フリーランスは扶養に入れる?年収の壁・税金・社会保険の条件と外れる基準を徹底解説
はじめに
フリーランスとして働きながら配偶者の扶養に入りたい場合、最初に押さえるべきポイントは「扶養には2種類ある」という点です。ひとつは所得税・住民税に関係する税金上の扶養、もうひとつは健康保険・国民年金に関係する社会保険上の扶養です。
同じ「扶養」という言葉でも、判定に使う金額、対象期間、必要書類、外れるタイミングは異なります。特にフリーランスは、会社員やパートのように給与収入だけで判断できず、売上・経費・所得・今後の収入見込みを分けて考える必要があります。
この記事では、フリーランスが扶養に入れる条件、年収の壁、税金と社会保険の違い、扶養から外れる基準、収入管理の方法までわかりやすく解説します。
1. フリーランスは扶養に入れる?結論と前提をわかりやすく解説
1-1. フリーランスでも条件を満たせば扶養に入れる
フリーランスでも、配偶者の扶養に入ることは可能です。開業届を出しているか、屋号があるか、業務委託で収入を得ているかだけで一律に扶養不可になるわけではありません。
ただし、税金上の扶養では「合計所得金額」、社会保険上の扶養では「年間収入の見込み額」が重視されます。国税庁は、配偶者控除について配偶者の合計所得金額を基準にしており、日本年金機構は社会保険の被扶養者認定について年間収入見込みを基準にしています。
1-2. 「扶養」には税金上の扶養と社会保険上の扶養がある
税金上の扶養とは、配偶者の所得が一定以下の場合に、扶養する側が配偶者控除または配偶者特別控除を受けられる仕組みです。控除を受けられると、扶養する側の所得税や住民税の負担が軽くなります。
一方、社会保険上の扶養とは、配偶者の勤務先の健康保険に被扶養者として入り、国民年金では第3号被保険者として扱われる仕組みです。社会保険の扶養に入っている間は、原則として自分で国民健康保険料や国民年金保険料を支払う必要がありません。
1-3. 会社員・パートとフリーランスでは判定基準が違う
会社員やパートは「給与収入」から給与所得控除を差し引いて所得を計算します。フリーランスは、原則として「売上」から必要経費を差し引いて事業所得を計算します。
そのため、同じ年収130万円でも、給与収入130万円の人と、売上130万円・経費40万円のフリーランスでは税金上の所得が異なります。扶養の判定では、単純な売上額だけでなく、どの制度で何を基準に見るのかを分けて確認することが重要です。
1-4. まず確認すべきは「年収」ではなく「所得」と「収入見込み」
フリーランスの扶養で最初に確認すべきなのは、「年収はいくらか」だけではありません。
税金上の扶養では、1月1日から12月31日までの合計所得金額を見ます。社会保険上の扶養では、過去の確定申告額だけでなく、被扶養者に該当する時点および認定日以降の年間見込み収入額を見ます。日本年金機構も、社会保険の年間収入は「過去の収入」ではなく「今後の年間見込み収入額」と説明しています。
2. フリーランスが扶養に入れるかを決める2つの基準
2-1. 税金上の扶養とは?配偶者控除・配偶者特別控除の仕組み
税金上の扶養では、配偶者の合計所得金額が一定以下であれば、扶養する側が配偶者控除を受けられます。令和7年分では、配偶者の合計所得金額が58万円以下であれば配偶者控除の対象となり、給与収入だけの場合は123万円以下が目安です。
また、配偶者の所得が配偶者控除の範囲を超えても、一定範囲内であれば配偶者特別控除を受けられます。令和7年分では、配偶者の合計所得金額が58万円超133万円以下の場合に、所得額に応じて配偶者特別控除が段階的に適用されます。
なお、令和8年度税制改正により、令和8年分以後の所得税では、原則として令和8年12月1日から基礎控除・給与所得控除・扶養親族等の所得要件が改正されます。令和8・9年分では、同一生計配偶者などの所得要件は62万円以下、給与収入だけの場合は136万円以下が目安となります。
2-2. 社会保険上の扶養とは?健康保険・国民年金第3号被保険者の仕組み
社会保険上の扶養に入ると、配偶者の勤務先の健康保険に被扶養者として加入できます。さらに、配偶者が会社員や公務員などの第2号被保険者であり、自分が20歳以上60歳未満の配偶者であれば、国民年金の第3号被保険者になれる可能性があります。
