フリーランスに年末調整は必要?確定申告との違いと必要な手続きをわかりやすく解説

はじめに

フリーランスとして働き始めると、「会社員のときは年末調整をしていたけれど、独立後も必要なの?」と迷う人は多いでしょう。結論からいうと、専業フリーランスは原則として年末調整の対象ではありません。フリーランスが基本的に行うべき手続きは、年末調整ではなく確定申告です。

ただし、会社員から独立した年、会社員とフリーランスを兼業している場合、アルバイト収入がある場合、従業員へ給与を支払っている場合などは、年末調整が関係することがあります。この記事では、「フリーランス 年末調整」で悩んでいる人に向けて、年末調整と確定申告の違い、必要な手続き、準備すべき書類をわかりやすく解説します。

1. フリーランスに年末調整は必要?まず結論を確認

1-1. フリーランスは原則として年末調整の対象外

フリーランスは、原則として年末調整の対象外です。年末調整は、会社などの給与支払者が、従業員に支払った給与から源泉徴収した所得税と、本来納めるべき所得税との差額を精算する手続きです。国税庁も、年末調整は給与等から源泉徴収した所得税等と年間税額との差額を精算するものと説明しています。

一方、フリーランスの報酬は通常「給与」ではなく、業務委託契約などに基づく売上・報酬です。そのため、会社が従業員に対して行う年末調整の仕組みには基本的に入りません。

1-2. 年末調整が必要なのは「給与所得」がある人

年末調整が関係するのは、主に会社員、パート、アルバイトなど、勤務先から給与を受け取っている人です。年末調整の対象は、原則として勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している一定の人とされています。

つまり、フリーランスであっても、別にアルバイト先や勤務先から給与を受け取っている場合は、その給与部分について年末調整が行われる可能性があります。ただし、フリーランスとして得た事業収入や業務委託報酬まで年末調整されるわけではありません。

1-3. フリーランスが行うべき基本の手続きは確定申告

フリーランスが行うべき基本の税務手続きは、確定申告です。確定申告では、1年間の売上から必要経費を差し引いて所得を計算し、所得控除や税額控除を反映したうえで、所得税を申告・納付します。

事業所得は「総収入金額-必要経費」で計算され、必要経費には売上を得るために直接必要な費用や、その年に生じた業務上の費用などが含まれます。

1-4. 自分が年末調整・確定申告のどちらに該当するか早見表で確認

働き方年末調整確定申告
専業フリーランス原則不要必要になるケースが多い
会社員+副業フリーランス給与部分は勤務先で実施副業所得が一定額を超える場合などに必要
アルバイト+フリーランスアルバイト先で実施される場合ありフリーランス収入があれば必要になることがある
年の途中で会社員から独立退職時期によって未実施の場合あり原則として確定申告で精算
年の途中でフリーランスから会社員へ就職先で年末調整される場合ありフリーランス期間の所得は確定申告が必要になることがある
従業員を雇う個人事業主従業員の年末調整を行う側になる自分自身は確定申告

2. 年末調整とは?仕組みをわかりやすく解説

2-1. 年末調整は会社が所得税の過不足を精算する手続き

年末調整とは、会社が従業員の給与から毎月差し引いていた所得税と、1年間の所得や控除をもとに計算した正しい所得税額を比べ、過不足を精算する手続きです。

毎月の給与から差し引かれる源泉所得税は、あくまで概算です。年末時点で扶養親族の状況、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除などを反映し、税金を再計算します。その結果、税金を多く差し引かれていれば還付され、不足していれば追加で徴収されます。

2-2. 年末調整の対象になる人・ならない人

年末調整の対象になるのは、原則として勤務先に扶養控除等申告書を提出している給与所得者です。ただし、給与収入が2,000万円を超える人など、一定の人は年末調整の対象外になります。

