フリーランスが使える助成金・補助金一覧|申請条件から受給までわかりやすく解説

はじめに

フリーランスとして働いていると、「フリーランスでも助成金は使えるのか」「個人事業主でも補助金を申請できるのか」と気になる場面があります。結論からいうと、フリーランスや個人事業主でも、条件を満たせば利用できる助成金・補助金はあります。

ただし、フリーランス本人の生活費を直接支援する制度ばかりではありません。多くは、販路開拓、業務効率化、ITツール導入、設備投資、創業、雇用、従業員育成など、事業の成長や雇用環境の改善を目的とした制度です。

また、補助金は「返済不要」といわれますが、申請すれば必ず受け取れるものではありません。中小企業庁のミラサポplusでも、補助金には審査があり、原則として後払いで、事前審査と事後検査を経て支給額が決まると説明されています。

この記事では、「フリーランス 助成金」で情報を探している方に向けて、フリーランスが使える主な助成金・補助金の種類、申請条件、必要書類、申請から受給までの流れ、注意点をわかりやすく解説します。

1. フリーランスでも助成金・補助金は使える?まず知っておきたい基本

フリーランスが使える制度を探すときは、まず「自分が対象者になる制度」と「事業内容に合う制度」を分けて考えることが大切です。フリーランスや個人事業主が申請しやすいのは、販路開拓やIT導入などを支援する補助金です。一方、厚生労働省系の助成金は、従業員の雇用・育成・処遇改善を目的とするものが多く、フリーランス本人だけで活動している場合は対象になりにくい傾向があります。

1-1. フリーランス・個人事業主が申請対象になる主な制度

フリーランスや個人事業主が検討しやすい代表的な制度には、次のようなものがあります。

制度名主な目的フリーランスとの相性
小規模事業者持続化補助金販路開拓、広告、チラシ、店舗改装、ホームページ関連施策など高い
デジタル化・AI導入補助金/旧IT導入補助金会計ソフト、受発注システム、業務効率化ツールなど高い
ものづくり補助金新サービス開発、設備投資、生産性向上事業規模による
事業承継・M&A補助金事業承継、M&A、専門家費用、廃業費用など状況による
自治体独自の補助金創業、移住、店舗改装、販促、地域産業支援など地域により高い
キャリアアップ助成金非正規雇用労働者の正社員化・処遇改善従業員がいる場合
人材開発支援助成金従業員の研修・スキルアップ従業員がいる場合
両立支援等助成金育児・介護と仕事の両立支援従業員がいる場合
トライアル雇用助成金就職困難者等の試行雇用採用する場合

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自ら経営計画を策定し、商工会議所・商工会の支援を受けながら行う販路開拓などを支援する制度です。チラシ作成、広告掲載、店舗改装など幅広い販路開拓経費が対象例として示されています。

1-2. 助成金・補助金・給付金・融資の違い

助成金・補助金・給付金・融資は似ていますが、仕組みが異なります。

種類特徴返済主な審査
補助金政策目的に合う事業の経費を一部補助原則不要あり
助成金雇用・労働環境改善などの要件を満たす事業主を支援原則不要要件審査
給付金特定の状況にある人・事業者を支援原則不要制度による
融資金融機関などから資金を借りる必要返済能力など

フリーランスがよく使うのは「補助金」です。たとえば、ホームページ制作、広告宣伝、ITツール導入、設備購入などの一部を補助する制度が該当します。厚生労働省系の「助成金」は、従業員を雇用している事業主向けの制度が中心です。

1-3. 「返済不要」でも必ず受け取れるわけではない理由

補助金や助成金は、融資と違って原則返済不要です。しかし、返済不要だからといって、申請すれば必ず受け取れるわけではありません。

補助金の場合、事業計画書や経費内容が審査されます。採択された後も、交付決定前に支出した経費が対象外になったり、実績報告で証拠書類が不足して入金されなかったりすることがあります。ミラサポplusでも、補助金は全額が補助されるわけではなく、補助対象経費・補助率・上限額を事前に確認する必要があると説明されています。

1-4. 会社員の副業フリーランスでも申請できるケース

会社員として働きながら副業でフリーランス活動をしている場合でも、制度によっては申請できる可能性があります。ポイントは、「副業かどうか」ではなく、申請者として事業実態があるか、対象経費が事業に必要なものか、制度の要件を満たしているかです。