社会保険の扶養では、原則として年間収入130万円未満が基準です。60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満が基準になります。さらに、同居の場合は収入が扶養者の収入の半分未満、別居の場合は仕送り額未満であることも求められます。
2-3. 税金は「1月〜12月の所得」、社会保険は「今後の収入見込み」で判断される
税金上の扶養は、その年の1月から12月までの結果で判断されます。年末調整や確定申告で、最終的な所得をもとに配偶者控除・配偶者特別控除の可否を確認します。
一方、社会保険上の扶養は「これから1年間でどのくらい収入が見込まれるか」が重視されます。たとえば、年の途中から継続案件が増え、月収が108,333円を超える状態が続く見込みになった場合、年間130万円未満に収まりそうでも、扶養から外れる判断がされる可能性があります。日本年金機構も、給与収入等では月額108,333円以下が年間収入130万円未満の目安になると示しています。
2-4. 税金上は扶養内でも社会保険では扶養を外れるケースがある
フリーランスでは、税金上は所得が低く配偶者控除の対象になっていても、社会保険では扶養から外れるケースがあります。
たとえば、売上は月12万円で年間144万円、経費が多く所得は50万円という場合、税金上は扶養内でも、社会保険上は「継続的な年間収入130万円以上」と判断される可能性があります。社会保険の扶養では、税法上の所得と同じ基準で判定されるとは限らない点に注意が必要です。
3. フリーランスの税金上の扶養条件|配偶者控除・配偶者特別控除の年収の壁
3-1. フリーランスの扶養判定は「売上」ではなく「所得」で見る
税金上の扶養では、フリーランスの売上そのものではなく、必要経費などを差し引いた後の所得を見ます。
たとえば、年間売上が140万円でも、必要経費が70万円あれば事業所得は70万円です。反対に、年間売上が90万円でも経費がほとんどなければ、所得は90万円に近くなります。フリーランス 扶養の判断では、「年収」よりも「所得」を正しく計算することが大切です。
3-2. 所得の計算方法|売上から経費・控除を差し引く
フリーランスの事業所得は、基本的に次の式で計算します。
事業所得 = 売上 − 必要経費 − 青色申告特別控除
必要経費には、仕事に必要な通信費、消耗品費、外注費、交通費、会計ソフト代、仕事用の家賃按分などが含まれます。ただし、プライベートの支出は経費にできません。
青色申告をしている場合は、要件を満たすことで10万円・55万円・65万円の青色申告特別控除を受けられます。国税庁は、複式簿記による記帳や期限内申告など一定の要件を満たす場合に55万円控除、さらにe-Tax申告または優良な電子帳簿保存の要件を満たす場合に65万円控除を受けられると説明しています。
3-3. 配偶者控除を受けられる所得の目安
令和7年分では、フリーランスの合計所得金額が58万円以下であれば、扶養する側は配偶者控除を受けられる可能性があります。給与収入のみの人は123万円以下が目安ですが、フリーランスの場合は「売上123万円以下」ではなく「所得58万円以下」と考える必要があります。
令和8年度税制改正後は、令和8年分以後の所得税について、同一生計配偶者などの所得要件が62万円以下に改正されます。令和8・9年分の給与収入だけの場合は136万円以下が目安ですが、フリーランスは引き続き所得で判断します。
3-4. 配偶者特別控除を受けられる所得の目安
令和7年分では、配偶者の合計所得金額が58万円を超えても、133万円以下であれば配偶者特別控除の対象になります。控除額は、配偶者本人の所得と扶養する側の所得に応じて段階的に減少します。
令和8年度税制改正後は、配偶者特別控除の対象となる配偶者の所得要件が、令和8・9年分では62万円超133万円以下に改正されます。給与収入だけの場合は136万円超207万円以下が目安です。
3-5. 扶養する側の所得が高いと控除を受けられない点に注意
配偶者控除・配偶者特別控除は、扶養される側だけでなく、扶養する側の所得にも制限があります。扶養する側の合計所得金額が1,000万円を超える場合、配偶者控除・配偶者特別控除は受けられません。
また、扶養する側の合計所得金額が900万円を超えると、控除額は段階的に少なくなります。配偶者の所得だけを見て「扶養に入れる」と判断しないようにしましょう。
3-6. 青色申告特別控除を使うと扶養判定はどう変わる?