一方、業務委託契約で働くフリーランス、個人事業主、退職して年末時点で勤務先がない人などは、基本的に年末調整ではなく確定申告で税額を精算します。

2-3. 年末調整で反映される主な控除

年末調整では、主に次のような控除が反映されます。

控除の種類内容
基礎控除所得に応じて適用される基本的な控除
配偶者控除・配偶者特別控除配偶者の所得などに応じて適用
扶養控除扶養親族がいる場合に適用
社会保険料控除健康保険料、厚生年金保険料など
生命保険料控除生命保険、介護医療保険、個人年金保険など
地震保険料控除地震保険料を支払った場合
小規模企業共済等掛金控除iDeCoなどの掛金が対象になる場合あり
住宅ローン控除2年目以降の給与所得者などで年末調整可能な場合あり

令和7年分以後は、所得税の基礎控除や給与所得控除について改正が行われており、年末調整でも改正内容の確認が必要です。

2-4. 年末調整の時期と一般的な流れ

年末調整は、一般的に11月から12月にかけて行われます。従業員は勤務先から配布される申告書に必要事項を記入し、保険料控除証明書などの書類を提出します。その後、勤務先が税額を再計算し、12月または翌年1月の給与で還付・追加徴収を行います。

フリーランスが会社に勤めていない場合、この流れには入りません。自分で1年間の売上・経費・控除を整理し、翌年の確定申告期間に申告します。

3. フリーランスと確定申告の関係

3-1. 確定申告は本人が所得と税額を申告する手続き

確定申告とは、1年間に生じた所得を自分で計算し、所得税額を申告・納付する手続きです。給与所得者は勤務先の年末調整で完結することもありますが、フリーランスは原則として自分で収入、経費、控除、税額を計算します。

令和7年分の所得税等の確定申告・納付期限は、令和8年3月16日(月)までと案内されています。

3-2. フリーランスの主な所得区分は事業所得または雑所得

フリーランスの収入は、働き方や規模、継続性などによって、主に「事業所得」または「雑所得」に区分されます。

継続的に仕事を受け、独立した事業として活動している場合は、事業所得に該当することが多いです。事業所得とは、サービス業などの事業を営んでいる人が、その事業から得る所得をいいます。

一方、副業として小規模に行っている業務収入などは、雑所得に該当する場合があります。国税庁は、業務に係る雑所得について、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものと説明しています。

3-3. 確定申告が必要になるフリーランスの条件

フリーランスで確定申告が必要になる代表的なケースは、次のとおりです。

ケース確定申告の必要性
専業フリーランスで所得がある必要になるケースが多い
報酬から源泉徴収されており、還付を受けたい確定申告が必要
青色申告特別控除を受けたい確定申告が必要
赤字を翌年以降に繰り越したい青色申告など一定の要件で確定申告が必要
会社員の副業所得が20万円を超える原則として確定申告が必要
医療費控除や寄附金控除を受けたい確定申告が必要になる場合あり

会社員で年末調整を受けている人でも、副業など給与所得・退職所得以外の所得が20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要です。

3-4. 確定申告をしないとどうなるのか

確定申告が必要なのに期限までに申告しなかった場合、期限後申告が必要になります。また、税金の納付が遅れた場合には、原則として法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じて延滞税がかかります。

申告漏れや納付遅れは、後から気づいた時点で早めに対応することが大切です。売上や経費の記録を放置していると、正しい申告が難しくなり、結果的に税負担や事務負担が増える可能性があります。

4. 年末調整と確定申告の違い

4-1. 手続きを行う人の違い

年末調整は、勤務先が従業員のために行う手続きです。従業員は必要書類を勤務先に提出しますが、税額計算や税務署への納付手続きは基本的に会社側が行います。

一方、確定申告は納税者本人が行う手続きです。フリーランスの場合、自分で売上や経費を集計し、申告書を作成して税務署に提出します。

4-2. 対象となる所得の違い

年末調整の対象は、基本的に給与所得です。会社員、パート、アルバイトなどが勤務先から受け取る給与が中心です。

確定申告では、事業所得、雑所得、不動産所得、譲渡所得、配当所得など、さまざまな所得をまとめて申告します。フリーランスの売上・報酬は、年末調整ではなく確定申告で扱うのが基本です。