たとえば、開業届を提出し、継続的に売上があり、確定申告をしている場合は、個人事業主として対象になる制度があります。一方で、趣味に近い活動、売上実績がない活動、事業用と私用の区別が曖昧な支出は、審査で不利になりやすいでしょう。

2. フリーランスが助成金・補助金を探す前に確認すべき条件

フリーランスが助成金・補助金を探す前に、まず自分の事業状況を整理しましょう。制度ごとに条件は異なりますが、共通して見られやすいのは、開業状況、事業実態、売上規模、業種、従業員数、支出時期、対象経費の妥当性です。

2-1. 開業届・確定申告・事業実態の有無

フリーランスが補助金を申請する場合、開業届、直近の確定申告書、売上台帳、請求書、契約書、事業用サイト、取引実績などで事業実態を示すことがあります。

開業直後の場合は、売上実績が少なくても申請できる制度もありますが、事業計画の具体性が重要です。「何に使うのか」「なぜ必要なのか」「導入後にどのような売上増加や生産性向上が見込めるのか」を説明できるようにしておきましょう。

2-2. 対象業種・従業員数・売上規模の条件

補助金は「中小企業」「小規模事業者」「個人事業主」など、対象者が細かく定められています。たとえば、デジタル化・AI導入補助金2026の対象者ページでは、業種ごとに資本金や常時使用する従業員数の基準が示され、個人事業も含むとされています。

小規模事業者持続化補助金では、商業・サービス業、宿泊業・娯楽業、製造業その他などで従業員数の基準が異なるため、自分の業種区分を確認することが大切です。

2-3. 補助対象になる経費と対象外になりやすい経費

補助対象になりやすい経費には、広告宣伝費、チラシ制作費、ホームページ制作費、展示会出展費、業務効率化ツール、クラウドサービス、専門家費用、設備費などがあります。

一方で、対象外になりやすい経費には、私用との区別が難しいもの、汎用性が高すぎるもの、事業計画との関係が薄いもの、領収書や契約書などの証拠書類を残せないものがあります。パソコンやスマホなどは制度によって扱いが異なるため、必ず公募要領で確認してください。

2-4. 申請前の支出が対象外になるケース

補助金では、交付決定前に発注・契約・購入・支払いをした経費が対象外になるケースが多くあります。ミラサポplusの補助金受給ステップでも、採択後に交付申請を行い、交付決定された内容で事業を開始する流れが示されています。

「先にホームページを作ってしまった」「すでに広告費を支払った」「補助金が出ると思ってパソコンを購入した」という場合、後から申請しても対象外になる可能性があります。申請前に支出しないことが基本です。

2-5. 国・自治体・商工会議所で条件が異なる点に注意

国の補助金、都道府県の補助金、市区町村の補助金、商工会議所・商工会を通じた支援制度では、対象者、申請期間、補助率、必要書類、支出ルールが異なります。

全国の支援策を探す場合は、J-Net21の支援情報ヘッドラインが便利です。中小機構が運営するJ-Net21では、中小企業・小規模事業者向けの補助金、融資、税制優遇などを業種・地域・目的別に検索できます。

3. フリーランスが使える主な補助金一覧

フリーランスがまず確認したいのは、助成金よりも補助金です。特に、販路開拓、IT導入、設備投資、創業、事業承継に関する補助金は、個人事業主でも対象になる可能性があります。

3-1. 小規模事業者持続化補助金|販路開拓・ホームページ制作に使える

小規模事業者持続化補助金は、フリーランスや個人事業主にとって最も検討しやすい補助金のひとつです。販路開拓や生産性向上に取り組む小規模事業者を支援する制度で、チラシ作成、広告掲載、店舗改装などが対象例として紹介されています。

たとえば、Webデザイナーが新サービスのランディングページを制作する、カメラマンが販促用チラシを作る、整体師が店舗改装を行う、講師業のフリーランスが広告出稿を行うといった使い方が考えられます。

2026年6月時点では、ミラサポplus上で一般型通常枠の補助率は2/3、補助上限額は最大250万円と案内されています。ただし、補助上限額は枠や特例により異なるため、申請時点の公募要領を確認しましょう。