青色申告特別控除は、税金上の所得を下げる効果があります。そのため、フリーランスが青色申告をして65万円控除を受けられる場合、売上がある程度あっても税金上の扶養判定では有利になることがあります。
たとえば、年間売上150万円、必要経費40万円、青色申告特別控除65万円の場合、事業所得は45万円です。この場合、令和7年分の配偶者控除の所得要件58万円以下に収まる可能性があります。
ただし、青色申告特別控除は社会保険の扶養判定でそのまま認められるとは限りません。税金上の扶養と社会保険上の扶養は分けて考える必要があります。
3-7. 住民税・所得税が発生するラインと扶養判定の違い
所得税や住民税が発生するラインと、配偶者控除・配偶者特別控除の扶養判定ラインは同じではありません。
たとえば、本人に所得税がかからない水準でも、社会保険の扶養では外れる場合があります。また、配偶者控除を受けられなくなっても、配偶者特別控除により控除が一部残ることがあります。
「税金がかからない=すべての扶養に入れる」ではなく、「所得税」「住民税」「配偶者控除」「社会保険」を別々に確認することが大切です。
4. フリーランスの社会保険上の扶養条件|130万円の壁と外れる基準
4-1. 社会保険の扶養は原則「年収130万円未満」が目安
社会保険上の扶養では、原則として年間収入130万円未満が目安です。60歳以上または障害者の場合は年間収入180万円未満が基準です。さらに、同居の場合は扶養者の収入の半分未満、別居の場合は扶養者からの仕送り額未満であることが求められます。
4-2. フリーランスの130万円は「売上」か「所得」か
フリーランスの場合、社会保険上の130万円の判定は非常に注意が必要です。日本年金機構は、自営による収入がある場合、収入額は「当該事業遂行のための必要経費を控除した額」としています。
ただし、これは所得税の事業所得と完全に同じという意味ではありません。健康保険組合によって、売上から差し引ける経費の範囲が異なることがあります。
4-3. 経費として認められる範囲は健康保険組合によって異なる
社会保険の扶養判定では、税務上の必要経費がすべてそのまま控除されるとは限りません。
たとえば、協会けんぽの船員保険に関する説明では、自営業者の年間収入算定にあたり、控除できる経費は事業所得の必要経費とは異なるとされ、売上原価などは控除できる経費の例、減価償却費などは控除できない経費の例として示されています。
会社員の配偶者が加入している健康保険が協会けんぽなのか、健康保険組合なのか、共済組合なのかによって運用が異なるため、最終判断は必ず勤務先や保険者に確認する必要があります。
4-4. 開業届を出すと社会保険の扶養から外れることはある?
開業届を出しただけで必ず社会保険の扶養から外れるわけではありません。しかし、健康保険組合によっては「自営業者は原則として扶養認定が厳しい」「開業して継続的な事業収入がある場合は詳細な収入確認が必要」といった運用をしている場合があります。
つまり、開業届の有無そのものよりも、継続的な収入の見込み、事業規模、経費の内容、確定申告書の内容が重要です。
4-5. 継続的な収入があると扶養認定されにくいケース
月によって収入が大きく変動するフリーランスでも、継続案件や固定報酬があり、今後1年間で130万円以上の収入が見込まれる場合は、社会保険の扶養から外れる可能性があります。
特に、月額108,333円を継続的に超える見込みがある場合は注意が必要です。これは、年間130万円を12か月で割った目安です。日本年金機構も、給与所得等の収入がある場合は月額108,333円以下であれば収入要件を満たすと説明しています。
4-6. 60歳以上・障害者の場合の収入基準
60歳以上または障害者の場合、社会保険上の扶養の年間収入基準は130万円未満ではなく180万円未満です。
ただし、180万円未満であっても、扶養者の収入との関係や生計維持関係の確認は必要です。別居している場合は、仕送り額との比較も行われます。
4-7. 夫・妻の勤務先や健康保険組合への確認が必要な理由
フリーランスの社会保険上の扶養は、税金よりも個別判断が多くなります。特に、自営業収入のどこまでを経費として差し引けるか、開業届をどう扱うか、赤字の場合にどう認定するかは、保険者によって運用が異なります。
そのため、扶養内で働きたい場合は、売上が増える前に配偶者の勤務先へ確認するのが安全です。確認するときは、直近の確定申告書、収支内訳書または青色申告決算書、今後の売上見込み、継続契約の有無を整理しておきましょう。
5. フリーランスが注意すべき年収の壁・所得の壁
5-1. 103万円・123万円・136万円の壁はフリーランスにどう関係する?