4-3. 申告・提出先の違い

年末調整では、従業員が控除申告書や証明書類を勤務先に提出します。勤務先が内容を確認し、税額を調整します。

確定申告では、本人が税務署に申告書を提出します。提出方法には、e-Taxによる電子申告、税務署への郵送、税務署窓口への提出などがあります。

4-4. 手続き時期の違い

年末調整は、主に年末の給与支払時期に行われます。一般的には11月から12月に書類を提出し、12月または翌年1月の給与で精算されます。

確定申告は、原則として翌年2月16日から3月15日ごろに行われます。期限日が土日祝日に当たる場合は翌開庁日になることがあり、令和7年分の所得税等は令和8年3月16日(月)が期限です。

4-5. 控除の反映方法の違い

年末調整では、勤務先に提出した控除申告書や証明書に基づいて控除が反映されます。ただし、医療費控除、初年度の住宅ローン控除、寄附金控除など、年末調整だけでは対応できず確定申告が必要な控除もあります。

住宅ローン控除は、初めて受ける年分については必要書類を添付して確定申告をする必要があります。給与所得者の場合、2年目以降は年末調整で適用できるケースがあります。

5. フリーランスでも年末調整が関係するケース

5-1. 会社員から年の途中でフリーランスになった場合

会社員を退職して、その年の途中からフリーランスになった場合、退職時点で年末調整が完了していないことが多いです。この場合、会社員時代の給与所得と、独立後のフリーランス収入を合わせて確定申告します。

このとき必要になるのが、退職した会社から交付される源泉徴収票です。源泉徴収票には、給与収入、源泉徴収税額、社会保険料などが記載されており、確定申告で給与所得を入力する際に使います。

5-2. フリーランスをしながらアルバイトやパートをしている場合

フリーランスをしながらアルバイトやパートで給与を受け取っている場合、勤務先で年末調整が行われることがあります。ただし、年末調整されるのはアルバイトやパートの給与部分だけです。

フリーランスとして得た報酬や売上は、別途、確定申告で申告します。給与所得と事業所得または雑所得を合算して税額を計算するため、源泉徴収票とフリーランスの収支資料を両方準備しましょう。

5-3. 副業フリーランスとして会社に勤めている場合

会社員として勤務しながら、副業でフリーランス収入を得ている場合、本業の給与は勤務先で年末調整されます。ただし、副業所得が20万円を超える場合などは、原則として確定申告が必要です。

また、副業所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがあります。自治体によって案内が異なるため、住民税については住んでいる市区町村の情報も確認しましょう。

5-4. 年の途中でフリーランスから会社員になった場合

年の途中までフリーランスとして働き、その後会社員になった場合、就職先で年末調整を受けることがあります。しかし、フリーランス期間中の事業所得や雑所得がある場合、年末調整だけで完結しないことがあります。

就職先の年末調整では給与所得を中心に精算し、フリーランス期間の所得は確定申告で申告するのが基本です。入社後に会社へ前職の源泉徴収票を提出する必要がある場合もあるため、給与収入があった人は早めに書類をそろえましょう。

5-5. 従業員や青色事業専従者に給与を支払っている場合

フリーランス本人は年末調整の対象外であっても、従業員や青色事業専従者に給与を支払っている個人事業主は、年末調整を行う側になることがあります。

つまり、「自分が年末調整を受ける」のではなく、「給与を支払う事業主として年末調整をする」立場です。給与を支払う場合は、源泉徴収、納付、年末調整、源泉徴収票の作成などの事務が発生します。

6. ケース別|フリーランスが必要な手続き

6-1. 専業フリーランスの場合

専業フリーランスは、原則として年末調整は不要です。必要なのは、1年間の売上、経費、所得控除、税額控除を整理し、確定申告を行うことです。

青色申告を選択している場合は、帳簿付けや青色申告決算書の作成が必要です。白色申告の場合も、収支内訳書や帳簿、領収書などの保存が必要になります。

6-2. 会社員から独立した年の場合

会社員から独立した年は、会社員時代の給与所得と、独立後のフリーランス所得を合わせて確定申告します。退職した会社から源泉徴収票を受け取り、給与所得を申告に反映させます。

また、独立後に支払った国民健康保険料、国民年金保険料、小規模企業共済やiDeCoの掛金なども、控除の対象になる場合があります。会社員時代の感覚で年末調整を待つのではなく、自分で確定申告の準備を進めましょう。