3-2. IT導入補助金・デジタル化支援系補助金|会計ソフト・業務効率化に使える

従来「IT導入補助金」と呼ばれていた制度は、2026年は「デジタル化・AI導入補助金2026」として案内されています。公式サイトでは、中小企業・小規模事業者向けに、ITツール導入費用を支援する制度とされています。

対象になり得るものには、会計ソフト、受発注システム、予約管理システム、顧客管理ツール、EC関連ツール、業務自動化ツールなどがあります。フリーランスの場合、経理作業、請求管理、顧客対応、予約受付、在庫管理などを効率化したいときに検討しやすい制度です。

ただし、登録されたITツールやIT導入支援事業者を通じて申請する仕組みになることが多いため、「好きなソフトを買って後から申請する」という使い方はできない場合があります。

3-3. ものづくり補助金|新サービス開発・設備投資に使える

ものづくり補助金は、正式には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と呼ばれます。中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発、試作品開発、設備投資などを支援する制度です。公式サイトでも、制度変更への対応や革新的サービス開発・試作品開発のための設備投資等を支援すると説明されています。

フリーランスの場合、単なる備品購入ではなく、新しいサービスを開発するための機材導入、業務プロセスを大きく変える設備投資、新たな制作・製造体制の構築などがある場合に検討できます。

ミラサポplusでは、ものづくり補助金について、新しい製品やサービスの開発、海外への販路拡大などに取り組むための設備投資を支援し、補助率は1/2〜2/3、補助上限額は最大4,000万円と案内されています。

3-4. 事業承継・M&A補助金|事業の引き継ぎや再編に使える

事業承継・M&A補助金は、親族や従業員への事業承継、M&A時の専門家費用、M&A後のPMI、廃業・再チャレンジなどを支援する制度です。ミラサポplusでは、事業承継前の設備投資、M&A時の専門家活用費用、M&A後のPMI、廃業費用などを支援すると説明されています。

フリーランスでも、個人事業を引き継ぐ、既存事業を買い取る、事業を譲渡する、小規模事業者としてM&Aを検討する場合には対象になる可能性があります。

2026年6月時点のミラサポplusでは、補助率は1/3〜2/3、補助上限額は最大2,000万円と案内されています。ただし、枠によって対象経費や上限額が異なるため、事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠、廃業・再チャレンジ枠などの違いを確認しましょう。

3-5. 自治体独自の補助金|創業・移住・店舗改装・販促支援に使える

自治体独自の補助金は、フリーランスにとって見落としやすい支援制度です。市区町村によっては、創業支援、移住起業支援、商店街出店支援、空き店舗改装支援、ECサイト構築支援、展示会出展支援、広告宣伝支援などを実施しています。

自治体の補助金は、国の補助金よりも金額が小さい一方で、地域の事業者に使いやすい内容になっていることがあります。特に店舗を持つフリーランス、地域密着型サービスを提供する個人事業主、移住して開業する人は、自治体の公式サイトや商工会議所の情報を確認しましょう。

4. フリーランスが使える主な助成金一覧

助成金は、補助金と違って雇用・労働分野の支援が中心です。厚生労働省の雇用関係助成金は、従業員を雇い入れる、非正規雇用労働者を正社員化する、従業員を訓練する、育児・介護との両立を支援する、といった事業主向けの制度が多くあります。

4-1. キャリアアップ助成金|従業員を雇用している場合に使える

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の正社員転換や賃金アップなどを支援する制度です。厚生労働省は、令和8年度版のパンフレットやリーフレットを公開しており、正社員化や賃金アップに向けた取り組みを支援する制度として案内しています。

フリーランス本人だけで働いている場合は使いにくい制度ですが、アルバイト、パート、有期契約スタッフを雇っている個人事業主であれば、要件を満たすことで対象になる可能性があります。

4-2. 人材開発支援助成金|従業員の研修・スキルアップに使える

人材開発支援助成金は、従業員の職務に関連した知識・技能の習得を支援する制度です。厚生労働省のページでは、人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コースなどのコースが紹介されています。

フリーランスが外注先や業務委託者に研修を受けさせるだけでは対象になりにくく、基本的には雇用している労働者への訓練が前提になります。従業員を採用し、教育体制を整えたい個人事業主に向いています。

