身よりもかなり慎重な設計が必要です。配偶者や子どもの生活費、国民健康保険料、教育費、医療費、住居費が増えるため、手取り月20万円前後では余裕が少なくなります。
扶養控除や配偶者控除によって税負担が下がる場合もありますが、国民健康保険や国民年金の負担、生活費の増加を考えると、月収30万円だけで家族全体を支えるのはやや厳しいケースもあります。
5-5. 貯金・老後資金まで考えると注意が必要
フリーランスは、退職金や厚生年金の上乗せがない人も多いため、老後資金を自分で準備する必要があります。月収30万円で生活費をまかなうことはできても、貯金や老後資金まで十分に積み立てられるかは別問題です。
毎月の生活費だけでなく、税金用、保険料用、事業投資用、生活防衛資金用、老後資金用に分けて管理しましょう。
6. フリーランス月収30万円で見落としやすい支出
6-1. 仕事用の経費
フリーランスは、仕事に必要な支出を自分で負担します。パソコン、スマートフォン、通信費、ソフトウェア、書籍、セミナー、交通費、外注費、広告費などが代表的です。
経費は節税につながりますが、支出であることに変わりはありません。必要以上に経費を増やすと、税金は減っても手元資金も減ります。
6-2. 確定申告や会計ソフトの費用
会計ソフト、税理士報酬、電子申告のための環境整備なども見落としがちな支出です。月収30万円の段階では自分で会計ソフトを使って申告する人も多いですが、取引数が増えたり、インボイス登録をしたりすると、税理士に相談するメリットが大きくなる場合があります。
6-3. パソコン・通信費・ツール代
Webライター、デザイナー、エンジニア、動画編集者、マーケターなどは、パソコンや有料ツールへの依存度が高くなります。月額数千円のツールでも、複数契約すると年間では大きな金額になります。
サブスクリプションは定期的に見直し、本当に売上につながっているものだけを残すことが大切です。
6-4. 病気やケガで働けない期間の備え
フリーランスは、働けない期間がそのまま収入減につながりやすいです。会社員のように有給休暇や傷病手当金を利用できないケースも多いため、最低でも生活費の3〜6か月分は生活防衛資金として確保しておきたいところです。
また、所得補償保険や就業不能保険を検討するのもひとつの方法です。ただし、保険料が家計を圧迫しないよう、必要保障額を見極めましょう。
6-5. 退職金・ボーナスがないことへの備え
フリーランスには、会社員のようなボーナスや退職金がありません。そのため、月収30万円を毎月使い切るのではなく、売上の一部を「将来のボーナス」「将来の退職金」として自分で積み立てる発想が必要です。
小規模企業共済、iDeCo、国民年金基金などは、老後資金や退職金づくりの選択肢になります。
7. 手取りを増やすためにできる節税対策
7-1. 経費にできる支出を正しく把握する
手取りを増やすには、まず経費にできる支出を正しく把握しましょう。仕事に必要な支出であれば、通信費、家賃の一部、水道光熱費の一部、パソコン代、ソフト代、書籍代、交通費などを経費にできる可能性があります。
ただし、プライベート分まで経費にするのはNGです。自宅兼事務所の家賃や通信費などは、仕事で使った割合に応じて家事按分します。
7-2. 青色申告を活用する
青色申告は、フリーランスの代表的な節税方法です。複式簿記で記帳し、貸借対照表や損益計算書を作成し、期限内に申告するなどの要件を満たすことで、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。
月収30万円のフリーランスでも、青色申告の有無で年間手取りに差が出ます。開業届と青色申告承認申請書を出していない人は、早めに確認しましょう。
7-3. 小規模企業共済を検討する
小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者向けの退職金制度です。掛金は税法上、小規模企業共済等掛金控除として全額を所得から控除できます。
節税しながら将来の退職金を準備できる一方、短期間で解約すると元本割れする可能性もあります。月収30万円の段階では、まず生活防衛資金を確保し、そのうえで無理のない掛金から始めるのが現実的です。
7-4. iDeCoを活用する
iDeCoは、自分で掛金を拠出して運用する私的年金制度です。厚生労働省は、iDeCoを公的年金とは別に給付を受けられる私的年金制度のひとつと説明しています。 また、iDeCoの掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象となり、その年に支払った掛金の全額を控除できます。
ただし、iDeCoは原則として老後資金向けの制度で、途中で自由に引き出せません。短期資金に余裕がない人は、生活防衛資金を優先しましょう。
7-5. 国民年金基金や付加年金を検討する
国民年金だけでは老後資金が不安な場合、国民年金基金や付加年金を検討する方法もあります。国民年金基金の掛金は社会保険料控除の対象となり、所得税や住民税の軽減につながります。
また、国民年金の付加保険料は月額400円で、将来の老齢基礎年金に上乗せできる制度です。日本年金機構も、令和8年度の国民年金保険料に加えて月額400円の付加保険料を納付することで、将来の老齢基礎年金額を増額できると説明しています。
7-6. 控除を漏れなく使う
生命保険料控除、地震保険料控除、医療費控除、寄附金控除、扶養控除、配偶者控除、社会保険料控除など、使える控除を漏らさないことも大切です。
特に国民年金保険料、国民健康保険料、国民年金基金の掛金などは社会保険料控除の対象になります。社会保険料控除は、その年に実際に支払った金額の全額を控除できる制度です。