6-3. 会社員とフリーランスを兼業している場合

会社員とフリーランスを兼業している場合、勤務先では給与部分の年末調整が行われます。副業フリーランスの所得が20万円を超える場合などは、確定申告が必要です。

確定申告では、勤務先から受け取った源泉徴収票と、副業の売上・経費をもとに、給与所得と事業所得または雑所得を合算します。副業の報酬から源泉徴収されている場合は、確定申告によって還付を受けられることもあります。

6-4. アルバイト収入がある場合

アルバイト収入は給与所得です。勤務先に扶養控除等申告書を提出している場合、アルバイト先で年末調整されることがあります。

ただし、フリーランスとしての売上・報酬はアルバイト先では年末調整されません。アルバイトの源泉徴収票とフリーランスの収支を合わせて、確定申告が必要かどうかを判断します。

6-5. 従業員を雇っている個人事業主の場合

従業員を雇っている個人事業主は、給与支払者として源泉徴収や年末調整を行う必要があります。従業員に給与を支払う場合、毎月の給与から所得税を源泉徴収し、年末に扶養控除等申告書や保険料控除申告書などをもとに税額を精算します。

一方で、事業主本人の所得については年末調整ではなく、確定申告で申告します。従業員の年末調整と自分の確定申告は、別の手続きとして整理しましょう。

7. フリーランスが確定申告で準備すべき書類

7-1. 売上や報酬がわかる書類

まず必要なのは、1年間の売上や報酬がわかる書類です。具体的には、請求書、売上台帳、入金明細、銀行口座の取引履歴、決済サービスの明細などが該当します。

フリーランスは、請求した日と入金日がずれることも多いため、どの売上がどの年分に該当するのかを整理しておくことが重要です。

7-2. 経費の領収書・レシート・請求書

経費を正しく計上するためには、領収書、レシート、請求書、クレジットカード明細、銀行振込明細などを保管しておきます。

経費になるのは、事業収入を得るために必要な費用です。国税庁は、必要経費に算入できる金額として、総収入金額を得るために直接要した費用や、その年に生じた業務上の費用などを挙げています。

7-3. 源泉徴収票や支払調書

会社員やアルバイトとして給与を受け取った場合は、源泉徴収票が必要です。退職した会社がある場合も、源泉徴収票を忘れずに受け取りましょう。

また、フリーランスの報酬について、取引先から支払調書が届くことがあります。支払調書は申告内容を確認する資料として役立ちますが、届かない場合でも、自分の請求書や入金記録をもとに申告する必要があります。

7-4. 控除証明書

確定申告で所得控除を受けるには、控除証明書が必要になることがあります。たとえば、生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、国民年金保険料の控除証明書、小規模企業共済やiDeCoの掛金払込証明書などです。

年末に近づくと保険会社や関係機関から証明書が届くため、紛失しないようにまとめて保管しておきましょう。

7-5. 青色申告決算書または収支内訳書

青色申告をする場合は、青色申告決算書を作成します。白色申告の場合は、収支内訳書を作成します。

青色申告では、一定の要件を満たすことで青色申告特別控除などのメリットを受けられる可能性があります。その分、帳簿付けや書類作成の正確さが求められます。日々の記帳を後回しにせず、定期的に整理しましょう。

8. フリーランスが利用できる主な所得控除・税額控除

8-1. 基礎控除

基礎控除は、多くの納税者に適用される基本的な所得控除です。令和7年度税制改正により、所得税の基礎控除の見直しが行われ、令和7年分以後の所得税に適用されます。

フリーランスも、所得要件を満たせば基礎控除を利用できます。確定申告書を作成する際は、最新の控除額を確認しましょう。

8-2. 社会保険料控除

国民年金保険料、国民健康保険料、介護保険料などを支払っている場合、社会保険料控除の対象になります。フリーランスは会社員と異なり、自分で国民健康保険や国民年金を支払うことが多いため、年間の支払額を確認しておきましょう。

家族の社会保険料を自分が支払っている場合も、一定の条件で控除対象になることがあります。

8-3. 生命保険料控除・地震保険料控除

生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払っている場合、生命保険料控除を受けられることがあります。また、地震保険料を支払っている場合は、地震保険料控除の対象になることがあります。