4-3. 両立支援等助成金|育児・介護と仕事の両立支援に使える

両立支援等助成金は、育児休業、介護離職防止、柔軟な働き方、不妊治療と仕事の両立などを支援する制度です。厚生労働省は2026年度版のリーフレットや支給申請の手引きを公開しており、出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育児休業等支援コースなどが案内されています。

フリーランス本人の育児や介護を直接支援する制度ではなく、従業員が育児・介護と仕事を両立できるように職場環境を整える事業主向けの助成金です。

4-4. トライアル雇用助成金|人材採用時に使える

トライアル雇用助成金は、職業経験の不足などから就職が困難な求職者を、無期雇用契約への移行を前提に一定期間試行雇用する事業主を支援する制度です。厚生労働省は、一般トライアルコースについて、原則3か月のトライアル雇用やハローワーク等の紹介による雇入れなどの要件を示しています。

支給額は、対象者1人につき月額4万円、対象労働者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合は月額5万円とされています。

4-5. フリーランス本人だけでは使いにくい助成金が多い理由

フリーランス向けに「助成金」と検索すると多くの情報が出てきますが、実際には従業員を雇用している事業主向けの制度が中心です。

理由は、助成金の多くが雇用保険、労働環境、職業訓練、育児・介護休業、処遇改善などを目的としているためです。1人で働くフリーランスは、従業員がいないため、キャリアアップ助成金や人材開発支援助成金の対象要件に合わないことが多いのです。

そのため、1人で活動しているフリーランスは、まず補助金を中心に探し、従業員を雇う段階になったら助成金を検討するのが現実的です。

5. 目的別|フリーランスにおすすめの助成金・補助金の選び方

助成金・補助金は、制度名から探すよりも「何に使いたいか」から探すほうが効率的です。目的別に合う制度を見ていきましょう。

5-1. 開業直後・創業期に使いたい場合

開業直後のフリーランスは、自治体の創業支援補助金、小規模事業者持続化補助金の創業型、商工会議所の創業支援制度などを確認しましょう。

創業期は売上実績が少ないため、事業の将来性、顧客ニーズ、販売方法、収支計画を具体的に示すことが重要です。創業前後の制度では、特定創業支援等事業を受けていることが条件になる場合もあります。

5-2. ホームページ制作・広告宣伝に使いたい場合

ホームページ制作、LP制作、チラシ、看板、Web広告、展示会出展、販促ツール制作などに使いたい場合は、小規模事業者持続化補助金を優先的に確認しましょう。

ミラサポplusでは、小規模事業者持続化補助金について、販路開拓や生産性向上の取り組みを支援し、チラシ作成、広告掲載、店舗改装などが対象になると案内されています。

ただし、単なる名刺代わりのホームページではなく、「新規顧客を獲得する」「予約数を増やす」「新サービスを販売する」など、販路開拓との関係を明確にする必要があります。

5-3. パソコン・ソフト・ツール導入に使いたい場合

会計ソフト、請求管理ソフト、予約システム、ECツール、顧客管理ツール、AIツールなどを導入したい場合は、デジタル化・AI導入補助金や自治体のDX補助金を確認しましょう。

2026年のデジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者等がITツールを導入する際の費用を支援する制度として案内されています。

パソコンやスマホ本体は対象外または条件付きとなることがあるため、ソフトウェア、クラウドサービス、業務プロセス改善との関係を確認することが大切です。

5-4. 店舗・事務所・設備投資に使いたい場合

店舗改装、設備導入、機械購入、厨房設備、撮影機材、製造設備、施術ベッド、業務用機器などに使いたい場合は、小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金、自治体の設備投資補助金を確認しましょう。

小規模な販路開拓や店舗改装なら持続化補助金、大きな設備投資や新サービス開発ならものづくり補助金が候補になります。

5-5. 従業員を雇用・育成したい場合

従業員を雇う場合は、厚生労働省系の助成金を確認しましょう。非正規雇用労働者を正社員化するならキャリアアップ助成金、研修を受けさせるなら人材開発支援助成金、育児・介護との両立を支援するなら両立支援等助成金、試行雇用を行うならトライアル雇用助成金が候補になります。

5-6. 売上減少・資金繰り対策で探している場合

売上減少や資金繰り対策の場合、補助金だけで解決しようとしないことが大切です。補助金は後払いが多く、採択まで時間がかかります。すぐに資金が必要な場合は、日本政策金融公庫、信用保証協会付き融資、自治体の制度融資、商工会議所の経営相談なども併せて検討しましょう。