103万円の壁は、令和6年分までの給与収入を前提とした配偶者控除の目安としてよく使われていました。令和7年分では、配偶者控除の給与収入目安は123万円以下に変わっています。
さらに令和8年度税制改正により、令和8・9年分では、同一生計配偶者などの所得要件は62万円以下、給与収入だけの場合は136万円以下が目安となります。
ただし、これらは給与収入だけの場合の目安です。フリーランスの場合は、売上ではなく所得で考える必要があります。
5-2. フリーランスにとって重要なのは「給与収入の壁」より「所得の壁」
フリーランスにとって重要なのは、「年収103万円」「年収123万円」といった給与収入の壁ではなく、所得の壁です。
令和7年分で配偶者控除を意識するなら、所得58万円以下が目安です。令和8年分以後は、改正により所得62万円以下が目安になります。売上が同じでも、経費や青色申告特別控除の有無によって所得は変わります。
5-3. 130万円の壁を超えると社会保険料負担が発生する
社会保険上の扶養から外れると、自分で国民健康保険や国民年金に加入する必要が出てきます。日本年金機構も、配偶者の扶養を外れ、厚生年金保険等に加入しない場合は、国民年金第1号被保険者の加入手続きが必要と案内しています。
社会保険料の負担が発生すると、売上が増えても手取りが一時的に減ることがあります。130万円前後で収入を調整する場合は、税金だけでなく保険料も含めた手取りで判断しましょう。
5-4. 150万円・160万円・201万円超の壁と配偶者特別控除の関係
令和7年分では、給与収入のみの場合、配偶者特別控除の満額に近いラインとして160万円以下が目安になります。これは、給与所得控除65万円を差し引くと、合計所得金額95万円以下となるためです。配偶者特別控除は、令和7年分では合計所得金額58万円超95万円以下の範囲で、扶養する側の所得が900万円以下なら38万円の控除が受けられます。
また、令和7年分では、給与収入だけの場合、配偶者特別控除の対象はおおむね201万5,999円以下までです。令和8・9年分では、改正後の給与所得控除を前提に、配偶者特別控除の対象となる給与収入目安は136万円超207万円以下となります。
5-5. 106万円の壁はフリーランスにも関係する?
106万円の壁は、主にパート・アルバイトなど短時間労働者が勤務先の社会保険に加入するかどうかの基準として使われてきたものです。フリーランスとして業務委託収入だけを得ている場合、通常はこの106万円の壁は直接関係しません。
ただし、フリーランス収入に加えてパート勤務をしている場合は注意が必要です。厚生労働省は、短時間労働者の社会保険加入要件として、企業規模、週20時間以上、学生でないこと、所定内賃金月額8.8万円以上などを示しています。また、月額8.8万円の賃金要件は2026年10月に撤廃予定とされています。
5-6. 税制改正で年収の壁が変わる場合に確認すべきポイント
年収の壁は、税制改正によって変わることがあります。令和7年度税制改正では、所得税の基礎控除や給与所得控除が見直され、令和8年度税制改正でも基礎控除・給与所得控除・扶養親族等の所得要件が改正されています。
確認すべきポイントは、次の3つです。
| 確認項目 | 見るべき内容 |
|---|---|
| 税金上の扶養 | その年の合計所得金額 |
| 社会保険上の扶養 | 今後1年間の収入見込み |
| 年度 | 令和7年分なのか、令和8年分以後なのか |
6. フリーランスが扶養から外れるとどうなる?