保険会社から届く控除証明書は、確定申告で必要になるため、年末までにまとめて保管しておきましょう。

8-4. 医療費控除

1年間に支払った医療費が一定額を超える場合、医療費控除を受けられる可能性があります。対象になるのは、自分だけでなく、生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費も含まれます。

医療費控除は年末調整では対応できないため、会社員で年末調整を受けている人でも、控除を受けるには確定申告が必要です。

8-5. 小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済、iDeCo、企業型確定拠出年金の個人拠出分など、一定の掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象になる場合があります。

フリーランスにとって、小規模企業共済やiDeCoは将来資金の準備と節税の両面で活用されることがあります。ただし、掛金には上限や制度ごとの条件があるため、加入前に内容を確認しましょう。

8-6. 住宅ローン控除

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合などに、一定の要件を満たすと所得税から控除を受けられる制度です。

初めて住宅ローン控除を受ける年分は、必要書類を添付して確定申告をする必要があります。給与所得者の場合は2年目以降、年末調整で適用できることがありますが、フリーランスは基本的に確定申告で手続きします。

8-7. ふるさと納税と寄附金控除

ふるさと納税をした場合、寄附金控除の対象になることがあります。会社員の場合、一定の条件を満たせばワンストップ特例制度を利用できますが、フリーランスで確定申告をする場合は、ふるさと納税分も確定申告に含めて申告します。

副業所得や医療費控除などで確定申告をする場合も、ワンストップ特例が使えなくなることがあるため、寄附金受領証明書を保管しておきましょう。

9. 年末調整をしていても確定申告が必要なケース

9-1. フリーランス収入が一定額を超える場合

会社員として年末調整を受けていても、副業フリーランスの所得が20万円を超える場合などは、原則として確定申告が必要です。ここでいう20万円は「収入」ではなく、売上から必要経費を差し引いた「所得」で判断します。

たとえば、副業売上が50万円、必要経費が20万円なら、副業所得は30万円です。この場合、給与所得者であっても確定申告が必要になる可能性があります。

9-2. 複数の勤務先から給与を受け取っている場合

複数の勤務先から給与を受け取っている場合、すべての給与が年末調整で正しく精算されているとは限りません。主たる勤務先では年末調整を受けられても、他の勤務先の給与について確定申告が必要になることがあります。

フリーランス収入に加えて、複数の給与収入がある人は、すべての源泉徴収票を集めて申告内容を確認しましょう。

9-3. 医療費控除や住宅ローン控除を受ける場合

医療費控除を受けたい場合は、年末調整ではなく確定申告が必要です。また、住宅ローン控除を初めて受ける年分も、確定申告が必要です。

会社員で年末調整が済んでいても、これらの控除を追加で受ける場合は、確定申告によって税金が還付されることがあります。

9-4. 年末調整で控除書類を出し忘れた場合

生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書などを勤務先に出し忘れた場合、年末調整に控除が反映されません。この場合でも、確定申告をすれば控除を反映できる可能性があります。

「書類を出し忘れたから控除を受けられない」とあきらめる必要はありません。源泉徴収票と控除証明書を準備し、確定申告で修正しましょう。

9-5. 源泉徴収された税金の還付を受けたい場合

フリーランスの報酬には、原稿料、デザイン料、講演料など、報酬の種類によって源泉徴収されるものがあります。源泉徴収された税金が、最終的な所得税額より多い場合、確定申告によって還付を受けられることがあります。

報酬から源泉徴収されているかどうかは、請求書、入金額、支払明細、支払調書などで確認しましょう。

10. フリーランスが年末までにやっておきたい準備

10-1. 売上・経費の整理

年末までに、1月から12月までの売上と経費を整理しておきましょう。確定申告の直前に1年分をまとめて処理しようとすると、領収書の紛失や経費の計上漏れが起こりやすくなります。

会計ソフトを使って銀行口座やクレジットカードを連携しておくと、日々の記帳負担を減らせます。

10-2. 未回収の請求書や入金状況の確認

フリーランスは、請求書を発行してから入金されるまでに時間がかかることがあります。年末時点で未回収の請求書がある場合、売上計上のタイミングや入金予定を確認しておきましょう。