補助金は「資金繰りの穴埋め」よりも、「将来の売上を伸ばす投資」に使う制度と考えるのが基本です。

6. フリーランスが助成金・補助金を申請する流れ

助成金・補助金の申請は、制度を探して書類を出すだけでは終わりません。多くの補助金では、申請、採択、交付決定、事業実施、実績報告、入金という流れになります。

6-1. 募集中の制度を探す

まずは、現在募集中の制度を探します。国の補助金はミラサポplus、J-Net21、Jグランツ、各補助金の公式サイト、自治体の公式サイト、商工会議所・商工会のサイトを確認しましょう。

Jグランツは、デジタル庁が運営する国や自治体の補助金の電子申請システムで、個人事業主や中小企業等がGビズIDを利用して補助金・助成金を検索・申請できるサービスです。

6-2. 公募要領で申請条件を確認する

申請したい制度が見つかったら、必ず公募要領を読みます。確認すべきポイントは、対象者、対象事業、対象経費、補助率、補助上限額、申請期限、事業実施期間、必要書類、交付決定前支出の扱いです。

制度紹介記事だけで判断せず、公式の公募要領を基準にしてください。

6-3. 事業計画書・必要書類を準備する

補助金申請では、事業計画書が重要です。市場の課題、自社の強み、ターゲット顧客、導入する設備やサービス、売上向上の見込み、経費の妥当性を整理しましょう。

ミラサポplusでも、申請書類として応募申請書、事業計画書、経費明細書などが例示されています。

6-4. 電子申請または窓口で申請する

国の補助金は電子申請が中心です。GビズIDプライムが必要になることが多いため、早めに取得しましょう。GビズIDは、1つのID・パスワードで複数の行政サービスにログインできる共通認証システムで、補助金申請や社会保険手続などに使用できます。

GビズIDプライムは審査を行って作成するアカウントで、法人代表者や個人事業主が対象とされています。

6-5. 採択・交付決定後に事業を実施する

補助金は、採択されただけでは入金されません。採択後に交付申請を行い、交付決定を受けてから事業を開始します。ミラサポplusでも、採択後に交付申請を行い、認められたら交付決定となり、補助事業を開始する流れが示されています。