6-1. 国民健康保険への加入が必要になる
社会保険上の扶養から外れ、勤務先の健康保険にも加入しない場合は、原則として市区町村の国民健康保険に加入します。国民健康保険料は前年所得や自治体によって変わるため、住んでいる市区町村で確認する必要があります。
6-2. 国民年金の第1号被保険者として保険料を払う
配偶者の社会保険上の扶養から外れ、厚生年金にも加入しない場合は、国民年金の第1号被保険者になります。日本年金機構は、配偶者の扶養を外れた人で厚生年金保険等に加入しない場合、国民年金第1号被保険者の加入手続きが必要と案内しています。
6-3. 配偶者控除・配偶者特別控除が減額または対象外になる
税金上の扶養から外れると、扶養する側の配偶者控除が受けられなくなります。ただし、配偶者の所得が一定範囲内であれば、配偶者特別控除を受けられる可能性があります。
配偶者特別控除は所得が増えるほど段階的に減少し、一定額を超えると対象外になります。令和7年分では合計所得金額133万円超、令和8・9年分でも133万円超になると、配偶者特別控除の対象外です。
6-4. 手取りが減る可能性がある収入ライン
扶養から外れると、国民健康保険料・国民年金保険料・所得税・住民税の負担が増える可能性があります。そのため、収入が130万円を少し超えた程度では、手取りが扶養内より少なくなることがあります。
特にフリーランスは、売上が増えても経費、税金、保険料、消費税対応、会計コストなどが増える場合があります。扶養を外れるかどうかは、売上ではなく「手取り」で判断しましょう。
6-5. 扶養から外れたほうが得になるケースもある
扶養から外れることは、必ずしも損ではありません。収入を大きく伸ばせる見込みがあるなら、扶養内に抑えるよりも、事業を拡大したほうが手取りや将来の選択肢が増える場合があります。
また、扶養内にこだわりすぎると、単価交渉や継続案件の受注を控えることになり、長期的な収入機会を逃す可能性もあります。フリーランスとして継続的に働くなら、扶養内で抑える期間と、扶養を外れて伸ばす期間を分けて考えることが大切です。
6-6. 扶養を外れた後に必要な手続き
社会保険上の扶養から外れる場合、配偶者の勤務先を通じて被扶養者の削除手続きを行います。日本年金機構は、被扶養者が年間収入130万円以上見込まれるときなどに削除の届出を行うと説明しています。
その後、自分で国民健康保険と国民年金の手続きを行います。手続きが遅れると、保険料をさかのぼって請求されることがあるため、収入見込みが変わった時点で早めに対応しましょう。
7. フリーランスが扶養内で働くための収入管理方法
7-1. 毎月の売上・経費・所得を把握する
扶養内で働くなら、毎月の売上、経費、所得を記録しましょう。年末にまとめて計算すると、すでに扶養ラインを超えていたということが起こりやすくなります。
会計ソフトやスプレッドシートを使い、次の項目を毎月確認すると管理しやすくなります。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 売上 | 入金額ではなく発生ベースでも確認 |
| 経費 | 仕事に必要な支出かどうか |
| 所得 | 売上から経費を引いた金額 |
| 年間見込み | 今後の契約・継続案件を含めた見込み |
7-2. 社会保険の扶養基準に合わせて収入見込みを管理する
社会保険の扶養では、今後1年間の収入見込みが重視されます。単発案件で一時的に収入が増えた場合と、毎月継続する案件で収入が増えた場合では、扱いが異なる可能性があります。
月額108,333円を継続的に超える見込みがある場合は、年間130万円以上と判断される可能性があるため、配偶者の勤務先に相談しましょう。
7-3. 経費を正しく計上して所得を調整する
税金上の扶養では、必要経費を正しく計上することで所得を適切に抑えられます。経費にできるものを漏らさないことは、節税だけでなく扶養判定にも関係します。
ただし、架空経費や私的支出の経費化は認められません。家事按分が必要な支出は、仕事で使った割合を合理的に説明できるようにしておきましょう。
7-4. 青色申告を活用して税金上の扶養判定に備える
青色申告は、フリーランスが税金上の扶養を意識するうえで有効です。要件を満たせば、青色申告特別控除により所得を下げられます。
ただし、青色申告をするには、原則として期限までに青色申告承認申請書を提出し、帳簿を整える必要があります。扶養内で働きたい人ほど、早めに記帳体制を作っておくことが重要です。
7-5. 収入が増えそうなときは事前に配偶者の勤務先へ確認する
フリーランスの収入は変動しやすいため、扶養ラインを超えそうになってから慌てるのではなく、収入が増える見込みが立った時点で確認しましょう。
特に確認したいのは、社会保険の扶養判定でどの経費が控除できるか、開業届や確定申告書の提出が必要か、月収が一時的に増えた場合の扱いです。
7-6. 年末だけでなく年間を通して扶養条件をチェックする
税金上の扶養は年末調整や確定申告のタイミングで意識されがちですが、社会保険上の扶養は年の途中でも外れることがあります。
そのため、年末だけでなく、毎月の収入管理、四半期ごとの所得確認、契約更新時の収入見込み確認を行うのが理想です。
8. ケース別|フリーランスの扶養でよくある疑問
8-1. 開業届を出していても扶養に入れる?