未入金のまま放置していると、資金繰りだけでなく、申告時の売上管理にも影響します。請求書番号、請求日、入金日、金額を一覧で管理すると安心です。

10-3. 控除証明書の保管

生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、国民年金保険料控除証明書、小規模企業共済やiDeCoの証明書などは、年末にかけて届きます。

これらの書類は確定申告で控除を受けるために必要です。郵送で届く書類だけでなく、電子交付される証明書もあるため、メールやマイページの案内も確認しましょう。

10-4. 源泉徴収された報酬の確認

取引先からの報酬が源泉徴収されている場合、売上総額と実際の入金額が一致しません。たとえば、請求額から源泉所得税が差し引かれて入金されている場合があります。

確定申告では、売上は源泉徴収前の金額で計上し、差し引かれた源泉徴収税額を申告に反映します。入金額だけを売上として処理すると、申告内容がずれるため注意しましょう。

10-5. 節税対策の検討

年末までにできる節税対策として、必要な事業支出の確認、小規模企業共済やiDeCoの活用、ふるさと納税、青色申告の準備などがあります。

ただし、節税のために不要なものを購入すると、手元資金が減ってしまいます。節税は「税金を減らすこと」だけでなく、「事業に必要な支出か」「将来の資金計画に合っているか」も含めて判断しましょう。

11. フリーランスの年末調整・確定申告に関するよくある質問

11-1. フリーランスは年末調整しないと違法になる?

専業フリーランスが年末調整を受けないこと自体は違法ではありません。そもそも年末調整は、給与所得者を対象に勤務先が行う手続きだからです。

ただし、確定申告が必要なのに申告しない場合は問題になります。フリーランスは年末調整ではなく、確定申告で正しく所得と税額を申告しましょう。

11-2. 会社員時代の源泉徴収票がない場合はどうする?

会社員時代の源泉徴収票がない場合は、退職した会社に再発行を依頼します。源泉徴収票は、給与所得や源泉徴収税額を確認するために必要な重要書類です。

退職後に住所が変わった場合、旧住所に送られていることもあるため、会社の人事・総務担当に連絡して確認しましょう。

11-3. 支払調書が届かなくても確定申告できる?

支払調書が届かなくても、確定申告はできます。支払調書は取引先が必ず本人に交付しなければならない書類ではないため、届かないこともあります。

その場合は、自分の請求書、入金明細、帳簿、取引先からの支払通知などをもとに、売上や源泉徴収税額を確認して申告します。

11-4. 副業収入が20万円以下なら何もしなくていい?

会社員の副業については、給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告が不要になるケースがあります。ただし、医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合は、副業所得が20万円以下でも申告に含める必要があります。

また、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になることがあります。副業所得が少額でも、住民税については自治体の案内を確認しましょう。

11-5. 年末調整と確定申告を両方することはある?

あります。たとえば、会社員として勤務先で年末調整を受けながら、副業フリーランスの所得を確定申告するケースです。

この場合、年末調整済みの給与所得を源泉徴収票の内容に基づいて確定申告書に入力し、副業の事業所得または雑所得も合わせて申告します。年末調整をしたから確定申告が不要とは限らない点に注意しましょう。

まとめ

フリーランスは、原則として年末調整の対象ではありません。年末調整は給与所得者に対して勤務先が行う手続きであり、フリーランスが自分の事業収入を精算する手続きではないからです。

フリーランスが基本的に行うべきなのは、確定申告です。1年間の売上、経費、所得控除、税額控除を整理し、自分で所得税を申告します。

ただし、会社員から独立した年、会社員と副業フリーランスを兼業している場合、アルバイト収入がある場合、従業員を雇っている場合などは、年末調整が関係することがあります。

「フリーランス 年末調整」で迷ったら、まず自分に給与所得があるかを確認しましょう。給与所得があるなら勤務先で年末調整、フリーランス収入があるなら確定申告、というように分けて考えると整理しやすくなります。売上や経費、源泉徴収票、控除証明書などを年末までにそろえ、余裕をもって確定申告の準備を進めましょう。