交付決定後は、申請した内容に沿って契約、発注、納品、支払いを進めます。

6-6. 実績報告を提出して入金を受ける

事業が完了したら、実績報告書、請求書、領収書、振込記録、成果物、写真、契約書などを提出します。内容が確認され、補助金額が確定した後に入金されます。

ミラサポplusでは、実施した事業内容や経費を報告し、正しく実施されたことが確認されると補助金額が確定し、補助金を受け取れると説明されています。

7. 申請に必要な書類と準備しておくべきもの

必要書類は制度によって異なりますが、フリーランスが事前に準備しておくとよいものは共通しています。

7-1. 開業届・確定申告書・本人確認書類

個人事業主として申請する場合、開業届の控え、直近の確定申告書、青色申告決算書または収支内訳書、本人確認書類などが必要になることがあります。

開業直後で確定申告書がない場合は、開業届、事業計画、売上見込み、契約書、見積書などで事業実態を説明することになります。

7-2. 事業計画書・収支計画書

事業計画書では、補助金を使って何を実施し、どのように売上アップや生産性向上につなげるのかを説明します。

収支計画書では、現在の売上、補助事業後の売上見込み、利益見込み、投資回収の見通しを示します。数字は大きく見せるよりも、根拠を示すことが大切です。

7-3. 見積書・請求書・領収書

補助対象経費を証明するために、見積書、相見積書、発注書、契約書、請求書、領収書、銀行振込明細などが必要になります。

現金払いは証拠が不十分と判断されることがあるため、銀行振込やクレジットカード決済など、記録が残る方法を選びましょう。

7-4. 通帳・納税証明書・許認可書類

入金口座を確認するための通帳コピー、税金の滞納がないことを示す納税証明書、業種に必要な許認可書類が求められる場合があります。

たとえば、飲食業、美容業、旅館業、建設業、古物商などは、許認可が必要なケースがあるため、補助金申請前に整理しておきましょう。

7-5. GビズIDなど電子申請に必要なアカウント

国の補助金では、GビズIDプライムが必要になることが多くあります。GビズIDは補助金申請だけでなく、さまざまな行政サービスへのログインにも使われます。

申請締切の直前に取得しようとすると間に合わないことがあるため、補助金を使う予定があるフリーランスは早めに準備しておきましょう。

8. フリーランスが採択・受給されるためのポイント

フリーランスが補助金に採択されるためには、「ほしいものリスト」ではなく、「事業を成長させる計画」として申請することが重要です。

8-1. 制度の目的に合った事業計画を作る

補助金には、それぞれ目的があります。持続化補助金なら販路開拓、デジタル化・AI導入補助金なら業務効率化やデジタル化、ものづくり補助金なら新製品・新サービス開発や生産性向上です。

制度の目的と自分の事業計画がずれていると、どれだけ魅力的な投資でも採択されにくくなります。

8-2. 売上アップ・生産性向上の根拠を示す

「売上が増えると思う」だけでは不十分です。現在の顧客数、問い合わせ数、成約率、客単価、リピート率、作業時間、広告費用対効果などをもとに、補助事業後の見込みを説明しましょう。

たとえば、ホームページ制作なら「月間問い合わせ数を何件増やすのか」、予約システム導入なら「予約対応時間を何時間削減するのか」、設備投資なら「生産量や提供件数をどれだけ増やせるのか」を示します。

8-3. 経費の必要性を具体的に説明する

補助金では、「なぜその経費が必要なのか」が見られます。単に「高性能な機材がほしい」ではなく、「新サービスを提供するために必要」「外注していた工程を内製化して利益率を上げる」「予約対応を自動化して接客時間を増やす」など、事業成果と結びつけて説明しましょう。

8-4. 期限から逆算して早めに準備する

補助金申請は、締切直前に始めると間に合いません。GビズID取得、見積書取得、商工会議所への相談、事業計画書作成、必要書類の確認に時間がかかります。

小規模事業者持続化補助金では、商工会・商工会議所への「事業支援計画書」の発行依頼が必要になる場合があり、公式サイトでも余裕をもって手続きするよう案内されています。

8-5. 商工会議所・専門家に相談する

初めて申請する場合は、商工会議所、商工会、よろず支援拠点、中小企業診断士、税理士、行政書士、社会保険労務士などに相談すると進めやすくなります。

特に助成金は労務管理や雇用保険、就業規則、賃金台帳、出勤簿などが関係するため、社会保険労務士に相談するのが安心です。

9. 助成金・補助金を申請するときの注意点

助成金・補助金は便利な制度ですが、使い方を間違えると資金繰りや税務、事務負担の面で逆に苦しくなることがあります。

9-1. 後払いが多く、先に自己資金が必要になる

補助金は後払いが基本です。ミラサポplusでも、補助金は原則として後払いで、事業実施後に必要書類を提出して検査を受けた後に受け取ると説明されています。

つまり、先に自己資金で支払い、その後に補助金が入金されます。補助金をあてにして高額な契約をすると、入金までの資金繰りが厳しくなる可能性があります。

9-2. 採択後の変更・キャンセルには手続きが必要

採択後に、購入する機材を変更する、外注先を変更する、事業内容を変える、実施期間を延ばすといった場合は、事前に変更手続きが必要になることがあります。

自己判断で内容を変えると、対象外経費と判断される可能性があります。変更が必要になったら、必ず事務局に確認しましょう。

9-3. 不正受給や虚偽申請は返還・罰則の対象になる

架空の請求書、実態のない外注費、水増し見積もり、名義貸し、私的利用、虚偽の事業計画などは不正受給にあたります。不正が発覚すると、補助金・助成金の返還だけでなく、加算金、今後の申請制限、刑事責任につながる可能性があります。

補助金は税金を原資とする公的支援です。正確な書類を提出し、証拠書類を保管し、制度のルールに沿って使いましょう。

9-4. 課税対象になる場合がある

補助金や助成金は、受け取ったら税金が一切かからないわけではありません。事業に関連して受け取る補助金・助成金は、所得税や法人税の計算上、収入として扱われる場合があります。

国税庁は、固定資産取得に使った国庫補助金等について、一定の要件を満たす場合に総収入金額不算入の取扱いがあることを説明しています。対象になるかどうかは制度や使途によって異なるため、確定申告時には税理士や税務署に確認しましょう。

9-5. 申請代行業者・コンサル選びで注意すべきこと

補助金申請代行やコンサルを利用する場合は、実績、報酬体系、契約内容、対応範囲を確認しましょう。

「必ず採択される」「誰でももらえる」「書類を任せれば何もしなくてよい」といった表現には注意が必要です。補助金は審査があり、事業者本人の計画や実態が重要です。丸投げではなく、自分の事業計画を一緒に整理してくれる専門家を選びましょう。

10. フリーランスの助成金・補助金に関するよくある質問

10-1. 開業前でも申請できる助成金・補助金はある?