開業届を出していても、税金上・社会保険上の条件を満たせば扶養に入れる可能性があります。ただし、社会保険では自営業者としての収入見込みや事業実態を確認されることがあります。
8-2. 副業フリーランスでも扶養に入れる?
副業フリーランスでも扶養に入れる可能性はあります。給与収入と事業所得がある場合は、それぞれを合算して判定します。
税金上は合計所得金額、社会保険上は給与・事業・年金・手当などを含めた年間収入見込みを確認します。日本年金機構は、社会保険の収入には雇用保険給付、公的年金、傷病手当金、出産手当金なども含まれるとしています。
8-3. 業務委託収入がある主婦・主夫は扶養に入れる?
業務委託収入がある主婦・主夫でも、所得や収入見込みが基準内であれば扶養に入れる可能性があります。
ただし、業務委託は給与ではなく事業所得または雑所得として扱われることが多いため、給与収入の壁をそのまま当てはめないようにしましょう。
8-4. インボイス登録をすると扶養から外れる?
インボイス登録をしただけで、自動的に扶養から外れるわけではありません。ただし、インボイス登録により取引が増えたり、消費税の納税義務や事務負担が発生したりすることで、結果的に収入や所得が増え、扶養基準に影響する可能性があります。
判断すべきなのは、登録の有無ではなく、実際の所得と収入見込みです。
8-5. 赤字なら扶養に入れる?
税金上は、事業が赤字で合計所得金額が基準以下なら、配偶者控除の対象になる可能性があります。
一方、社会保険では、赤字でも売上規模や継続的な収入、経費の内容を見られることがあります。税務上の赤字がそのまま社会保険の扶養認定に使われるとは限らないため、保険者への確認が必要です。
8-6. 家族の事業を手伝う場合は扶養に入れる?
家族の事業を手伝う場合、青色事業専従者給与を受けているか、白色申告の事業専従者に該当するかによって、税金上の扶養判定に影響します。
国税庁は、配偶者控除の要件として、青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていないこと、白色申告者の事業専従者でないことを挙げています。
8-7. 扶養内のつもりで収入超過した場合はどうなる?
税金上の扶養で所得が超過した場合、年末調整や確定申告で配偶者控除・配偶者特別控除の修正が必要になります。控除額が減ると、扶養する側の税金が増えることがあります。
社会保険上の扶養で収入見込みが超過していた場合、扶養削除の手続きが必要です。状況によっては、扶養から外れるべき時点までさかのぼって国民健康保険料や国民年金保険料が発生する可能性があります。
9. フリーランスが扶養に入る・外れるときの手続き
9-1. 税金上の扶養に入るための年末調整・確定申告の手続き
扶養する側が会社員の場合、年末調整で配偶者控除等申告書を提出し、配偶者の所得見積額を記入します。年末調整で反映できなかった場合や、所得が後から変わった場合は、確定申告で修正できます。
フリーランス本人は、必要に応じて確定申告を行い、売上・経費・所得を確定させます。
9-2. 社会保険上の扶養に入るために必要な書類
社会保険上の扶養に入る場合、配偶者の勤務先を通じて被扶養者(異動)届を提出します。日本年金機構は、協会けんぽの被保険者に被扶養者の追加があった場合、被保険者が事業主を経由して被扶養者(異動)届を提出すると案内しています。
必要書類としては、続柄確認書類、収入確認書類、直近の確定申告書、青色申告決算書または収支内訳書などを求められることがあります。
9-3. 収入証明・確定申告書・開業届の提出を求められるケース
フリーランスは収入が給与明細で確認できないため、社会保険の扶養認定で確定申告書の写しを求められることがあります。日本年金機構も、自営による収入や不動産収入がある場合、直近の確定申告書の写しを収入確認書類として示しています。
また、開業届、廃業届、業務委託契約書、報酬明細、帳簿などの提出を求められる場合もあります。
9-4. 扶養から外れるタイミングと届出方法
社会保険上の扶養から外れるタイミングは、年間収入130万円以上が見込まれるようになったとき、健康保険の被保険者になったとき、別の人の扶養に入ったときなどです。日本年金機構は、被扶養者の年間収入が130万円以上見込まれるときなどに削除の届出を行うとしています。
扶養から外れたら、国民健康保険や国民年金の手続きを速やかに行います。
9-5. 扶養に戻ることはできる?再認定の流れ
一度扶養から外れても、収入が減り、扶養条件を満たす見込みになれば、再び扶養に入れる可能性があります。
ただし、再認定では、現在の収入状況、今後の収入見込み、事業継続の有無、直近の確定申告書などを確認されます。単に「今年は売上が少なかった」だけでなく、今後も基準内に収まると説明できる資料が必要です。
10. フリーランスの扶養に関するよくある質問
10-1. フリーランスはいくらまでなら扶養に入れますか?