8. 月収30万円のフリーランスが収入を安定させる方法
8-1. 継続案件を増やす
月収30万円を安定させるには、単発案件だけでなく継続案件を増やすことが重要です。毎月10万円の継続案件を3本持てれば、売上の見通しが立ちやすくなります。
継続案件を得るには、納期を守る、返信を早くする、提案をする、成果を数字で報告するなど、基本的な信頼づくりが欠かせません。
8-2. 単価交渉をする
月収30万円を超えて手取りを増やすには、稼働時間を増やすだけでなく単価を上げる必要があります。すでに継続して成果を出している案件では、実績を整理したうえで単価交渉をしてみましょう。
たとえば、「作業量が増えている」「成果が改善している」「対応範囲が広がっている」など、交渉理由を具体的に伝えると受け入れられやすくなります。
8-3. 複数の取引先を持つ
取引先が1社だけだと、その案件が終了した瞬間に収入が大きく減ります。月収30万円を安定させるには、できれば2〜4社程度に収入源を分散させるのが理想です。
ただし、取引先を増やしすぎると管理が大変になります。収入の安定と作業効率のバランスを見ながら、無理のない範囲で分散しましょう。
8-4. スキルアップで単価を上げる
フリーランスの手取りを増やすには、節税だけでは限界があります。最も効果が大きいのは、売上そのものを上げることです。
ライターならSEO設計や取材、編集、ディレクション。デザイナーならUI/UX、マーケティング、ブランディング。エンジニアなら上流工程、クラウド、セキュリティなど、単価が上がりやすい領域に広げると収入が安定しやすくなります。
8-5. 生活防衛資金を確保する
フリーランスは収入が不安定になりやすいため、生活防衛資金が重要です。最低でも生活費3か月分、できれば6か月分を現金で確保しておきましょう。
月の生活費が20万円なら、60万〜120万円が目安です。税金や保険料の支払いもあるため、生活費とは別に納税用口座を作っておくと安心です。
9. フリーランス月収30万円に関するよくある質問
9-1. 月収30万円のフリーランスはすごい?
月収30万円を安定して稼げるフリーランスは、十分に評価できる水準です。特に独立初期で月収30万円を継続できているなら、事業として軌道に乗り始めているといえます。
ただし、手取りで見ると月15万〜21万円前後になることもあるため、「月収30万円=余裕がある」とは限りません。次の目標は、月収40万〜50万円を安定させることです。
9-2. 月収30万円だと確定申告は必要?
フリーランスとして月収30万円、年収360万円の売上がある場合、多くのケースで確定申告が必要です。所得税が発生しない場合でも、青色申告の特典を受ける、住民税や国民健康保険料を正しく計算する、赤字を繰り越すといった目的で申告が重要になります。
特に、取引先から源泉徴収されている場合は、確定申告によって還付を受けられることもあります。
9-3. 月収30万円で扶養に入れる?
月収30万円、年収360万円のフリーランスが、家族の社会保険上の扶養に入るのは難しいケースが多いです。被扶養者の収入要件は、原則として年間収入130万円未満、60歳以上または障害者の場合は180万円未満などとされています。
また、税法上の扶養についても、月収30万円規模の所得があると対象外になる可能性が高いです。扶養に入れるかどうかは、売上ではなく所得や継続的な収入見込みで判断されるため、家族の勤務先や専門家に確認しましょう。
9-4. 月収30万円から法人化は必要?
月収30万円、年収360万円の段階では、法人化が必須とはいえません。法人化すると社会保険加入、法人住民税、税理士費用、経理事務などの負担が増えます。
法人化を検討する目安は、利益が大きくなってきたとき、取引先から法人契約を求められるとき、人を雇うとき、消費税や社会保険も含めて総合的にメリットが出るときです。月収30万円の段階では、まず個人事業主として青色申告、経費管理、単価アップを進めるほうが現実的です。
9-5. 税金や保険料を払えない場合はどうする?
税金や保険料を払えない場合、放置してはいけません。まずは税務署、自治体、年金事務所に相談しましょう。国税については、災害その他やむを得ない理由で一時に納付できない場合、申請により納税の猶予を受けられる場合があります。
国民年金保険料についても、所得が一定以下の場合は免除制度や納付猶予制度があります。日本年金機構は、前年所得が一定基準の範囲内であれば、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除、納付猶予などの制度があると案内しています。
払えないからといって無視すると、延滞金や督促につながる可能性があります。早めに相談し、分割納付や減免制度を確認しましょう。
まとめ
フリーランス月収30万の手取りは、経費が少ない独身なら月20万円前後、経費が多い場合は月15万〜18万円前後が目安です。月収30万円がそのまま使えるわけではなく、経費、所得税、住民税、個人事業税、国民健康保険料、国民年金保険料などを差し引いて考える必要があります。
一人暮らしなら生活できる可能性は高いですが、家賃が高い都市部や家族を養う場合は余裕が少なくなりやすいです。安定して暮らすには、青色申告を活用する、経費を正しく管理する、納税用口座を作る、生活防衛資金を貯める、継続案件や単価アップで売上を伸ばすことが重要です。
月収30万円は、フリーランスとしての土台になる水準です。そこから手取りを守り、収入を安定させ、将来の備えまでできるように仕組み化していきましょう。