あります。ただし、すべての制度で開業前申請ができるわけではありません。創業予定者向けの自治体補助金や、創業型の制度などが対象になる可能性があります。

開業前の場合は、開業予定日、事業内容、収支計画、資金計画、販売方法などを具体的に示す必要があります。

10-2. 確定申告をしていなくても申請できる?

開業直後でまだ確定申告時期を迎えていない場合は、別の書類で申請できる制度もあります。一方、すでに事業を行っているのに確定申告をしていない場合は、事業実態や納税状況を示せず不利になる可能性があります。

補助金を活用したいなら、日頃から帳簿を整え、確定申告を適切に行うことが大切です。

10-3. パソコンやスマホの購入費は対象になる?

制度によります。パソコンやスマホは私用にも使いやすい汎用機器のため、対象外になりやすい経費です。ただし、制度や枠によっては条件付きで対象になる場合もあります。

「業務で使うから大丈夫」と自己判断せず、必ず公募要領の対象経費・対象外経費を確認しましょう。

10-4. 申請すれば必ずもらえる?

もらえません。補助金は審査があり、要件を満たして申請しても必ず採択されるわけではありません。ミラサポplusでも、補助金は申請したら必ずもらえるものではなく、事前審査と事後検査によって補助の有無や金額が決まると説明されています。

助成金も、要件を満たしていること、必要書類がそろっていること、適切な手続きを行っていることが必要です。

10-5. いくらまで受給できる?

制度によって異なります。たとえば、2026年6月時点のミラサポplusでは、小規模事業者持続化補助金は補助率2/3、補助上限額最大250万円、ものづくり補助金は補助率1/2〜2/3、補助上限額最大4,000万円、事業承継・M&A補助金は補助率1/3〜2/3、補助上限額最大2,000万円と案内されています。

ただし、実際の金額は枠、従業員数、経費内容、特例、採択後の確定検査によって変わります。

10-6. 複数の助成金・補助金を併用できる?

併用できる場合もありますが、同じ経費に対して複数の補助金・助成金を重複して受け取ることは原則としてできません。

たとえば、同じホームページ制作費を小規模事業者持続化補助金と自治体補助金の両方で補助してもらうことは難しいでしょう。一方、別々の事業・別々の経費であれば併用できる場合があります。

10-7. フリーランスがまず確認すべき制度はどれ?

1人で活動しているフリーランスなら、まずは小規模事業者持続化補助金、デジタル化・AI導入補助金、自治体の創業・販促・DX補助金を確認しましょう。

従業員を雇っている場合は、キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、両立支援等助成金、トライアル雇用助成金も候補になります。

まとめ

フリーランスでも、条件を満たせば助成金・補助金を活用できます。ただし、1人で働くフリーランスの場合は、雇用関係の助成金よりも、販路開拓やIT導入、設備投資を支援する補助金のほうが使いやすい傾向があります。

まず確認したいのは、小規模事業者持続化補助金、デジタル化・AI導入補助金、ものづくり補助金、自治体独自の補助金です。従業員を雇用している場合は、キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、両立支援等助成金、トライアル雇用助成金も検討できます。

助成金・補助金を受け取るには、制度の目的に合った事業計画、必要書類、期限管理、証拠書類の保管が欠かせません。返済不要というメリットだけで判断せず、後払いであること、審査があること、課税対象になる場合があることも理解しておきましょう。

フリーランスが助成金・補助金を上手に活用するコツは、「もらえる制度」を探すことではなく、「事業を伸ばすために必要な投資」と制度の目的を一致させることです。事業計画を整理し、商工会議所や専門家にも相談しながら、自分の事業に合った制度を選びましょう。