税金上の扶養では、令和7年分は合計所得金額58万円以下なら配偶者控除、58万円超133万円以下なら配偶者特別控除の対象になります。令和8年度税制改正後は、令和8・9年分で同一生計配偶者などの所得要件が62万円以下、配偶者特別控除の対象が62万円超133万円以下に改正されます。
社会保険上の扶養では、原則として年間収入130万円未満が目安です。
10-2. 売上が130万円未満なら必ず社会保険の扶養に入れますか?
必ず入れるとは限りません。社会保険上の扶養では、今後の年間収入見込み、扶養者との生計維持関係、経費として控除できる範囲などを総合的に見られます。
売上が130万円未満でも、継続的な収入がある場合や、扶養者との収入バランスによっては確認が必要です。
10-3. 経費を引いた所得が少なければ扶養内ですか?
税金上は、経費を引いた所得が基準内であれば扶養内になる可能性があります。しかし、社会保険上は税務上の経費がすべて認められるとは限りません。
特に減価償却費、家事按分、青色申告特別控除などは、保険者によって扱いが異なる可能性があります。
10-4. 青色申告特別控除は扶養判定に使えますか?
税金上の扶養判定では、青色申告特別控除を反映した後の所得が関係します。要件を満たせば、青色申告特別控除によって所得を下げられます。
ただし、社会保険上の扶養判定で青色申告特別控除が同じように扱われるとは限りません。社会保険については配偶者の勤務先や健康保険組合に確認しましょう。
10-5. 扶養内フリーランスでも確定申告は必要ですか?
扶養内でも、所得の金額や源泉徴収の有無、青色申告の有無、還付を受けるかどうかによって確定申告が必要になる場合があります。
特に青色申告特別控除を受ける場合は、期限内申告が重要です。扶養内だから申告不要と決めつけず、所得額と申告要件を確認しましょう。
10-6. 扶養を外れるならどのくらい稼げば損しませんか?
明確な一律ラインはありません。国民健康保険料、国民年金保険料、所得税、住民税、経費、配偶者の会社の家族手当の有無によって変わるためです。
目安としては、社会保険料の負担増を上回るだけの利益を安定して得られるかが判断ポイントです。扶養内に抑えるか、扶養を外れて事業を伸ばすかは、年間売上ではなく年間手取りで比較しましょう。
まとめ
フリーランスでも、条件を満たせば扶養に入れます。ただし、扶養には税金上の扶養と社会保険上の扶養があり、それぞれ基準が異なります。
税金上の扶養では、売上ではなく所得を見ます。令和7年分では配偶者控除の目安は合計所得金額58万円以下、配偶者特別控除は58万円超133万円以下です。令和8年度税制改正後は、令和8・9年分で同一生計配偶者などの所得要件が62万円以下、配偶者特別控除は62万円超133万円以下に改正されます。
社会保険上の扶養では、原則として年間収入130万円未満が目安です。ただし、フリーランスの場合は、経費の扱いや今後の収入見込みを保険者が個別に判断するため、税金上は扶養内でも社会保険では外れることがあります。
扶養内で働きたい場合は、毎月の売上・経費・所得を管理し、収入が増えそうなタイミングで配偶者の勤務先に確認することが大切です。扶養を外れる場合も、手取りが減る期間を想定したうえで、事業拡大や単価アップを含めて判断しましょう。

